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第42回「両雄激突」

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菊次郎(城桧吏)はアメリカ留学を決め、父とともに東京に出て、ともに留学する琴(桜庭ななみ)の長男・市来宗介(前川優希)とともに英語を学んでいた。
 
菊次郎と宗介がアメリカに発つ日が来た、出発前に、隆盛(鈴木亮平)は息子の髪を整えながら、「アメリカには豊かな大百姓が大勢いる。それは作物や牛馬の育て方が学問として成り立っているからだ。国が富むということは、皆が腹一杯飯を食えること。こうなれば皆が前を向き、国は自然とまとまる。きばって学んでこい!」と送り出した。
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ロンドンにいる大久保(瑛太)から手紙が届いた。岩倉使節団が日本を出て、もう一年になっていた。
手紙には、「アメリカで不平等条約を改めさせようとしたが全く相手にされなかった。欧米の近代化は予測をはるかに超えるものであり、対等など無理だ。これで頭の毛が抜けてしまった。もっともっとこちらで学ばねばならない。しばらく留守にするがよろしく」と書かれていた。
 
隆盛の執務室。使節団は1年を過ぎても帰ってこない。隆盛は「おらん者を頼ってもしかたがない。政務の停滞は許されない」と前に進むことにする。
従道が「留守中に何もしないという使節団との取り決めを無視することになる」と心配する。
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「政府を信用してもらうには、国と民のためになる改革を行い、成果を示さねばならん。すべてが国と民にとって役に立つ政策じゃ。一蔵どんも分かってくれる」と約束反古を意に介しない。
 
隆盛は、山県とともにすすめていた徴兵制度を、従道に「頼んだ!」と言い、書類を抱えて会議室に出てゆく。
 
会議室に入ると、江藤(追田孝也)が「これは犯罪だ」と怒鳴り、これに後藤(瀬川象二郎)、板垣(渋川清彦)と大隈(尾上寛之)が加勢し、井上(忍成修吾)に詰め寄っている。
井上薫が秋田銅山を不正に差し押さえ、私腹を肥やそうとしているというもの。
 
井上は「わたしは貶められている」と言い張ったが、隆盛が「本当か?」と問い詰めると黙り込んでしまう。隆盛はこの職を去るよう勧める。
 
三条(野村万蔵)が「これでは長州の者がいなくなってしまう」と慌てる。
隆盛は「いつまでも、そげなこと言っておれん」と腹を括り、「使節団の帰りを待っておれん。何もしないは民への裏切り、やらにゃいかんことが山積みずある」と皆を促す。
 
こうして、江藤、後藤、大木喬任(濱田嘉幸)の三人を参議に加え、新しい留守政府が土佐・肥前意見をまとめ上げるという形で動き出した。
 
隆盛の長屋では、住民たちが政府に生血を絞り取られると騒いでいる。()
血税とは徴兵制度のこと。民の中から兵を募り、国を守る士を作るのだと納得させるのでした。()
こうして、留守政府は「徴兵制度」「学校教育制度」、「地租改正」、「太陽暦の採用」、「鉄道の敷設」など、のちの世に繋がる成果を上げていったのでした。
 
夜中、三条が隆盛を訪ね「岩倉がいないときにこんなことをしてよいのか!今の政府の陣容見たら何というか。夢に岩倉が出てきて寝れん」と訴える。()
 
そこに、侍従が宮中で火事が発生したことを伝えてくる。隆盛は現場に急ぐ。3時間も燃え続け宮殿は焼失。天皇は無事避難されておられ安堵して帰宅すると昏睡状態に。目が覚めたのは2日後であった。
従道が「心臓が弱っているので無理しないように」と勧めるが、「休んでおられん」と立ち上がるが立てない。しばらく休むことにした。
 
隆盛は静養中であったが、留守政府の面々は済々と政務に励んでいた。
 
大久保が、予定より8月も後れ、なんの成果を上げることなくの帰国であった。留守政府に顔を出す。
江藤らに「これから目指すべき日本の姿があったのでしょうか? ゆっくり話を聞いている暇がない。莫大な経費を費やし何も成果を挙げられなかったあなたの席はここにない。参議でもない大久保様に居てもらう必要がない。引き取って欲しい」と言われ、大久保は無念な思いでここを後にする。
 
療養中の隆盛の長屋に、大久保が訪ねてくる。大久保の表情は硬い。
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大久保が「莫大な国費を使って異国まで行ったあげく、なんの成果もあげられないと非難された」という。そして、
「石炭と鉄からありとあらゆるものを作り出し、それを自国で使うばかりでなく、異国に売って富を築く。進んだ国はこれほどまでにすごかぞ!」
「なんとなくわかる」
「見た者でなければわからん。江藤も後藤も板垣も、おいをないがしろにしている。俺のいう通りにさせてくれ。あの三人を辞めさせる。岩倉(鶴瓶)様が戻ったらすぐに内閣を立て直し、欧米に負けない日本を作ろう」
「それはできん!江藤たちは留守政府をしっかり支えてくれている」
「おれは無効じゃ。政府の人事は触るなと言うた!」
「おはんらが加わるということでよかろうが」
「船頭が多すぎる、政にならん!」
「皆で議論したら・・」
「無駄だ。ドイツでは小国300の諸国をまとめた。日本もまとめにゃいかん!」
「焦ることはない。おはんの学んだことは無駄はならない」
「やさしいな。その優しさに連中から付け込まれている。それが分からんか。おれは譲れん理想がある」
「不満だったら政府におらんでよか。薩摩に帰れ!俺と江藤らで十分だ!」
大久保は無言で帰っていった。隆盛は言い過ぎたなと反省をする。
 
とても面白いシーンでした。大きな理想を持ち帰った大久保には、江藤らの反対で理想は進められないという焦りがみられる。また、西郷には、今の体制でうまくいくという自負心がある。
 
数日後、政府に復帰した隆盛を待っていたかのように、「朝鮮が、急速に欧米に接近する明治新政府を認めず、今後は交易はおろか、国に立ち入ることを許さぬと布告してきた」という朝鮮との国交問題が浮上した。
 
板垣は「すぐに朝鮮に軍艦と兵1コ大腿を差し向け、わが国への非礼を詫びさせるべきだ」と主張。これに隆盛は「戦はいかん。2000人の日本人がここにいる。両国の関係が悪化し戦になれば真っ先に捕らえられ犠牲になる。あくまでも礼節を重んじ、全権大使を派遣し、交渉による関係改善に努めるべきである」と反対した。

誰が行くのかということになり、
隆盛が「一刻を争います。三条様、急ぎ天子様にお許しを」と命の危険もあるその役目を、隆盛自が引き受けると言う。
しかし、三条は「岩倉公を待ったほうがいい」と決断しない。隆盛が「堂々たる一国の政府が、国事の大事にその是非を決められないなら、いますぐこの政府はやめたほうがよい」と大喝する。これに誰も反対する者がいない。
こののち2か月議論して「隆盛の朝鮮派遣」という形で決定し、天子様に上奏した後、実行に移されることとなった。
 
隆盛は、大久保との関係を修復しようと、隆盛が屋敷を訪ねても姿を見せない。「政府には一蔵どんが必要じゃ・。ようわかった」とおゆうさん(内田有紀)に言い残して帰る。
 
明治6913日、予定より1年遅れて岩倉使節団が帰国する。岩倉は天皇に帰国報告するも「失望している」と叱責され、大きく落ち込む。
 
落ち込んだ岩倉を、伊藤が慰めるふりをして料亭に誘う。そこには木戸、山県ら政府に居場所のない長州勢が待っていた。岩倉に「このままでは江藤、後藤の言いなりになる」と留守政府への不満をぶつける。
伊藤が「取り決めを破った西郷さんこそ責められるべきだ。大久保さんが政府を去ることになる」という。これに岩倉が興味を示す。
 
そこに大久保が現れる。そして密議が交わされた。
 
朝鮮派遣の話は止まったまま。隆盛が「政府で決めたことを覆るのではないのか」と三条を問い詰めると「わからん!わからん!」の一点張り。
 
1014日、帰国した岩倉を交えて閣議が開かれた。
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隆盛は朝鮮派遣も件は閣議決定のとおり実行されるものと思っていた。
隆盛が「すでに閣議決定されており、・・」と朝鮮派遣の件を持ち出すと、岩倉が大久保に発言を促す。
これに江藤がクレームを付けると、「大久保は天皇の許しを得て参議だ」という。
大久保が「朝鮮派遣のこと、私は今一度考え直すべきだ。断固承服しかねる。西郷参議」と発言。隆盛に向けられた大久保の目は、これまでの目ではなかった。
 
大久保と岩倉の間で、何が話し合われたのか!
 
感想:
新たな留守政府の成立と近代化背策の推進、欧米視察からの大久保の帰国、西郷の朝鮮派遣閣議の取り消しを経て、西郷と大久保が対立していく有様が描かれ、大久保と西郷の人間ドラマとしてはとても面白かった。
 
西郷と大久保の対立は、伊藤を外し新たに江藤・後藤・大木を参議に加えた新留守政府で大きな成果を挙げた西郷の自信と欧米で見た近代化の政策を強力に推し進めたい大久保の自負心の衝突、さらに大久保の江藤嫌いによるもの。
大久保の”焦り”がよく出ていた。大久保は西郷の意見を聞き入れ、もっと大きく政治を見ることができなかったのかと思わざるを得ない。史実はよくしらないが、大久保が小者だったということなのかな。

さらに、西郷の朝鮮派遣を阻止する大久保のやり方が、あまりにも強引で、ここには大久保、岩倉、三条による陰謀があったのではないかと思われ、これが一層ふたりの対立に拍車をかけることになったのかな。
 
岩倉がなぜまとめ役として動かなかったのか、天皇との関係だろうが、ここでの岩倉の人を喰ったようなあからさまな態度、鶴瓶さんはこのためのキャステイングではなかったかと。それにしてもすごい演技でした。()
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記事 20181112
西郷どん>第42回「両雄激突」視聴率11.3% 大久保と西郷、対立深め…