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「そして、バトンは渡された」(2021)

観た人の92.8%が泣いたという作品!このキャッチコピーに魅かれWOWOWで見ました!

わけあって二人の母と三人の父を持つ優子。幼馴染の早瀬との早き結婚に許しを得ようと親巡り、そこで出会う親たちがついた〈命をかけた嘘〉〈知ってはいけない秘密〉に出会うというハートフルな物語。

原作:第16回本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんの同名ベストセラー小説、未読です。監督:「こんな夜更けにバナナかよ」の前田哲、脚本:橋本裕志撮影:山本英夫美術:倉本愛子、編集:高橋幸一、音楽:富貴晴美

出演者永野芽郁田中圭、岡田健史、稲垣来泉石原さとみ大森南朋市村正親、他。


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あらすじ(ねたばれ:注意):

冒頭、み~ちゃん(稲垣来泉)は友達想いの泣き虫、いつもみ~み~泣いていた。梨花石原さとみ)さんは目的のためには手段を択ばない、狙った獲物は逃さない。優子(永野芽郁)は笑顔に耐えられない高三の女の子、それが敵を増やしていた。森宮(田中圭)は競争を嫌がる人、まじめで奥ゆかしいサラリーマン、いまでも幼いころの運動会でバトンを渡したときの焦りと絶望。と紹介あって、み~ちゃんと梨花さん、優子と森宮のふた組の血の繋がらない親子の物語がはじまります。

このふたつの家族の物語が交互に、卒業式まで描かれます。

 優子の物語、

優子は卒業式での記念合唱のピアノ伴奏者に選ばれた。優子はピアノが上手いわけではないがこの役割を引き受けた。選ばれたことを父親、彼女は森宮さんと呼ぶ、に報告すると喜んだ。森宮は料理がとても上手かった。しかし、ひたすら優子のために尽くし、母が居なくなったにも関わらず再婚しようとしない。

 クラスには音大志望の早瀬君がいて、優子のピアノ音が好きだと付き合ってくれ、優子はしっかり弾けるようになり、みごとに合唱会でのピアノ奏者としての役割を終えた。優子と早瀬にはお互いに好きだという感情が芽生えていたが、高校卒業後、優子は好きな料理の道に進みキッチン“吉田”で働くことにした。一方、早瀬は音楽大学に進学した。

み~ちゃんの物語

み~ちゃんは幼いころ母親を亡くし、新しいお母さんに梨花さんを迎えた。美しくてとてもやさしい人だった。父・木戸がブラジルでコーヒーの仕事をしたいと言い出したが、み~ちゃんの反対で、木戸だけがブラジルにいった。み~ちゃんが幾ら手紙を書いても返事がこなかった。

み~ちゃんは大きなお家からピアノの音を聞いて、お母さんにピアノを弾きたいとお願いした。するとピアノの豪華なマンションに住む人・泉ヶ原さんとお母さんは結婚した。きれいな部屋でピアノを練習しながら、ふたりで楽しくしていた。が、お母さんは「この部屋、窮屈!」といってしばらくいなくなった。戻ってきたとき、「東大出のいい人がいるから」とその人と再婚することになった。泉ヶ原さんは「君がいいなら、ピアノ弾きたくなったらいつでも帰っておいで」と認めた。み~ちゃんも母さんについていくことにした。父となった森宮さんは「梨花と暮らせる以上に、こんな子と暮らせて未来が2倍になった」と喜んだ。

ふたりの物語が交互に描かれるのはここまでです
早瀬は音大に入ったが、「これは母が選んだ道だ」と辞めて、「料理人になる」と優子の元に戻ってきた。

優子は早瀬の愛を認め、ふたりは結婚することにした、早い結婚なので父親の森宮さんに話すと「俺のように理解できる男でなければダメだ。風来坊はダメだ」と反対した。

優子は早瀬の母に会った。「あの子はピアニストに向いている」と言われた。

優子は「私には二人の母と3人の父がいる」と親巡りをして、認めてもらうことにした。

最初に泉ヶ原さんを訪ねた。泉ヶ原はピアノの調教をして待っていた。「結婚は梨花が必死に頼んだからだ。ピアノを弾くみ~が好きだった。別れたのは夫婦の問題だ。彼女はどこかで元気に過ごしているよ!」というものだった。

優子が家に戻ると、梨花から森宮に手紙がきていた。木戸がブラジルから帰ってきて再婚し、ふたりの子供がいることが描かれていた。優子が木戸に会ってもいいかと森宮に相談すると「会いに行け!」という。

優子は早瀬を伴って、リンゴ園を営む木戸を訪ねた。木戸は会えたことを喜んだ。木戸の奥さん(戸田菜穂)が「この人は貴方を忘れたことは一度もない、申し訳ありません!」と謝った。優子は涙が止まらなかった。戸田にはふたりの子がいて、ハンケチを渡してくれる。木戸は「梨花は病気で子供が産めない身体だった。だからみ~を幸せにしたかった。すべてを捧げたんだ!」と言った。優子は「私がブラジルに付いていったら、こんなすてきな家族はできなかった。今、会えているからもういいんじゃない!」と涙した。

優子と早瀬が優子の産みの母の墓を訪れて、優子は「貴方の本当の能力はお母さんがよく知っていた。ピアノで人を和ませるべき」と早瀬を説得した。そこに森宮もやってきて「3000万円あるからもらっとけ!早瀬君のピアニストに賛成する」という。優子が「親巡りの最後はママに会いたい!」と持ち出すと、森宮が「今、泉ヶ原さんから連絡があった」と梨花の死を伝えた。

泉ヶ原が「昨夜、元気な声で電話があった。森宮さんにお金を使わすわけにはいかないのでお金を渡してと言ってきた。私が梨花に優子さんにそんな姿を見せるなと言った」と説明した。そして「結婚のことは知っている。結婚衣装を買った。実が卒業式の合唱で君を見ていた!」と話した。その時の梨花は車椅子で鼻にはチューブが繋がれ、泉ヶ原と一緒だった。

優子は「なぜ黙っていた。知っていたら自分が介護した!」と悔しがった。

結婚式には3人の父親が集まり、花嫁をエスコートする役目は「花嫁を送り出す父親は君だ!」ということで森宮の役となった。

森宮は「このバトンを落とさないかと必死だった。俺からのバトンしっかり受け取れ」と早瀬に優子を預けた!

感想

前段のふたつの親子の物語が、優子と早瀬が結婚することで繋がり、み~ちゃんは優子の幼い記憶で、ここからその記憶を辿り、母の本心、父親の気持ちを知っていくという物語。

梨花は何故み~ちゃんを離さなかったか、なぜ梨花は身を隠したか。父親たちは梨花の死を何故優子に伝えなかったか。母の愛、父親の心情を発見するという感動が、父親が替るごとに倍増されて押し寄せてきて、絶対に泣けます。また、観る度に新しい発見、感情が出てきます。

これは原作の良さに、過去作に「こんな夜更けにバナナいかよ」「ビリギャル」を持つ橋本さんの脚本のすばらしさでしょうか!映像がうつくしい!撮影は「罪の声」「今夜、ロマンス劇場で」の山本英夫さんでした。

親のことでも、知っているようで実は何もしらない、人と接するとき、謙虚こそが一番大切なことですね!

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