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宮﨑あおいさんを応援します

「大名倒産」江戸風物の中で描く倒産劇に笑いいっぱい!今の世に求められるリーダー像を問う!

ベストセラー作家・浅田次郎原作×超豪華キャストで贈る人生逆転エンターテインメント作品!!これで観ることにしました。(笑)

 原作:浅田次郎監督:「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」「「そして、バトンは渡された」の前田哲脚本:「七つの会議」の丑尾健太郎、「下町ロケット」の稲葉一広、撮影:板倉陽子、編集:西潟弘記、音楽:大友良英、主題歌:GReeeeN「WONDERFUL」。

出演:神木隆之介杉咲花松山ケンイチ小日向文世小手伸也桜田通、宮﨑あおい、キムラ緑、梶原善勝村政信石橋蓮司、髙田延彦、藤間爽子、カトウシンスケ 、秋谷郁甫、ヒコロヒー、浅野忠信佐藤浩市

物語は

江戸時代。越後・丹生山藩の役人の息子として平穏に暮らしていた間垣小四郎(神木隆之介)は、ある日突然、自分が徳川家康の血を引く丹生山藩主の跡継ぎだと知らされる。しかも実の父である一狐斎(佐藤浩市)は、小四郎に国を任せて隠居してしまう。庶民から藩主へと大出世したかに思えたのもつかの間、丹生山藩が25万両(今の価値で約100億円)もの借金を抱えていることが判明。頭を抱える小四郎に、一狐斎は「大名倒産」を命じる。それは借金の返済日に藩の倒産を宣言して踏み倒すという案だったが、実は一狐斎は小四郎に全ての責任を押しつけて切腹させようと企んでいた。(映画COMより)

1940年代の江戸幕府。大名が財政悪化で苦しむ話はいろいろな作品がありますが、本作は脚本家から推察できるように、江戸時代の問題が現代に繋がっているように描かれ、そのエピソードもつい最近の政治問題に見られものという特異な作品です。それだけに身近な社会問題として捉え、笑いが一杯で楽しめる作品になっています。テーマはこの困難に挑むリーダー像です。安っぽい作品のようで、なるほどと思わせてくれる作品でした。


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あらすじ&感想

1940年、小四郎は塩引き鮭を生業とする父・作兵衛(小日向文世)と母・なつ(宮﨑あおい)に慈愛深く育てられていた。作兵衛は仕事に合間に武術を教え、「武士道とは死ぬことだ」と語るが、小四郎は「死んでは殿が守れない!」とものごとを自由に考える子だった。母のなつは「生きることが大切。懸命に生きていると誰かの役に立つ。貴方がなくなると愛する人が悲しむ」と教える賢い母親でした。小四郎は終生この母の言葉を大切にした。

小四郎が成人になったある日、越後・丹生山藩から迎えがくる。一弧斎にはふたりの男子、小四郎の兄にあたる新次郎(松山シンイチ)と喜三郎桜田通)がいたが、新次郎は庭作りの才はあるがうつけもの、喜三郎は聡明だが病弱ということで、藩主の座を妾の子・小四郎が継ぐことになった。

小四郎が江戸の丹生山藩邸に入り、父一弧斎に挨拶した。一狐斎は藩主の座を譲り隠居するという。教育係として“切腹バカ“と言われる平八郎浅野忠信)が付くことになった。

小四郎は江戸城謁見の間で老中首座・仁科摂津守(石橋蓮司)と老中・板倉周防守(勝村政信)に謁見した。「上納金の目録はあるは現金がない!誰が抜いたか?」と聞かれ、「申し訳ない」と平謝りして藩邸に戻った。

小四郎は藩家老の大膳(梶原善)に「着服した者は?」聞くが、小バカにして明確な答えがない。「台帳を持って来い」というと畳一畳分にもなろうかという程に台帳を持ってきた。小四郎も諦めて「いくら足らない?1万両か?」と聞くと「25万両だ!(100億円)」という。

小四郎は借財について上屋敷の父を訪ねた。父は茶室に大勢の客人を集めて茶を立てていた。父は「金はない。大名倒産だ!返済時期の5か月後まで秘密にしろ。公にしたら借金は幕府に移る。バレたら改易か取り潰しだ!お前の役割は隠し通すことだ。親子で丹生山を救うことが出来る」と小刀を与えて励ました。小四郎は「分かりました」と受け取った。

小四郎は蔵を点検した。大膳に「25万両どこから借りた?」と聞くと大坂の豪商・両替屋の天元だという。蔵にある兜や槍など武器を売ることにした。

小四郎は武器を売った金で上納金を納付した。この際、片倉から「丹生山は隠し事をしている。見つけた場合は切腹だぞ!」と言い渡された。

小四郎が「不明金はどこに?」と考え事しながら街を歩いていて「おいしい水」と水を売っている幼馴染のさよに出会った

小四郎は客と悶着を起こしたさよを連れて、大橋から身を投げて、逃げ切った。さよは明るい聡明な娘。子供のころはさよが小四郎のピンチをよく救っていた。

小四郎が「大名倒産で切腹するかも」と話すと、さよが「バカな!」と小四郎を支援することになった。

このころ一弧斎は仁科老中、天元屋の女将(キムラ緑子)と一緒にに舟遊びをしていた。一弧斎は仁科に「大名倒産で、小四郎が切腹することで決着する」と伝えた。

小四郎は兄たちに会って協力を得ることにした。喜三郎は会話を歌で返しくる優しい男だった。新次郎は庭仕事をしていたが、小四郎が訪ねてきたことで、鼻水をたらしながら駆けつけるという弟想いの男だった。ところが旗本大番頭の小池越中守(髙田延彦)の娘・お初(藤間爽子)が新次郎を追って現れた

そこに「ここには来るな!」と小池が走り込んできた。(笑)小四郎が「新次郎兄がうつけものだからダメなのか?」と喜三郎に聞くと「旗本の輿入れには500両が必要だ」という。小四郎はなんとか新次郎兄を結婚させてやりたいと考えた。しかし、お初が新次郎にここまで熱を上げる理由が分からなかった。(笑)

このあと小四郎は父を訪ね「藩を潰せば金のある者は救われるが民は救われない」と具申するが「お前は倒産させて腹を斬ればいい」と聞き入れなかった。小四郎は「倒産させない!丹生山を守ってみせます」と言い放った。

切腹まで3カ月となった!

小四郎はさよの案に基づき、財政再建のため“節約プロゼクト”を立ち上げた。リサイクル、送り物の再利用(笑)、サブスクリプション、SOGsここでは小四郎のうんちも売りに出した。(笑)、さらにシェアハウスで兄弟が上屋敷で一緒に寝起きすることにした。

参勤交代。これが藩にとっての一番の出費額となる。宿泊費を浮かすためにキャンプで経費節約に努めた。

参勤交代を終え、小四郎はふるさと丹生山城に戻った。義父作兵衛を訪ねると塩引き鮭の生業を止めて落ちぶれた成りになっている。野畑も荒れ放題。いづれ天元屋の指図だという。父から最後の一本の塩引き鮭を貰った。この鮭が後に大切な役を果たすことになる!

小四郎は城にある取引台帳を徹底的に洗った。若い家臣たちが小四郎の「藩を立て直したい」という熱意に惚れて手伝ってくれた。小四郎は切腹の夢に悩まされるがさよに励まされていた。遂に江戸の台帳と数字が違っていることに気付いた。

江戸に戻り父に報告した。大膳が「勘定方の橋爪(小手伸也)が問題だ!」と進言し、一弧斎が平八郎に「斬れ!」と指示した。

雨の夜、死に場所を求める橋爪を小四郎が「あなたの責任ではない!私の責任だ!懸命に生きろ!」と救い天元屋の汚い両替商売の実態、塩引き鮭、米の買い上げ、“中抜き”の実態をつかんだ。これを見た平八郎も「殿を裏切っていた!申し分けない」と謝り、橋爪と一緒に中抜きの額を調べたことを明かした。

小四郎は「これで借金はどうにかなる」とこの先の藩の財政プランを考え始めた。

喜三郎は喜三郎に「民のことを考えると怖い!救えないかもしれない!」と相談した。喜三郎は「お前のような藩主を持って幸せだ!家臣もそう思っている」と言い、新次郎も「おれも同じだ!」と言い、三人で鮭入りのおにぎりを頬張った。

小四郎は「これだ!」と思った。「塩引き鮭を江戸で売る。問題は越後から江戸に送る手段、船だ」と気付いた。小四郎は作兵衛に「江戸で売る」と塩引き鮭の生産を指示した。

お初は小四郎から贈られた鮭入りのご飯を作って父に食べさせ、「船があれば江戸でこれが食べられる」と説いた。そして「500両お金を貸して欲しい、自分の幸せは自分で決めます」と父に申し出た。

小四郎が小池邸に乗り込み「幸せは本人が決めることだ!」とお初と新次郎の結婚を認めるよう説いた!

小池が一弧斎の屋敷を訪ねてきた囲碁を囲んで小池が「小四郎はお前の若い頃によく似ている。昔幕府のことで話し合ったころの理想に燃えている。腹を斬らせるのか?」と問かけて、帰って行った。一弧斎にこの言葉は届くのか?

小四郎はこれが最後と「隠していることがありますか」と父に会った。父は「今の藩には犠牲者が必要だ。大名倒産しかない」と言う。小四郎は「夢を見る藩主でいたい。貴方はその夢から逃げた。私は逃げない。弱者を救いすべての民を救います」と答えた。

父は「俺にできなかったことが出来るはずがない」という。小四郎は「私には友達がいる。そして証拠を掴んでみせます!」と言うと父が「出来たら俺の財産を全部やる」と答えた。

明日は大名倒産日という夕方。平八郎が小四郎に「切腹の作法を教えましょう」と言ったところに一弧斎から矢文が届いた。「味噌蔵、実は何か?」と記されていた。

大名倒産の日江戸城の謁見の間で小四郎は板倉老中と仁科老中首座の詰問を受けていた。小四郎は「倒産はない!」と答弁。「20万両は中抜きだ。抜いたの天元屋とこの後ろ立ての仁科さんだ」と回答した。

仁科老中首座は「証人を出す」と一弧斎を登場させたが、一弧斎は一度ピストル(空砲)で小四郎を撃ち(切腹させ)、「俺が責任者だ!斬ってくれ!仁科のやり方を止められなかった」と証言した。証拠品は金銀が天元屋の味噌蔵から出てきた。

まとめ

小四郎は母なつの言葉「懸命に生きて誰かの役に立ちなさい!」通りに行動して、兄たちや藩士たちの協力を得て、最期には父を翻意させ、とても無理という借財返済をやり遂げた。

ここでみるリーダーの姿は知恵でも力でもなく「素の自分を大切に!人を信じる、愛する力」そして「民を想い、民のために夢を持つこと」だった。こういうリーダーが欲しいでうね!

大どんでん返しドラマ、この結末は予想しなかったので、楽しめました!

現代に繋がるエピソード、中抜きや公文書改ざん問題、担当職員の自殺など、さらに節約プロゼクトが愉快に語られ、これを演じる俳優さんたちの演技が面白かった。キャステイングがよかった。時代劇を今の時代に生かす脚本、演出が面白かった。

神木隆之介さんのいろいろな人に会いそこで作る表情の顔、朝ドラ「らんまん」でもそうなんですが、微妙な変化をつけて語り掛けてきます。「うまいなあ!」と思わずにはおれない!相棒の杉咲花さん 、生き生きとしてナチュラルでこの作品のために生まれてきた人だと思いました。松山ケンイチの鼻たれ、うつけの雰囲気十分でこれもよかった、そして笑った。物騒なおばさんだと思ったのがキムラ緑子さん、最後までキムラさんと気づきませんでした。(笑)

石橋蓮司さんと佐藤浩市さん、前後段で立場が逆になる演技。こちらが主演といってもよい雰囲気の演技で、羽目を外さないお笑い作品になるようしっかり締めが効いた演技でした。母親なつの宮崎あおいさん、久しぶりに映画出演でしたがはじけるような笑顔は天下一品でした。早く亡くなり、ナレーションで息子に声援するという設定、よかった!

音楽が思わず踊り出したくなる軽快なリズムなのが印象的、作品によく合っていて、音楽担当の大友良英さんの個性がよく出た音楽でした。最後に出演者全員のアドリブダンスを見せてくれますが、これにはびっくりしました!

時代劇だからの建物や美術、京都ロケで見せてくれましたがこれは大いに楽しめました。

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