映画って人生!

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「好きだ、」(2006)

 
互いに相手が好きなのに、「好きだ、」の一言を言えない17才のユウ(あおいさん)とヨースケ(瑛太さん)。しかし、ある出来事をきっかけに2人は会わなくなってしまう。それから17年、34歳のヨースケ(西島秀俊さん)とユウ(永作博美さん)は東京で偶然に再会し「好きだ」の言葉を口にするという“恋心”を描いたシンプルな作品です。
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前半は、高校生のユウとヨースケとユウのお姉さん(小山田 サユリさん)の物語です。ここでは、ユウはヨースケとお姉ちゃんを、ヨースケはユウとお姉さんをまたお姉さんはヨースケをどう見ていたかを会話の少ない映像のなかでそれぞれの気持ちを読ませ、後半で、出合ったヨースケとユウが17年前どんな気持ちでいたかを知るという演出、すばらしいです。

あおいさんの出番は前半(後段は回想シーン)のみで、見どころは「もどかしい恋心」、もたもたして、バツの悪い、変な間があって、ぎこちない。嬉しそうだったり、失望したり、不満だったり、すねたりとなんとも自然でリアルな演技を見せてくれ、すばらしいです。(監督の独特の演出によるもの)
 
この作品は、あおいさんにとってはとてもエポックな作品となりました。
篤姫を撮り終え、トップランナー(20081118)MC箭内道彦さんとの対談で、「篤姫を生きていた」と語り「役に生きる」という感覚を意識したのは映画「好きだ、」だと明かしています。
 
 「役を生きる」とは、考えて動くのではなく感じて、見せようとするのではなく感じてと説明します。これを「好きだ、」で次のように語っています。
「この映画では場面設定のみで、セリフやしぐさはなしで1時間以上の長回し。演技指示なしでした。
監督に呼ばれて、どちらからキスしてもよい。瑛太君にはギターの話しをしてとか。私は、キスはヨースケからだろうなと思っていたし、瑛太君は背が高いから場所を選んでくれて、指さすのですが何のことか分らなくて。私は泣いたんですけど、何で泣いたのか分らないその場で感じたままで演技するということをこの芝居で学びました。セリフはありますが、ここではユウだったらこうすると指示されなくても動ける芝居でした」。
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物語は、
「ねえヨースケ覚えてる」「私、おぼえてるよ」(永作さんの声)で本題に入っていきます。ふ~んと鼻歌のユウ、川辺を歩いている。青い空に雲が出てきて、橋のたもとで、ヨースケがギターで同じフレーズを何回も弾いている、(へたくそです)。ヨースケは、野球部だったんだけど止めて音楽で食っていけたらと考えている。

 弾くのを止めて土手を歩いてるユウを追い越して行ってしまう。ユウが追い越すと、ヨースケがついて来るので「なに色気ずいて」とユウ。
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教室では、ユウはノートにヨースケの顔を描いていて、ちらっと目線をヨースケに向けるが、ヨースケは知らんぷり。

こんな二人の関係に、ユウのお姉ちゃんが絡んできます。お姉ちゃんは半年前大切な人を失っているが、すこし元気になってきている。
家で、ユウがよくヨースケの歌を口ずさむので、お姉ちゃんもこの歌を口ずさむお姉ちゃんは、よく川辺でひとり、物思いに耽りこの歌を口ずさむ。
ユウとヨースケには、たいした話題がなく、自然にユウのお姉ちゃんのことが話題になる。

ある日、学校の帰りに「お姉さんどうしてる。ユウのお姉さんの制服、ブレザーそれともセーラー服」と聞くので、ユウは次の日お姉ちゃんのセーラー服で登校する。
その帰り、ヨースケがいつもの橋のたもとでギターの練習しているところにセーラー服のユウがやってきて横に座りぼんやりしている。ユウはヨースケの反応(制服のこと)を意識しているが反応なし。どんよりした空、何の反応もないので、ユウは一人で帰りかけ「へんだよ」と怒りを表す

帰宅し、姉に「ヨースケが話があるみたいだから正門のところに行ってあげて、制服借りちゃった!」と話す。次の日、ヨースケは川のほとりでお姉ちゃんに会う。ユウは家で一人で過ごす。

ユウは一人で過ごす日が続いていたが、ある日学校で「聞きたいことがある」とユースケに誘われる。二人はいつもの川辺の土手に座って、何か話そうとするが何もでてこない。
ここは、後半、二人が東京で会って思い出を語る大切な(キス)シーンです。

会っても話が進まない。二人は下を向いて、考え込んで、ヨースケが立ち上がり、ユウも立ち上がり、二人はポケットに手を入れたまま、ユウの前にヨースケが立ち、ユウが背が同じくらいと言い、ヨースケが手でなにかを示し、「手をこう伸ばして」と二人に笑がでて、ふたりはもじもじして、ヨースケが前にきたのでユウからキス。
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しばらくして、ヨースケが帰っていくのでユウは泣き出す。
 
学校でユウからヨースケに「うちのお姉ちゃん、ヨースケの歌、唄ってるから会ってあげてよ。映画とか行けば」と言えば「今度の水曜日、水門のところでまっていると伝えておいて」とヨースケ。
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翌日、お姉ちゃんはヨースケのところに出かけるが、途中で知り合いの人?を見て、そちらに近寄ろうととして小型トラック跳ねられ、意識不明に。

ヨースケはユウに「自分のせいにするな」と言い、ユウはあの曲、随分さきまで出来たんだね。お姉ちゃんが台所で歌っていた。いつか全部できたら聞かせて」と言い、別れて、17年が経過する。

17年後、
ヨースケは東京の音楽スタジオで受験生のギター演奏に立会中。音楽という世界の端っこのほうで仕事をしているという。

友人と一杯飲んでの帰り、酔っぱらって路肩にうずくまる女性に近づく男を見て、これは危険とこの女性の世話をする(この男に反感を持たれ、後にとんでもないことになるのですが)。

スタデイオにやってきてギターを弾く女性、曲が昔ヨースケが作ったもので、モニターで確認しユウであることに気付く。休憩で、コーヒーを渡し、ギター弾くんだと懐かしむ。

二人で食事、音楽の話、ヨースケはギターを弾くのを止めていることなど話しをする。
ユウを彼の部屋に誘うが、引っ越し前でなんにもない、ローソクの灯のなかで、酒飲んで、暮らしぶりなどを話すうちに、ユウは一人ぐらしであることが分る。
目をつぶって一番よかったときのことを思い出だそうと17年まえの川辺の思い出に浸る。お姉ちゃんはどうしてるかという話が出て、あす二人で会いに行くことにする。
ここで、ヨースケはそっとユウを抱きしめる。ユウは泣いている、そして口づけ。ユウがまた泣く。

夜があけて、二人で病院に出かけ、ずっと眠ってるお姉ちゃんに会う。ユウは眠っている姉に「ヨースケよ」と呼びかけるが、ヨースケは立ってるだけ。
帰りに、ヨースケが「うまく言えないけれど、お姉ちゃん、自分の意志で眠っているんではないの? あのころからそんな風に見えた」と言う。
駅での別れ際に、ヨースケがユウの会社の名前を聞くが、返事のないままで電車は出てしまう。
ここで、ヨースケは「あのとき何で逃げるように帰ってしまったんだ。おれとキスしたあのとき・・」と17年前、初めて交わしたキスのことを思い出します。

ヨースケはユウに電話してもう一度会うことを約束し、ギターを持って会いに出かけるが、あの男に付けられ刺される。
救急車の来るのを待つ間、ヨースケの顔に涙が流れる。そしてあの日の記憶「明るい空の下で、ユウが土手をあるく姿。あの橋のたもとでギターを弾いてるとユウが側にきて座る。ユウに『ギター弾くと、一つずつ指が硬くなっていくんだ、ギター弾いていると・・』と話しかける。」が蘇ってくるのでした。

病院にユウが見舞いに来て、眠るヨースケに「ねえヨースケ覚える・・」、ヨースケは目をさまし「ごめん」、ユウはくちびるだけで「すきだ、」と伝え、ヨースケは「おれも好きだ」と声を出す。

エンドロールで、高校時代のヨースケが自分で作ったにも拘わらずロクに弾けなかった曲が、初めて上手く奏でられます、この余韻がすばらしいです。
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