映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「1秒先の彼」(2023)不思議な物語だった!20年間の積り積もった初恋の記憶に泣けた!

監督・山下敦弘と脚本家・宮藤官九郎が初タッグを組み、台湾映画「1秒先の彼女」(2020)をリメイクしたラブストーリー原作の舞台を京都に移して男女のキャラクター設定を逆転し、周囲よりワンテンポ早い男性とワンテンポ遅い女性の“消えた1日”をめぐるファンタジーな物語

七夕に公開された作品。これにも意味がある。

公開時見落とした作品。WOWOWで「1秒先の彼女」と「1秒先の彼氏」を観ての感想です。

どちらが良いか?どちらも良い。(笑)男性なら本作が泣ける!(男女逆転)。監督、脚本家ともに1秒先系の人のように思うのだが?(笑)これがリメイクした理由だと思っている。(笑)

監督:山下敦弘原作:チェン・ユーシュン、脚本:宮藤官九郎撮影:鎌苅洋一、編集:佐藤崇、音楽:関口シンゴ、主題歌:幾田りら。

出演者:岡田将生、清原果耶、福室莉音、笑福亭笑瓶、松本妃代、羽野晶紀加藤雅也荒川良々、他。

物語は

郵便局の窓口で働くハジメ岡田将生)は、何をするにも人よりワンテンポ早い。ある日、彼は路上ミュージシャンの桜子(福室莉音)に出会い、彼女のまっすぐな歌声にひかれて恋に落ちる。必死のアプローチの末にどうにか花火大会デートの約束を取りつけたものの、目覚めるとなぜか翌日になっていた。やがてハジメは、郵便局に毎日やって来るワンテンポ遅いレイカ(清原果耶)が“消えた1日”の鍵を握っていることを知る。(映画COM)


www.youtube.com

あらすじ&感想

冒頭、女性が「今日、平安神宮前交差点で路線バスから忽然と乗っていた男が消えるというはハプニングが起きた」と訴えている。警察署に「昨日の1日を失くした」と紛失届を出すそうとして止めたハジメ。バスで忽然と消えた男はハジメらしい。

ハジメが「消えた1日」と語り始める

ハジメは京都生まれで人よりワンテンポ速い。カップ麺は2分で蓋を開け食べ始める、写真はどの写真も目をつむっている。駆けっこではスタートが早い。高校を卒業して就いた仕事は12年間郵便局に配達マン、度重なるスピード違反で窓口係に配置替えされた。

通勤バスが急停車。降りて接触した少年を介抱し、郵便局に出勤した

ハジメは59番の呼び出しで女学生に切手1枚売った。

午後は休みで、ハジメは電動ボードで街に出て橋のたもとで路上ライブの「女ひとり」(1965)を歌う桜子に出会い意気投合、CDを郵便局に届けてくれることになった。

次の日の郵便局窓口。桜子がやってきて隣の受付お男にCDを渡し、にっこり笑って帰った。宛名はハジメだった。そのあと43番の女子大生がハジメから切手を1枚買った。

その夜、ハジメは嬉しくて、ラジオDJ笑福亭笑瓶に「女性に巡り合った」と話すと「今日は失くしたものがテーマ、あんた何になくした」と聞かれ「父親だ!」と答えた。ハジメが高校生3年の花火の夜だった、ソーメン食べるためミョウガを買いに出る父親に「パピコも」と頼んだが、父が帰ってこなかった。(笑)

 次の日の郵便局窓口。61番の呼び出して、拾った57番号札を持つ男が「俺が先だ」と受付のハジメに近づくが、これを上手く交わして桜子が弁当を渡す。ハジメは大喜び!このあと61番札の大学生が切手1枚を買って封筒に貼り提出した。このときハジメが「なんで1枚買うの?シートがある」と声を掛けた。

 ハジメと桜子のデートの日。ふたりは街を散策し、小屋で漫才を楽しみ、ハジメが桜子に「明日、宝塚遊園地にしよう」と誘うと「弟が難病で今月中に40万円必要だ」と言い出す。ハジメは「何とかする!」とスマホで調べ、宇治のお姫様抱っこ100m走に参加しようとふたりで練習をし始めた。(ここ、台湾版と同じ)帰宅のバスの中で「明日宇治の花火を見せる、0900郵便局前と会う」と約束をして桜子にキスしようとしたが、バスが急停車で、出来なかった(台湾版に同じ)。(笑)

その夜、DJの笑瓶に「明日来てくれれば人生30年で一番幸せな日だ」と話して床に就いた。起床して、バスに乗り封筒の40万円を確認し平安神宮前バス停に着いたところで後ろの男に封筒をズボンからに抜き取られる感触で目が覚めた。0800だ。慌ててバスに乗って、封筒を調べるがない。郵便局前で桜子を待っていると郵便局が営業中だ。

皆が出勤していて「何している、月曜日だぞ、花火大会は終わった」という。交番に「1日を失くした」と紛失届を出そうとしたが止めた。(笑)町屋に戻ってとエミリに話すと「2度寝したのでは?」と言う。しかし、肌が日焼けしているのか分からない。電子レンジの中から失くした40万円が出てきた。(笑)

次の日の郵便局窓口。43番の女子大生がやってきて重い封筒を差し出す

ハジメは「切手1枚では無理、今日はおまけ」と受け取り、そのまま保管箱に放り込んだ。彼女は「ありがとう。さいなら!」と挨拶して帰って行った。

ハジメ写真屋の店頭に自分のポートレートが飾ってあるのを見つけた

店主に聞くと「バイトの娘が撮って自分で現像した、昨日彼女は店を辞めた。撮った場所は天橋立?あんた知っているだろう?」という。ハジメは郵便局に戻り保管箱の中から女子大生の封筒を取り出し調べた。宛先:長曾我部麗華。天橋立私書箱とあった。

 ハジメは実家に戻り鍵を探し出し、天橋立局の私書箱を開けた

そこに局長から「今届いたものだ」と重い封筒が渡された。私書箱には沢山の手紙はあった。写真を頼りにポートレートの撮影場所を見つけた。やっと、幼いころ病院に入院し、そこで会った少女・レイカのことを思い出した。

ここからは、レイカが「自分に起こったこと」を語り始める。

イカ天橋立のある街で生まれた。のんびり屋でワンテンポ遅い。テストでゆっくり名前を書いている間に他の人は6問解いている。じゃんけんでは後出し、蚊を捕まえることが出来ない。父のカメラで写真を撮るのが趣味だった。現在は大学の7回生で、アルバイトを掛け持ちで貧乏生活。写真部の部室にひとりで暮らしている。笑瓶のラジオDJを聞いていた。

イカはバスに乗っていて、急停車して男性が降りて少年を介護するのを見た

彼を追って郵便局に入った。59番の呼び出しで、ハジメから切手1枚買った。彼は、幼いころ病院に入院し、そこで会ったハジメ兄だとネームプレートで確認した。彼をストーカーして、町屋から電動ボードで出かける姿を撮った。後ろ姿しか撮れない。(笑)

郵便局の窓口で42番の札をもって待っていると、彼女(桜子)がやってきてハジメと話して出て行った。レイカが桜子をつけると、彼女には沢山の男性フアンがいて、そのひとりの男と「弁当なんかいらない」と揉めているのを見たハジメには薬知らせたいと思った。

郵便局窓口でハジメが拾った番号札で自分の番だという男と揉めているところに、桜子がやってきて機転を利かせ、ハジメに弁当を渡すのを見た。(笑)このときハジメから「1枚でなくシートで何故買わないの」と言われた。

 ハジメと桜子のデートの日。レイカはカメラを持ってふぃたりをストーカーした。小屋で漫才を見て笑った。彼女40万円いるという話も聞いた。バスに乗って宇治の花火を見せたいという話も聞いた。ハジメが桜子にキスしようとしたときバスが急停車。レイカが停車ベルを押したせいだった。(笑)

 桜子のストーカーを続けて夜になった。桜子がバスを降りたときレイカは彼女に「話をしたい」と近づき、食堂で話した

「明日デートね」と聞くと桜子が「40万円ばかりの金も準備できない30男とデートしない!」という。レイカは「バカにしないで!」とビールを浴びせた。そしてスマホで放送されているハジメがDJの笑瓶と交わしている会話を聞かせた。

店を出たところで、イカは桜子から川に衝き落とされた。川は浅かった。持っていた幼いころのハジメの写真が流れるのを追った。

イカは朝、花火会場で花火の試し上げの音で目覚めた

黄色のTシャツに赤いパンツ姿だった。蚊を捕まえた!(笑)廻りの人はみんな動作を停止し固まっていた。世界が止まっていた。動かない女性から自転車を借りて平安神宮前バス停に急いだ。そこにバスの運転手・ミクルベ(荒川良々)が「俺だけが生きている」と居た。バスの乗員は全員眠っていた。レイカハジメから40万円を抜き取り、ミクルベに天橋立まで運転をお願いした

イカは小学校1年生のとき両親と京都観光に出掛け車事故で両親を失い、病院に入院した。そこに足の怪我で入院していたハジメがいて、レイカを慰め励ましてくれた。レイカ天橋立近くのお爺ちゃんに預けられることになった。ハジメと文通することにし、ハジメ天橋立を訪れることを約束した。レイカハジメにお爺ちゃんの天橋立局の私書箱に毎週手紙を書いて投函した。しかし、手紙はそのままになっていることを知った。ハジメが取りにくるわけないことを知らなかった。文通はダメだったが、手紙を書き投稿することで慰められていった。

イカはバスの急停車でハジメに再会し、約束していた天橋立に連れて行きたかった。

 バスから降りて人力車にハジメを乗せ、レイカが牽いて天橋立を渡り海辺に着いた。海辺でハジメと並んで写真を撮った

夜、帰りのバスの中に「世界が止まるのは2度目だから固まらない」というハジメの父親(加藤雅也)に出会った。「ハジメは人より早いので、それが貯まって1日になったら神様に返えさなければいけない!」と言って「自殺するつもりだったが自殺できず自分探しをしていたが何物にもなれなかった。ハジメに会ったらパチコを届けて欲しい」と金を渡された。

 イカハジメを町屋に送り一緒に寝ていた。目覚め、眠っているハジメの顔に触れ「今日は幸せだった、会えなかったが20年間ずっとあなたに慰められていた」と礼を言い、40万円をレンジに入れ外に出たバスで平安神宮前バス停までミクルベに送ってもらい、自転車を女性に返した。

 街の風景が元にもどり世界が動き出した

イカは写真を現像した。ハジメには好きな人がいて、私のことは完全に忘れているけど、あなたのお陰で私は生きてこれた、生きていてよかったと思えた。ありがとう、心の中で寄りそってくれて!」と手紙を書いた。

イカは郵便局で重い手紙を出しての帰り、パピコを忘れていたと走り出したところに車がぶつかってきた

 それから363の日が経った日。あと2日で花火大会。

 ハジメ天橋立局に勤務替えしてもらっていた。いつか私書箱に投函されるかもしれないと待っていた。そこに美しくなったレイカがびっこ引きながら現れ「切手1枚ください」と言い、「これある人から頼まれた」とパピコを差し出した。ハジメは「何で?」と笑いながら受け取って、泣いた。

 まとめ

台湾版の原作をしっかり生かし、背景に京都と天橋立を選び、ファンタジーで、京都ネタ一杯の笑える恋物語だった

20年前、お互いに怪我して病院で出会ったハジメとレイカ。気の早いハジメがどんどん先に進むが、のんびり屋のレイカがしっかりその記憶をとどめていて、20年後に出会って初恋が成就するという話“レイカ(女性)から”想いが告げられる”ところが、男性にはたまらない、夢のような話だ。泣けます!

台湾版、日本版、いずれも1秒早い時間が20年間積り積もってその1日が消えるというファンタジーな物語

 ファンタジーさではこのトリックを編み出した台湾版に分がある。

台湾版での、ふたりが会うためにバスで海の中道を走って海辺に辿り着くという発想がいい。日本版では、京都からバスを乗り途中から人力車を使って天橋立の海辺に辿り着くが、バスの運転手や人力車など余計なものがくっついて、ファンタジーさがしっくりしない。

また、プレゼントされた1日の説明も日本版では名前の字画数の多さで説明するが、台湾版の1秒の20年間と積み上げという説明の方がピンとくる。

 しかし、ユーモアという点では、かなりの部分原作を踏襲しているが、いたるところにクドカン特有のDJネタ、鶴瓶の弟子・笑瓶を含めて、京都に纏わるクドカンのギャグで散りばめられ、断トツにこちらが面白かった(笑)

イカは冴えない姿で郵便局を訪ねてくるが、恋する1日では輝いて見える。そしてラストシーンの笑顔!京都弁?も含めて清原果耶さんのお芝居を楽しんだ。岡田将生さんのラストの笑顔、涙も良かった。台湾版よりよかった。

             ****