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「孤狼の血 LEVEL2 」(2021)

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余韻がまだ残っているほどの前作、これの続編。マル暴刑事・日岡がどう型破りの先輩刑事・大上の心を引き継いだかと楽しみにしていました。マン防の中、公開初日初回で鑑賞、まあまあの入りでした。

前作から3年後の日岡の容貌、大上を凌いでいるではないですか!😊これに“にたり”でしたが、・・・。

原作は柚月裕子の同名小説ですが、今回はオリジナルストーリー。柚月さんに断りを入れたとか。(笑)それだけに白石監督の描きたいものが描かれているのではないでしょうか。

監督白石和彌脚本池上純哉撮影:加藤航平、音楽:安川午郎。

出演者松坂桃李鈴木亮平西野七瀬村上虹郎音尾琢真寺島進、かたせ梨乃、滝藤賢一中村獅童中村梅雀吉田鋼太郎、他。

亡き先輩刑事・大上の後を継ぎ、一匹狼となって呉原市の裏社会に安定をもたらすべく奔走してきた刑事・日岡松坂桃李)。目的のためには汚い手段もいとわず、どうにか危うい均衡を保っていた。そんなある日、上林成浩(鈴木亮平)という男が7年の刑期を終え出所する。

上林は自分が服役中に殺された五十子会長の仇をとることに執念を燃やし、原因となった抗争の黒幕を突き止めようとしていた。そんな上林の常軌を逸した暴走で、かろうじて保たれていた裏社会の秩序が崩れ始め、遂に日岡と上林が対決することになるが・・・。

日岡は大上から学んだ警察とヤクザを操り、武力闘争を避けて市民の治安を守るという正義のために際どいタイトロープを渡っていたが、とんでもない狂気の上林の出現で、このタイトロープが切れて窮地に陥るという話。前作を観ておくとより楽しめます。

前作に比して、日岡と警官、ヤクザの関係にミステリー要素が加わり、周りは敵だらけ!という物語展開。何よりもえげつない狂気・暴力、グロ描写、そして派手な闘争アクションが圧巻、このコロナ禍に楽しんで欲しいという監督の心使いが感じられる作品です。😊

あらすじ(ねたばれ):

冒頭、前作から3年後の広島市暴力団情勢。日岡が広域暴力団「広島仁正会」と謀って、有力な地元暴力団だった「五十子会」の力を削ぎ、「尾谷組」(組長は服役中)と手打ちさせ因縁の対決状態を回避するという、大上から教わった手管で、小康状態を保っていた。日岡暴力団情報入手のためにスタンド華のママ・近田真緒(西野七瀬)とは男女の関係で弟・幸太(村上虹郎)を五十子会に潜り込ませていた。この日岡の風貌を見てください!

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ここに、獄中にあった五十子組組員の上林成浩が、刑務所で激しく刑務官と争うために模範囚として厄介払いされて出獄してきた。獄中の上林、鈴木亮平さんの極道面にはこれが鈴木さん!というほどに悪になっていました。(笑)

出所した上林は、獄中で虐められたと、刑務官の妹でピアノ講師・神原千晶筧美和子)を訪ねて、強姦して目ん玉を引き出して殺害!この狂暴性が見せ場です。(笑)

広島県警ではピアノ講師殺人事件の捜査本部を立ち上げ、管理官・嵯峨大輔(滝藤賢一)は東呉原署の日岡を呼び出し、公安の瀬島孝之警部補(中村梅雀)とバディーを組ませて捜査を開始した。瀬島は定年前で、「これが最後の務め!」と大喜びだった。

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上林は亡くなった五十子組長の3回忌に参列し、そこで仁正会会長の綿船陽三(吉田鋼太郎)、二代目五十子組長・角谷洋三(寺島進)に「尾谷を潰す!」と心境を明かすと、「今はビジネスの時代、止めとけ!」と聞き入れられなかった。上林は怒ってその場を去った。組長夫人の環(かたせ梨乃)がひとりたいそうな喜びようだった。ここに出てくる面子はいずれもドスが利いて、ヤクザ映画には欠かせない人たちですね。(笑)

上林はかっての組員の吉田滋(音尾琢真)、大上に真珠を抜かれ口に入れられた男(笑)で今では足を洗ってパールエンタープライズという不動産会社経営者を訪ね、この会社を配下に置いた。代償は吉田の指だった。(笑)

上林はパールエンタープライズを配下に置いたことを綿船会長に報告すると、組頭の溝口明(宇垣剛士)が「つまらんことするな!」と口出しした。上林はアイスピッグで溝口の頭に突き刺し殺害した。皆は唖然として口がきけなかった!

日岡がピアノ講師事件の件で村上の事務所を訪ね、部屋を物色したが何も出てこなかった。が、帰りしな、日岡に「おやじの事件には東署の刑事が関わっている、必ず地獄を見せてやる!」と睨みつけた。

日岡は特捜研を訪ね、ピアノ講師事件で採取した精液の検査を依頼した。帰りの玄関で、この事件を追う記者・高坂隆文(中村獅童)に写真を撮られた。

次に上林は五十子会の事務所を訪ね、いきなり拳銃で組員を銃殺、角谷夫妻を裸にして犬の首輪をつけさせ犬柵に入れて首を絞めて、武器の在処を問う。そして、穴を掘って生き埋めし、チンタに火を点けさせて焼き払った。チンタは震えが止まらなかった。上林は五十子組の看板を「五十子上林組」に書き換えた。

このころ、日岡は瀬島のアパートに招かれ、妻の作ったタコ飯を喰って酒を飲みすっかり瀬島の虜になっていた。外では高坂が張っていた。そこをチンタが襲った。

ビヤガーデンでチンタに会うと「上林はやばい!」と音を上げたが、「じきに終わる!上林が尾谷組を襲撃する時期をつかめ!」と叱咤激励、韓国行きのパスポートを与えた。チンタは喜んだ(振りをした)。

高坂が署に取材に来て、日岡に「あんたのやり方は極道だ、大上よりあんたは問題がある!裏でヤクザと手を結んでいる」と言葉を投げつけた。「心配ない、市民の治安を守っている。黙って見とれ!」と無視した。これで高坂は上林に走った!

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上林組の舎弟頭・佐竹昌利(毎熊克哉)らがスタンド華にやってきて、ママの真緒に「チンタはあんたに似てない!」などと絡んだ。店にやってきた尾谷組若頭・橘雄馬斎藤工)に追っ払った。

このことで橘は路上で上林組組員に撃たれ入院した。日岡が見舞いに訪れ「我慢しと、一ノ瀬に任されているから」と諫めるが「どげんな口で言える!おやじを嵌めた」と拳銃を向けてくる。

日岡は理髪中の仁正会長・綿船を掴まえて「尾谷組を抑えてくれ!」と頼むと「もうオオカミはおらん、人間がおらんようにした。強ようなるのも考えもんだ!」と意味深な答えだった。

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上林のチンタ虐めが始まった。チンタに麻薬を打って、日岡の殺害を命じた。チンタは屋台で飲んでいる日岡を拳銃で数発撃った、弾は腹部に命中した。騒ぎを聞きつけてパトカーがやってきたが、日岡が「逃げろ!」と促して逃がした。日岡は入院した。

上林は「数発撃って殺せなかったのはおかしい」とチンタに指を切り落とすことで釈明を求めた。チンタは歯を食いしばって切り落とした。

チンタは上林からオートバイをもらい、これで近田の家に戻ってきた。姉の真緒に「日岡さんが正しい。上林みたいな外道を野放ししたらいかん」と訴えた。これに真緒が「もう警察に協力することはない、辞めて!」と説得したが、チンタは組に戻っていった。

入院中の日岡にチンタから「5時上林組が尾谷組を襲撃する」と伝えてきた。日岡は瀬島に「スパイからの情報だから確か!直ぐに襲撃を掛ける」と情報を送った。

雨だった。日岡は病院を抜け出し尾谷組事務所付近で待機していると上杯がオートバイでやってき「サツにすぬけで変更した」と言い、「あまえはおやじを嵌めた!」と襲い掛かってきたが、警官隊を見て逃げて行った。その後、チンタは殺害された。

日岡が近田家に出向くと、報道陣が家を取り巻いていた。中に入ると真緒が激しく日岡を罵った!チンタは大きな鳥籠に入れられて届けられていた。高坂記者から「こいつのせいだ!」と激しく罵られた。    

県警本部に出向いた日岡は「高坂が上林に情報を売った」と思った。嵯峨が「今回の始末書と3年前の事件のことも文書にせよ」と要求してきた。瀬島が手伝うというので全部告白した。

本部から出たところで高坂に会った。「売ったのか!」と聞くと「上林を野放しにし、ピアノ殺人事件を放置しているから、なぜパクらないのかと聞いただけだ」という。日岡は」「まさか?」と思って、科捜研に出向いて精液検査結果を聞くと、「上層部の言う通りにした」という。瀬島のアパートを訪ねるともぬけの殻だった。

日岡は真緒を訪ね「俺は警察の犬に成り下がっていた。チンタは俺が殺した!」と詫びた。

日岡は新聞社に出向いて高坂に「俺の味方になる記事を書いてくれ。県警と上林をやる!」と情報を与えた。高坂が連日書きまくった!嵯峨が新聞を投げ捨てた。

日岡は県警本部に手錠を掛けられ、拘束されていた。上林は日岡が拘束されているのは好機と、尾谷組に襲撃を掛けた。この情報を監視役の中神警部補(三宅弘城)から聞いた日岡はここから脱走してパトカーで現場に急いだ。

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上林組は橘らを射殺して引き揚げていた。日岡が上林の車を追った。トンネル内で激しいカーバトル。トンネルを抜けたところで上林の車が横転。ここからふたりの格闘が続く。韓国映画「悪人伝」を観る思いでした!

上林が日本刀で日岡に斬りかかるところに、嵯峨が「なにやってる!迷惑かけて」と駆けてきた。日岡嵯峨の拳銃を取り上げ、この銃で3発上林を撃った

瀬島の処理は真緒に任せた。瀬島はトラックに跳ねられ亡くなった。

平成4年暴力団対策法が施行。多くの暴力団が消えていった。日岡は県北の駐在所に勤務していた。オオカミが出るというので駆り出され、山中を捜索していてオオカミに出会った!

感想:

日岡のオオカミ(大上)捜し、見つからず完敗!悔しさのみ日岡に学習能力がなかったのかと言うほどにやられましたね!今回の松坂さんの演技、押さえていましたね!そこに知性が見えて、大学出のインテリ刑事のやることかと次作に期待しています。😊

嵯峨に命じられ監視役として大上とバディーを組まされた日岡何故瀬島の存在に疑念を持たなかったか?瀬島役の中村梅雀さんの惚け演技が冴えていました。また中村獅童さんにもやられましたね!

これに反し、ちんぴらヤクザの近田幸太(チンタ)の正義は“大きくて爽やか”、最後まで自分の正義を貫き、弱いようで一番強かった!ウサギがオオカミを倒すような話だった。😊村上虹郎さんが苦しみを隠して優しさを見せる演技が冴えていました。姉・真緒との姉弟愛には泣かされますね!

真緒役の西野七瀬さん乃木坂46の元メンバー。初めてお目にかかりましたが、いけますね!なかなかの演技でしたね!

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とは言え、上林の狂気が凄かった。今回はこいつが居たから物語が成立しましたね。 (笑)目ん玉を握って引き出す、犬の首輪をつけて締め半殺して埋め火を点ける、いびって、いびって、いびり殺す、映画「凶悪」をも凌駕する殺し方だった。

しかし、上林の正義に一点の曇りはなく言行一致だった。親分を失った復讐心のみで生きる望を捨てていた。なぜここに日岡は目を向けなかったか。人たらしの大上ならきっとそうしたと思った。上林の幼いころの恐怖体験がこの人格を作ったと思え、今日の“幼児虐待”への警告です!

日岡がオオカミに出会ったようだし、この様では終われないでしょう。次作を楽しみにしています。

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