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「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」(2024)歌舞伎町、“なんとかなる!”とPOPに生きる!

 

「ミッドナイトスワン」の内田英治と「岬の兄弟」「さがす」の片山慎三が共同で監督を務め、出演者に伊藤沙莉竹野内豊北村有起哉が名を連ねる。当県では上映館がなくWOWOW放送時に観ることにしました

新宿・歌舞伎町を舞台にブラックユーモアたっぷりに描いた“異色”の探偵ドラマ。異色というところが壺!(笑)

観たあとで知ったのですが評判がよくない!しかし、私は面白く観ました!(笑)

八代亜紀さんが亡くなり、“涙恋”を思い出し、これと比べながら、ふたりの監督が歌舞伎町を“こう捉えたか”と楽しみました。

監督:内田英治 片山慎三、脚本:山田能龍 内田英治 片山慎三、撮影:岸建太朗、編集:小美野昌史、音楽:小林洋平、主題歌:Da-iCE

出演者:伊藤沙莉竹野内豊北村有起哉宇野祥平、久保史緒里、松浦祐也、高野洸中原果南、島田桃依、他。

物語は

新宿ゴールデン街にある小さなバー「カールモール」を切り盛りするバーテンのマリコ伊藤沙莉)には、探偵というもう1つの顔があった。ある日、マリコの前にFBIが現れ、「歌舞伎町に紛れ込んだ宇宙人を探してほしい」と依頼してくる。恋人で自称忍者のMASAYA(竹野内豊)にも協力してもらい、宇宙人の行方を追うマリコだったが……。(映画COMより)

物語は6つのエピソード、「歌舞伎町にいる」「歌舞伎町の恋」「鏡の向こう」「踏切を超えたとき」「姉妹の秘密」「少女A」からなる。両監督が3エピソードずつ演出し、1本の映画として作り上げていく。片山監督からスタート、「歌舞伎町にいる」で紹介されるキャラクターをうまく繋いで内田監督の「少女A」で終る。


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あらすじ&感想

冒頭、歌舞伎町の路地で、ホステスと客が宇宙人に放射能を浴びられ消滅した

 宇宙人はバスケットに納められており、防衛庁職員の天本(宇野祥平)が持ち去った。この現場を見た連続殺人犯(松浦祐也)が逃げ出す。(笑)ふたりのFBIが天本を追っていた。

「歌舞伎町にいる」

バー「カールモール」には仲間が集まって騒いでいた。

 バーテン兼探偵のマリコ。そこにウイスキーを届ける忍者教師のMASAYA、「ふたりの関係はどうなっているの」という仲間たち。わけありの役所職員の姉・茂美(中原果南)と貞美(島田桃依)ホスト狂いのキャバ嬢・綾香(久保史緒里)常連のバンドの男女(阿部顕嵐と鈴木聖奈)

そこにふたりのFBIと女性通訳が「“歌舞伎町にいる”。宇宙人を持ち去った天本を探して欲しい」と訪ねてきた。マリコはこの要請を受けた。放射線検知器を渡された。マリコは仲間に「なにかあったら教えて!と協力を求め、知合いの店を回って情報収集する。これが歌舞伎町の探偵だ。(笑)

ファンタジーな物語で歌舞伎町の雰囲気をメタファーしたキャラクラーたちだ

「歌舞伎町の恋」

綾香が“恋焦がれる”ホストの星矢(高野洸)をホストクラブに尋ねた。

綾香は「今、金になる仕事中だ」と断られた。綾香は失意の中で500万円の懸賞金が掛かった連続殺人のポスターを見つけた。「カールモール」に戻りマリコに「犯人探して!」と頼むが、マリコは「星矢に騙されている」と止めた。

綾香は「自分で探す」と店を跳び出した。マリコは綾子が心配。そこにMASAYAが「生徒が減った!」と現れ、健康保険料も年金保険料も払ってないという。

こちらの方がマリコには心配だった。(笑)地下道で女性が襲われ殺害された。綾香は?キャバ嬢のやるせない恋だった。

「鏡の向こう」

マリコのところに「娘を3日以内で探してくれ!」と元ヤクザの戸塚(北村有起哉)が訪ねてきた。

マリは断り切れず受けた。戸塚はモーテルの清掃員として働いているが、若頭の佐竹(黒石高大)に頼まれて大物のヤクザ・後藤の殺害を引き受けた。万一の場合にと娘に会いたがった。しかし3日後、マリコは娘が新宿にいる情報しか得られなかった。

戸塚はスーツで後藤を殺害するため急いでいて、マジックミラーハウスを搭載した車に出会い、そのミラーで服装を点検した。マジックミラーハウスの“ミラーの向こうに“ポルノ女優となった戸塚の娘が撮影中だった。戸塚は娘と顔を合わせたことも知らず、(笑)某ビルで後藤を銃殺した。悲しい元ヤクザと娘の絆の話だった。

役所職員の貞美が戸塚が働いているモーテルで若手映画監督の石渡(伊島空)と逢瀬を楽しんでいた。マリコは偶然ラーメン屋で天本に出会ったが逃げられた。宇宙人はラーメンが好きらしい。(笑)

「踏切を超えたとき」

綾香は彼女と楽しそうに連れ添ってあるく星矢をつけた。

綾香がマリコに「小さい頃、学校に行きたくなくて、電車が通過いて“踏切を超えたとき”に一杯子供がいる世界があればと思って歌舞伎町にきた。また星矢に合ってくる」と電話をかけて来た。マリコ「なんとかなる!」と返事した。

綾香はガソリンを詰めたボトルと手錠を準備していた。アパートから彼女が出たあと綾香が入った。星矢が観念したところで手錠を掛け「火傷するぐらい愛していた」とライターで火を点けた。キャバ嬢とホストの悲しい恋の結末だった

マリコはヤクザの佐竹に呼び出され「宇宙人は俺たちが中国に売るから手を引け!」と脅された。マリコは母と一緒に父の暴力を受けた生き地獄を思い出した。

「姉妹の秘密」

バー「カールモール」。役所職員の姉・茂美がスマホで妹・貞美の彼氏・石渡の写真を物憂そうに見ていた

これに気付かず貞美と石渡は仲良くカラオケを歌っている。茂美と貞美は殺し屋の父から茂美は毒殺の達人、貞美は拳銃の達人として、“ふたりは秘密”の殺人マシーンとして育てられた。

茂美が石渡に酒を注ぐと、貞美は毒入と断わり石渡とモーテルにしけこんだ。貞美は石渡を徹底的にしごいた。(笑)

茂美が貞美を追った。ふたりは屋上で拳銃対峙することになった。貞美が1発目を外したら連続殺人犯に当たった(笑)。2発目は撃てなかった。茂美は「分かち合おう!」と貞美を抱擁した。

バー「カールモール」。茂美がうまく石渡を口説いて誘い出しモーテルに駆け込んだ。茂美は「私たちは質素に分かち合って生きて来た、これからも」という。(笑)悲しいサガに生まれた姉妹の人生だった

 「少女A」

マリコは宇宙人が消えた壁の消除染作業を見てMASAYAの忍者教室を訪ねていた

 バー「カールモール」ではマリコが何物なのかが話題になっていた。古参俳優の野口がマリコの過去を語った。マリコは白昼父親を刺し殺し、路地に隠れているところをMASAYAに助けられた中森明菜の歌に出てくる“少女A(実話)”の逆だった。(笑)

マリコはMASAYAの忍者道場訪ねていた。MASAYAが授業料が払えないものに猶予を与えるのを見た。マリコは「この教室も取り壊しになる。これからの日本はなんとかならない!」心配した。(笑)しかし、MASAYAは“なんとかなる”という。MASAYAは料理人だったが父親がな亡くなり忍者の家系を継いだのだった。

ふたりが街に出て、宇宙と交信する天本に出会った。MASAYAが天本と知り合いで一緒にラーメンを食べているところにヤクザがやってきた。MASAYAが撃たれ、「俺が亡くなったらここを出て行け」とマルコに話すが「私はここで一生生きる。この町で生きる」と泣きくずれた。MASAYAが亡くなった。宇宙人が放射能でヤクザを消した。そこにFBIがやってきた。そのとき上空にUFOが現れ、FBIを消し去った。宇宙人がバスケットから手を出してMASAYAに触れると生き返った。(笑)

MASAYAは目覚め「年金保険、全額払う」と声を上げた。(笑)宇宙人と天本はUFOに収容され宇宙に飛び去った。

バー「カールモール」。中国人が「中国政府にとって重要な案件を調べて欲しい」と尋ねてきた。マリコは快くこれを引き受けた。

まとめ:

宇宙人、バーテン、ヤクザ、風俗嬢、ホスト、殺人狂、忍者、FBI、わけあり公務員などのとんでもないキャラクター設定とそのエピソードを見て、これを受け入れられるかどうか。POPとして観ると笑える。(笑)

 一番悪いのはタイトルとストーリーが一致しないこと。

しかし、背景の歌舞伎町の風景を合わせると、ふしぎと歌舞伎町らしい雰囲気を醸し出していて楽しめた

そこに“なんとかなる”と健康保険に年金を心配するところに救いがあった

竹野内豊さとん北村有起哉さん。まさかの役で笑った。伊藤沙莉さんの低音のしゃべりが個性的で魅力的だった。

まさか内田、片山監督がこのようなストーリーを書くとは思わなかった。ほとんど真逆(笑)ハッピーエンドにしたところが監督の優しさだと思った。

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