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「ハドソン川の奇跡」(2016)

イメージ 1ハドソン川の奇跡」(2016)
クリント・イーストウッド監督にトム・ハンクスということで観にいきました。 2009年、エアバスA320旅客機がニューヨークのハドソン川に不時着水し、155人の乗客全員が無事生還した航空機事故、よく助かったなと驚いた記憶がありますが、後日談があって「事故は操縦者の過失によるものでは?」と機長に疑惑の目を向けられたということは知りませんでした。この作品は機長がどうこの疑惑を解いたかというお話です。
物語は事故後、機長に対する国家運輸安全委員会(NTSB)の調査が開始され、機長が事故の記憶を呼び起こし葛藤しながら、妻、同僚らの助けを得て、安全委員会の公聴会で疑惑を晴らすという展開。
事故の詳細が逐次明らかになってくるという緊張感とともに機長の職業倫理感が明らかになりそれを支える妻や同僚らの協力・励ましに感動する物語になっています。
機長は全員が無事であることを知り涙し、疑惑が解けても涙しませんでした。彼は40年のパイトット生活で培った技術の先に208分(離陸から着水なでの時間)があったといい、英雄でもなんでもない、いつもやってることでパイロットの使命を果たしたまでと語ります。一人のパイロットの愚直な使命感そしてすべてがコンピューターで管理されるなかで予測し得ない危機に陥った場合の人の判断・プロ精神が求められることを監督は描きたかったのでは。

機長サリー役トム・ハンクスの沈着冷静な演技、副操縦手ジェフ役アーロン・エッカートの無言で示す機長への信頼感が、この作品の気品を示しています。
映像はキュメンタリーフィルムを見ているようで鳥群の衝突、エンジントラブル、パイロットの操作、機内の混乱、ハドソン川上の滑空、緊急着水、脱出・救助などリアルで精細、迫力があります。
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物語イメージ 2
ロクタス1549 離陸。(機が火を拭いている) メーデイー、ロクタス 両エンジン喪失。 管制塔、ラガーデイアへ。頼む火を噴いている。(ビルの合間を縫って機が飛んでいる)。(乗客の悲鳴)。ビルに衝突。ここで、機長サリーが夢から目覚める(安全委員会の事情聴取に応じるためホテルに待機している)。ハドソン川に着水せず空港に引き返した場合を夢のなかでシミュレーションし、管制どおりやったら“9・11事件”の二の舞の結果だったと確信する。

「乗客がサンキュウーキャプテンと感謝してるTVニュース」を見て安全委員会の聴取を受ける。「着水しかない」とサリー「どうして戻らなかった」「この高度とエンジン事故、何度も経験している。客を救えるのはこの方法しかない」「引き返す可能性を推力と高度で計算する(結果は後ほど)」「前例がない」「何時間寝ていた、十分休養は取っていたか、酒は、家庭の問題は・・」。
聴取が終わり、副操縦手のジェフが「委員会は保険会社のために何とか我々のミスを発見したいらしい」と言う。

タクシーに乗ると「英雄」と運転手に握手を求められる。妻に家族の状況を聞く。家の周りは報道陣で一杯だという。しばらく安全委員会の事情聴取で帰れないことを伝えると「あなたは謝ることはないわ。全員を救ったのに」と慰める。イメージ 3
TVニュースは「なぜ不時着したかを知るはパイロットのみ。ハドソンの見方が変わるかもしれない。機長は英雄か? ペテン師か?」と伝えている。
TV出演したジェフは上機嫌で「あなたはよくやったよ」と言う「40年飛んで、208秒がコンピューターが正しいとは?(そんなバカな)」とサリー。
TV取材を受けると「英雄と呼ばれる気分は」と聞かれ、「英雄でもなんでもない、パイロットが全人生だ」と答える。取材を終えると同僚から「コンピューターの計算が終了した。左エンジンは作動していたというのが委員会の結論だ」と知らせてくる。「左エンジンが生きていた場合、そのまま空港に着陸できる。ラガーデイアへ引き返すのがベストアンサーだ。返事は、今はいい。組合を通じてあとで知らせる。ここでのことは他言しないように。ボイスレコーダーが揃えばもう一度調査する」。「ゲームじゃないぞ、我々は命を預かっている。判断に間違いはない」とジェフ。

不安になり妻に「エンジンが生きていた場合はパイロットの仕事をやめる」と伝える。そして事故当日のことをもう一度思い出してみる。
イメージ 4この日、ジェフはサリーの会社のサイトでパイロット歴を調べ「誰でもあんたを雇うよ」と言う。操縦席に着き、手順にそって点検。ジェフの操縦で発進、突然鳥の群れが機体に当たる。両サイドエンジンが発火。2基ともエンジン停止確認。着火しない。APU作動を指示。ベルト装着を機内に指示し、メーデイーに「鳥と衝突、両エンジン喪失」を伝える。管制塔からのラガーデイア空港への着陸に「無理」と応答。管制官は判断を機長に一任これもプロの仕事)。「ハドソンへ」。管制室では「冷静な声、信じられない」との声。ここでかって自分が空軍で経験した緊急着陸訓練を思い出す。これは何回も体験している。

バーに出かけ、TVニュースを見る。バーテンが「パイロットのサリーとジェフが感動的だった。1月15日はNYにとって最良の日だった」と言い、壁には「英雄」として写真が飾ってある。写真を見て、救出時の出来事を思い出す。イメージ 5
機内での着水準備、アテンダントの「頭を下げて」の指示。着水時の機内に侵入する水、救命胴衣の装着、ゴムボートの展張。翼にでろの指示!! 沿岸警備隊・付近のボートによる救助、ヨギ・ベラ船上からのTV放送。機長は全員脱出を確認の確認のため最後まで機内を点検、アテンダントに促され飛行記録ノートをもって脱出。
イメージ 6救出されたボートから機体を確認する。そして妻に電話「ハドソンに降りた」「なんのこと」「TVを見ろ」。駆けつけた会社の同僚から正確な救出状況「155名、全員無事だ」を聞いて初めて機長は涙を見せる。「遅れても災難よりまし」と書いたお守りを見る
バーを出て、CVRを見たいと同僚に電話。「安全委員会と同じ結果ならパイロットを辞める」と伝える。

NTSB公聴会の日。妻から「あなたも155人の一人よ」と涙しながらの電話が入る。イメージ 7
公聴会は収集した飛行データーをフライトシミュレーターで展示したのち意見を聞くことになる。すでに17回体験しているというパイロット役の男性と女性のペアによるシミュレーションが始まる。
最初はトラブルがない場合、次いで鳥群によるトラブルがあった場合が展示される。いずれの場合もラガーデイア空港への着陸離が可能であるという結果がでる。
サリーは、「人為事故であるというなら、人的要素が検討されるべきである。展示パイロットに、初めてこのトラブルに遭遇した場合の態度が見られない。航空史上、低空で2つのエンジンが停止したケース、こんなトラブルの訓練を誰も受けていない」と意見を述べる。
35秒で、引き返すかどうかを決したシミュレーション」を提案する。その結果は、着陸失敗!!
次に同僚が準備してくれたCRVを安全委員会の皆と共に聞く。
「両エンジン停止」「イグニッション不可」「APU」「操縦手交代」「メーデイ、メーデイ」(副操縦手がマニュアル点検中)「無理だ、ハドソンに降りる」。イメージ 8
ここで休憩し、部屋に戻ってくると左エンジンのタービンブレードが破損していて作動していなかったことが知らされる。
サリーはこの結果を受けて「安全に着水させた操縦技術だけでなくアテンダントや乗客の協力、管制官の指示、沿岸警備隊・付近のボートの救助等すべての力が発揮され24分間で全員が救われた」と言い、最後にジェフは、もう一度やるなら7月にして欲しい!!
               END