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「ワンダー 君は太陽」(2018)

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タイトルが少し安っぽいと感じましたが、「ルーム」のジェイコブ・トレンブレイと「エリン・ブロコビッチ」のジュリア・ロバーツの母子演技は見ものだろうと鑑賞することにしました。あらかじめ作品HPを見ると、みごとなネタバレありで、これで泣けるのかなと思いましたが、しっかり泣けました。( ^)o(^ )
 
原作は、全世界で800万部を突破したという、元グラフィックデザイナー:RJ・パラシオの同名小説。「美女と野獣」のプロデューサーによる映画化。監督は「ウォールフラワー」のスティーヴン・チョボスキー。他に、オーウェン・ウィルソンマンディ・パティンキンダヴィード・ディグスなどが出演しています。

顔に障害のある男の子が、10歳で初めて学校に通い、イジメや偏見にさらされながらも、家族の深い愛情と勇気に支えられて、少しずつ困難を乗り越えクラスメイトと友情を築いていく姿が描かれます。
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物語は、この主人公を描きながら、彼を取り巻く家族やクラスメート、学校長が、彼の成長にどう絡んでくるか、絡むことで彼らがどう変化したかが描かれ、大きな視点でテーマが捉えられています。
 
この子の障害は、「トリーチャー・コリンズ症候群」というもので、頬やあごの骨、耳などがうまく形成されず垂れた目が特徴的な先天性の疾患。作品のなかで実にうまい特殊メイク、人工装具、CGIで成形した顔が作られています。どこが形成されているか確認してみてください。
 
テーマは、特殊な障害者というわけではなく、ハンデイキャップを持った子にどう向き合うか。きちんと答えをくれる仕組みになっていて、よくできた話で、教則本のような映画です。( ^)o(^ )

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冒頭、「スターダスト! V-10 レコーダーを起動せよ!」「了解!」と、宇宙飛行士のヘルメットを被った子:オーガスト・ブルマン(ジェイコブ・トレンブレイ)、通称オギーがベッドから飛び上がるシーンから始まる物語、顔を見るまで不安ではあるが、爽快感があります。全編に、この空気が流れており、気持ちのよい作品です。
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母:イザベル・ブルマン(ジュリア・ロバーツ)、父ネート・ブルマン(オーウェン・ウィルソン)、高校生の姉:オリヴィア・ブルマン(イザベラ・ヴィドヴィッチ)通称ヴィア、に校門まで送られ、ヘルメットを捨てて「さあ、宇宙だ!」と教室に急ぐオギー。この姿を追う母イサベラの姿に、早々と10年間の苦労が忍ばれ、涙がでます。
 
友人を作ること、裏切る友人への対応と、勇気をもって通学し続け、クラスに馴染み、味方が出てくるというオギーの行動力に感動させられます。かれの勇気は「元気がでることを空想すること」と、大好きな“チューバッカとともにある”を空想し、毎日通学し、笑われ、さげすまされても意に介さず、頑張る姿に心打たれます。彼の最大の武器は“笑顔”、ジェイコブの笑顔を見るだけで、この映画を見た価値があります。( ^)o(^ ) それでも落ち込んで、帰宅しヘルメットを着けて物言わぬ姿には涙です!
人は、外見は変えられなくとも、見る目を変えられる」ということを教えてくれます。

両親が彼を支えます。
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学友に「醜い」と言われ、落ち込むオギーに母イザベルは「あなたをよく知れば、醜くくない」「人の顔には傷がある。人の心は未来を示す。顔は過去の歴史よ!」と応えます。「お母さんの白髪は?」「これはパパのせいよ」() この映画には、素敵なセリフが沢山あって、これも楽しみのひとつです!
父ネートは、初登校日に「おまえは一人ではない」と励まし、ヘルメットを隠して「おまえが自分の顔を好きじゃないことは知っている。でも、パパはおまえの顔が好きだ」と励まします。嫌なこと、意地の悪い子にも接し、息子がうまく対応できるよう見守っている。

姉のヴィア。母親の愛情がオギーに注がれ、わかっていても不満がある。そして、オギーがいることで消極的、友達も少ない。親しい女友だち:ミランダ(ダニエル・ローズ・ラッセル)とちょっとしたことですれ違うようになり、喪失感に襲われる。でも、この寂しさを慰めてくれる恋人ジャステイン(ナジ・ジーター)ができる。
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彼をオギーに会わせると、一目で気に入る。ここでは、ハンデイーを持つ家族との接し方を教えてくれています。明るく見えて、心には錘がある。
 
オギーがクラスメートに裏切られたときの悩みを話すと、「そんなこと普通にあること。人は変わるよ」と自信をもって回答する。()そして、毎日がハロウインだったらいいというオギーに仮装させ、祭りに連れ出す弟思いの姉キです。
 
弟思いのヴィアが羨ましくなり、寄りを戻したいとミランダは、話がうまく出来過ぎていますが、思いもしなかった手を打ってヴィアと仲直り。オギーには常に善意は集まるという、太陽のような子です。
 
クラスメートのジャック・ウイル(ノア・ジュブ)。当初オギーの顔を見て嫌悪していたが、理科の試験でオギーに助けられたことで、友達になる。家を訪ねゲームを楽しむ仲ですが、奨学金をもらっている彼は、クラスの富豪家の息子:ジュリアン(プライス・ガイザー)に頭が上がらない。

ジュリアンは事あるごとにオギーに嫌味を言い、虐める。ジュリアンの機嫌取りに、オギーはこの場にいないと思って、「あつは、フランケンシュタインだ」とこき下ろす。その日はハロウインで、変装したオギーがこれを聞いてた。
 
オギーはこんなジャックを無視する。オギーの人柄がクラスで評価されるようになり、ジャックも仲を取り戻したいと、理科の自由研究コンテストでオギーと組むことを選ぶ。組むことになっていたジュリアンが怒りだし、殴り合いの喧嘩になる。そして、ジャックは2日間の停学処分を喰らう。でも、オギーの誠実さがジャックの正義心を後押し、ふたりは友達に。
 
ジュリアンはオギーへの報復として、「死ね」という紙片を渡す。オギーはこれをトウシュマン校長(マンディ・パティンキンに提出する。

ここでは校長職に注目です。校長は試験入学時、面接してオギーの身上を把握します。若いHR担当の先生ではなく、問題児には経験豊富な校長が直接絡むというのは、とてもよいシステムだと思います。
“この校長ならば”と、オギーが訴え出るという勇気が良い。校長は断固とした処置として、ジュリアンに20日の停学処分を課す。小学生に停学処分、日本では大学生にも下せない処分でした。(笑)
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そして、理科研究の野外学習(キャンプ)では、喧嘩を吹っ掛ける上級生に立ち向かい、クラスメートのために戦い、その中心にいるオギーでした。
 
1年間の修学を終える終業式で、特別配慮として、オギーに「人を生かす力を持っている」賞を贈る。
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この粋な計らいに、納得でした。( ^)o(^ )
母イザベルが言う「あなたはワンダー、奇跡の子よ」。
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