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宮﨑あおいさんを応援します

「犬部!」(2021)

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北里大学獣医学部に実在した動物保護サークル“犬部”を取材した「ノンフィクションを原案に、“殺処分ゼロ”を目指して困難な保護活動に尽力する若者たちの奮闘を描いた青春ストーリーです。

保護犬を貰い受けて飼っていますので、この作品には興味を持っていました。ということで公開日、初回で観賞。結構観客が入っていましたので、この作品製作の意図は十分に達成されていると喜んでいます。「犬は看取ってこそ飼うことに意味がある」「万一難しくなったら相談する!」ことを教えられます!

殺処分と聞くと聞えが悪いですが、物語はこの辺りは十分に考慮されていて、若い獣医さんたちが懸命に「命を守る」ために悩み挑戦する物語になっていて感動します。また、犬たちは立派に演技してくれますのでこれも見どころです。犬を飼っている人には絶対に外せない最高のシーンがあります。絶対に泣く!😊

原案は片野ゆかさんの「北里大学獣医学部 犬部」脚本は「ザノンフクション・」(フジ)で本作の主人公“太田快作さん”を描いた「花子と先生の18年~人生を変えた犬~」の山田あかねさん監督は「花戦さ」の篠原哲雄さん、撮影鶴崎直樹さんです。

出演者:林遣都中川大志大原櫻子浅香航大田辺桃子・安藤玉惠・蛍雪治郎・岩松了さん、他。

医科大学生たちが「犬を死なせない」と大きな目法を掲げて「犬部」を立ち上げ、社会で出て現実問題にぶつかり苦悩する姿を過去と現在を行き来にする描写で、多少面倒臭ささもありますが、この問題の難しさを分かりやすく感動できる形で見せてくれました。

あらすじ(ねたばれ):

2009年、春の十和田市。十和田獣医科大学の教場。「安楽死させるのは難しい」という教授のレクチャーを聞き流して「生まれてくる仔犬」が心配の花井颯太(林遣都)は慌ててアパートに帰る。アパートで保護犬を預かっているという“犬バカ”だった。この誕生を喜んで集まったのが僚友の柴崎亮介(中川大志)と佐備川よしみ(大原櫻子)。よしみはネコ派だった。

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颯太が野っ原で傷つき弱った犬を拾って持ち帰り「ニコ」と名付けた。ところがこの犬、安室外科教授(岩松了)が市動物保護センターから譲り受け生体実験に使う犬だった。わざと逃がしたのが教授の手伝いをしていた学生・秋田智彦(浅香航大)。(笑)

教授が受取にアパートにやってきたので一度は渡したが、去っていくときのニコの悲しい顔が忘れられず、盗み出しもう返さなかった。教授も「君は変わっている、この世界を変えるかもしれない」と認めるという犬バカだった。(笑)

「ニコは特別配慮だ。これではいかん、俺は犬を殺したくない!」と柴崎、よしみと共にサークルを立ち上げた。一軒屋を借りて保護犬を収容し、飼主を探した。颯太の飼犬は花子、柴崎のは太郎、いずれも保護センターから譲り受けたものだった。

2019年、晩秋。

颯太は花動物病院を経営していた。「去勢して!」と捨て猫10匹が持ち込まれた。看護師の深沢さと子(安藤玉惠)が「無料でするんですか」と言うが「あの子から金は取れない」と深沢の手を借りて一気に手術をやってしまった。地域ではとても期待される獣医になっていた。

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そこに川瀬美香(田辺桃子)という女性が“多産飼育崩壊”を起こしているペットショップがあると知らせにやってきた。

ふたりでペットショップドリーム出向くと、狭い部屋にやせ細った犬たちが一杯いた。店主の久米尚之(蛍雪治郎)が「警察を呼ぶぞ!」と騒ぎになった。颯太は犬たちを強引に引き取って地元の動物保護ボランティア団体の施設に運び込んだ。ところが彼は窃盗罪で逮捕されTVニュースで放送された。

このニュースを見た秋田が驚いた。秋田は父親秀作(酒向芳)の経営する動物病院で獣医師として働いていた。が、父親は捨て犬・猫が運び込まれることを「お客さんに迷惑を掛ける」と嫌った。秋田はこれに忸怩たる思いだった。それだけにこのニュースに驚き、大学の研究所で研究生活を送っている佐備川よしみに連絡した。

よしみは十数匹の保護猫を世話していたが、伝染病で亡くししまい自信を無くして、今では大学で伝染病の薬品開発に励んでいた。

秋田、よしみと一緒に颯太は十和田中央警察署を訪ね、犬たちが域ボランティア施設にいることを確認した。よしみが「颯太は大学時代と変わらない!」と驚き、「柴崎はどうしたの」と聞いた。

颯太はボランティア施設を訪ね代表の中越真理子(しゆはまはるみ)に会うと「所有権が向こうにあるから持って帰った」という。「おれのせいでこうなった。俺ひとりでやりたい」とひとりでペットショップドリームにむかった。

ペットショップドリームで店主の久米に掛け合うが水を浴びせるという暴力沙汰で話にならない。花動物病院に戻ると「余計なことをするな!」と抗議ビラが貼られていた。

2000年春、市動物保護センター(以下センター)の犬処分を見学したとき柴崎と出会った。そこでは日ごとに区分された柵の中にガス処分される日を待つ犬たちがいた。そしてガス室に送られる様を見た。衝撃的だった。柴崎はセンターで働き“殺処分ゼロ”に挑戦することを決めた。颯太は獣医師としてここに運ばれてくる保護犬をゼロにすることを誓った。ふたりはやり方は違うが目的は同じと、ここの保護犬二匹を引き取った。これが花子と太郎だった。

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その後、ふたりは信頼し合う友としてつき合ったが、柴崎は安室教授の手術実習も素直に受けて獣医師免許を持ってセンターに勤めたが、龍太は「一匹も犬を殺さない」と安室教授の実習を拒否し獣医師の現場手術に立ち会わせてもらってレポートを提出して教授の単位を貰った。颯太という男の犬を死なせないという想いはとてつもなく強いものだった。

颯太がセンターを訪ねると職員の門脇光子(田中麗奈)から「先生は頑張って沢山の改善をして今では殺処分は30%になっている。先生は殺処分する犬には、散歩して、抱っこして、毒薬を注射していた。しかし、精神的に疲れて自分の腕に注射しようとしたので止めた。そして先生は辞めていった」と聞かされた。颯太は泣いた!

颯太は柴崎の実家を訪ねると母親に会い「製薬会社で営業の仕事をしていて不在です」と告げられ、会えなかった。精神病院にいたのかもしれない。

颯太は何とかしたいと長期戦覚悟で、ペットショップドリームを訪ねて犬たちに餌を与えることにした。

ある日、久米が出て来ないので母屋を訪ねると老犬「エルザ」と一緒にしょんぼりしていた。「妻と一緒にペットショップを立ち上げ、エルザが沢山子犬を産んでくれ商売はうまく言っていたが、妻がなるなり、エルザも弱り、ペット商売はどうでもよくなった」と告白した。颯太は「相談してくれればよかったのに!」と犬たちの面倒を見ることにした。

颯太は仔犬の手術をするため秋田に声を掛けた。これまで積極的でなかった秋田がこれを引き受けた。

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颯太は再度花子を連れて柴崎宅を訪ねた。来訪を注げても返事がなかったが、花子の“鼻”がこれを見逃さなかった。花子が柴崎の部屋に入って柴崎に抱き着くと柴崎の心は一転していった。彼は花子に救われた。颯太が犬部時代のアルバムを見せて元気つけた!

柴崎は犬部員時代に小屋番をしていて厳寒の中灯油補給のため外に出て倒れ、太郎に一晩中守られ奇跡的に助かったということがあった。これで犬に助けられたのは二度目だった。

ペットショップドリームの犬たちの避妊手術を終えた颯太が花動物病院に戻ると励ましの手紙が届いて、その中に川瀬美香のものがあった。

美香には犬部時代の譲渡会で出会った娘さんだったことを思い出した。両親に連れてこられた保護犬を探していて、誰もが目を向けない老犬「六郎」を「私に似ている、友達が居ないし、誰からも好かれていない」と持ち帰った女の子だった。

颯太たちはペットショップドリームの犬たちのかめに公園で譲渡会を開いた。そこに柴崎が犬部の頃のようにやってきて、巧みに保護犬を紹介していく。結果は14匹の犬が引き取られることになった。しかしエルザには何の話もなかった。すると美香が「私が引き取る」という。「六郎を引き取って楽しかったが、友達が出来て面倒みることが少なり、そんな中で六郎が亡くなった。今でも申し訳なく思っている」と。颯太は「一度飼われた犬は大丈夫だか、俺は面倒みて渡す」とエルザの様子を見ることにした。

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このあと、柴崎はセンターに戻ることにした。美香がエルザを引き取る日がやってきた!

感想

「ひとつの命も失わない」と町の獣医となってどんな問題にも体当たりで一直線に走る颯太。これに反して市役所職員となり自らの命を削るようにして保護犬の安楽死に耐えながら、殺処分ゼロを目指した篠崎。犬の命を守るためのふたりの対照的な行動を軸に、ペットショップ、保健所、ボランティア、市民の目線から描いた物語。特に柴崎のストーリーは山田あかねさんのアイデアで原案に加えられたもので、すばらしい脚本になったと思います ラストで川瀬由香がエルザの終身の身元引受人となり、老犬の保護を訴えたことはとてもいい結末であったと思います。過去と現代を交差させながら説得力を持たせた脚本が見事でした。

可愛い可愛いだけで動物を飼うことはあってはならない!このことは犬・猫だけでなく多くの人をも傷つけることを知るべきです。

林遣都さんの一途な犬思いの心はよく伝わりましたね!そして柴崎役の中川さん、この役を演じるのは難しかったと思いますが、感情を殺してしっかり演じていました。また、田辺桃子さんの明るい透明な演技が目に残りました!

犬ではニコと花子、ちゃんと状況に応じて顔色が変わるから凄いよ!😊

保護犬をもう一匹引き取りたいのですが、一緒に生きることが出来るかなと自分の歳を考えています。でも勇気を出してみようかなと思わせてくれた作品で、とても社会性の髙いテーマ作品でした。

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