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「アイ・アム まきもと」(2022)孤独死者を無縁墓には埋葬しないと奮闘するまきもと。役所勤務者の手本だ!

 

イギリス・イタリア合作映画「おみおくりの作法」(2013)のリメイク作品

孤独死の人たちの親族を捜し、見つからねば遺品を整理して持たせて火葬するなど、丁寧にお見送りをする市役所職員の話で、いい話だったと記憶している。

監督は「舞妓 Haaaan!!!」の水田伸生さんで阿部サダヲさんと4度目のタックを組んでの作品。さらに共演陣の顔ぶれが凄い

なぜこれほどに豪華俳優陣なのか?とWOWOWで鑑賞しました。(笑)

監督:水田伸生原作:ウベルト・パゾリーニ脚本:倉持裕撮影:中山光一

編集:洲崎千恵子、音楽:平野義久

出演者:阿部サダヲ満島ひかり、宇崎竜童、松下洸平、でんでん、松尾スズキ坪倉由幸宮沢りえ國村隼、他。

物語は

小さな市役所で、人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」として働く牧本(阿部サダヲ)。故人の思いを大切にするあまり世間のルールより自分の考えを優先してしまい、周囲に迷惑をかけてばかりいた。

そんなある日、新任局長・小野口(坪倉由幸)が「おみおくり係」の廃止を決定。身寄りなく他界した老人・蕪木(宇崎竜童)の埋葬が「おみおくり係」での最後の仕事となった牧本は、蕪木の身寄りを探すため彼の友人や知人を訪ね歩き、やがて蕪木の娘・塔子(満島ひかり)のもとにたどり着く。

蕪木の知られざる思いとともに彼の人生をたどるうちに、牧本自身にも少しずつ変化が起こり始める。(映画COMより)


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あらすじ

50歳過ぎのまきもとは独身。タバコ酒はやらず、ひとりで飯食って金魚を飼うぐらいでたいした趣味はないらしい

福祉課はやっかいものの彼に孤独死の人たちを処理する“お見送り”係を命じた。まきもとは孤独死が見つかると警察官の神代(松下洸平)に同行し、遺体が傷んでいても嫌がることなく対面し遺品を回収する。そして神代に頼み込んで遺体を保管してもらい、懸命に遺族を捜す。遺族が見つからねばアルバムを作って遺品とともに火葬し無縁墓地に埋葬するのだが、彼は遺族が現れるまでその骨壺を内緒で保管し遺族を捜す。というわけで警察と掃除婦のおばちゃんに嫌がられていた。(笑)

新任局長・小野口(坪倉由幸)が着任し、「遺族は求めていない」とあみくり係廃止と決まった

最期に残ったのが蕪木の遺体だった。死後2週間たった遺体、62歳。まきもとはしっかりメンタームを目下に塗って遺体に面会しガラケイとアルバム、腕時計、家族写真、運転免許症を回収した。

まきもとはガラケイの電話記録から肉加工会社を訪問した

対応するのが課長?(松尾スズキ)だった。もうこれだけで笑いが出る!従業員の勤務環境改善のためソーセージ詰め機械に小便を入れると社長を脅して成功し従業員に喜ばれたが乱暴な奴たったと言い、女にもてるやつで“みはる”という女がいたという。

まきもとは港にある“みはる”食堂を訪ねた。

 食堂の女将がみはる(宮沢りえ)だった。娘と一緒だった。みはるは「喧嘩ばかりする人で、好かれようとしない人だった」と話す。見せの客の漁師たちに聞くと「最低だ!」というものもいたが、「水死遺体が網にかかったときこれで豊漁だと皆は喜んだが、蕪木は激くしく怒った。そして突然去って行った」という。これだけのシーンに宮沢りえさんを使う?

物語がミステリアスになり、物語の展開に惹きつけられる。

みはるに家族写真を見せると「家族がいたの?この子はあの人の娘だ!」という。まきもとは「葬儀に来て欲しい」とみはるに頼んだが「無理!」と断られた。

まきもとは自宅に戻って蕪木のアルバムを作りながら免許証の写真と家族写真の娘を見比べふたりはよく似ていると確信した。

遺体を「引き取れ!」とひつこく求める神代に、みはるの語る話を思い出し、蕪木(宇崎竜童)の写真の印象から(笑)、拘置所の面会名簿を調べるよう頼んだ。これが大当たりで、面会に妻の千晶と娘の塔子が訪れた記録があった。

まきもとは塔子(満島ひかり)を訪ねた。

養豚場で会った。「10歳のころ父もここで働いていた。母と私を捨てて出て行った。が、20年後誤解を解きたいと戻ってきた。そのとき監視さんと一緒だった」と話す。まきもとは「葬儀に参加して欲しい」と頼んだが、「そこまでは」と頃割られた。

塔子の住む家に行くと仏壇があり妻の千晶が亡くなっていた。家に白鳥の写真が飾られていた。まきもとは蕪木の遺品のアルバムに白鳥の写真があったことを思い出した。塔子は、北海道の炭鉱で働いていた友人成田槍田(國村隼)からの手紙を見せ、「父は許せない!この人に参加をお願いしてみたら」と泣いた。

まきもとは老人ホームにいる槍田を訪ねた。

ヤクザっぽい男だった。(笑)槍田は北海道の炭鉱で蕪木と一緒だった。「落盤事故で九死に一生を得たのは彼のお陰だ。他の炭鉱夫を救えなかったことを嘆いていた。蕪木が結婚したというので訪ねた。彼が家を出たのは自分が訪ねたことが原因かもしれない。蕪木は自分だけが助かって!と思うようなやつだった。ホームレスをやっていると聞いたことがある」と話した。

まきもとは酒を買って、河原に住むホームレスたちを訪ねた。

「あいつは乱暴なやつだったが、民生委員の千晶さんが訪ねてくるときは静かだった」「あそこの椅子にひとり座っていた」と椅子を示す。まきもとはその椅子に自分が座っているような気分になった。

まきもとは蕪木の生き方に自分を重ねた。そして蕪木を送る言葉を考えた。「20歳のころ炭鉱の大事故に遭い、生きることの儚さを知り、寡黙だが情熱的で、済んでみれば感謝される人だった。理解できない不可思議な人、だが、友人、恋人に愛され、本人は家族を愛した」と。

まきもとは自分が亡くなったときの墓地を塔子に譲ると伝えた。蕪木の葬儀準備を整え、明日は葬儀という日、空を飛ぶ白鳥をカメラで追っていて車にぶつかた。

まきもとは空を仰ぎ見て亡くなった。

 蕪木の葬儀には塔子を始め、みはるとの娘、槍田、ホームレスなど多くのかって関りのある人が集まった。塔子とみはるはこの席で邂逅した。

まきもとも一緒に葬儀してもらったが、埋葬は神代によって「あなたの粘り勝ちです」と無縁墓地に埋葬された。しかし、無縁墓地にはまきもとが世話した蕪木をはじめとして大勢の引き取り手もなかったもの達が集ってきた。

まとめ

孤独死で亡くなった蕪木の親族捜に奔走し、蕪木の生き様を明かして彼にふさわしい葬儀をする福祉課職員まきもと。この生き方はすばらしい!

孤独死の人たちを無縁墓には送るまいと懸命に親族を捜すまきもとが、自分が無縁墓に入るというバカバカしい話、“この落ち“は最高だった。孤独死を暗い物語にしない笑い一杯の作品にしたのはよかった

ひとには理解し難い蕪木の人生を感動的なものにするため宮沢りえさんをはじめとする名優たちに出演を願ったようだったが、これがよく効いて、蕪木は自分の最後を誰にも迷惑を掛けたくなかったことが分かる泣ける人生だった

今年は「「生きる LIVING」(2023)、「PERFECT DAYS」(2023)と「生き方」の手本のような作品に出会った年だった。来年もすばらしい映画との出会いが楽しみです。

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