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「四月は君の嘘」(2016)

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四月は君の嘘」(2016
本作、宮崎あおいさん主演映画「ただ、君を愛してる」(2006新城毅彦監督の10年後の作品。
母の死をきっかけにピアノが弾けなくなってしまった天才ピアニスト・有馬公生(山崎賢人さん)が、個性的なバイオリニストの宮園かをり(広瀬すずさん)との出会いをきっかけに、再生していくが、かをりは難病を抱えており・・・その想いがラストで明らかになるという青春ラブストーリー。
新城監督と今最も輝いてる女優広瀬すずさん出演ということで、原作は全く知らず、観ることにしました。「ただ、君」の感動感触によく似ていてヒロインの死の結末を知って泣ける「泣ける映画」です。しかし、登場人物のそれぞれが互いに思いやり精一杯生きていることが、これからの希望につながり、心地よい涙だと思います。これこそが青春へのエールがあり監督の作製意図でしょう。ラストシーン、部室でかおりの残した手紙を読む公生のもとに風に吹かれ迷い込んだ桜の花びら、かおりの化身として公生のもとに戻ってきたように思え、どっと涙です。かおりは公生の心のなかで生きていくことになり、この死生観もとてもいいです。
 
溢れんばかりの若さ、音楽、そして鎌倉のうつくしい風景がかみ合って、すばらしい映像になっています。
広瀬さんと山崎さんの演技がすばらしい。広瀬さんは明るく自由に生きることから次第に病魔に苦しみもがくさま、山崎賢人くんも挫折に苦しむ暗い表情から次第に希望を見出していく、いずれも時間とともに変化する感情の変化をしっかり表現しています。特に山崎さんは大きな成長を遂げています
「君嘘」、演奏を通してお互いに成長していく物語で、ふたりには高いヴァイオリンとピアノの演奏技術が要求されますが、しっかり練習をして撮影に臨んだようで、すばらしい映像になっています。
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オープニング。さくら吹雪のなかで「君の世界はどんな色してるの(かおり)。ピアノ練習してる公生「椿(石井杏奈さん)渡(中川大志さん)のきらきら関係、僕の世界は鍵盤のようにモノトーン」。公生、通学バスのなかで渡からかおりに会えと勧められ、帰宅すると亡くなった母(檀れいさん)の友人紘子さん(板谷由夏さん)が訪ねてきていて新しくでたCDを渡される。隣には椿が住んでいる。公園で待ってるかおりに会いにゆくと・・。主要な登場人物の点描があって幕が開きます。
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○ヴァイオリンのコンクールにでるかおりを応援する椿と渡に誘われ公生も演奏を聴くことになる。真っ赤な衣装で楽しそうにバガニーニの「24のカブリース第24番」を弾く。審査員は「強弱も譜面もでたらめ。コンクールではめちゃくちゃだがおもしろい」と評価され一時テストは合格となる。ここでのド派手な広瀬さんのヴャイオリン演奏は見どころです。幼いころのトラウマで会場ではピアノが聞けなくなっている公生も何でこんなに楽しそうに弾けるのかと彼女の演奏に聞き入る。この曲選定は公生のトラウマを解こうとするかおりの企み。二次テストでは、公生は突然音を失うのでピアノは弾けないと断るが、伴奏者になってくれるよう「弾けないのは知っている。私は全力で弾きたい。私の音を届けたい。君となら弾ける。お願い」と指名します。ここには彼女の公生への気持ちが込められていてあとで知ることになります。椿の渡も二人を後押し、自転車に相乗りで演奏会場に走る絵が美しいです。これぞ青春映画です!イメージ 3
 
○ふたりは二次予選の舞台に立ちサン・サーンス作曲「序奏とロンド・カプリチオーソ」を演奏。出だしはうまく行ったが、徐々にズレはじめ音が聞こえなくなった公生は演奏を中止する。かおりは公生に“アゲイン”のサインを送り「旅の恥はかき捨て、ふたりでかこうよ。音楽が自由よ」と演奏を開始。公生も「譜面の音が聞こえなくなくても僕の中にあるものを引っ張りだせ」と弾き始める。ふたりの演奏は共鳴しあう。「主役を食うな」とかおりの演奏、審査員は「どちらもめちゃくちゃだ。が、聞く者を引き付ける」と評価する。コンクールでは落選となるが、ガラコンへの出演が決まる。
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公生は、またまた、自分はピアノを忘れる人間だからと断るが「君は忘れられるの?弾いている時の気持ち、ふりそそぐ拍手、自分の音楽が届いたあの瞬間、本当に君は忘れられるの」と叫び「こんな風に飛び出せ」と川に飛び込む。これを見た公生も“えい!”とばかりに飛び込む。このことで意気投合したふたり、かおりが公生の部屋を訪れるとそこにはほこりを被ったピアノがあり、楽曲の譜面がある。ガラコンで弾くのはこの曲とクライスラーの「愛の悲しみ」に決める。
この曲は彼の母親が子守歌として聞かされたもので母との思い出の曲。彼はあるコンクールで優勝したが、母はテンポを間違えたと激しく叱責し、病んでいた母は入院し死亡。この死は自分の責任と、これを契機にピアノの音が聞こえなくなった。
「あんたは考えすぎる。もっと気軽に弾いたら。聞こえないのは贈り物よ」と紘子さんからも激励される。
 
○彼はガラコンの舞台に立つことにするが、肝心のかおるがやってこない。一人で舞台にたつ決心をしてかおりが言う「ガラコンは目立ってなんぼよ」を思い出し演奏に入る。彼はお母さんと会話をしながら、今の主役は僕だと弾き続ける。ここでの山崎さんのピアノ演奏がすごい。お母さんが死の床で「私が居なくなっても幸せになれるように」と懸命に教えてくれる母のまぼろしに会う。演奏を終え大拍手を受ける。彼は完全にピアニストとしての自信を取り戻す。しかし、かおりは入院をしていた。見舞いに行くと椿がいて、席を外してくれたが何も言えず帰る。
 
かおりは「今回は許す。君のピアノを聞かせて」と電話して倒れ込み立てない。見舞いに行こうとしない公生。ある日、病院を抜け出し待ち伏せしているかおりに会う。イメージ 5
ふたりで文房具屋さんに立ちより、江の島水族館に行き弁当を食べて、写メ撮って、「次は君の番だよ?君はどうしたって表現者だよ 有馬公生君」とかおりが励ます。「カバン忘れた」とかおり。夜の学校を訪れ教室のなかを歩く。「カバン忘れたはうそ、どうしても学校に来たかった、私の病気はちょっと悪い」とかおり。自分の机の落書きを確認。戻ろうと誘うと怒って走るかおり、ここでこりが倒れ込む。
公生が病院を訪ねるとかおりは「驚かせてごめん。私は我がままだから君をいつも苦しめる。こんなんだったら私たちは会わなかったらよかったね」と言う。公生は堪えられず病室を出る。
「僕は何も言ってあげられなかった。僕は逃げた」と言い会いに行かない公生に渡は「無理かどうかは女の子が教えてくれる」と病院に行くことを勧める。椿に「バッカじゃないの?かをちゃんは、渡が好きなの。だからあんたは私と恋するしかない」と告げる。
公生は意を決し、渡に「すまないが自分はかおりが好きだ」と告げて見舞いに行き、背負って屋上に上がり、東日本ピアノコンクールに出演しその先を弾くことを話す。そして僕は君が好きだと告白。部屋に戻ろうとして倒れ「怖い、怖くてしかたがない。一人にしないで」とかおり。
 
○ピアノコンクールの日。かおりは「私には大切な約束がある」と危険な手術を受けるため、手術室へ。
「僕の中に音が聞こえる。君と出会えたからここに居る。たくさん笑って、たくさん音になって。僕の音、君に届くかな」とショパン作曲「バラード第一番ト短調作品23を弾く。これを聞く椿、公生からのかおりへのラブレターだと。この音、手術室のかおりに届いているかな! 突然ヴァイオリンの音が入ってきて、激しく鍵盤をたたく公生。消えていくかおりの姿!!
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○部室で、公生がかおりの残した手紙を読んでいます。(字がきれいすぎる?)「私が君を見たのは5歳のとき、憧れの人になりバイオリンを始め、君はピアノをやめたんだからアンポンタン。同じ学校でびっくり、・・」この手紙にはかおりの公生への想い、嘘が書かれていて、もう一度映画の初めから彼女が発した言葉、行動を思い出しそのすべてが彼への愛だったことが分かり部屋の中に入ってくる桜の花びらが彼女の化身に思え、公生のもとに帰ってきたんだと泣けます。観終わって泣ける映画です。
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