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宮﨑あおいさんを応援します

「糸」(2020)運命に翻弄されるのではなく、自分次第だと応援してくれる歌の力「糸」

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菅田将暉さん、小松菜奈さん主演作ということで駆けつけました。菅田さんの円熟した、小松さんの成長した演技に触れ、満足のいく作品でした!

平成10年(1998)にリリースされた中島みゆきさんの「糸」をモチーフに平成元年生まれの男女がまるで糸のように、平成という時代を駆け抜け、出会いと別れを繰り返し成長していくラブストーリー。北海道、東京、沖縄、シンガポールを背景としたスケール感のある作品。

この時代を生きた人には主人公たちに自分の人生を重ね、歌のような人生だった?と懐かしみ、若い人には「こうなったらいいな!」と歌に希望を託する作品。

歌詞の具象化で、18年という長き時間のなかからエピソードを抽出しており、その足らざるは観る人が中島さんの歌で埋めことになるでしょう。

瀬々敬久監督らしく、エンデイングを壮大なものに仕上げてくれていますが(笑)、あるべき人の道を説いています。このあと、菅田さんが「糸」を熱唱します。中島さんと違って菅田さんの「糸」、それぞれの糸を編んで暖かい布にしてくださいというメッセージでしょう。

監督:瀬々敬久原案:平野隆、脚本:林民夫、音楽:亀田誠治

出演者:菅田将暉小松菜奈山本美月高杉真宙倍賞美津子二階堂ふみ成田凌斎藤工榮倉奈々


映画『糸』予告【8月21日(金)公開】

あらすじ(ねたばれ):

平成13年、富良野。お盆の花火大会。中学1年生の園田葵と後藤弓のふたりは花火を見ていると、同級生の高橋漣と竹原直樹が自転車で遅れてやってきたが、漣が自転車がこけて、腕に傷を負った。駆けつけた葵の左腕の打撲傷を見て(なんだこの傷?)「大丈夫か!」と葵より先に声を掛けた。葵が漣の傷に絆創膏(布)を貼った。この出会いがふたりの運命を決めた!

漣のサッカー試合に弁当を持ってきて応援してくれる葵。漣は「好きだ!」と告白し葵は「うれしい!」と応えた。

そんな葵が突然富良野からいなくなり、漣は札幌にいることを聞きつけ、葵の住むアパートを訪ねた。葵は左目に眼帯をしており殴られた形跡があった。葵を富良野に連れ戻し、キャンプ場のロッジで一泊。「葵は俺が守る!」と函館に出て伯父を頼り青森に行く計画だったが、朝駆けつけた警官に保護された。「北の国から」のワンシーンを思い出しました。(笑)

平成21年、漣(菅田将暉)と葵(小松菜奈)は竹原(成田浚)と後藤弓(馬場ふみか)の東京での結婚式に招かれた。葵は美しく成長した女性になっていた。漣は眩しかった!漣はずっと富良野にいて、チーズ工房で働いていることを話した。葵は「大学で経済学を勉強している」と話しパーテイを後にする。追っかけて見たのは、葵が迎えにきた男の高級車に乗り込み去っていく姿だった。蓮は話もできずくやしい気持ちだった!

実が葵は大学に行きたいと年齢を偽ってキャナレーで働いていて、そこでファイナンスマネージメント会社の社長・水島大介(斎藤工)に出会い、同棲し、大学で勉強していたのだった。水島は当時の投資ブームを映し出すようなキャラでホリエモン

一方、漣は地元のチーズ工房で富田社長(松重豊)の指導を受けながらチーズ作りに励んでいた。葵との思い出のミサンガも擦り切れて、今は身に着けていなかった。初恋の人とはうまくいかなかったと工房で働く先輩の女性・桐野香(榮倉奈々)と交際が始まっていた。

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結婚式後、水島がリーマンショックによる投資の失敗で、沖縄に逃げ出した。(笑) 葵は水島を追っかけ沖縄に渡り「今度は私が面倒みます!」と言うが、水島は「ここはお前の住む場所でない」と断ったが、ふたりで沖縄の先祖供養の踊りを踊った。(笑)

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平成22年、富良野。1年で離婚した竹原が、メガネ美人の山田利子(二階堂ふみ)と結婚し、幸せそうに「ファイト!」を唄うのを見て、漣は香と結婚した。

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漣が役場で住民移動届を出していると、そこに母親の生活保護のことでやってきた葵に出会った。かって住んでいた住宅を訪ねたが母親はいなかった。いつもの丘に来て十勝連峰、前富良野岳を仰いだ!

葵は母親の安否を尋ねて函館の叔父を訪ねると、母は亡くなっていた。葵は義父に「暴力を止められなかった母親に一度でいいから謝って欲しかった」と泣いた。

連が入舟漁港に来ていて、海を見つめる葵に「大丈夫か!」と声を掛けた。葵は「これは漣君と会ったときの最初の言葉で、漣君と一緒の時が一番楽しかった」という。漣は「守れなかって、御免!」と詫び、抱擁した。

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葵は「沖縄で男と暮らしておりこれからは世界を飛び回る」と話し、函館空港から沖縄に飛び去った。

葵が沖縄に帰ってみると、水島が大金を置いていずこかえ消えていた。

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平成23年ジャカルタ。葵はネイリスト派遣会社に就職した。そこでキャバクラ時代の親友高木玲子(山本美月)と一緒に仕事に就いた。玲子が客に殴られ警察沙汰になり、会社を首になる。「暴力に負けてはいけない、弱い人を助ける!」と玲子と共に掃除婦からトラベルガイドと懸命に働き自分で資金を作って、元会社のエリート社員・冴島良太(高杉真宙)とともにネイリスト派遣会社を立ち上げ、社長に収まった。

3月11日の三陸沖の津波災害をTVで観て驚く。

同じころの富良野。漣がこのニュースを観ながら、妊娠中の妻・香の健康診断につき合っていた。癌が発見されたが、「津波の被害は小さな町の小さな物語で、私には関係がない」と香は子供を産む決心をした。漣は母親としての強さに驚いた。一方、竹原は妻・利子が岩手の実家で震災に遭遇し落ち込む。この運命の悪戯!

平成28年富良野。香が病床で「漣に出会ったのは必然だった。幸せだった!」という。漣は「運命の糸はあると思う。でもその糸はたまに解ける」と話した。この話を聞いて香は「子供を頼みます!」と言って逝ってしまった。香は「泣いている人がいたら抱きしめてあげて!」という言葉を子供・結(稲垣来泉)に託していた。

漣は香の生き方から、一本筋の通った生き方を学んだように思います。香を演じた榮倉奈々さんの凛とした演技が光っていました。

漣はチーズの世界選手権を目指して、日々頑張る毎日だった。一方、葵もネイリスト派遣事業に精を出していた。

竹原は利子が見つかり、「ファイト!」を唄って再スタートを切った。漣も一緒に「ファイト!」を唄った。

平成30年、シンガポール。葵は会社創立7周年を盛大に祝ったが、玲子が不動産投資で失敗し、倒産に置き込まれた。水島にもらった金を大切に保管していたがこれで始末し、冴島にも礼金を渡して、無一文になった葵は日本食堂でまずいかつ丼ではあったが、泣きながらよく味わって食べた。

こんな美人の女優さんが大口を開けて食べさせるシーンはそうあるまい。しっかり小松さんが演じています。(笑)

 平成31年東京。葵は東京に戻り、VEDAというネイリスト派遣会社で働き、東京の街を彷徨していた。

一方の漣は自分の作ったチーズが三つ星店に採用され、東京に出てきて、彷徨していた。ふたりは近くにいながら、その存在に気付くことはなかった。

 葵はシンガポールからやってきた冴島から「ネイリスト派遣会社を再建したから来ないか?」と航空券を渡された。が、かってお世話になった子供食堂を訪ね、おばちゃん(倍賞美津子)の「かつ丼を食べ涙を出しているところに「泣いている人は抱きしめてあげなさいとお母さんに言われている」と漣の娘・結が寄ってきた。「いいお母さんね!」と葵がハグした。昔、漣と青森に行くはずだったフェリーに乗ろうと函館港に向かった。

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漣は結から話を聞き、食堂のおばちゃんに確認し、函館港に急いだ。漣は運を信じることにしていた。

 感想:

漣と葵の紡ぐ糸だけでなく、香との糸、そして竹原と利子の糸も一緒に紡がれ、さらに玲子や冴島との糸が混ざりながら織られていく物語。運命の翻弄されているようで、出会いで学び、お互いに影響し合いながら、苦難を乗り越えていく人生。決して運命に翻弄されるのではなく、自分次第だと思わせてくれる物語で、これを応援してくれるのが歌の力「糸」だと思います。

 「なぜ巡り遭うのかを、私たちは知らない」という歌詞のなかで、故郷、かつ丼、花火で結ばれていく糸。「弱いものに寄り添う」という漣と葵の想いが結ばれるという結末。今の時代に最も大切なことで、これを軸に描かれてた「糸」の物語、よかったと思います。

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