映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「バービー」(2023)新たな玩具バービー世界を構築し、生きるとは何かを問う現代のお伽話!

 

「20センチュリー・ウーマン」に出演、「ストーリー・オブ・マイライフ」の監督グレタ・ガーウィグ。このふたつの作品は大好き。そしてマーゴット・ロビーの出演ということで、全く人形などで遊んだこともなく興味もなかったが本作を観ることにしました。

監督:グレタ・ガーウィグ脚本:グレタ・ガーウィグ ノア・バームバック撮影:ロドリゴ・プリエト美術:サラ・グリーンウッド、衣装:ジャクリーン・デュラン、編集:ニック・ヒューイ、音楽:アレクサンドル・デスプラ

出演者:マーゴット・ロビーライアン・ゴズリングアメリカ・フェレーラ、ケイト・マッキノンマイケル・セラ、アリアナ・グリーンブラット、他。

あらすじ:

さまざまなバービーたちが暮らす完璧な世界「バービーランド」から人間の世界にやってきたひとりのバービーが、世界の真実に直面しながらも大切なことは何かを見つけていく姿を描く。

ピンクに彩られた夢のような世界「バービーランド」。そこに暮らす住民は、皆が「バービー」であり、皆が「ケン」と呼ばれている。そんなバービーランドで、オシャレ好きなバービー(マーゴット・ロビー)は、ピュアなボーイフレンドのケン(ライアン・ゴズリング)とともに、完璧でハッピーな毎日を過ごしていた。

ところがある日、彼女の身体に異変が起こる。困った彼女は世界の秘密を知る変わり者のバービー(ケイト・マッキノン)に導かれ、ケンとともに人間の世界へと旅に出る。しかしロサンゼルスにたどり着いたバービーとケンは人間たちから好奇の目を向けられ、思わぬトラブルに見舞われてしまう。(映画CMより)


www.youtube.com

感想(なたばれあり;注意):

「男とか女とか関係ない!ふたつがあって世界は成立する。それぞれが幸せに生きたというアイデンティティこそが大切」という結末はグレタ・ガーウィグがこれまで描いてきたもので驚きはない。しかし、新たに大人のバービー世界を構築し、人間をおもちゃにして美しい夢のような世界で描いたことがすばらしい

全く人形に興味はなかったが、マーゴット・ロビーのあどけない美しい破天荒なバービー人形に魅せられ、楽しく観ました!(笑)

冒頭、映画「2001年宇宙の旅」のパロディから始まるように、大人のバービー人形が地上に降り立ち「バービーランド」を作った。子供たちは一斉にこれまでのバービー人形を捨て大人のバービー人形を手にいれて遊ぶことになった。

バービーランドの世界は夢のような世界で、日常の世界は不思議だらけだった

 水のない、ピンク色の世界。水なしで歯を磨き、滑り台で水のないプールに入って、その後真っ黒に焼けたパンを食べてコーヒーを飲むが真似だけ。セルロイドの肌でつるつる。この世界はバービーが全てで、みんな定番バービー(マーゴット・ロビー)に従う女性社会。女性は希望すれば大統領でも医者でもなんにでもなれる。

バービーの日常は「はい!バービー!」と隣のハウスのバービーを誘ってビーチに出かける。海には海水がない。恋人でビーチ係のケン(ライアン・ゴズリング)は自分の仕事が何か分からないという。ケンはサーフィンで海に出ると石の波にぶつかって怪我。でも血がでない。病院行くと医者は女性。「問題ない!」と一蹴される。夜はガールズ・ナイトでダンスを楽しむ。男性はここまででその後のパジャマパーティーには参加できない。キスもセックスもない。バービーは「バービーランドは完璧な場所だ!」という。

この“ひっちゃかめっちゃかなバービーランドの生活”をマーゴット・ロビーが笑顔でセクシーに完璧に描き出してくれますライアン・ゴズリングが筋肉隆々でひたすらバービーを愛するダメ男ケンを演じ笑わせてくれます。(笑)マーゴットだけでない、他のバービー役の俳優さんも完璧な人形だ。特にダンスシーンライアン・ゴズリングはすでに「ララランド」でその腕前を見せていますが、マーゴットのダンスも、いやその他のバービーのダンスも凄い。ポップな音楽が素晴らしく、ミュージカルとして楽しめます

バービーはダンスをしていて「死を考えたことない!」と言ったとたんに、身体が変調をきたした。バービーハウスからいつものように飛び出すとふんわり落ちるはずがそうならない。踵はヒールを履いているように立たない!人間界で激しく遊ばれみすぼらしくなった変てこバービー(ケイト・マッキノン)に相談すると、「あなたは人間界で女の子にもて遊ばれている。

治すなら人間界に行かねば!」とけしかけられ、この子に会いにロサンゼルスに行くことにした。ピンクの車で出発するとケンが車に乗っていた。

人間界に行くには車、ボート、宇宙船、ダンテム自転車、・・と乗り継いで入口に至り、ここからローラープレードでロサンゼルスに着く。ローラープレード姿のふたりは最高です。

ここまでは子供用。これからは大人用の話で説教臭くなります(笑)

 ロサンゼルスに着くと環境が一変。色調がピンクから自然色にかわり潤いのある風景になる。派手なふたりの衣装がバカにされ、男がバービーのお尻を触る。バービーがこの男をぶん殴って警察に捕まり、指紋を取られた。バービーランドとは様変わりだ!老婆がいるではないか!

バービーとケンは別れて街を徘徊。ケンはセンチュリーセンターを見学。そこで大統領は男性だし、どの職場も男性がトップで威張っている男性社会を見た。ケンはバービーより先にバービーランドに戻った。

一方、バービーはバービー人形と遊ぶのを止めたことで母親・グロリア(アメリカ・フェレーラ)と喧嘩している女の子・サーシャ(アリアナ・グリーンブラット)に出会った。バービーが挨拶すると「バカなバービー!とっくにバービーと遊ぶのを止めた」と言われる。(笑)バービーは変てこなバービーになったかと落ち込み道端に佇んでいた。

バービーの生産会社マテル社(実在)は「ふたりの人形が逃げ出し、これが等身大の人形だから大変なことになる」と社を上げてバービーとケンを追っていた。

バービーはマテル社の捜索隊に捕まり、箱詰めにして送り返されることになったが、どこに返されるか分からないと逃げ出した。「言い過ぎた!」とバービーを捜すグロリア親子に救われ、一緒にバービーランドに戻った。

 そこで見たのはケンの変貌だった。ケンは人間社会で見た男性社会つくりに邁進していた。男性が女性を引き連れて闊歩、女性は懸命に男性にサービスしている。

バービーは「バービーランドは私のもの!」とケンに詰め寄るが「俺は君の持物ではない」と全く聞き入れない。これまでステレオタイプの考えしかしてこなかったバービーは何もできず塞ぎ込んでしまった

ここでバービーに助けの手を貸したのがグロリア親子。「女がダメにされるのは嫌だ!」と男性と戦うことにした。

グロリアは「まずは女性を男から切り話す。次いで男同志を戦わせる」と計画を立てた。グロリアたちはピンクのつなぎにサングラスを着けて女性たちの捕獲に走った!(笑) 切り離した女性をグロリアが説得する。

バービーが化粧してケンの説得に向った。「対等であなたの彼女になる」と申し出ると「ちょっと待て!」とギターを持ち出して「君さえ側にいてくれたら俺は変われる」と歌い始めた。(笑)

捕まえた女たちに「男を取り替える!」と付き合っている男に言わせたことで、遂にケン派とケン(シム・リウ)派の闘いとなった。戦いはダンス合戦となった。(笑)女たちは議会を占領し憲法改正を訴えた。これでケンが「視野が狭すぎた。女とか男とか関係ないことが分かった。ケン&バービーだ!単一ではない」と言い出した。バービーは「あなたを軽く扱って悪かった」と謝った。

バービーは「あなたはケン、私はバービー」と対等の立場にあることをビーバーランドの皆に示した。

バービーを追ってマテル社のCEOがやってきて「元のバービーに戻す」という。これにグロリアが「普通のバービーでいい。自分たちのしていることが幸せと報われるのがいい」と提案した。CEOはこれを了承した。

そこにバービーの産みの親ルース・ハンドラー(ヘレン・ミレン)が現れ、「バービーは自信を持ってつくった誇りのある人形」と発言し、「一緒に行こう」とバービーを誘った。

ルースはバービーに「人間として生きるのよ。人間の両性は過酷な現実を乗り切るためよ!人間として生きる目的を見つけること。皆にそうさせたい」「女性が乗り越えたものを体験させたい」と話した。

ルースはバービーに「苦しいことがあるが人間界に行くか」と聞く。ビーバーは「自分らしい生き方を求めて」これを受け入れ、ルースの養女・バーバラ・ハンドラーとして人間社会に行くことになった。人間社会にやってきたバービーは産婦人科医院を訪ねてきた。(笑)

まとめ

人形バービーを使って現代社会の矛盾をつき人間として生きる目的を問うという作品でした。人形バービーの世界をとてもおしゃれで可愛く、面白く見せてくれました

米国ではこの作品が大センセーショナルに取り上げられていますが、我が国ではプロモーションの不手際で今ひとつ盛り上りがないですが、観て楽しめる作品だと思います。

             ****