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「コンタクト」(1997)「証拠もなく説明も出来ないが、生命体は存在する!」と信じたい!

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とても評判のいい作品、WOWOWで観賞しました。地球外知的生命体探査(SETIに憑りつかれた女性研究者が電波望遠鏡で奇怪な電波を捕え、分析の結果、ヴェガ星から発信された運搬機設計図であることが判明。運搬機の建設と搭乗者を巡る論争、その運用成果は?というSF物語

原作は天文学者カール・セーガンによる同名SF小説SETIプロジェクト、人類と宗教、科学、政治、地球外生命などをテーマとしているという。

とても難解そう!特に宗教と科学に関わる作品ということで、無信仰者の自分に分かるのかと心配でしたが、ここは気楽な気分でと、挑むことにしました。

監督は「フォレスト・ガンプ 一期一会」のロバート・ゼメキス撮影:ドン・バージェス、美術:エド・バリュー、音楽:アラン・シルベストリ。編集:アーサー・シュミット。

出演者:ジョディ・フォスターマシュー・マコノヒージョン・ハートジェームズ・ウッズトム・スケリットデビッド・モースウィリアム・フィクトナーロブ・ロウアンジェラ・バセット

SETIがなぜ必要なのか、どんな気持ちで取り組むべきかを天文学者ジョディ・フォスターと神父マシュー・マコノヒーの愛の物語のなかで描かれ、堅苦しい物語にならず、SETIプロジェクトの神秘性が理解でき、“えっ!”という結末に「証拠もなく説明も出来ないが、生命体は存在する!」と“未来に夢を馳せられる”すばらしい作品でした。

天文学者を演じる「羊たちの沈黙」(’91)のジョディ・フォスターの美しくて頑固で知性溢れる演技に圧倒されます。マシュー・マコノヒーは後に映画「インターステラ」(2014)で元宇宙飛行士として宇宙探索に旅立ちますが、本作品との強い因縁のようなものを感じます。


"Contact" Theatrical Trailer (1997)

あらすじ(ねたばれ):

冒頭、地球がどんどん遠ざかっていくなかで、「私は嘘つきでない」「R・ケネディが暗殺された」「ついに我々は自由だ!」「ケネディ大統領暗殺を狙い」「あなたは共産党員ですか?」・・・「グッドニュース1939年のお時間です」「北米の皆さんこんばんは」と米国の歴史が逆転していく!誰の記憶でしょうか?

エリー・アロウエイ博士(ジョディ・フォスター)は幼いころ、父の影響で無線機による遠距離からの声を聞くことに魅せられていた。最初に捕えた声はフロリダ州ペンサコーラからのものだった。ここに行ったことはないがちゃんと風景が描けた!そしてどんどん距離が遠くなっていき、宇宙からの声を聞きたくなった。父に「宇宙に人はいるの?」と聞くと「分からない。だけど人がいなかったら宇宙が勿体無い」と言った。9歳のとき父を亡くしたが、この言葉を確かめようと天文学者になった。

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ドラムリン教授(トム・スケリット)のもとで研究していたが、自らの耳で宇宙からの声を聞きたいとアレシボ天文台勤務を願い出てここにやってきた。ケント・クターク博士(ウィリアム・フィクトナー)ら4人とともに宇宙からの電波観測を続けることになった。

着任早々に、牧師のパーマー・ジョス(マシュー・マコノヒー)がやってきた。「小説を書くために科学の文化的影響について調べている」と言い、エリー

の研究に興味を持っているらしい。

政府の科学技術顧問となったドラムリン博士が観測所の視察に訪れた。視察目的は研究の有益性。ドラムリンはエリーの観測は無益だと思っている。ドラムリンと顔なじみのパーマーが視察現場に取材でやってきた。彼は「エリーの研究が“真理の追求”であればいい」という考えでドラムリンと対立していた。

視察後、エリーとパーマーにSETIの必要性について喋った。夜空を眺めながら「大宇宙の中で人がいるのがひとつの星だけ・・・」と喋っているとパーマーが続けて「だけど人がいなかったら宇宙が勿体無い」と続けた。「父と同じ考えだ!」と男を寄せ付けなかったエリーもパーマーを受け入れ、ベッドを共にした。

SETIの期待のかかった予算をドラムリンがカットしたことを聞きつけたエリーはパーマーを置き去りにして(笑)、予算獲得に奔走する。しかし誰も研究の必要性を認めない。遂に政府科学委員会?にニューメキシコ電波望遠鏡(VLA)建設計画を示し「この研究はSFではない。もっと大きな視野で見て欲しい。深い感動の瞬間がすぐそばにある」と訴えるが反応がない。そのとき部屋の監視カメラが動いた!「援助する」が決まる瞬間だった。

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4年後、ハデン基金の支援を得て27機のVLAを有するニューメキシコ観測基地が完成した。エリーの砂漠の中での観測は昼夜を忘れて続いた。一方のパーマーは“信仰喪失”を上梓し、売れっ子作家としてクリントン大統領の宗教関係顧問となっていた。「科学で毒された社会、科学が求めるものは何か」と嘆いていた。

ある日、エリーが奇怪な電波を受信した。所員を叩き起こし全VLAを作動させて電波をキャッチし、音波分析の結果、素数による暗号で発信元は琴座の中心ベカ星であると判明した。オーストラリアでも受信したという連絡が入る。

これを聞きつけた政府からドラムリン国防省顧問のキッツ(ジェームズ・ウッズ)、多くの報道陣が観測基地に押しかけてきた。一気に世間の注目を引く。キッツが国防上問題だから相談してやってくれと声を荒げる!今まで無益だと主張していたドラムリンが強い興味を示し出した。

データーにヒトラー1936年ベルリンオリンピック開会式で行った演説映像があることが明らかになった。これが冒頭で描かれる謎の映像です!びっくりです。(笑) 世間の大きな話題となり、大統領から「多面的に検討せよ」と指示が出た。

大統領顧問者会議が開催された。いつの間にか暗号解析チームリーダーがドラムリンとなっていることにエリーは驚いた。彼は「ヒトラーの映像はオリンピックの26年後にヴェガに届いたものでこの星に文明があることが証明された」と証言した。このときケントが電話で「データーに膨大な暗号テキストが隠されている」と知らせてきた。エリーはこれを披露して引き続き、解析のチームリーダーとして指揮することになった。

CNNニュースが宗教的な側面からの意見が起きていることを伝える。「地球を汚す!神との会話を許していいのか?」と観測基地のある砂漠に大量の反対運動者が集まってくる。

エリーは解析が進まずイラついているところにハデン(ジョン・ハート)から専用機に来いという誘いが来た。ハデンは「解読法だ!」と、暗号テキストを3次元で展開した図を示した。

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エリーは大統領顧問者会議で解読結果として「ヴェガに行くひとり乗りの運搬機設計図」であることを報告した。この会議にパーマーも加わっており、建設について「宗教的側面から反対だが、心配し過ぎかもしれない」と意見を述べた。

顧問者たちのパーティーに参加してパーマーの意見を糺そうと、ブティックに走り、美しい装いでパーマーに近づいた。(笑)エリーも成長しました!

エリーは「神は宇宙を創造したのち自己存在証明を放棄した、あるいは存在しない神を人間が作った、よりどころを求めて!」と神の存在を否定した。しかし、パーマーの答えは「神のいない世界は考えれない。君もパパを愛しているだろう、それ!それ!・・」という。パーマーの助言はエリーに届かなかった。

米国は運搬機を製造することこうにして、世界各国に参加を求めた。日本は搭乗候補者を出さないが運搬機の下請けとして参加することを表明した。

運搬機が出来上がり、搭乗者は「人類の知性と信仰を信じる」と主張したドラムリンが選ばれ、最有力候補であったエリーが落選した。エリーはパーマーのせいだと思っていた。

ところが意外な展開に!ケープカナベルで運搬機のシステムテストを公開中に過激派宗教テロリストが紛れ込み爆破して、運搬機とともにドラムリンが亡くなった。

まさかと思ったが、ハデンからもう一機が日本の知床沖の建設してあり、これに搭乗して欲しいと依頼された。

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エリーは小型記憶装置を付けさせられ、万一だと薬を渡された。パーマーとキッツもエリーの旅立ち立会にやってきた。パーマーは「君を選ばなかった理由は他にもあった。君を失うかもしれない恐怖だった。必ずもどって来てほしい」と見送った。

エリーは洪烈な振動に耐え、ワームホールを抜け、すばらしく美しいヴェガ星の湖に降り立った。そこは幼いころ描いたペンサコーラの風景に似ていた。父の姿をした生物体に出会った。彼とは「運搬機は他の連中が作った。もうここにはいない。君たちは複雑な人種だ!美しい夢を追う力があるが破壊的な悪夢を描く。孤独を癒すのはお互いの存在だ!また会おう」という声を聞いて別れた。

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エリーが気づいたとき、運搬機が海中に落下していた。人は運搬機が故障で落下したというが、エリーは18時間ヴェガ星に旅していたと主張した。エリーがヴェガ星に辿り着いたかどうかは公開の調査委員会で明かされることになった。キッツは国防顧問を辞めて調査会委員としてエリーに挑むことになった。

公開委員会の公聴会。キッズは「証拠も説明もできない!自己補強妄想というもので、ハデンに操られて結果だ!幻覚だったと認めろ!」と激しくエリーを非難したエリーは「立証も説明も出来ないが、私の全存在が事実だと告げている。宇宙の姿に我々がいかに小さいかを教わった。この畏敬の念と希望を感じて欲しい!」と涙で応え、キッズの意見を概ね受け入れた。

公聴会に「エリー新世界を発見」のポスターを掲げて集まった群衆から、「これを信じますか?」と問われ、パーマーが「科学と宗教の違いはありますが、目指すものは真理の追究です。彼女を信じます」と返事した。

委員会のメンバーの中に「18時間のノイズ入りの記録は興味深い!」という意見があり18か月後、ニューメキシコ観測基地のVLAは27機から45機に増強された。大統領の粋な計らいです。

エリーは観測基地に訪れる子供たちの「宇宙人はいる?」という質問に「いる!科学的よ!自分で答えを探すことが大切。宇宙はとても広い!想像できないほど大きい、どんなものよりも大きい。地球人だけでは空間が持たない」と話して聞かせていた。

感想:

宇宙科学に立脚したストーリーだから、理系の人にはワクワクする作品ではなかったかと!とても知的な、ロマンを感じる物語でした。宗教、国防の視点から研究の在り方を問う展開はスリリングでリアルでした。

科学は実証と唱えながら、証拠がなく体験のみが証拠だというエリーは科学者として崖っぷちに立たされるが、科学も宗教も目指ものは真理だと助け船を出し、無神論者のエリーが救われるという結末に感動しました。人はどこかで宗教に救い求め、それが人類の希望に繋がっているのだと感動しました。

運搬機によるエリーの宇宙の旅、確かにエリーの魂は宇宙に飛ばされ、5次元世界にいたのではないでしょうか!これは「インターステラ」のクーパーがワームホームの5次元世界から娘マーフィーに話しかけるシーンと同じ発想だと思いました。

エリーとパーマーが論争するシーンは科学と宗教を比較しながら、ふたつが交わるところを探すというすばらしい論争でした。人類の望むものは幸せと安らぎ、これが科学あるいは宗教だけでは得られないという結末に納得でした。

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