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「川っぺりムコリッタ」(2022)生きていることが幸せだと感じる瞬間を味わった!

富山市がロケ地。ここから見える立山連峰を見てやろうとWOWOWで観ました。

“ムコリッタ“の意味は?仏教の時間の単位のひとつ(1/30日=48分)を表す仏教用語で、”ささやかな幸せ”を意味するとのこと。

孤独な青年がアパートの住人との交流を通して社会との接点を見つけていくファンタジー&ヒューマンドラマ。キャッチコピーは「友達でも家族でもない。でも、孤独ではない」。

荻上直子監督が2019年に発表したオリジナル長編小説を、自身の脚本・監督で映画化撮影:安藤広樹、編集:普嶋信一、録音:池田雅樹、音楽:パスカルズテーマ曲:知久寿焼

出演者:松山ケンイチムロツヨシ満島ひかり、他。知名度のある俳優さんが多数出演です。(笑)

物語は

北陸の小さな町にある小さな塩辛工場で働き口を見つけた山田(松山ケンイチ)は、社長から紹介された古い安アパート「ハイツムコリッタ」で暮らし始める。できるだけ人と関わることなく、ひっそりと生きたいと思っていた山田の静かな日常が、隣の部屋に住む島田(ムロツヨシ)が「風呂を貸してほしい」と山田を訪ねてきたことから一変する。山田と島田は、少しずつ友情のようなものが芽生え始め、楽しい日々を送っていた。しかし、山田がこの町にやってきた秘密が、島田に知られてしまい……。(映画CMから)


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あらすじ&感想

金欲しさに罪を犯したという山田は出所して立山連峰が望める富山市の小さな塩辛工場に就職した。社長の沢田(緒形直人)は「真面目にやれば更生できるチャンスがある」と励まし塩辛の瓶漬けを持たせた。

会社が準備してくれたのは河っぺにあるバス・トイレ・台所付2間の集合住宅だった。大家さんは夫をガンで亡くし娘と暮らす南詩織(満島ひかり)。隣には野菜を作りのミニマリストの島田幸三(ムロツヨシ)が住んでいた。

風呂上がりに牛乳を飲んでいるところに「給湯器がこわれたから風呂貸してくれ」と島田が訪れてきた。山田は「無理だ!」と断った!

役所から父親の遺骨を引き取って欲しいと通知がきた。4歳の時に分れた父で思い出もない!山田はうんざりして寝込んだ。そんな山田のために島田はキュウリとトマトを部屋に置いて帰った。

山田はキュウリを食べて、生き返ったと思った

島田が風呂に入れてくれとやって来る。断っても「風呂湧いているんだから」と入る。山田は河っぺりのゴミ捨て場にある扇風機を拾ってきた。

島田が「君が焚いたご飯は美味い」と塩辛と漬物でご飯を食べ始めた。そして「扇風機風が気持ちいい」というが、山田はそんな気持ちにはなれなかった。島田は勝手にビールを出して飲む。(笑)

こうして、島田はしょっちゅう顔を出し、風呂を使ってご飯を食べる。(笑)白いご飯に塩辛で食べるのが本当にうまそうに見える。これが幸せ!と思えるかどうか。

山田が親父の遺骨を引き取るべきかどうかを島田に話すと、即座に「どんな人でも居なくなった人にしてはダメだ」という。

山田は電車で出かけ、役所の堤下(柄本佑)に会った。引き取られない遺骨が沢山あった。「1年経っても引き取られない遺骨は無念仏として共同墓地に埋葬する」という。堤下は丁寧に骨壺を白い布で持ち帰りできるよう包んでくれる。「どんな顔をしました?」と聞くと「見れる顔ではなかったが、喉仏がきれいだった」と喉仏を見せてくれた。

山田は遺骨をアパートに持ち帰り部屋に安置した。外に出ると薄紫の花を手入れしているお婆ちゃんに出会った

山田が詩織の話を持ち出すと島田が「やめとけ!旦那さんが忘れられないんだ、夫一筋だ!」という。夜になると49日にはどうしようかと悩む。九九の7の段が難しい。(笑)どうしようかと迷う日が続く。(笑)遺品を調べると携帯に命の電話の記録が残っていた。

塩辛工場に出社すると社長から「1年が過ぎあっという間に5年過ぎて」と話す。「意味があるの?」と聞くと「ある!10年経験したものでなければわからない」という。社長はこつこつと努力を重ねることの大切さを説いた。

向いに住む溝口(吉岡秀隆)が「死なない人はいない。今から準備しておけば心配がない。墓石いかがですか?」と勧める。山田には「金がない!」と断った。

島田と飯を食いながら「49日、葬式すべきか?隣の婆ちゃんに会った」と話すと「まだ魂が残っているんだ!やばいぞ!」と返してきた。(笑)

その夜、山田は恐ろしくなり骨をトイレに流そうとしたがダメで、河っぺに捨てようと出かけた。そこで和尚に出会って捨てることが出来なかった。(笑)

島田がやってきて「それ3年以下の懲役刑だ。粉々にして捲けば罪にはならない」と言う。その時、すき焼きの臭いが漂ってきた。(笑)島田が「お相伴だ!」と山田を誘って参加すると、そこに詩織親子も駆け付けた。溝口が「墓石が売れた」と喜び息子と“すき焼き”を始めていたのだった。

みんなで美味しそうにすき焼きを頬張った!とても幸せな気持ちだった。山田が「隣のお婆ちゃんに会ったよ」というと、「まだいるんだ、岡本さん。会いたいね!」という。

島田が亡くなった親父から聞いた「蜘蛛と糸」の話をし「息子を亡くした」という。島田も辛いことに堪えながら日々過ごしていたのだった。ふたりは野菜畑の手入れをしていて、「暑いから休もう」とお寺で休むことにした。和尚が冷たいお茶を振舞ってくれた。島田は寺の静寂とひんやりとした空気を楽しむ。夕立を裸になって楽しんでいた。そんな島田も酔うと吐いて泣きだす。

山田は島田のこんな姿に「誰でも辛いことがある。みんな堪えているんだ!と思えるようになった。

島田が「あんた前科者か?」と聞く。「人騙して金取った」と答えた。山田は仕事場で「ろくでもないのはうつるのか?」と考え落ち込んだ。社長が「今辞めるな!頭使わずに手を使え!」と説いた。

命の電話に電話し「死んだときの魂はどこにいくのか」を聞いた。相談員が「金魚のように赤くなって空に登っていくのを見た人がいる」と話してくれた。

その夜、地震が起きた。靴壺が割れて骨が飛び散った。山田は「父の最後の様子を聞きたい」と再度富山市に出かけた。堤下は父が住んでいた河っぺの集合住宅に連れていき「孤独死か自殺、そのどちらでもない!飲みかけの牛乳があった」と話した。山田は「僕の父です」と言い切って帰った。

詩織は夫の田舎を訪ね樹木葬にした。帰りのタクシーの運転手(笹野高史)が「樹木葬は良い。俺は花火師だったから亡くなった妻の遺骨を空に上げた」という。(笑) 詩織は夫の骨をかじり、恍惚な気分に浸っていた。

夕焼けの美しい日暮れ時、山田は「金魚が亡くなった」という沙織の娘の金魚葬、空に送る儀式

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

につき合った。娘がゴミの中から電話機を捜しだして金魚に電話する。すると魂が現れた。山田には大きなイカの魂に見えた!(笑)

島田が「悪いことを言った。俺が死んだとき寂しいと思ってくれるか」と謝りに来た。台風の夜、ふたりで過ごして信頼し合える友となった。

山田は河っぺで骨を砕いていた。そこに詩織がやってきた。山田が「自分は前科者だ」と明かし「隣に住む島田は小さな幸せを見つけるのが上手い」と話し「前科者がこんな小さな幸せを感じたら」と涙した。すると詩織が「お葬式をしよう」と言い出した。

山田はこれまでに出会った和尚、島田、詩織親子、溝口親子に集まってもらって、父親のささやかな葬儀を行い、骨を撒いた。

まとめ

刑期を終えて、富山にやってきてたったひとりで暮らし始めたところで父親の遺骨を引き取った。どうすればよいのかと悩んでいたが、自然の空気と友に触れることで「ひとりではない!」と一瞬の幸せを感じるようになり、みんなの力を借りて父親をあの世に送ることができた。

こんなシンプルな物語に感動しました

 この世には幸せの種に満ちている!感じるかどうかはその人にある。「10年過ごせば10年の幸せが感じられる」、この言葉が好きだ!

自然の音が一杯で、何気なく添えられる木々や花、海や空の映像。これに「幸せ!」と感じられる作品になっていました。こんな作品は日本にしかない!邦画のよさだと思います。

松山ケンイチムロツヨシ、満島ひかさん。持ち前のキャラクターによく合った自然な演技で「幸せ」を感じさせてくれました。

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