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第37回「江戸無血開城」

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慶応41868)年1月、西郷吉之助(鈴木亮平)率いる新政府軍は、鳥羽伏見の戦い慶喜松田翔太)を大将とする旧幕府軍を討ち破った。家臣たちを置き去りにして去った慶喜を追い、5万の兵とともに江戸に向かったのでした。そして、江戸総攻撃を33日と定める。
 
そんな折、吉之助は幾島(南野陽子)の手引きで極秘で江戸城へ招かれる。待っていたのは、かってともに慶喜を将軍に擁立しようと尽力した篤姫天璋院北川景子)だった。
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吉之助は広い書院に通され、天璋院が、
「頼みがある。慶喜の首ひとつで、この戦を終わらせてくれ」と切り出し「思えばわが人生の天変は慶喜様で始まった。しかし、この始末は自らつけなければならない。慶喜様が死したのち、わたしは自害するつもりだ。徳川家だけは救って欲しい」と頭を下げて懇願します。
 
吉之助は「天璋院様をそこまで追い込んでしもうて、申し訳ない。時の移り変わりは非常なもの。新しい世を天下に示すには、徳川を完膚なきまでに打ち砕かねばならない」と断り、「天璋院様と幾島様を藩屋敷に迎える準備をしている」という。これに幾島が激しく抗議して、咳き込む。
天璋院は「わたしはここにいます。徳川の名を賭けて、私も命を賭けて戦うのみ」と応じるのでした。吉之助は一礼して立ち去る。
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江戸城総攻撃の前日、半次郎(大野拓郎)と川路(泉澤祐希)らが警備する薩摩藩邸一室で、吉之助は勝(遠藤憲一)と会見。勝は「江戸を火の海にしてくれるな!降伏だ!」と切り出し降伏条件を出してきた。
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それは、
慶喜は隠居して水戸に謹慎する。江戸城は明け渡し、抗戦を主張する家臣の暴走を止めるため一部を残して、すべての武器・弾薬の類は引き渡す。慶喜の暴挙を助けた者には寛大な処分をというものでした。
 
勝は、「おめえさんほどの人なら勝者のたしなみをご存知ないとは思えない。江戸百万の民に泥炭の苦しみをなめさせて作る国に、これから先どんな望みがあるという新しい日本とは何ぞや」と問う。
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「民を見捨てることは出来ん。守るべきは民です」と長い沈黙のあと「分かりもした。京でいろいろ論議があると思いもすが、おいに任せてくだされ!」と勝の降伏条件を引き受ける。これに勝は大泣きをする。
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半次郎(大野拓郎)と川路(泉澤祐希)呼び、総攻撃中止を告げ、「ひとつだけ譲れん!慶喜の首」と勝に条件変更を申し出ると「おれは幕府の筆頭幕臣だ。主君を守らねばならん。そのために勝海舟がいる。会いに行けばいい。おまえさんらの喧嘩はそちらでかたをつけてくれ」。そして、「江戸が焼けないでよかった。今年も上野の桜が見られる。上野にお前さんの銅像とやらでも建ててやらねえと」と笑うのでした。
遠憲さんの人柄のでたいい演技でした!
 
吉之助が寛永寺を訪ね、慶喜に会う。慶喜は、
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「俺を殺しに来たか、こんどこそ、その脇差で俺を刺すか、早くやれ!」
「何故に戦わずに逃げた。恐ろしくて逃げたか?」
「ロッシュから逃げた。ロッシュは12万の兵と15万丁の銃で援助する。そのかわり勝利したら薩摩を寄越せと。戦が長引けば薩摩はイギリスを引き入れ、日本の中でフランスとイギリスが戦い、勝った方が日本を取る。おれができるのは、逃げることだった!」
「おいもあなたが恐ろしかった。今ようやくわかりもした。ヒー様こそあなた。徳川の血を引くものに生まれたことが不幸でした。徳川将軍最後の意思をしっかり見せてもらった。よくぞ逃げて、日本を守ってくれました」
 
この吉之助の言葉に、慶喜は涙するのでした。松田翔太さん、とても気品があって、その無念さがよく出ていました。
 
京に戻り、吉之助は新政府の組織つくりに当たる岩倉(鶴瓶)、一蔵(瑛太)、桂(玉山鉄二)らに、勝から示された降伏条件を示す。
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大方の同意を得るが、桂ひとりが「慶喜の首をはねなければ、長州の屈辱を晴らすことはできぬ」と反対する。
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徳川慶喜を許し、武器弾薬、軍艦まで残せたら、いずれまた戦いになる!」
「そんときは、おいが慶喜を討ちもす」と吉之助が発言し桂の反対を抑える。
 
勝と山岡鉄舟(藤本隆弘)が寛永寺慶喜を訪ね、「戦はなしです。天子様が寛大に許され、城を開け渡すことになりました。西郷が苦労してやり遂げました」と報告する。

慶応4年4月11日、慶喜は謹慎の地・水戸へ向かうべく寛永寺を発った。
 
一方、江戸城では官軍が乗り込み、粛々と明け渡しが執り行われ、城内の鉄砲も次々と引き渡された。
西郷はひとり、大奥へ足を向ける。そこには天璋院と幾島が待っていた。
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「西郷、慶喜殿を斬るのではなかったのか」
「おいには斬れもはん!」
「徳川に家を守ってくれたこと、礼を言います」

天璋院は侍女に命じ、徳川家の宝ものともいえる書物を、吉之助の前に積み上げ、「天下を治めるのは、戦をするより難儀。これからは役にたつこともありましょう」と差し出す。
 
西郷は、二宮尊徳の農政の書を見て「こいつが広がれば、百姓がどれほど助かりますか」と喜ぶ。
信吾(錦戸亮)、半次郎、川路(泉澤祐希)らが広間に入ってくると、なんと吉之助は本に埋もれてうたた寝でした。() ばかばかしい!
 
これがのちに、西郷が大久保の富国強兵策と対立するという伏線? しかし、天璋院に会うという理屈にはなりません。()
 
こうして、のちの世にいう「江戸無血開城」は終わった。ところがこのとき、すでに新たな争乱が起きようとしていたのだった。
上野寛永寺には、新政府に不満を持つ旧幕臣や各地からの脱藩浪士が集まって「義を明らかにする」と彰義隊が名を上げた。山岡鉄舟が説得にあたるが聞き入れない。
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江戸城官軍指揮所では「山岡でも収められん。はやく東北諸藩、旧幕府海軍を抑えねばとやっきになる。 
旧幕府方会津藩をはじめとする東北諸藩は徹底抗戦を叫び蜂起、榎本武揚率いる海軍も江戸湾から脱出した。
 
京では、桂が「あのとき完膚なきまで討つべきであった」と嘆く。これに一蔵(瑛太)が「われらには金も兵器もない」というと「長州を先頭に立てればやれる!手は打ってある」と主張する。      
 
江戸城。新政府軍の軍議が開かれる。吉之助は「長引くと多くの血が流れる。江戸の民を苦しめる」と事態を憂慮していると、そこに「あんた、戦がわかってない。上野が長引くと思うているが半日でおわります。戦を知らん皆さんに教えたる」という男が現れる。
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この男「長州藩士・大村益次郎林家正蔵)、桂さんから遣わされました」と名乗る。これで、流れは一気に上野攻めへと向かう。
 
磯田屋。勝は吉之助と酒を飲みながら「大村が出てきたか、これで江戸で血が流れる。これからも戦う気か?」と問う。
「戦う、彰義隊のあとは会津と庄内。そのあとは分からん、見えない」
「なにせよ、死んではいけないよ、西郷どん。龍馬が夢見た、新しい国を作ってくれ!」
 
感想:
「なんじゃ、この結末は!」という回でした。
ありもしない設定で、奇を衒うこのドラマ、やり過ぎはいけません。こんなことをしなくても、きちんと歴史を描くことで感動できるドラマは作れます。( ^)o(^ )

「江戸百万の民に泥炭の苦しみをなめさせて作る国に、これから先どんな望みがある!」「主君を守るのがおれの役割」という勝の言葉に、慶喜の首を諦め、江戸無血開城で収める吉之助。なぜ、こうあっさりと収まったのか。この戦は、日本のため民のためと言いながら、唯々慶喜が憎いと龍馬の言うことも聞かず、己の恨で始めた戦。
革命戦争の目的、目標が明確でなかったということになりますね! 西郷という人物が、当時あまりにも小さすぎたということでしょうか。
 
吉之助と慶喜の面談。西郷のクーデター見立てが間違っていたことを認めるというおかしなはなしですね!
ここは、会いもせず話も聞かないのが武士の情けでしょう。何故この段階で会う必要があったのか分からなかった。唯々悲しかった。松田翔太さんの無念、悲しみの演技はよかった! 
これまでの慶喜の描き方に問題があったのではないでしょうか。慶喜は、これまで描かれたようなバカではなかった!
 
天璋院が「慶喜の首ひとつで、この戦を終わらせてくれ」というくだり。徳川家の首長の首を差し出して、恥を忍び生き延びて、どうするのですか。天璋院は斉彬の娘。このようなことを言い出すことはないでしょう!
 
また天璋院が西郷に江戸城内で会うことは絶対にない。西郷が本好きで、江戸城から持ち出したという故事に引っかけた物語。彰義隊の戦闘でもしっかり描いて欲しかった。
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記事 20181009
西郷どん」第37話は9・9% 大河ドラマ1桁台は「花燃ゆ」以来3年ぶり