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「愛と青春の旅だち」(1982)An Officer and a Gentleman

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青春映画の金字塔ともいうべき作品。久しぶりにNHKBSプレミアムで観賞。原題がAn Officer and a Gentlemanであったことに驚いています。(笑) 原題のほうがよく内容が伝わるように感じました。主題歌を聞くと邦題も捨て難い!

いわくつきの孤独な青年が一発奮起して海軍パイロットを目指し士官養成学校に入学して厳しい訓練のなかで、対番曹長や同僚に助けられ、兵の規範となる士官となり、最愛の女性を手に入れるという爽やかな青春物語。

ベトナム戦争の影響で、当時は軍人志願者が少なかった時代。作品には女性パイロット志願者も出てきて、まるで海軍の募集CMのようで、憧れる若者が結構いたのではないでしょうか。レーガン大統領は喜んだでしょう。(笑) 最大のヒット要因はストレートな熱い愛の物語。主人公を演じるのが若きリチャード・ギアの、今では考えられない濡れ場のあるラブロマンス、忘れられない作品となりました。(笑)

コロナ風邪騒動を見て、今の日本人には規律心がいまひとつ欠けているのではと思います。この作品では規律について触れています。自分を律することが相手を思いやり、自分の成長に繋がるんだということが分かります。そういう意味での価値がこの作品にはあります。

監督:テイラー・ハックフォード、脚本:ダグラス・デイ・スチュアート、撮影:ドナルド・ソーリン、音楽:ジャック・ニッチェ
出演者はリチャード・ギアデブラ・ウィンガー、デヴィッド・キース、ルイス・ゴセット・ジュニア、リサ・プロントらです。

1982年度アカデミー賞でルイス・ゴセット・ジュニアが助演男優賞を、また、主題歌が歌曲賞を受賞しています。


愛と青春の旅だち 主題歌 An Officer and a Gentleman - Up Where We Belong

あらすじ:
冒頭の父親と息子ザック(リチャード・ギア)の醜い関係。父親と娼婦のセックスが終わるのを待って、「パイロットになるために士官養成学校に入る」と言い出すシーン、「刺青のあるお前に、6年間の訓練は耐えられん」という声を後に、「決してここには帰らない」とレーニエ士官学校へオートバイで走るザック。

このザックがラストでどう変化するかがテーマです。

学校に着くと、指導教官の曹長フォーリー(ルイス・ゴセット・ジュニア)が待っていた。「まずは俺を乗り越えろ!」と気合をかけ、「お前らはこの町の女たちの夢、嵌るな!」と注意した。(笑)衣類が支給され、恰好だけは士官候補生になった。さっそく“集合”が命じられ、駆け足、障害物通過とサバイバル訓練が始まり、毎日がこれの繰り返し。
校内の将校クラブを訪ねてくる娘たちが眩しかった。そのなかに工場で働くポーラ(デブラ・ウィンガー)とリネット(リサ・プロント)がいた。

4週間経って、待ちに待った外出許可日。許可を得るためには服装点検をパスしなければならない。ポイントは靴とバックルが光っていること。(笑) 娑婆っ気がまだ抜けぬザックは持ち込んだメッキされたバックルを10ドルで黒人のペりマンに勧めたが「そんな金はない」と断られ「除隊にされるぞ」と注意された。空気力学についていけないザックはこれで頭の良いシド(デヴィッド・キース)を買収した。

なんで軍隊ではバックルが光ってないといけないのかと思うが、これが軍隊です。(笑)

クラブのダンスパーティーにシドと一緒に参加するとポーラとリネットがいた。シドはすぐにリネットが気に入って外に出て行った。ザックはポーラと喋ってキスしてこの夜は終わった。ポーラは「人に会って自分を高めるためにここに来ている」という。

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次に会ったとき、ザックは自分の幼いときの辛い思い出を話し、ポーラも気に入ってモーテルに泊まった。このとき、ポーラが街のチンピラに冷やかされ、ザックは習ったばかりの空手でこいつらを殴り倒した。ポーラはそんな女(売春婦)ではないと泣き出した。

パイロットに必要な適性があるか。水中脱出テストでザック、シーガーは浮き上がってきて合格したが、ダニエル浮かび上がってこない。その時フォール曹長が担当教官がいるにもかかわらず、自ら飛び込んで救出するということがあった。ダニエルは退学となり、訓練について来れない落伍者が出始めた。

こうして厳しい訓練を続けながら、毎週ザックはポーラに会って楽しんでいた。

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曹長の営内点検。ペりマンが「女房と会うために外出する。ちょっとバックルを貸してくれ」というところを曹長に掴まった。曹長が「俺を騙すやつがいる」とザックの私物バックを調べると、そこにバックルがあった。曹長は「退学届を出せ!」と激しくザックに迫った。ザックは「いやだ、放り出されても辞めません!」と言い張ったため、罰として一昼夜に渡り腕立て伏せ、腹筋、銃を挙げての足踏み、駆け足を命じられた。「自分のことしか考えないやつに誰が一緒に飛ぶか?人間性が大切なんだ、任意退学願いを出せ」と迫られても「行くとこがない!」と拒否し続けた。遂に曹長がザックの根性に屈した!

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その後、ザックはシドにバックルを売っていたことを曹長に告げなかったことに感謝し、ペルマンのためにバックルを磨いてやった。

外出を許されたザックは激しくポーラを求めた。ポーラを愛しいと思った。ポーラが家に遊びに来て欲しいという。このシーンはとても美しい!

ポーラの家を訪ね、ポーラの父母と食事をした。ポーラは「卒業したらどうするのか、子供や家族のことをどう考えているか」とザックに尋ね、写真を差し出した。写真はポーラの産みの父親。ポーラは前夫の娘。父親は士官学校で学んでいた学生で卒業するとき母を捨てたことを知った。ザックはポーラの質問に何も答えなかった。

このときからポーラがいくらザックに電話しても繋がらなくなった。

シドは「卒業したら戦死した兄の恋人と結婚する」と言い、乗り気ではないらしい。ザックは「ポーラと別れる。女はめんどくさいぞ!」と話した。

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卒業まであと2週間・・、
ザックはバーでポーラに会った。「君がいなかったら頑張れなかった」と礼を言ったら、「ジェットに乗って!」と笑顔が返ってきた。
一方、シドはリネットから「妊娠したかもしれないが、私の責任にある!」と告げられ、「中絶費を払う!もっと大切なことがある」と言ったがリネットは去っていった。

卒業のための体力テスト。ザックは障害壁を登れないシーガーを懸命に支えて乗り越えさせた。皆から信頼されるようになっていた。
昼食時、ザックはシドに「リネットの妊娠は嘘かもしれない。拘るな」と強く注意した。恋愛の話ばかりでなく、先輩がいる席のつき方、飯の喰い方は学んだ方がいい。こまかいことがしっかり描かれています。

最後のパイロット適正テストは高度9000mでの無酸素耐久テストだった。7600m付近でシドが苦しみ始めたのでザックが酸素マスクを付けさせた。これでシドが不合格になった。ザックは「我々を助けるのが指導教官じゃないか。大目に見ろ!」と激しくフォーリー曹長に抗議したが受け入れられなかった。

シドはパイロット適性がないことで、退学してリネットに結婚を申し込んだが「妊娠はウソ、パイロットと結婚するのが夢」と断られ、これを苦に自殺した。

シドの一途なリネットへの愛、責任の取り方に泣かされます。

ザックはシドがリネットを愛していたのに受け入れられず亡くなったことに泣いた。ポーラはサックに罪はないと慰め、「リネットとは違う。出会ったときからあなたを愛している」と伝えた。

ザックの気持ちは治まらなかった。「退学する」と宣言してフォーリー曹長に決闘を申し出た。激しい闘いでザックは動けなくなった。曹長は「辞めるかどうかは自分で決めろ!」と去って行った。

卒業式で、ザックは少尉に昇進した。フォーリー曹長は敬礼でザック少尉の卒業を祝い「君のお陰だ!」とザックは答礼し、ポーラが働く工場に急いだ。

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サックがフォーリー曹長に厳しく鍛えられ、がむしゃらに士官へと育っていくところがいい。バックルを隠していたことで曹長から厳しい体罰を課せられたが、このことが同僚に感謝し感謝される切っ掛けとなり、ザックを大きく変えていった!

一方、ファーリー曹長は戦場で役立つ士官を育てるためと愚直にザックに罪を問うた。こうやって真っ当な士官を育てるために、世間ではどうでもいい光るバックルが必要だった。

ザックがシドの退学に抗議して曹長に決闘を挑んだが、曹長はこの不条理な抗議を罰しなかった。テストがパイロットの命に繋がっていることを身体で教えた。曹長は水中脱出テストで自ら飛び込みダニエルを救出したしたこともそうだった。ザックは兵士の命を守るとはどういうことかを学び、曹長の無言の教えに大きな愛を感じたと思う。

ザックは規律を守ることの大切さ、決して友を見捨てず信頼され、命を大切にすることを学んだ。そして厳しい規律と訓練に耐えられたのは、ポーラがいてくれたからだと、彼女を迎えに工場に走った。

ルイス・ゴセット・ジュニアの男の愛情に、リチャード・ギアデブラ・ウィンガーのなんともまどろっこしい、美しい愛の演技に泣きました!何度観ても感動します。
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