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「ジャンヌ・デュ・バリー国王最期の愛人」(2023)娼婦だったのか、時代を超えた人なのか?

 

18世紀フランスで59年間にわたり在位した国王ルイ15世の最後の公妾ジャンヌ・デュ・バリーの波乱に満ちた生涯を描くというものマリー・アントワネットのひとつ前の代)。

最後の公妾ジャンヌ・デュ・バリーと言われても如何なる人物なのか分からないが、断頭台に送られたと言うから「悪い人」というイメージしかない

監督・脚本・主演を「パリ警視庁 未成年保護特別部隊」「モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由」の監督として知られ俳優でもあるマイウェンが勤める。さらにジョニー・デップルイ15世をフランス語で演じるという、一体いかなる作品やと観ることにしました。

ジャンヌは悪い人ではなかった。自由闊達に振舞いルイ15世を愛した人でした。この史観がどれほど正しいかは分からないが、監督マイウゥンは自分の人生を重ねて描きたかった作品ではなかったかと推察。

監督:マイウェン、脚本:マイウェン テディ・ルシ=モデステ ニコラ・リベッチ 、撮影:ローラン・ダイアン、衣装:ユルゲン・ドーリング、編集:ロール・ガルデット、音楽:ティーブン・ウォーベック。

出演者:マイウェン、ジョニー・デップ、ジャマン・ラベルネ、ピエール・リシャール、メルビル・プポー、ディエゴ・ルファー、ポーリン・ポールマン、メルシー:ミーシャ・レスコ、他。


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あらすじ&感想

冒頭、幼いころのジャンヌはとても美しい子で画家のモデルにされているシーンから物語が始まる。

宮廷に入るまでの人生が大急ぎで描かれます

ジャンヌの父は修道士、母アンヌは料理女で私生児として生まれ、貧しかった。雇い主のゲィムソーンに可愛がられ、読書の好きな子で、礼儀作法も教え、サロンに参加させた。ゲィムソーンの支援で修道院に入り教育を受けるが、ここでエロスの世界に嵌って屋敷に戻された。しかし、息子との関係が気になり出され、母と一緒にパリに出た。絵描のモデルになったがヌードになるのが嫌で、ある家庭の読書係になった。文学に触れ、貴族の世界、そして放縦な性の世界を知った。息子と関係したとここを追われた。

ジャンヌは高級娼婦となりサロンで働くことになり、バリー伯爵(メルビル・プポー)の愛人になった。リシュ・バリュー元帥(ピエール・リシャール)はバリー伯爵と謀りジャンヌを王の公娼にすることにした。当時の爛れた社交界の様子が見て取れる。

ジャンヌは宮殿でルイ15世にお目通りすることになった

回廊で多くの貴人たちが王に挨拶する中でジャンヌは王の目に留まった。宮殿に招かれ性病があるかどうか、医師による厳格な診察があった。異常なしということで侍従のアデレード(インディア・ヘア)の躾教育を受けた。すべて王に任せること。ことが終って下がるときは、回れ右ではなく“すり足で下がれ”というものだった。

王はジャンヌの飾らぬ気性を気に入った。ジャンヌ自ら王にキスを求めた。王に認められ、宮殿で過ごすことになった。

朝早く侍従に起こされて衣服を着けて、王の1日の生活を見ていた。まず医者の診断、次いで来訪者の挨拶を受け、化粧して、王室の女性たちが後ずさりする姿を見ていた。毎日、同じことが粛々と行われることを知り、笑った。

王妃が亡くなり、ジャンヌは王とベットで過ごすようになる

王には3人の娘がいたが、いずれも「私たちが笑われる」とジャンヌに敵視の眼を向ける。王の希望でジャンヌはバリー伯爵と結婚しデュ・バリー伯爵夫人となり、再度貴族にふさわしい教育を受け、正式に公娼となった。

正式な公娼となり王に挨拶。宮廷の女性のトップの座に就いた。お祝いとしてインドから贈られた黒人の子ザモルと城が与えられた。王は「愛している」というが、ジャンヌは「私の未知を愛せているだけ」と笑った。

パーティーに男装で王と腕を組んで登場する、あるいは狩りに同行するなど、これまでの公娼に見られない行動で宮中を驚かせた。しかし、王女たちからザモルが軽蔑されたことで落ち込み王から遠ざかった。

王を訪ね元の状態に戻して欲しいと懇願したが、王は返事しなかった。実が王には別の女性があたえられた。侍従ボルドバンの「しっかりした心で待て」の言葉を信じて王の愛を信じることにした。王のジャンヌへの心は離れず、4年間をともに幸せに過ごすことになった。

王太子(ディエゴ・ルファー)とマリー・アントワネット(ポーリン・ポールマン)が結婚

ジャンヌが晩餐会に白いドレスに黒髪を卸して参加これに3人の王女が「娼婦のよう、あなたの力で追い出して欲しい」とマリー・アントワネットに懇願する。

ジャンヌへの嫌がらせは始まり、王と王太子の関係も悪化していった。マリー。アントワネットがはっきりとジャンヌを無視するようになった。

王が天然痘に罹った

ジャンヌは王に付き添って看病した。が、侍従のボルドバンの「貴方は狙われている、危ないからすぐ退去を!」の言葉で、宮中を出て修道院に去ることにした。王との別れを惜しんだ!

まとめ

ジャンヌは王の死で王太子の仕打ちを恐れ、宮殿を去ることになった。ジャンヌは“王を振り返ることなく”寝所から出たが、そのまま去ることが出来ず、王の寝室に戻り、天然痘で病んだ王とキスを交わし「愛している」と伝え、王からの「心から愛している」の言葉を聴き、こんどは“すり足下がり」で去った。

ルイ15世とジャンヌは真の愛で結ばれていたという結末。監督はこのことを描きたかった。

ジャンヌの料理女の子で貧しい出地の娘。文学を好む才女で性に放縦、自由放縦に生きる子だった。

宮廷に入り、伝統の礼儀作法などに囚われず、中でもファッションで、周囲を驚かせる。黒人の子モザルを愛で、今の世界を先取りしたような人だった。これをマイウェン監督は描きたかったのではないだろうか。

シャネルにより提供された衣装で見せるドラマ、女性ならではの演出でした。

見事な宮中物語だった。

ベルサイユ宮殿での撮影、豪華で華やかなパーテー、着飾った女性たち。

この贅沢さはどこから出て来た。フランス革命という言葉がどこにも出てこないが、これが分かる作造り、これも見どころです。

ジョニー・デップフランス語で喋りますが、セリフは短い。表情でしっかり示す(笑)。パイレーツ感覚で出演したのかなと考えてしまいますが、マイウェン監督は自分がジャンヌを演じるために絶対必要な相手役だったんでしょうね。(笑)

時代劇を現代視点で観るという典型的な作品でした

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