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第26話 「嵐の建白書」

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篤姫宮崎あおい)は、家定(堺雅人)とこたつで、家定手製のカステラをつまみながら「そろそろ虚けの真似はやめては」と言えば「皆が虚けと思っているから、真顔で言うと効果がある」と篤姫を揶揄う。ふたりは、今までのことが嘘のような幸を噛みしめていました!
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その裏では、
本寿院(高畑淳子)は井伊直弼中村梅雀)を呼び出し、慶福(松田翔太)が次期将軍になること望んでいると伝えると、直弼は「身命を賭して」と引き受ける。そして、堀田老中(辰巳琢朗)を京に向かわせ孝明天皇東儀秀樹)から条約締結の勅許を得るよう促します。
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薩摩藩邸では、西郷(小澤征悦)が小の島(佐藤藍子)に斉彬(高橋英樹)の密書を渡す。そこには「アメリカとの通商条約がなれば異国が日本に押し寄せ世情が騒然としてくる。人心一新、まずは将軍家をゆるぎないものにするとして将軍継嗣がもっとも大事」とあり、これを伝えられた幾島(松坂慶子)からせがまれ、篤姫は苦悩します。
 
薩摩では斉彬は尚五郎(瑛太)を召し出し、「家中の若侍の頭になれ」と命じ、名を帯刀清廉と改め、「万が一の時の夷国の攻撃対応に当たれ」と大きな役割を与えます。帯刀が「慶喜公(平岳大)を将軍に推してこの国をどう
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変えようとしているのですか」と問うと、「古い幕府を壊したい。有力な諸侯が集まり朝廷を押し立て新しい日本国を作ることだ」と答え、「このための建白書を出した。将軍継嗣問題をお篤だけに背負わせるつもりはない」と答えます。
この建白書は外様が幕府の政に入り込むという大胆なもので、井伊直弼は「ハリスのことは表向き、ねらいは慶喜の推挙。とうとう斉彬が出てきたか!」と、これを大奥の滝山(稲森いずみ)に送りつける。これに本寿院は激昂します。
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建白書が出されたことを知った篤姫は、話がすすまないからこうなったと自分を責めます。寝所で家定が「ハリスは国を開かね攻めると脅してくる。いずれ国を開かねばならぬであろうな。御台には別の悩みができたな、薩摩から出た建白書じゃ」という。遂に篤姫、「父を追い込んだのは私です。次の将軍を慶喜殿にしていただけませんでしょうか」と言い出します。「父の意見に従うことか?」「違います」。「あのとき言った慶福の方が相応しいは嘘か?そなただけは信ずるに値する女じゃと思うておった」と言い放ち家定は寝所を後にします。ここで流す篤姫の涙!
このシーン、あおいさんは「嘘は言えない」と拒否。デイレクターの「それを云うのが芝居」と押されて撮ったそうです。篤姫として生きている感情が良く出た涙がでます!
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安政518日。堀田老中は孝明天皇から条約締結の許しを売るため江戸を出発。西郷は斉彬の命で慶喜公擁立に動いており、松平慶永矢島健一)から橋本左内中山麻聖)とともに堀田老中の行動を阻止するよう命じられる。一方井伊直弼は西郷らの行動を阻止するため関白九条尚忠磯部勉)を味方につけるよう腹心長野義言(大林丈史)を京に遣わす。こうして、開国と将軍継嗣の問題は京で争われることになった。「西郷どん」で描かれないところがしっかり描かれています。

堀田老中は朝廷に条約締結の許しを訴え出るが孝明天皇が承知しない。そこで西郷らは条約勅許を得られるよう尽力するかわりに将軍継嗣で慶喜を推すという確約を取る。そして西郷は右大臣近衛忠煕春風亭小朝)の力添えで「次の将軍には英明・人望・年長の3条件を備えた者を選ぶべし」という一文を盛り込んだ勅諚を得ようとしたが、九条直忠の抵抗で、将軍継嗣は徳川の問題として朝廷の協力は得られなかった。また、条約締結も許されなかった。西郷は、この失態に泣いて斉彬に詫びるのでした。
 
井伊直弼はこの事態を「御三家以下諸大名で議論したうえで奏上せよとは外様の考えも聞けということ。一橋派が朝廷に深く食い込んでいる証」と深刻に受け取る。
 
薩摩では、帯刀が建白書について斉彬に「未来様が追い詰められてしまうのでは」と強い口調で聞きます。「そうかも知れん」と斉彬からは答えがなかった!
 
失意の篤姫を「すべてはこれから、慶喜公を上様に勧めたことで父上はお悦びです」と幾島が励まします。そこに家定からのお呼びが掛かる。 
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なんとなく気まずい空気の中で、「条約締結の許しは出なかったようだ。御台の言ったとおりだ」と家定が話し始めます。「この一件はこれからどうなって行くのでしょうか」と問います。ふたりの話が続きます。「私はこの時代にこの国に生まれて幸せだと思います。異国のものに触れることができるからです。どの国でもよい、それぞれの国の良きところを認め合い助け合うそのようになって欲しいと思います」と話しが進むにつれて明るい顔になっていきます。とても美しい顔です!
「誠にその通りだ。が、そちも大変なことになったな、京で一橋派が負けたというではないか」、篤姫が話そうとすると「先日はすまなかった。薩摩の父に味方をするのは当然のこと」と詫びの言葉が! 「申し訳ないのは私の方です。上様の気持ちよりも自分の言い分を通そうとしました。自分の気持ちに嘘をついて、正直私には分からないのです」と正直に告げます。
家定の優しさに触れ、「わたくしは決めました。わたくしの心に従います。慶喜殿、慶福殿どちらか分からぬなら、いずれを推すこともやめます薩摩の父を裏切るのではない。自分の中ではそうなのです」。「分かった、とにかく餅を食べよ」という家定の言葉に、涙の笑顔です。この長いシーンも感情が途切れることなくすばらしいものでした。
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 その夜の寝室、「生まれ変われたらそちは何になりたい。わしは人間でないものなら何でもよい、好きな時に好きなところへ飛んで行ける鳥じゃ」と言う家定に、篤姫は「わたくしはわたくしのままでいたい」と告げると「なんじゃ言うてみよ」と体に触りのぞき込む。この行為に篤姫は驚きます。驚きの顔が、笑顔に変わります。愛されていると身体で感じた一瞬であったのでしょうか? 絶妙な表情です。
 
家定の寝顔を見ながら「わたくしはわたくしのままでよいのです。でなければあなたさまにはお逢いできませんでした」と呟くのでした。
 
開国か攘夷か、はたまた将軍継嗣の問題に翻弄されながら、家定と篤姫がお互いを庇いながら答えを見出し、夫婦の情愛がまた一歩深まった回でした。使命を捨て、愛する家定を支えようとする篤姫の姿に感動します。そしてこれを演じるおふたりの演技に魅せられます!
                                ***第26話おわり***