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第43回「さらば、東京」

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明治61014日。帰国した岩倉(鶴瓶)を交えた最初の閣議が開かれ、隆盛(鈴木亮平)が「朝鮮に派遣されることになった」と発言すると大久保(瑛太)が「断固承服しかねる。西郷参議!」と反対を唱える。
 
実は大久保は先の宴席で岩倉に「西郷に勝ちたい。今の政府を潰したい。そのためには西郷の朝鮮行を覆す」と語り、西郷派遣案を潰す密約を交わしていた。

閣議が続く。
「西郷参議、今、朝鮮国に出向けば戦になります」
「戦にはならん。軍艦も兵もつれずに一人で行く」
「一人で行けば殺され、それが戦の火種になる」
「礼節を持って接すれば、気持ちは必ず通じる」
「甘い、異国を知らぬ者が、異国を語るとは笑止」
「異国であろうと、心を尽くせば必ず伝わる」
「朝鮮国のことなど捨ておけばよい。まずは富国徴兵が先だ。そのためには欧米のよう石炭を焚き蒸気を起こして鉄をつくり、武器、船、鉄道を作る。国の端から端まで走る鉄道だ。これで欧米列国に対応できる力をつける。そうすれば向こうから使節を送ってくる」
「朝鮮と国交を結べば欧米に対する強い壁が作れる」
「陸軍大将を兼務する参議が行けばもめるは必至。そうすれば列強は一気に両国を飲み込みに来る」
「いま国内には混乱で政府に対する士族の不満が滾っている。俺が朝鮮に行くといえばそちらに目が行く。これも強兵だ」
「それが目的ならば、国交を結ぶことにはならない。西郷参議はなにも見えてない」
「お前も見えていない!朝鮮には居留民の2000人が俺たちが来るのを待っている。危険に晒すのか」
「今はその時でない」
「皆殺しにする気か!」
太政大臣!これ以上議論は無駄だ。私と岩倉卿で唱える案で・・・」

ここで江藤が、岩倉と大久保の参議罷免を要求する。三条(野村万蔵)は決められない。岩倉はついに西郷に屈し、「西郷、望みどおり。朝鮮に行って来い」と決断を下す。
こうして、朝鮮使節派遣は可決され、三条が帝(野村万之丞)に奏上することになった。
 
会議室での論議、とても面白い論争でした! 西郷の論は視点が小さく観念的、これに対して大久保は国際的視点に立ち論理的だ。恐らく大久保の勝ちでしょう。何故岩倉は西郷の論に屈したか?
 
この結果について、大久保が激しく岩倉を責める。ふたりは「これではやっておれない内閣を辞める」と喧嘩を始める。これもふたりで仕組んだ罠?
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これを聞いていた三条が突然胸の痛みで倒れ、床につくことになる。(笑)
 
一方、朝鮮派遣の準備に余念のない隆盛に、従道が「思い留まって欲しい」と訴えるが聞く耳を持たない。
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従道が万一の場合と拳銃を渡すが、話し合い行くだけと受け取らない。
 
鹿児島の家族に隆盛朝鮮派遣の報が届き、糸(黒木華)らが心配する。()
極秘事項でしょう、こんなことが知らされるわけがない!
 
1018日の閣議は、三条、岩倉、大久保が遅れ開かれないでいるところに、岩倉がやってきて三条が倒れたために中止と伝える。
 
予定されていた閣議は中止となり、隆盛は三条邸に見舞いに訪れた。
面会できる状態ではないというので、家令に「ゆっくり休んでください」と頼んで帰り始めると、三条が呼び止め「すまん!留守政府はよかった。帝と政府と日本の民が扇のようにきれいに繋がっていた」と涙を流し、「大久保が恐ろしいことを企んでいる」という。
 
この間に、岩倉は天皇野村万之丞)に「西郷の朝鮮派遣は取りやめる」と報告し、許しを受けていた。
 
三条が倒れて数日後、再び閣議が開かれた。太政大臣の席に三条でなく、岩倉が座っている。
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「朝鮮国使節派遣については、天子様のお言葉を伝える」と派遣見送りを伝える。
 
実は三条が倒れたことで、岩倉を太政大臣代理とし、天皇には西郷が朝鮮に行けば命を落としかねないと奏上し、天皇の命令で西郷の朝鮮派遣の目論見を潰すという大久保の策略があった。
 
板垣、江藤が、「謀議だ、許すわけにかいかん」と岩倉に詰め寄る。岩倉は「三条が倒れ、俺が案を奏上して何が悪い」と反論する。
隆盛は「論議を尽くしたものが駄目なら、我らがここにいる意味がない」と詰め寄る。
岩倉の「天子様が、お前のことを気にかけておられた。死に急いではいかんとな」という言葉に、「万一の事態には居留民を助けて欲しい。おいの役割は、ここまででございます」と岩倉に深く頭を下げ、会議場を出ていった。これを見送る岩倉の目には涙が光っていた。

執務室で荷物をまとめていると、桐野(大野拓郎)たちがやってきて「兵を連れて岩倉のところに行く」という。
隆盛は、これを「兵を動かしてはならん!お前らは一人一人が政府の人間じゃ。それぞれになすべきことがある。辞めることも騒ぎ立てることも許さん!」と言い渡す。
皆、しんみり聞き入るが、従道だけはこれからのことを危惧していた。
 
明治6年1024日、隆盛は政府に辞表を提出した。その翌日、「このままでは終わらんぞ」という言葉を大久保に投げ、江藤、後藤(瀬川亮)、板垣(渋川清彦)も政府を去った。
 
大久保は岩倉に新しい人事を示し、敵対する土佐・肥前の主要な面々を政府から追放し内務卿として、国政における大きな権力を握ることになった。
 
岩倉は木戸(玉山鉄二)、伊藤(浜野謙太)、山県(村上信吾)を料亭に招き、西郷が去ったことで陸・海の兵が暴れるあるいは薩摩が兵を挙げることを恐れて、木戸に政府に戻るよう懇願する。しかし、木戸は「西郷君はそのような男でない」ときっぱり断る。
 
隆盛が長屋の子どもたちに「論語」を教えているところに木戸がやってきた。
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隆盛が「木戸様まで政府を降りるというのではないでしょうね」と尋ねると、「条約改正に失敗し、留守政府の長州者が汚職にまみれてしまった。その責任をとる」という。
隆盛は「異国を見てきた木戸さんには腕の見せ所で、山県や伊藤のためのも政府に残ってもらいたい」と勧める。
そして「人は皆、間違いを犯すもの。間違いを認め、どうそれを正すかでその人の器量がわかる」と諭し、木戸の政府に残ることを願った。「そのことば、しっかり胸に留めておこう」と微笑む。お互いの気心が一致し、和むふたりでした。
 
大久保が帰宅すると、隆盛が待っていた。大久保が「何故隆盛を家に上げた」と隆盛に聞こえるようにおゆう(内田有紀)を叱りつける。あまりにも無礼な大久保の態度。しかし、これに怒りを見せず、隆盛はテーブルを挟んで向かい合い大久保に問う。
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「おれは土俵際で岩倉様にやられた。これは、おはんが仕組んだ諮りごとか?」
「そうじゃ」
「おはんはむかしから頭のよい秀才じゃった。どうしてあそこまでずる賢く、頭を使わねばならん」
「俺には理想の国家像がある。邪魔する輩は排除する。おはんの人を信じるという政は甘い。そんな生ぬるいやりかたでは、欧米列強にやられる!」
「なんで言ってくれなかった。こんな喧嘩なら腹を割って話せばわかる。こんな周りくどいやり方は好かん!おはんも知っておろうが」
「何とでも言え、俺を憎め!みんな覚悟のうえだ」
 
隆盛は「無理を言うな!嫌いにはなれん。ずっとふたりでやってきた。おはんに何度も助けられた。そんなおはんをどうして憎めるか」と涙を見せる。そして「俺の負けだ。これは戦場だ。あとはおはんの思うように、一蔵どんのやり方を見ながら鹿児島で過ごす。鉄道を走らせたら、それで薩摩に遊びに来てくれ」と言葉を残し、大久保邸を後にした。
大久保は隆盛が去ったあと、目頭を押さえるのだった。ここまで喧嘩して、これは何の涙、友情? いずれも大人の対応ではない!
 
隆盛は鹿児島に帰る挨拶伺いで友情を確かめたかったのだろうが、叶わなかった。隆盛がつまらんことを聞き出したのも悪いが、大久保の人情を解せないこの姿勢に唖然とした。こんな男だったんですかね?
 
翌朝、隆盛は熊吉(塚地武雄)を伴い鹿児島に発った。信吾は「西郷の名に負けぬよう国に尽くす。ありがとうございました」と見送った。
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隆盛はこれが大久保との永遠の別れになるとは思っていなかった。
 
感想:
会議室での隆盛朝鮮派遣の是非論議、とても面白い論争でした! 西郷は視点が小さく感情的、これに対して大久保は視点が国際的で論理的だ。恐らく大久保の勝ちでしょう。しかし、岩倉はこうはしなかった。

大久保の西郷潰し策により、三条が病気で欠席とし岩倉が議長代行となり、天皇を利用し、一度決まった閣議がひっくりかえし、西郷が内閣を去ることになるという「明治6年の政変」。
これで江藤、後藤(瀬川亮)、板垣(渋川清彦)も政府を去ることになるという一網打尽の反政府邪魔者退治。みごとな大久保の罠でした。
しかし、天皇を動かして政治をわが物にするという大悪弊を生みましたね! 大久保は日本国の進むべき道を敷くという大仕事をなしたが、これは大久保最大の罪でしょう。
 
隆盛が大久保を訪ね「この政変がおはんの謀か」と諮問するシーン。創作ドラマでしょうが、いくつもある説の中で、この説が事実であるということでしょうか。
あまりにも西郷がお人良しに、半面、大久保は人の気持ちを汲めないとんでもない悪人にみえました。()
瑛太さんの悪っぷり、凄みが出てよかった!しかし、鶴瓶さんんは・・・
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記事 20181119
西郷どん」第43話は11・6%、6週連続で2ケタ視聴率