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「ホース・ソルジャー」(2017)

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今の時代に馬で戦闘? 題名が面白そうなので観ることに。とんでもない、この作品は9.11直後にアフガニスタンで行われた米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の極秘作戦を描いたもので、彼らの勇敢な行動を称えた伝記作品。原題は12 STRONGで、2012
年に世界
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貿易センタービル近くに銅像が建立されている。題名は西部劇にでてくる戦闘のイメージですが、全く違って、最新鋭のレーザー誘導爆弾をあやつる米陸軍特殊部隊と現地北部同盟ドスタム軍(騎馬部隊)との共同作戦を描いたものです。
 
監督はデンマークCM界で活躍し、コソボ紛争を追った報道写真家ニコライ・フルシー、戦闘シーンがリアルで美しい映像です。主演が「マイレイ・ソー」の   クリス・ヘイズワード、共演は   マイケル・シャノン、マイケル・ネーニャ、トラバンテ・ローズ、ナヴィ・ネガーバン。脚本は「羊たちの沈黙」のテッド・タリーです。
 
戦史ではないので、誇張されたところがあるでしょう。ラストシーンのタリバンの多連装ロケット   (BM-24)陣地に馬を蹴って飛び込み撃破するシーンを除けば、他は概ね事実でしょう。馬を利用するのは、アフガニスタンは山岳地帯で、大きな道路はアルカイダに支配され、彼らに気付かれないように近づくには、車がつかえない道を使うからです。
 
物語は、2001911日の直後、特殊部隊のミッチ・ネルソン大尉(   クリス・ヘイズワード)は、最も危険な対テロ戦争の最前線を志願し、特殊部隊の隊長に任命される。わずか12名でアフガスタンに乗り込み、反タリバン勢力を率いるドスタム将軍(ナヴィ・ネガーバン)を支援し、テロ集団の拠点マザリシャリフ(通称マザール)を制圧するというもの。
 
若い戦闘経験のないネルソン大尉の指揮官としての成長、隊員の友情。民族の異なる部隊相互の信頼感や戦闘を行うにあたって葛藤や最新兵器で行う戦闘様相などが、とてもリアルに描かれている。ドキュメンタリーのようで、戦争の是非や愛国心を謳うような重苦しさはなく、エンターテイメント作品になっている。
 
戦闘シーンは、監督の経験が生かされていて、とてもリアルなもので評価できる。B-52爆撃機から放たれた爆弾でピンポイント攻撃するシーンはこの作品以外にないのでは。また、兵士の談笑や休憩など戦闘ではないシーンが、うつくしくうまく撮られている。戦場を知る監督の作品です!
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物語は、
ミッチ・ネルソンが特殊部隊から陸軍一般部隊に異動し、新しい官舎で身辺整理中に、2001911TV同時多発テロを知り、特殊部隊本部に出頭して志願するところから始まる。
彼の部隊はすでに解散していたが、3人の部下が集まり、1016日にはウズベキスタンK-2基地に到着、現地本部で12名編成のチームが編成され、「反タリバンである北部同盟のドスタム将軍がアフガニスタンの北部の都市マザールを制圧するのを、空爆を駆使して支援する」任務をうける。期間は3週間で終えるというもの。
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米国出発前夜の妻ジーン・ネルソオン(エルサ・パタキー)との会話、「どんなことがあっても生きてかえる」と約束を交わす。実夫婦ですよねえ!
テロ攻撃を受けて1か月後には反撃行動にでるという即応性は注目すべきこと。これが、彼ら特殊部隊隊員のプライドに負うていることに。そして、“生きて帰る”を心情としていることに感動です。遺書を書かないというエピソードもおもしろい。
 
ドスタム軍に合流するため、大型ヘリ(チヌーク)で夜間、150005000フィートの高度で飛行し、アラモ前進基地に進出。この高度で酸素マスクを着けること、機体が激しく揺れることなど知らなかった。
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ここでドスタム将軍に会う。「実戦経験のないやつは信用しない」と、副指揮官のハル・スペンサー准尉(マイケル・シャノン)と挨拶を交わし、ネルソンには声もかけないという実戦で叩き上げられた将軍。このふたりが戦闘を通して、信じあえる関係になってゆくところが見どころ。
CIA工作員が「北部同盟はドスタム、アタ、モハケクの3つの軍からなるが、お互いは敵対し殺し合っている」という。これがアフガニスタン戦争の難しさ。
 
敵の裏をかくように山岳地帯の悪路を進むために馬を使い前進開始。彼らの命には10万ドルの懸賞金がかけられていた。
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4日目。タリバンの支配地域に入る。
敵と接触、ネルソンが   ドスタム将軍に場所を聞きくと地図で“ここ”と示し、敵に“米兵”とこちらの情報を送る。ネルソンは目標座標をB-52に送り爆弾を投下させる。正確な爆撃だ。目標確認のためにさらに前方に
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進出するが、周りに援護がなく裸の状態に。通常ならドスタム兵で守られているはずだが将軍は見ているだけ。敵が押し寄せ、銃撃戦になる。将軍はネルソンのやる気、能力を試している。
 
6日目。ペジャーム村、
ここには将軍の甥がいる地域。爆撃のあとドスタム軍が突入、激しい銃撃戦がはじまるが、突然、隠れていた戦車(T-72)と装
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甲戦闘車(BMP-76)が攻撃してくる。雲で爆撃できない。後退するよう促しても「死を恐れたら負けだ。タリバンは死を恐れない」と聞き入れない。多くの死傷者をだしてこの作戦を終わる。夜、将軍がやってきて、支援を申し出て、進路変更を告げる。
 
8日目。リッツ峠。敵の戦車、装甲戦闘車に遭遇。ここはレーサー照準による爆撃誘導でしっかり爆撃したあとドスタム将軍が突入。空爆の威力がしっかり描かれている。将軍の突入にはネルソンが付き添い、爆弾投下で支援し、ふたりの間にしっかりと信頼感が生まれる。ネルソンが常に最前線にたって指揮することに将軍は一目置き始める。ネルソンが、初めての実戦でもこれほどに活躍できるのは、彼の強い使命感。ここでは絶対に将軍を死なせない、部下を死なせないというもの。これがこの物語のテーマでしょうか。
この物語は米陸軍特殊部隊の話あるとともに、ドスタム将軍の物語になっている。彼は後にアフガニスタン副大統領になる男です。
 
16日目。シュールガレ洞窟で、本部からの指令を受ける。「マザール攻略を容易にするため、ドスタムのライバルであるアタ隊に、米陸軍特殊部隊の他チームを送る」というもの。将軍はこれを知りマザール攻略を降りるという。ネルソンは自由世界のためだと決行を告げ、ふたりの間にまずい空気が流れる。落下傘で補給を受けるが、大半は住民の懐に入るという状況。
 
20日目。タンギー峠。戦車、装甲戦闘車、多連装ロケットを有する敵大部隊を確認する。レーザー照射でB-52機からの正確な集中爆撃を行う。しかし、この要衝に敵はなぜ配備してなかったのかと疑問を抱くのですが。()
 
マザールの戦闘。
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スペンサーが守る陣地に投降と見せかけた敵が現れ、これを確認中に相手が自爆。スペンサーが重傷を負う。スペンサーの救出作戦、応急処置、ヘリによる後送と特殊部隊に対する医療システムが描かれる。このシステムがあるからこそ彼らは戦える。
 
多連装ロケット(BM-24)の威力がすさまじい。この射撃支援下に戦車、装甲戦闘車が突進してくる。ここはオーバーな戦闘シーンになっている? 装填
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2分かかるという多連装ロケットの弱点に乗じるよう、騎馬でこの陣地に突進して潰すというのがネルソンの戦法。あわやという時にドスタム軍がこの戦闘に参加してくる。ネルソンとドスタムが常に一体となり戦うクライマックスシーンを楽しむことになる。
 
戦闘が終わると、ネルソンはドスタム将軍と握手を交わしたあと、一気に本国に帰還。この作戦が2007年まで伏せられる。誰にも知られず、誇りで生きる特殊部隊隊員の魂に触れることのできる作品でした。クリス・ヘイズワードが恰好良すぎです。( ^)o(^ )
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