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宮﨑あおいさんを応援します

「君は月夜に光り輝く」(2019)

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監督・脚本が月川翔さんということで、「これは見逃せない」と出かけました。()
難病ものと言われる泣きの青春恋愛物語と思いきや、「人生は長さではない、どう生きたかだ!」ということを教えてくれる人生哲学的な作品でした。
ヒロインの「生きたくてしょうがなくなった」という言葉に、良い人生だったなとエールを送りたくなるようなすがすがしいラブストーリーでした。今回も監督は「ただものではないな!」と思わせてくれる作品でした。

原作は第23電撃小説大賞を受賞した佐野徹夜さんの同名小説。未読です。
主演は朝ドラ「半分、青い」の 永野芽郁さんと「君の膵臓をたべたい」「春待つ僕ら」の北村匠海さん。共演はフレッシュな甲斐翔真・松本穂香今田美桜さんにベテランの優香・生田智子長谷川京子及川光博さんの布陣でした。
あらすじ:
高校生の岡田卓也北村匠海)はクラスの寄せ書きを届けるために、まだ会ったことのない入院中の同級生・渡良瀬まみず(永野芽郁)のもとへと向かう。彼女は“発光病”という不治の病を発症し、隔離病棟での入院生活を送っていた。
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すでに宣告された余命を過ぎ、余命ゼロとなっていたまみず。卓也はひょんな成り行きから、病院から出られない“まみず”に代わって、彼女がやりたかったことを実行し、その感想を伝える“代行体験”を引き受けることになった。
その代行体験を通じて、いつしか互いに惹かれ合うまみずと卓也。まみずは限らてた命のなかで人生を輝かせ、卓也は代行体験を通していろんな体験をし、いろんな人に会っていくなかで自らの人生を学いんでいくという、ファンタジーで泣けて、ためになる物語です。( ^)o(^ )

ねたばれ(感想):
物語は、ますみが亡くなって墓参を終え、まみずの母親(生田智子)から卓也に寄せ書きが戻されるシーンから始まります。まみずの死の意味を問うというテーマがしっかり見えるオ-プニングになっています。
 
卓也は姉(松本穂香)を自殺で失っておりその死の意味を知りたいと、一方まみずは限られた時間をどう生きようかと考えていて、ふたりの出会いはお互いが答えを求めるように急速に進展していった。
卓也は無口で人に接するのが苦手らしい。一方、まみずは、意識してか、明るく冗談がよく出る。まみずの明るさがこの物語を暗いものにしないというのがいい。そして、北村さんと永野さんのキャステイングが、よく物語に合っている。
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ジェットコースターに乗る、徹夜で並んでチケットを買う、まみずの父に会い離婚した理由を聞く、バッテイングセンター、バイト、バンジージャンプというように次々と代行をこなす。
代行はとてもきついが、まみずと付き合うことで彼にこれまでなかった人生を経験することになり、友を持つことの大切さを教わる。
一方、まずみは卓也からの携帯によるオンライン報告で、卓也とデートしている気分になってなり、生きる喜びを感じていた。 
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卓也は代行だけでなく自らの発意で彼女を喜ばせたいと、赤いミュールをプレゼントし、また地球に最接近する月を見せたいと天体望遠鏡を友人から借りて屋上に誘う。ふたりのテートはとても心温まるものでしたが、このことでまみずの症状は悪化し面会謝絶となった。
 
しかし、卓也はめげなかった。まみずがやりたかった舞台劇「ロミオとジュリエット」のジュリエット役を学園祭で演じると決め、女形になりこれに挑戦。() これにまみずが感激し、絶対安静のなかで卓也を呼び出して心臓の音を聞かせて、「死ぬのが辛いよ!もう止めよう」という。卓也が「困る!」と断った。
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卓也はまみずの父(及川光博)に呼ばれ出かけると、「君のような青年に娘を嫁にくれと言われてみたい。言ってくれ」と請われる。このシーンは、若いふたりの物語以上に感動しました! 
父親は「娘は短い人生であったが最高の人生であった!」と思ったのでしょう。及川さんの泣き笑いの演技がよかった。助演男優賞を上げたいですね!
自殺はいかん!生きた意味がない」と説き、卓也の姉の死、この死に悲しむ母親(長谷川京子)と対比して描かれている。
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あみずはもうこれが会える最期だろうと卓也を呼び、屋上で思いを告げる。「あの代行は生きることへの執着のために作ったが、あなたが全部かなえてくれた。これから先、生きたらどうなるのかを知りたい。私は生きたい!私の代わりに生きてください」と最後の代行を託します。この瞬間、まみずが月の光で眩く輝いた。
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このあと、まみずの苦しむシーンも、死の瞬間のシーンもなく、卓也がひとり海岸で携帯に残された代行時の映像を見ていると、その映像がふたりのデートシーンになり「私の生きる喜びでした!」というまみずのメールを読む。
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まみずの死をこのような形で描くことで、生きる意味が伝わり、うまい演出だと思います。
ラストシーンが、オープニングの続き、卓也が寄せ書きを手に「まさか卓也が医者になるとは思わなかった」という友人の声のなか、車で去っていく。
生きるということは人の人生をも背負っている」と考えさせてくれ、若い人には観て欲しい作品です。
 
SEKAINO OWARIの主題歌「蜜の月-for the film-」卓也の気持ちを物語る歌詞になっています。
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