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「運び屋」(2018)

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映画界のレジエンド、クリント・イーストウッドアメリカ犯罪史上最高齢の運び屋に扮し、監督・主演した大注目の話題作。公開初日に足を運びました。
 
年相応に今しか描けない枯れた作品でドラマとしてとても面白いですが、老いたから言えるイーストウッドからの人生への後悔と提言であり、なんだか彼自身の人生総括を聞いたように思え感動し、感謝したいような気分です。
 
あらすじ:
一日だけ開花するというデイリリーの栽培事業に入れあげて家族をないがしろした挙句、その事業の失敗で家財を一切失った孤独な88歳の男アール・ストーン(クリント・イーストウッド)。
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ひょんなことで知り合った男の紹介で麻薬の運び屋になり、当初は1回だと思っていたが金を手にした高揚感で、リンカーンピックアップトラックを安全運転で、時に気儘に寄り道して、マフィアの監視も、捜査当局を翻弄しながら稼ぎまくり、マフィアの親分にも一目置かれる存在になっていく。
 
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しかし、仲間割れで親分が殺され、新しい組織で監視が厳しく行動が制限され、当局の捜査網も縛られてくるなかで、妻が余命間もない癌であることを知らされ、俺の人生何であったのかと「人生で一番大切なもの」に気付くというストーリー。
 
 
テーマは人生で一番大切なことは家族の絆。「時間がなかったとはいうな!」です。この物語は87歳で逮捕された実在のコカインの運び屋レオ・シャープをモデルに、家族と疎遠になったアールが家族と和解していく物語を加え「家族の愛の物語」になっています。
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共演者に妻メアリーにダイアン・ウイースト、娘アイリスを実の娘アリソン・イーストウッド、彼を取り上げてくれるマフィアの親分ラトンにアンデイ・ガルシア、アールを追い詰めていく麻薬捜査官ベイツにブラッドリー・クーパーなどと監督の身近な人がキャステイングされていて、「愛が一番」と実娘に、そして「妻を大切せよ」と愛弟子クーパーに聞かせるところはもう映画とは思えないです!( ^)o(^ ) ブラッドリーは、泣くべき役ではなかったが、撮ったあとで体の向きを変えて泣いたとう。とてもよいシーンでした。
 
アールは妻を看取りことはできたが、強い後悔の念が残った。逮捕され判決で弁護士から軽減の訴えがなされたが、「俺は罪を犯した」と毅然と刑に服する男の意地を通すころがイーストウッドらしく恰好良い。これは真似てやろうと思っています。( ^)o(^ )
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コカインを載せて数100Kmも荒野をドライブするアールは、緊張感もなく、カーラジオを聞きながら鼻歌で運転する姿に、イーストウッドがこれまでに演じた作品が思い出され、改めてイーストウッドとともに生きてきた時代に感謝でした。
運搬路の風景が美しく、特に思い出のあるホワイトサウンドを観ることができて大感激でした!
 
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3回目の運びで、警官の検問を受けあわや麻薬探知犬に見つかるかもしれない事態に痛み薬を使ってうまく危機を回避し、ここで初めて自分が麻薬運搬人であることを知るというシーン。麻薬捜査官に次第に追い詰められていく過程はスリリング。そして、運搬中に出会う人とのエピソードはユーモラスで、すばらしい脚本でした。
 
なかでも、マフィアの親分ラントに認められ、メキシコ風豪邸に招待されて、褒美に美女ふたりを与えられ、「男になりに行く」と息巻くアール。お尻、お尻だらけの映像、イーストウッドが狂ったかと思いました。()
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宿泊したモーテルを囲む麻薬捜査官。危機一髪のところで逮捕されるところを逃れ、翌日朝、捜査官ベイツとコーヒーショップで対面し、「運が悪かった」と昨日の失敗を嘆くベイツに、「家族のことを忘れたはいかん!女房は大切に、俺みたいになるぞ!仕事が二番目にしておけ」と諭すアール。働く男にはこたえる台詞でした。(笑)そして、相手がブラッドリーだけに、おもしろいシーンでした。( ^)o(^ )
追い込まれたアール。そこに孫娘ジニー(タイッサ・ファーミガ)から妻メアリーの危篤を聞かされ、仕事を放棄して駆けつける。
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メアリーに「何をやって大金をもっているの」と聞かれ、「運び屋をしている」と語るが、妻は「側にいるのに金はかからない」「あなたは人生の最大の愛しい人で、最大の苦痛だった」と言葉を残して亡くなった。(笑)セリフがよかった。そして、ダイアン・ウイーストのうまい演技でした。
 
 
葬儀の後、かっての自宅に戻り、娘アイリスから「お父さん、みごとな花だった(うまい!)。感謝祭には招待するわ」と言われ、「必ず行く」というアール。
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やっと家族との和解ができたシーンでした。仕事中毒の人、必見の映画でした。()
 
この後逮捕され後悔し、軽減を断り罪を認めて刑に服するという男の意地を通すところが恰好いいですね!びっこをひいて法廷を去る姿が痛々しかった。うまい演技です。
 
老いの醜態を見せる作品を自ら創って見せるというイーストウッド、すごいことです!まだまだ期待しています。
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