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「ボヘミアン・ラプソディ」(2018)

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本作、イギリスの伝説的ロックバンド「クイーン」のボーカルを務め、45歳という若さで亡くなったフレディ・マーキュリーの半生を描くというもの
 
ラスト21分の伝説のライブ「LIVE AID」に、彼の全人生が見て取れ、エイズで亡くなった彼の生涯一瞬にかけた歓喜に感動し、涙なしには見られません。今となっては、メンバーに、家族に、観る人に、そして世界の人々への愛のメセージにも思えます。
 
クイーンというバンドを知りませんでしたが、どこかで耳にした楽曲の数々が流れ、これがクイーンだったのかという程度のわたしの観賞記です。
 
監督は「X-MEN」シリーズのブライアン・シンガーブライアン・シンガー監督は撮影最終盤に降板しており、クレジットではデクスター・フレッチャーとなっています。
なお、バンド・メンバー、ブライアン・メイロジャー・テイラーの全面協力を得ての制作です、
 
主演はTV「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」のラミ・マレック。共演にルーシー・ボーイントン、グウィリム・リー、ベン・ハーディ、ジョセフ・マッゼロらです。
 
「ライブ・エイド」当日、フレデイが起床し舞台登場するシーンで始まり、過去へとさかのぼり、音楽活動のみならず私生活もしっかり描かれ、この会場でのパフォーマンスで終わります。彼の人生かこのライブに集約され、とても感動的です。時制がはっきりしないのがやや難点です!
 
ラジオ放送に初出演。口パクでしか出演できなかった彼らが、フレデイの音楽のジャンルを問わない独創的で挑戦的な作家性でビッグになっていく一方で、彼のセクシュアリティにより恋人メアリーとの別れ、家族との絆での苦悩。エイズへの恐怖、孤独感のなかで、友情という光を見つけ一瞬に賭ける生き方を見出す。
 
こうして、すべてが「ライブ・エイド」で完結するというラストシーン。フレデイの音源、キャストのパフィーマンス、クイーンと観る者が一体となった会場の熱気で、この会場にいるような臨場感があります。ここでのラミ・マレックの熱演がすばらしい。
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1970年、ロンドン。3人編成のバンド“スマイル”が空港に降り立ち、そこでポーターとして働くフレデイ(ラミ・マレック)との出会いから物語が始まる。
彼は、スマイルの演奏を聞いての帰り、メンバーのボーカルが止めるというのを聞きつけ、自らボーカルを志願する。
 
早速、メンバーのブライアン・メイ(グウィリム・リー)とロジャー・テイラーベン・ハーディ)と、自作の歌をはもる。ブライアンが「この顔で?」と驚くと、「出っ歯で口腔が広くなり、声が籠る」という。これが彼の独特の音声源!() 正直、彼の顔を見たとき、この人がミュジシャンと思いましたね!() ミラの名演技です。
 
メンバーになったことで、恋人メアリー・オーステイン(ルーシー・ボーイントン)の衣裳店を訪れ、衣装を買う。なんと女ものを選び、メアリーにアイシャドでアイラインを引いてもらい、ふたりで鏡を見てにっこり。当時、すでに彼にはその気があったんですかね?
 
三人で立つステージ。フレデイのステージパフォーマンスにブライアンとロジャーが驚く。そして会場が盛り上がる。
 
1年後、ベースにジョン・デイーコンを加え、バンド名をクイーンに改める。
田舎を巡業中に、車が故障。フレデイの提案で、車を売って、その金でレコードを作ることにする。
三人が知恵を出し合う。音にこだわりがあるフレデイが、ふたりを引っ張る。三人の声がどう重なるのがよいか、ドラムのティンパニにコインをばら撒いて叩き、ギターアンプを振り子のように揺らして音を作り出すなどで、奇抜かつ斬新な楽曲作りを始める。三人がとても楽しそう。
 
こうして、代表的な歌曲やパフォーマンスが生まれるエピソードが描かれ、とても楽しめます。
 
この活動がエルトン・ジョンのマネージャーをしていたジョン・リード(エイダン・ギレン)の目に留り、彼がマネージャーを志願。さらに弁護士のジム・“マイアミ”・ビーチ(トム・ホランダー)や、リードの知人ポール・プレンター(アレン・リーチ)が加わり、クイーンの活動が本格化していく。そして作ったのが「キラークイーン」。
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1974年、BBCの「ヒップ・オブ・ザ・ポップス」に出演。とはいえ、演奏なし、口ぱく。しかし、これが大ピットとなる。
 
これを機に、フレデイがメアリーに求婚。「絶対に外さないで欲しい。君は運命の人」と指輪を渡す。キスしようとしたところに、メンバーの三人が走り込んできて「アメリカツアーが決まった。レコードを作るチャンスだ」と歓喜の叫び。
 
アメリカツアーは、どこに行っても大成功。EMIレコード会社社長レイ・フォスター(マイク・マオヤーズ)から「キラークイーンを超える曲を作れ」というリクエストが入る。

フレデイが「それなら、オペラだ。スカラ座の夜でどうだ。オペラ規模のロックを作ろう」と突飛でもないことを言い出す。
 
1975年、山の中のレコーデイングハウスにこもり、作品制作に入る。各自に部屋が与えられ、自由に思索できる環境。
フレデイは美しい夕日を見て、メアリーを想い、一気に「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」を書き上げる。
 
「恋人への想いだ」と聞いたポールが、いきなりフレデイにキスをしてくる。これにフレデイは戸惑い、ポールを叱責するが、彼の心の奥にはゲイの心が動いていたんですね。
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そして、大草原を眺め、ピアノで音を取りながら、「どちらのせよ風は吹くけど、僕には本当に大したことないのさ、僕にはママ、人を殺してしまった・・・」と詩が湧き出し、泣き出す。
「次はオペラパートだ!」とブライアンにギター音を要求し、書き上げる。
こうして出来上がった「ボヘミアン・ラプソディ」に、四人が大喜びする。
 
しかし、「これはアドバイスと違う。6分という歌はラジオに合わん。呪文のような歌はかけてもらえない」と却下し、「マイ・ベスト・フレンド」が採用された。
 
彼らは社長に石をぶつけて去り、キャピトルと契約する。そして、ステージで歌いまくると大反響。
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メアリーに久しぶりに会ってもTVの話だけ。彼女から「最近おかしいよ?」と問われ、自分がバイセクシャルだと告げると、「あなたはゲイ」と去って行く。彼はひどく落ち込む。
 
1980年.フレデイは口ひげを付け、ヘヤにはウイッグ。美しくして歌うようになる。
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メアリーを失いたくない。彼女のアパートが見えるマンションに引っ越し、メアリーにライトでメッセージを送る。()
 
一方で、ポールとの関係は深くなり、酒を浴び乱痴気騒ぎを始めるようになる。こんな中でホテルのボーイ・ジム・ハットン(アーロン・マカスカー)に出会い、一目で恋し愛を告白する。
 
ブライアンから、観客とより一体になって唄うために、楽器を離して手拍子で唄うことが提案される。このための曲が「ウイ・ウイル・ロック・ユウ」。
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フレデイはマイクを操り、「デーオ」「レーオ」「エーロ」と声を掛け、観客を取り込むステージパフォーマンスに変化していく。
 
エアリーは結婚してアパートを去り、またポールの企みでジョンを失ったことから激しい孤独感に陥り、ツアーをボイコットしCBCと契約してソロアルバムを出したことでメンバーから離れることになった。
 
1984年、ミュンヘンで曲作りを始める。とはいえ、酒に溺れ体力が衰弱していく。
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大雨の日、彼の活動を心配したメアリーが訪れ、「ライブ・エイド」への参加を促す。
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フレデイは、このことをポールから聞かされていなかったことで、彼と決別する。
そして、泣きながら雨の中、去っていくメアリーを追うフレデイ。涙がでました。メアリーのフレデイに寄せる愛と信頼が彼を生き返らせましたね。
 
フレデイはジム・ビーチの仲介で、これまでの自分のとった行動を「おれが身勝手だった、バカだった。どうすればいいか言ってくれ」とメンバーに謝罪した。三人は「誰の作曲、作詞でもすべてクイーンだ」ということを条件に、フレデイの謝罪を受け入れた。
 
フレデイは、TVニュースでエイズ患者を目にし、診断を受けエイズに侵されていることを知る。「永遠に生きたいが永遠の命はない。もうすべてが決まっている。この世界にはすばらしい一瞬が準備されている」と「ライブ・エイド」に賭けることにする。
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仲間に「これは秘密だ。俺はエイズだ」と告白し「残された時間でつくる、パフォーマーだ。俺が生まれた意味がある。天国に届く!」とライブへの意欲を語る。三人は「お前は伝説だ!」とこれを快く受け入れた。
 
ライブ・エイド」当日。エミリー夫妻、ジム・ハットンを招き、ステージに上がったフレデイの後ろには、三人のメンバーが控え、ライブが始まる。
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フレデイのピアノで始まる「ボヘミアン・ラプソディ」。「ママ、人生は始まったばかり、なのに今僕はやってしまって全てを放り投げてしまった・・」に、エイズであることを告白したように聞こえる。次いで「レディオガガ」(作曲:ロジャー・テイラー、)「ハンマートゥーフォール」(作曲:ブライアン・メイ)、そして「伝説のチャンピオン」(クイーン)で彼の人生を語り、すべての人への感謝で終わったと感じた。
 
人生の価値は生きた時間の長短に関係ない、いかに生きたかです。そして、人はひとりでは生きられない。フレデイの人生に感動です。すばらしい作品でした。
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