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宮﨑あおいさんを応援します

「シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 」(2020)今の日本にぴったりのドラマ、すばらしい映像でした!

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作品に出てくるキャラクラーには自分に重なるところが沢山あると思います。それだけにいろいろな考えができ、謎が売りの作品。ネタバレはいけません!

読まないで作品を観てください!(ということで最小限のネタバレをしながら感想を書きます)

冒頭でこれまでの3作品「序」、「破」、「Q」の要点紹介があります。特に「Q」をしっかり観て、分からないところを押さえておくとよいと思います。 

総監督:庵野秀明、監督:鶴巻和哉 中山勝一 前田真宏、脚本:庵野秀明、音楽:鷺巣詩郎、テーマソング:宇多田ヒカル「One Last Kiss」。

声優:緒方恵美林原めぐみ宮村優子坂本真綾三石琴乃山口由里子石田彰立木文彦清川元夢長沢美樹、他。


『シン・エヴァンゲリオン劇場版』本予告【公式】

あらすじ:

前作「Q」ニアサードインパクト後から物語が始まります。

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パリの旧市街上空にヴィレの戦艦ヴンダーが到着。19年ぶりのパリという赤木リツコ山口由里子)指揮下に “ユーロネルフ第1号封印柱”の復元オペテーションが行われる。これを阻止しようとEVA-44A群が現れるが、これらの撃破をマリ(坂本真綾)が搭乗するEVA8号機が引き受ける。

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アンチLシステムを投入しで真っ赤に染まったパリが元の世界に戻る。武器やエヴァのパーツ予備などを補給し、ヴィレはネルフとの最終決戦へ向けての準備に取り掛かる。ここまでは予告編で提示されていて、観ておくと大画面と音響で楽しめます。

ここでマリが「どこにいても必ず迎えに行くから。待ってなよ、ワンコ君」といつもの決めセリフでシンジに呼び掛ける。これが最終章での鍵となります。マリの出自が明かされ最期までシンジと行動し、謎の多かったマリの行動が理解でき、本章の主役とも言っていい活躍でした。「ずるいよな!監督」でした。(笑)

一方、シンジ(緒方恵美)、レイ(擬き)(林原めぐみ)、アスカ(宮村優子)は大気が汚染され真っ赤に染まった街を彷徨。そこに今では医者となっているトウジ(席智一)がジープで迎えにくる。レイはトウジの家に、アスカとシンジはケンスケ(岩永哲也)の家で生活し、再生されていく自然や村の生活を見ながら、思いがけない加持リョウジに会うなどで身体と精神を癒していき、いよいよネルフとの決戦(ヤマト作戦)に参加するため戦艦ヴンダーに帰還する。

レイは村人と接し人の優しさを知り、食べようとしないシンジに食を支え、去るべきときを知っていたように消える(消された)。彼女は母の霊でしたね!これでシンジは大人へと独り立ちできました。これはゲンドウのせめてもの息子への贖罪であったかもしれません!

そしてヤマト作戦が開始され、・・・・。

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感想:

劇場版しか観ておりません!遂に完結です。すばらしいドラマ、映像でした!

ヒト型人造ロボット“エヴァンゲリオン”が知的生命体リリンを求め来襲する謎の生命体“使徒”と戦い、人が再生されていく物語。人類創設から数千年を経て、我々の何が再生されなければならないのか

見たことのないロボットの戦闘、使徒と戦うネルフ、後にネルフに対抗するヴィレの活動や人の成長、人間関係を観るのが楽しみでした。そこには隠された謎が多く、常に疑問を抱きながら、次作を待つことになり、これが又、楽しかった。

理解不能な(笑)「Q」編があって、この最終編でこれまでの謎が回収されるという、全編を通じて映える作品となっていました。劇場版「エヴァンゲリオン」はシンジの成長物語というような狭いものではなく、登場人物すべての愛の物語でした。すばらしいです!

テーマは「人類補完」。人間のどこが不都合か?孤独を如何に克服するかではなかったかと思い、まさに現在の大問題で、人間の悪の根源はここにあるといってもいい。英国の閣僚には孤独相が設けられ、日本もこのポストが作られるという時代、まさに今の時代に必要な物語だと思います。

シンジがサードインパクトで生き残った村人により、荒れた土地で、少しずつ再生されていく。手植えの田植え、魚釣り、五衛門風呂などと原始の生活から始まっていることに、この作品の意味があると思います。

サードインパクトを起こしたシンジが、レイ、アスカとともに幼いことの友人トウジ、ケンスケや村人と過ごして身体・精神を癒し、ヤマト作戦(ヴィレ対ネルフ決戦)に参加していくところに、テーマが隠されていると見ました。村で過ごすシーンに尺の3割強を費やした意味があります。荒廃した村は東北大地震の被災地に重なり、東北被災地の回復は「人類の再生」というぐらいの気持ちで立ち向かわねばならないですね!

背景は箱根の風景(芦ノ湖一帯)で実に美しい映像でしたから、箱根の皆さんへの感謝の意もあったかも知れませんね!(笑)

決戦でそれぞれのキャラクターの魂はどう再生されていったか。これが本作のテーマです。

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決戦を前にして亡くなった人への追悼!こんなことがあったのかと、「破」でふたりに何かあったなとは思っていましたが、艦長ミサトの加持の想いに泣いた。アスカとシンジの別れ。エヴァ3号テスト時にシンジが採った行動に対するアスカの感謝と今のシンジへの想い、涙なしには語れない!

ヴィレが絶対絶命の危機に陥って、曝け出る隊員の本音、想い。人は何をもって生きるか。これこそが人の再生でした。アスカは利己的な子でしたが、ヴィレの皆と交わる中で決して一人では生きていけないことを強く感じた。最後に彼女が果たした行為には、皆さんへの感謝でした。涙が溢れます!

ゲンドウ(立木文彦)の人類補完計画とは何であったか?孤独だったが故に陥った心の闇を癒すものだった。これをシンジとユイの魂で癒されていくところは秀逸で、“描き方がぶっとんでいて”暖かいものでした!今の世間の闇が描かれているように思います。この悩みを癒してこの世を去っていくゲンドウの心に、本シリーズを「完」とする庵野総監督の苦悩した心の内を見たような気持ちでした。

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さてシンジですが、ヴンダーに戻っても彼の居場所はなかった。艦内でいろいろな彼に対する厳しい意見を耳にして、ヴィレの絶対絶命の危機に対するミサトの決意を目の当たりにし、村で会った加持リョウジを思い出し、自分がやらなければならないことは何かを悟ります。かっての自分のためにレイを救うというような狭い考えでなく、人として何をなすべきか、父を殺すことであっても。シンジの父親を超えた成長した姿をラストの映像と声で確認してください。

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女性たちの活躍がしっかり描かれた作品で、日本オリンピック委員長騒動がいかに馬鹿げたものであったかと、気持ちがよかった!特にミサトの艦長としての指揮、状況判断、覚悟が見事でした。世界の何処に出しても大丈夫!また、女性の姿絵が美しかった!

“あきらめない!”という生き様、アニメの楽しさを教えてくれたスタッフ、キャストの皆さん、ご苦労様でした。「ありがとうございました」。

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