慶応4(1868)年1月、西郷吉之助(鈴木亮平)率いる新政府軍は、鳥羽伏見の戦いで慶喜(松田翔太)を大将とする旧幕府軍を討ち破った。家臣たちを置き去りにして去った慶喜を追い、5万の兵とともに江戸に向かったのでした。そして、江戸総攻撃を3付3日と定める。
吉之助は広い書院に通され、天璋院が、
「頼みがある。慶喜の首ひとつで、この戦を終わらせてくれ」と切り出し「思えばわが人生の天変は慶喜様で始まった。しかし、この始末は自らつけなければならない。慶喜様が死したのち、わたしは自害するつもりだ。徳川家だけは救って欲しい」と頭を下げて懇願します。
吉之助は「天璋院様をそこまで追い込んでしもうて、申し訳ない。時の移り変わりは非常なもの。新しい世を天下に示すには、徳川を完膚なきまでに打ち砕かねばならない」と断り、「天璋院様と幾島様を藩屋敷に迎える準備をしている」という。これに幾島が激しく抗議して、咳き込む。
天璋院は「わたしはここにいます。徳川の名を賭けて、私も命を賭けて戦うのみ」と応じるのでした。吉之助は一礼して立ち去る。
それは、
勝は、「おめえさんほどの人なら勝者のたしなみをご存知ないとは思えない。江戸百万の民に泥炭の苦しみをなめさせて作る国に、これから先どんな望みがあるという。新しい日本とは何ぞや」と問う。
「民を見捨てることは出来ん。守るべきは民です」と長い沈黙のあと「分かりもした。京でいろいろ論議があると思いもすが、おいに任せてくだされ!」と勝の降伏条件を引き受ける。これに勝は大泣きをする。
半次郎(大野拓郎)と川路(泉澤祐希)を呼び、総攻撃中止を告げ、「ひとつだけ譲れん!慶喜の首」と勝に条件変更を申し出ると「おれは幕府の筆頭幕臣だ。主君を守らねばならん。そのために勝海舟がいる。会いに行けばいい。おまえさんらの喧嘩はそちらでかたをつけてくれ」。そして、「江戸が焼けないでよかった。今年も上野の桜が見られる。上野にお前さんの銅像とやらでも建ててやらねえと」と笑うのでした。
遠憲さんの人柄のでたいい演技でした!
「俺を殺しに来たか、こんどこそ、その脇差で俺を刺すか、早くやれ!」
「何故に戦わずに逃げた。恐ろしくて逃げたか?」
「ロッシュから逃げた。ロッシュは12万の兵と15万丁の銃で援助する。そのかわり勝利したら薩摩を寄越せと。戦が長引けば薩摩はイギリスを引き入れ、日本の中でフランスとイギリスが戦い、勝った方が日本を取る。おれができるのは、逃げることだった!」
「おいもあなたが恐ろしかった。今ようやくわかりもした。ヒー様こそあなた。徳川の血を引くものに生まれたことが不幸でした。徳川将軍最後の意思をしっかり見せてもらった。よくぞ逃げて、日本を守ってくれました」
大方の同意を得るが、桂ひとりが「慶喜の首をはねなければ、長州の屈辱を晴らすことはできぬ」と反対する。
「徳川慶喜を許し、武器弾薬、軍艦まで残せたら、いずれまた戦いになる!」
「そんときは、おいが慶喜を討ちもす」と吉之助が発言し桂の反対を抑える。
一方、江戸城では官軍が乗り込み、粛々と明け渡しが執り行われ、城内の鉄砲も次々と引き渡された。
西郷はひとり、大奥へ足を向ける。そこには天璋院と幾島が待っていた。
「西郷、慶喜殿を斬るのではなかったのか」
「おいには斬れもはん!」
「徳川に家を守ってくれたこと、礼を言います」
天璋院は侍女に命じ、徳川家の宝ものともいえる書物を、吉之助の前に積み上げ、「天下を治めるのは、戦をするより難儀。これからは役にたつこともありましょう」と差し出す。
西郷は、二宮尊徳の農政の書を見て「こいつが広がれば、百姓がどれほど助かりますか」と喜ぶ。
これがのちに、西郷が大久保の富国強兵策と対立するという伏線? しかし、天璋院に会うという理屈にはなりません。(笑)
こうして、のちの世にいう「江戸無血開城」は終わった。ところがこのとき、すでに新たな争乱が起きようとしていたのだった。
江戸城官軍指揮所では「山岡でも収められん。はやく東北諸藩、旧幕府海軍を抑えねばとやっきになる。
京では、桂が「あのとき完膚なきまで討つべきであった」と嘆く。これに一蔵(瑛太)が「われらには金も兵器もない」というと「長州を先頭に立てればやれる!手は打ってある」と主張する。
江戸城。新政府軍の軍議が開かれる。吉之助は「長引くと多くの血が流れる。江戸の民を苦しめる」と事態を憂慮していると、そこに「あんた、戦がわかってない。上野が長引くと思うているが半日でおわります。戦を知らん皆さんに教えたる」という男が現れる。
磯田屋。勝は吉之助と酒を飲みながら「大村が出てきたか、これで江戸で血が流れる。これからも戦う気か?」と問う。
「なにせよ、死んではいけないよ、西郷どん。龍馬が夢見た、新しい国を作ってくれ!」
感想:
「なんじゃ、この結末は!」という回でした。
ありもしない設定で、奇を衒うこのドラマ、やり過ぎはいけません。こんなことをしなくても、きちんと歴史を描くことで感動できるドラマは作れます。( ^)o(^ )
「江戸百万の民に泥炭の苦しみをなめさせて作る国に、これから先どんな望みがある!」「主君を守るのがおれの役割」という勝の言葉に、慶喜の首を諦め、江戸無血開城で収める吉之助。なぜ、こうあっさりと収まったのか。この戦は、日本のため民のためと言いながら、唯々慶喜が憎いと龍馬の言うことも聞かず、己の恨で始めた戦。
革命戦争の目的、目標が明確でなかったということになりますね! 西郷という人物が、当時あまりにも小さすぎたということでしょうか。
吉之助と慶喜の面談。西郷のクーデター見立てが間違っていたことを認めるというおかしなはなしですね!
ここは、会いもせず話も聞かないのが武士の情けでしょう。何故この段階で会う必要があったのか分からなかった。唯々悲しかった。松田翔太さんの無念、悲しみの演技はよかった!
***
記事 20181009