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アニメ「君の膵臓をたべたい」 (2018) 人と関わることで生かされる!

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“難病もの“と思ってスルーしていたところ、NHK Eテレで地上波初放送されるという。観てみると、とても大きなテーマ”生きるとはどういうことか“を問う作品で、「観てよかった!」と思える作品でした。

原作は住野よるさんの同名小説。監督:牛嶋新一郎さん。脚本:牛嶋新一郎住野よるさん。出演者(声優)は高杉真宙・Lynn・藤井ゆきよ内田雄馬和久井映見さんら。


劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」本予告

あらすじ:
冒頭、通り魔事件で亡くなったクラスの人気者・山内桜良(Lynn)の葬儀。クラスメイトが駆けつけた葬列の中に(彼女のカレと見られていた)僕(高杉真宙)の姿はなく、自宅ベットで「君の膵臓食べたい」と送ったメールが届いていたかと苦悶していた。
この言葉は「昔の人は肝臓が悪い、膵臓が悪いとそれを食べ、これで病気を治した。君にしか頼めないの、君の膵臓を食べたい!」と言った桜良の言葉だった。

「何で桜良は僕に近づいてきたのか?」これがテーマです。

桜良との出会いは、風邪で病院にいった日、彼女も来ていて「共病文庫」と記された文庫本を拾ったこと。桜良が膵臓の病気を患ってからつけているもので「あとちょっとで死にます」という。僕が「ああ、そう」と返事しておいたら、帰り道で待伏せし「病気を内緒にして欲しい。残りの人生を君の人生で生きたい」という。なんで僕に関わるの?(笑)

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僕は人に関わるのが苦手、ひとりで読書するのが好きで図書委員をしていた。桜良が欠員になった図書委員となり、僕と図書館で過ごすようになった。
僕が「もっとやりたいことがあるだろうが」と問うと「一日の価値は全部同じ。何をしたいかで私の価値は変わらない。普通のことをやっていることが楽しい」と言い、「死ぬまでのリストがあるから付き合って!」と頼まれた。

早速、焼き肉屋でホルモンを食べた。桜良は「自分の膵臓食べてもいいよ。人に食べてもらった魂がその人の中で生き続ける」という。僕はなんのことか分からなかった! こういうセリフが面白い!
僕が「人には興味がない人間だ」と話すと「私は興味がある」と、店を出たところでおばあちゃんが若者に因縁をつけられていると“助っ人”に入っていく。(笑) 

茶店で僕に「桜が咲く理由」を聞き、「散ってから3か月で芽をつけそれから咲くべき時を待っているの。だからこれからは連絡を密にしよう!」という。(笑) 桜は命です。

桜良が同級生の隆弘(内田雄馬)を「恋人になってみたら、ダメで“ひつこ”過ぎる」と言い、仲が良い恭子(藤井ゆきよ)にも病気のことは教えない、「過剰反応するから。君だけが真実を知りながら日常をやってくれる。だから君と遊ぶの」という。この歳で、ここまで人の気持ちを察し配慮できるところが凄いが、彼女にはもうひとつやりとげたいことがあった!

桜良の誘いで、家族に嘘ついて、ふたりは一泊二日の旅をした。同じ部屋で、すこし酔払って、沢山お喋りをした。何もなかった! 旅から帰ると僕は桜良からの電話が待つようになっていた。

隆弘が僕に「暗い想像性のないお前に桜良は似合わない!」と絡んできたところに桜良がやってきた。僕が「俺は君に合わない!」と告げると、「違う!偶然でもなく運命なんかでもないよ!私が共病文庫を書き、本好きの君がその本を手に取り私を受け入れた。ふたりの選択よ。だからあと少しの間でいいから一緒に居て欲しい」という。

こんなことがあって、ボーリング、プリクラ、カラオケ、散歩と楽しんでいたが、桜良が突然入院することになり、彼女の現実を知ることになった。

そこで桜良に「生きるということはどういうこと?」と尋ねた。「誰かと心を通わせること。誰かを認める、誰かを好きになる。自分ひとりでは自分が分からない。人との関係が生きているということ・・・」と答える。僕は「君にはいろんなことを教わっている」と感謝した。すると桜良がそっと僕を抱き寄せた!そのとき恭子が来たので・・・・。(笑)

桜良は母(和久井映見)に「私が亡くなったあとこの本を、訪ねてきた人に上げて!」とお願いした。

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ふたりは病院を抜け出して丘の上から高岡名物の花火大会で上がる大きな美しい花火を見て、僕が「君が心配だ!」と言うと「私に生きて欲しいの!私は幸せよ。死ぬときはちゃんという」と応え、僕は彼女を抱いた。花火の映像は特にうつくしかった!!

俺は変わったと感じた。興味がなかった俺が彼女に変えられた。自分から変えられることを選んだ。俺は君になりたかったんだ。「人を認め、認められる。人を愛せる、愛されるどうすれば君になれるか」と「君の肝臓を食べたい」と桜良にメールした。

突然、桜良が胸部を刺されて亡くなったというニュースが入ってきた。葬儀には出なかった。
15日経って気持ちも落ち着き桜良の家を訪ねた。お母さんから「待っていたのよ!」と共病文庫が渡された。そこには「君に憧れていた。君は自分自身で自分を見つめ魅力を作り出すことの出来る人!そんな人が私を選んでくれた。桜のように!私も君の膵臓を食べたい!」と書かれていた。僕のメールを読んでいたのか・・・。


感想:

余命わずかな桜良が「普通に過ごしたい。自分で生きた証を残したい」と性格の全く異なる僕を選び、ふたりが自分にはないものを認め、互いが信頼し信頼され、愛し愛される関係を築き、桜良は短い命のなかで「自分で生きた人生」を実感し、僕は「これから生きていくための大切なもの、人との関りを大切にする」という物語でした。

特に桜良のセリフは、自分が病人でありながら、相手への気使いがしっかりなされていて、とてもよかったと思います。

それだけに高杉真宙さんとLynnさんは大変だったでしょう。しっかり耳に届きましたから大丈夫です。共病日記を読む最後の下りにとても感動して慟哭の涙でした。f:id:matusima745:20200505101531p:plain

セリフがすばらしく、アニメの表情よりも、耳を澄ませて聞き入りました。(笑)ふたりの“生きている“という感情が伝わるように空、川、雨、桜などの自然や花火などの風物はうつくしく幻想的に描かれていました。アニメにした意味はここにあるのだろうと思っています。
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