
2023年6月に公開された作品。劇場では未鑑賞。地上波初公開(金ロー)ということで観ることにしました。原作はアンゼルセン童話で1989年にアニメ映画化されています。
主人公の人魚がアフリカ系アメリカ人ということで話題になった作品。確かに黒人が人魚を演じることに違和感を感じました。先入観は怖い!人種問題の怖さを知る作品になりました。作品にはそれだけでない!何がテーマか?もはやアンゼルセン童話とは言えないのではないでしょうか?新しい世界感のある作品になっていました。
監督:ロブ・マーシャル、脚本:デビッド・マギー、撮影:ディオン・ビーブ、美術:ジョン・マイヤー、衣装:コリーン・アトウッド、編集:ワイアット・スミス、音楽:アラン・メンケン。
出演者:ハリー・ベイリー、ジョナ・ハウアー=キング、アート・マリック、ハビエル・バルデム、メリッサ・マッカーシー、マルチナ・レアード、ジェシカ・アレクサンダー、ジョン・ダグリーシュ
物語は、
海の王国を司るトリトン王の末娘で、世界で最も美しい声を持つ人魚姫アリエル。まだ見ぬ人間界に憧れる彼女は、嵐に巻き込まれた人間のエリック王子を救うため陸に上がる。人間界への思いを抑えきれなくなったアリエルは、海の魔女アースラに提案され恐ろしい取引を交わす。その内容は、3日間だけ人間の姿になる代わりに、美しい声をアースラに差し出すというものだった。(映画COMより)
あらすじ&感想:
〇エリック王子(ジョナ・ハウアー=キング)は新たな陸地を求めて航海していた。
船底を突く鮫の出現。「人魚の王が王子を誘い海に沈める!人魚の魔法には勝てない」と甲板は大騒ぎ!大波に揺れる甲板で槍を突き出し鮫を追う。これをグリムスビー卿(アート・マリック)が「7週間も航海を続けている。早く城にかえりましょう」と帰還を薦める。しかし王子は「大陸に迫っている。いかなる大陸か知りたい」と航海を諦めない明日へのビジョンを持つ王子。王子がマストの上から大陸を望遠鏡で覗こうとして、その望遠鏡を海中に落とした。

〇海底ではコーラル・ムーンを祝うために世界の海から6人の娘たちが集っていた。
末娘のアリエル(ハリー・ベイリー)がいない。トリトン王(ハビエル・バルデム)が従者のセバスチャン(蟹)にアリエルの連れてくるよう命じた。
アリエルは海中に落ちて来た望遠鏡を拾い、これで海中に沈んで廃船を見つけ、内部を捜索していろいろな人間は作った装飾品を集めていた。スプーンを拾ったが何に使うか分からない。シロカツオドリのスカットルが髪を梳くものだというので髪を梳くってみた。(笑)

アリエルはこれらの装飾品から人間がすばらしい動物だと考えていた。しかし、父であるトリント王から「母を殺した恐ろしいやつらだ!決して近づくな!」と注意され、人間たちには近づかないようにしていた。
アリエルはセバスチャンによってトリント王のもとに連れ戻された。
アリエルは王から「人間の愚かさに魅入られるな!」と一喝されたが「もっと人間を理解して!」と具申する。父に意見を言うしっかりした娘だった。ここでアリエルが歌う父への反抗歌がいい。(笑)従来のアリエルとは異なるところに注目。
トリトン王には王位を狙う魔女で妹のアースラ(メリッサ・マッカーシー)がいた。
アリエルは海中に輝く光を追って海上に姿を現した。
海上ではエリックの船が花火を上げ、甲板はお祭り騒ぎだった。アリエルは船腹に張り付いて見ていた。エリックが「父とは違うリーダーになりたい。航海に出て世界で何が起こっているかを知らないと成長できない」とグリムスビー卿に訴えていた。卿は「危険です!」と諫めていた。
〇エリックの船が暴風雨に襲われ難破!アリエルがエリックを救出した。
暴風雨に襲われ、この難局をエリックが舵を取り脱出しようとするが、船から出火。遂に乗員がボートで脱出した。エリックは船に残されたい犬のマックスを救出するために燃える船に戻りマックスを海に投げ、海に飛び込むが海中に沈んでいった。アリエルがエリックを抱へ陸に上げた。エリックが息を吹き返したとき、捜索隊は駆けつけたためアリエルは姿を消した。これを見ていたセバスチャンとスカットルはトリトン王にこのことを話さないことにした。

しかし、これを知ったアースラはこの秘密を使って王位を奪うチャンス到来と喜んでいた。
海底に戻ったアリエルは人間エリックを助けた感激で一杯だった。
イルカの、亀の背中に乗り、ヒトデの踊りやクラゲの踊り、etcを楽しんでいた。とても美しい影像で見せてくれます!
〇城に戻ったエリックは「女性に助けられた」と捜索を命じた。
セリーナ女王(メリッサ・マッカーシー)はエリックがこれを口実に逃げ出すのではないかと心配していた。エリックは王家の子ではなく夫が亡くなった時にやってきた子だった。
女王は「夫の船が沈んだのは海の神の仕業で、海の神は徐々に陸を侵食し海に戻そうとする」と恐れていた。エリックに女性を探すのを禁じた。しかし、エリックは諦めなかった。
サンゴを痛めると沈没船からの破棄物を処分するアリエルの姉たち。
アリエルはトリトン王に呼ばれ「人間ほど危険な生物はいない。我々の海を汚す。サンゴ礁を破壊する。好き勝手にし放題だ」と言い聞かされる。アリエルが「人間だけでない」と言って逃げ出した。王は「アリエルの行動がおかしい」とセバスチャンを攻め立てた。セバスチャンが「私は近づくなと注意した!」と喋った。(笑)
アリエルはトリトン王の逆鱗に触れ、「二度と上に行くな!」と厳命された。

悲しむアリエルにアースラは接近してきた。
アースラは「助けてあげる」と海底の祠にアリエルを誘い込んだ。アースラは「人間の世界に行きたいなら人間になればよい。3日間だけ人間にしてあげる。エリック王子と愛のキスをすることができれば人間になれる。出来なければ人魚になって私のものになる。条件は声と交換よ、しかし声はちゃんと私のペンダントの中に保管しておくから心配ない。さあどうする」とアリエルに迫った。
アリエルは「声を失くしたら恋はできない」と迷っているとアースラはアリエルの鱗片を火にくべ魔法をかけた。アリエルは海上に上り、海辺にたどりついた。尾は消え立派な両足が出来ていた。セバスチャンとスカットルも一緒だった。
〇アリエルは猟師に救われ、彼の馬車で城に入った。
アリエルは陸に上げってすべてのことがびっくりだった。特に火に驚いた。通りがかりの猟師に助けられ、衣類を都合してもらってエリックのいる城に入った。
城では海から来た娘ということで侍女たちによって入浴し身体を磨かれ、衣装を着け、靴を履き美しい女性になった。そこに「命の恩人を探している」とエリック王子が現れた。しかし、何も話せない。王子は去っていった。アリエルはひとりぼっちになった。
アリエルがベットで休んでいるとセバスチャンが窓から入ってきて「やはく王子にキスするんだ」と囃す。(笑)
〇エリック王子が復活させる入江の見学にアリエルを誘った。
アリエルが望遠鏡や地球儀のある部屋を見ていて、そこにエリックがやってきた。エリックは「人魚は美しい。人魚は人を誘惑して殺すなどということを信じない」と言い、地図を見ながら「この入江を復活させる、一緒に見に行こう」とアリエルを誘った。セバスチャンはキスするチャンスだと見ていたが、そうならずがっかりした。(笑)
ふたりは馬車で入江に着いた。バザールを楽しみ、踊りの輪に加わり踊った。
夜になりふたりはボートで海に漕ぎだした。エリックは星座の名前からアリエルの名前を知った。船がひっくり返った!セバスチャンとスカットルは一部始終を監視するが何事も起きない。(笑)

城に返ったエリックにグリムスビー卿が「例の女性は見つからない。捜索を続けますか?今のままを信じてはどうですか」と話した。エリックはアリエルの顔を見た!
〇アースラがアリエルとエリックの行動に「キスするかも、危ない!」と動き始めた。
アースラは「自分が王子を助けた女性だ」としてヴァネッサが城に現れた。「幻の女性が実在していた」とセリーナ女王が大喜びだった。これを知ったアリエルは女性がアースラとは知らず、城を去り海に戻った。スカットルがアリエルの寝室を尋ねると寝ているのがアースラであることを知り、異変に気付いた。
アリエルは岩の上で悲しんでいるところにセバスチャンとスカットルが駆けつけ「簡単にあきらめるな!」と励ます。アリエルは城に戻ることにした。

〇これからどうなる。アンデルセン童話の大改編になるぞ!
城内ではパーティーの真っ最中。
エリックはアリエルを見つけ「母からのもの、あなたに持っていて欲しい」と指輪を渡そうとするところにヴァネッサが現れ指輪を奪おうとした。ヴァネッサにスカットルはぶち当たり指輪が落ち、これをグリムスビー卿が足で隠した。(笑)
ヴァネッサとアリエルの激しい戦いが始まった。
アースラ「ペンダントが壊れ、声がアリエルに戻ってきた。エリックが「ずっと君だった。やっと分った」と声を上げた。
エリックがアリエルにキスしいうとしたとくアースラの「駄目よ!人間でない」と叫ぶ。3日を過ぎていた。アリエルは人魚に戻っていた。アースラがタコの脚でアリエルを抱え海に戻って行った。エリックはアリエルを追って海に。
トリトン王が魔法の槍を持ってアースラの前に現れた。王は「娘と取引しよう」と魔法の槍をアースラに渡し、苦しみ始めた。
〇海の王となったアースラとアリエル&エリックの戦い。
魔法の槍を手にしたアースラは「私が海をお支配する。誰も逆らえない。夫婦に愛なんてない!」と魔法の槍で海を掻き廻す。海が掻き廻されたことで廃船が浮かび上がった。この船にアリエルが乗り舵を握った。そこにエリックが乗り込んできた。
アリエルが船をアースラにぶつけた!
海が鎮まった!トリトン王が魔法の槍とともに生き返った。アリエルはトリトン王に「命がけで守ってくれた」と感謝し、王は「その生をお前が取り返してくれた」とアリルに感謝した。アリエルは「私だけでない、エリックが支えてくれた」と言い添えた。
アリエルはトリトン王の魔法の槍の力で人間に戻り、城にもどって来た。
〇アリエルとエリック王子は結婚し、海の民と陸の民に見送られ世界を見ようと船旅に出た。
まとめ:
3日間にエリック王子と愛のキスができたら人間世界で住めるという魔法を掛けられたアリエル。3日が過ぎてもキスできず人魚に戻るが、ここで魔法を掛けたアースラと戦い勝利し、人間世界に戻りエリック王子と晴れて結婚するという結末。
原作は悲劇で終わるがしっかりとした自己犠牲を教える物語だった。本作はハッピーエンドで終わる。終わり方がいいということではなく、ここには未来に向けた大きなテーマが隠されていると思う。
アリエルは海を汚す人間を嫌う父とは逆に人間の文明を理解しようとし、魔法と戦う意思を持つ。一方、エリック王子も人魚の魔法を信じ恐れるのではなく広く世界の出来事を理解したいと考えている。ふたりは自分で運命を切り開く人だ。さらにふたりともカラー人種で、これまでのアンゼルセン童話と違って人種に囚われない物語というところにも意味があると思います。
従来のアンゼルセン童話とは違った未来社会への警告、夫婦、家族、民族、国、世界の断絶を避けようと叫びかけた作品だと思いました。
アリエルが魚たちと戯れるシーンやアリエルとエリックのデートシーン、荒れ狂う海での難破シーンなど見ごたえのある映像シーンは沢山あります。また、セバスチャンとスカットルにより笑が一杯で、結構アクションもある物語になっている。歌はキャラクターそれぞれ唄う歌詞が面白く曲もよかった。ということで子供さんたちは結構楽しめる作品になっていると思います。
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