映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「評決のとき」(1996)目と頭でなく、ハートで陪審員の心を掴め!

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裁判を目前に控えていまして、裁判劇を観たいと思っているところに、WOWOWでの放送。

原作はジョン・グリシャムの処女作。彼の新米弁護士時代の体験に基づく作品。

新米弁護士が、街を荒らす無法者の白人ふたりが黒人少女を強姦。これに復讐した黒人の父親を弁護し、数々の脅迫、妨害のなかで、如何にして無罪を勝ち得るかと苦悩するサスペンス・タッチで描くヒューマン・ドラマ。

初々しい弁護士が大きく育つ瞬間に立ち会える映画。大義のため、法を超えてもと、徹底的に弁護依頼者に尽くす新米弁護士に喝采でした。弁護士を演じたマシュー・マコノヒー出世作です!

弁護士はいかなる人物が望ましいか?この映画はその回答を与えてくれています!

監督:ジョエル・シュマッカー、脚本:アキヴァ・ゴールズマン、撮影:ピーター・メンジーズ・ジュニア。

主演はマシュー・マコノヒー、共演にサミュエル・L・ジャクソンサンドラ・ブロックケヴィン・スペイシードナルド・サザーランドキーファー・サザーランドオリヴァー・プラットアシュレイ・ジャッドら多彩と多彩です。


A Time To Kill Trailer

あらすじ(ねたばれ):

材木業の労務者カール・リー(サミュエル・L・ジャクソン)の長女トーニャ(10歳)が町の嫌われ者の白人ビリーとテイラーのふたりに強姦され木に吊るされるが、一命を取り留めるという事件が発生。

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カールは新米弁護士ブリガンスに、かってブリガンスの兄が世話になった縁を頼って擁護を要請。強姦者ふたりが裁判所に出頭したところを、軽機でぶち殺し、保安官ルーニークリス・クーパー)に右脚切断という重傷を負わせた。

ブリガンスは事務所の同僚弁護士ハリー(オリバー・プラット)と秘書のエセル(ブレンダ・フリッカー)、妻カーラ(アシュレイ・ジャッド)の反対されるがが、町を汚すならず者は許されないと、またカールの娘を自分の娘ハンナに重ねて、幼い子がレイプされた親がレイプ相手を殺す気持ちは理解できると、カールの殺人事件裁判の弁護士を引き受けた。カールは白人なら無罪、だから黒人の自分も無罪だと主張した。

担当検事は地方首席検事のバクリー(ケビン・スペイシー)で、ブリガンスは勝ったためしがない、陪審委員さえしっかり押さえておけばカールは死刑だと資金準備をする。裁判官は次期州知事を狙うヌース判事で黒人が勝利など受け入れられない。

レイプ犯ビリーの弟フレディ(キーファー・サザーランド)は、KKK団本部に頼み込み、自らが支部長となり町にKKK団を立ち上げ、ブリガンスや黒人たちの裁判活動を妨害する活動を開始した。

第1回の裁判。ブリガンスは「心身喪失で無罪」を主張。バクリー検事は「死刑」を主張し、精神科医は検察側にと強く主張した。ブリガンスは裁判地の変更を申請したが却下された。ところが密かに法廷に紛れ込んでいた司法生のロアーク(サンドラ・ブロック)が「裁判地変更却下は認められないという最高裁判例」をブリガンスに渡す。ブリガンスがこのことをヌース判事に訴えるが再び却下された。

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ロアークは高名な弁護士の娘で、死刑制度廃止を志す司法生。ブリガンスの手助けをしたいというが、ブリガンスは断った。

ブリガンスの事務所は電気経費も払えない状況。カールもその資金はない。幸い黒人牧師のエイジー(トーマス・メルディス)が寄付を募り裁判資金を作ったが、NAACP(黒人地位向上委員会)という組織を通じて白人弁護団がカールの裁判をやりたいとやってきた。カールとブリガンスはうまく連携して弁護団の不正を見ぬき、ことなきを得た。

ブリガンスは裁判に勝にかためには、黒人に有利な裁判地への変更とカールが心身喪失状態にあったと証言できる精神科医を確保すること、さらにカールが保安官ルーニーに謝罪しておくことだった。

KKK団によるブリガンス家族への攻撃が始まった。ハンナは黒人弁護士の子と虐められ、夜中ブリガンスの家の周りで十字架を燃やしで脅す!遂に時限爆弾が仕掛けられる。妻のカーラは、この仕打ちに耐えられず、裁判を続ける夫をなじって、娘ハンナを連れて実家に帰ってしまった。

ブリガンスはヌース判事の自宅を尋ね、再度裁判地の変更を求めたが「傷害致死で懲役20年でどうだ」と言い、裁判地変更は断られた。

残るは精神科医をどうするか?だった。恩師のウィルバンクス(ドナルド・サザーランド)弁護士からウィラード(ダグ・ハッチソン)精神医を紹介された。

ここにきて、ブリガンスはトーニャが犯された写真がいると、ロアークを弁護団に加えた。

ブース判の召喚状で集まった150人の陪審員のうち拒否権を使う人が何人いるかチェックした。ダメだった!

裁判所の外ではエイジー牧師の率いるカール支持者のデモが始まった。KKK団が裁判所に押しかけ、陪審員に圧力をかける。

黒人、KKK団、これに警官隊が加わり、いたるところで火炎があがるという、不気味な夜が続く。

ブリガンスはこの裁判の勝ち目は検察側の精神科医ロードヒーバー博士(アンソニー・ヒールド)のマイナス材料を見つけることだとロアークの資料集めに託した。

KKK団は裁判所にブリガンスの自宅に火をかけ、秘書のエセルの夫に危害を食われるなど一層激化し、軍隊が出動する騒ぎとなっていった。

裁判が始まった。重症を負った保安官のカールを擁護した。弁護側の精神科医ウィラードは「カールは心身喪失にあった」と証言した。一方、建設側の精神医ロードヒーバーは「正常だった」と証言した。

ロアークの情報が欲しいと思っていたところに、ドアークが精神医の勤める刑務所病院から資料を盗み出し、これまでロードヒーバーが関わった殺人事件証言11件のなかに1件も精神喪失者はないが、現実には刑務所病院に匿われていることが分かった。

これで勝てたとこの日の裁判を終え、法廷を出たところでKKK団に襲われ、警護の保安官が撃たれた。またロアークも襲われ、レイプされた。ブリガンスはロアークの入院する病院を尋ね、謝った。

翌日の裁判で、バクリー検事が弁護側の精神科医ウィラードに過去に強姦罪があったことが明かされた。もはやブリガンスに勝ち目がない! このとき恩師のウィルバンクスから「自分で乗り切れ!俺を超えろ!」と励まされた。

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カールに「あとは取引だ!第2種殺人を認めれば終身刑だ」と話し合った。カールは「あんたは白人だから、それを逆に利用して、陪審員を動かせる」と暗示した。

最終答弁でブリガンスは正義のため法の前で平等な裁判が受けられねばならないと黒人に対する偏見を戒め、目と頭は怖れと憎しみでしばしば偏見に毒されるとしてハートで感じとれるものが純粋だと説き、陪審員・傍聴人に目をつぶって聞いて欲しいと促し、少女が強姦された状況を詳細に明かし少女は白人の子だったと語って、判決を仰いだ!

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陪審員の判定は、ブリガンスの勝となった。カールの無罪を祝う黒人たちのパーティにブリガンスは家族を伴ってやってきた。

感想:

作品の背景が何時の時代、場所はどこかが明示されないが、現在の黒人騒動を見るとおり、同じことがアメリカでは今でも起こっています。

平等な黒人裁判には偏見を取り去ることだが必要だと「アラバマ物語」(1962)で説かれ、その精神はこのドラマでも描かれ、最新作「黒い司法0%からの司法」(2019)に引き継がれています。

いまだ解決の糸口さえ見えないこの大問題に、新米弁護士はどう取り組んだか?

裁判官、検察官、弁護士、陪審員さらに群衆、KKK団を絡ませながらサスペンス風に描いた弁護士物語はこれが初めて。この状況を打破するために正義や偏見だけを説いていいのかという現場弁護士の葛藤が描かれています。

KKK団の不気味な動向、黒人たちとKKK団が衝突など暴動の発生する事態がリアルで、このような状態のなかで、家族や同僚を失いながら、嘘をついてでも大義に向かって進む弁護士の姿に感動です。柔らかそうで、芯のある熱血弁護士を演じるマシュー・マコノヒーがとても魅力的で、これに絡むスーパー美人のサンドラ・ブロックにハラハラさせられます。(笑)

映像が美しく独特のカメラワークでスリリングに描いてくれます。

ブリガンスがすべての攻め手を失って気付いたのが、徹底的にカールの心情を汲み、正義のために敵を騙してでも黒人を擁護することだった。このことが歴史を変えるここにこの作品の意義があります。

弁護士は依頼人の心情を汲み、法を超えたところにまで踏み込む勇気がなければならないことを教えてくれます。弁護士さんにはこうあって欲しいと思います!

                                                        ***

「浅田家!」(2019)パンフレットでより深く味わえる作品です!

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「湯を沸かすほどの熱い愛」「長いお別れ」の中野量太監督作ということで期待していました。家族の絆の物語、しっかり描かれていて、監督らしい作品でした。

さいころから写真好きで、家族の応援のなかで撮ったユニークな家族写真で世に知られ、東北大地震発生時瓦礫のなかに埋もれた家族写真の洗浄作業を行うボランティア活動を通じて、家族の絆と人生における写真の力を知るという写真家としての成長、家族の絆を問う、ユーモアと涙溢れる物語です。

写真集「浅田家!」「アルバムの力」の写真家、浅田政志さんをモデルにした作品。なぜ彼は家族写真家で世に出ることができたか、そして家族写真の力とは何かを問う作品です。

この映画にはすこし高価なパンフレットが準備されています。何故このような贅沢なパンフレットと思いましたが、理由があるんです!写真家浅田さんが出演者をモデルに撮った十数枚の家族写真が掲載されています。この写真を見たら一目瞭然、作品のテーマが全て解き明かされます!劇中の個展シーンで、来客が微笑む意味が分かります。

脚本:菅野友恵 中野量太、撮影:山崎裕典、音楽:渡邊崇。主題歌:「S.Wonderfull」歌THE SKA FLAMES

主演:二宮和也、共演に妻夫木聡平田満風吹ジュン黒木華菅田将暉


映画「浅田家!」予告【2020年10月2日(金)公開】

あらすじ(ねたばれ)):

浅田家の当主浅田章(平田満)の葬儀で、亡き父親に家族が声を掛けるシーンから物語が始まります。この映像には、作品の大きなテーマが隠されています。この映像を観て、私にはこういう写真を持っていないことに、大きな失敗をしでかしたなと思っています。

この席で長男の幸弘(妻夫木聡)は弟政志(二宮和也)が家族を巻き込んでなりたい写真家になったと言います。

1989年、政志10歳。父・章は看護師の妻・順子(風吹ジュン)に代わって、主夫として、家族を支えていた。ケーキを作っていて包丁を落とし、脚に大怪我。そこに遊びから戻った政志が巻き込まれ、二階にいた幸弘が転げて駆けつけ、いずれも父親を思うばかりに怪我を負い、母の勤める整形外科で治療。治療が終わって、息子たちに送った順子の言葉が“あっぱれ”だった。(笑) 

政志12歳の時、父親が年賀状に添えるため専修寺で家族写真を撮って、そのカメラ、ニコンFeが政志の手に渡った。

記念に撮った写真は家族の写真と幼なじみの川上若菜だった。若菜には忘れられない宝物の写真となった。

政志は19歳で写真専門学校に入って、以来音沙汰なかったが、22歳のとき突然家に帰ってきた。父章がタコ焼きで祝った。この作品は料理で人の絆を描くので、なにを食べたかが大切なんです!(笑)

政志は、担任の先生に「一生であと一枚撮るとしたら何を撮るか?」という卒業課題に応えようと“あの日”の写真を撮りに戻ったのです。しかし、政志のカラフルな井出たち(刺青)に驚いた! (笑)

撮った写真は、皆でコスプレして、父が包丁で怪我して母の病院で治療したときのもの「怪我」。これで政志は最高賞を貰った。

その後、24歳で実家に戻って、パチプロ暮らし。そんななかで父が話した「俺はなれなかったが、なりたい自分になれ!」の言葉に発奮、父親の「消防士」、母親の「極道」、兄貴の「レーサー」等、成りたい自分の写真をコスプレして家族で撮りまくった。兄幸弘が恥ずかしい思いをしながら、全面的に支援した。

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政志は撮ることに自信ができ、この写真を持って東京に出てきて、若菜のアパートに同居させてもらい、プロの写真家を目指した。

幾つもの写真出版社に応募するが「オリジナリティはあるが家族写真は売れない!」と断わられ、路面に這いつくばって亀の動きを撮っていた。これを見た若菜が、自腹を切って、政志のために浅田家の家族写真をテーマにした個展を開いた。訪れる人は、みなさん笑いながら観て帰っていく。その中で小さな出版社「赤々舎」の代表・姫野希美(池谷のぶえ)に目を付けられ、出版した。このとき政志と若菜は鍋料理で祝い、ふたりで泣いた。

しかし、売れなかった。ところがこの作品が写真の芥川賞と言われる木村伊兵衛写真賞を受賞した。ことのほか若菜が喜んだ!

授賞式には家族が出席し、父・章」が「カメラを教えたのは私。受賞は私の手柄。70年の人生で自慢できるのは息子と生甲斐のある家族です」と挨拶した。

これを機に政志には各地から家族写真を撮って欲しいという依頼が入るようになった。最初に撮ったのは三陸海岸、野津町に住む高原さんの家族写真だった。しっかり家族の願いを聞いて、感情を込めて、桜の満開のなかで微笑む家族の写真を撮った。

次いで白血症の子供をもつ佐伯家の写真を撮った。子供が虹が好きというので家族で虹になってもらった。この写真を撮るとき、この家族の運命に政志はレンズを通して大粒の涙を見せた。

2011年4月、富山で仕事中、東北で地震があったことを知り、高原さん安否が心配で、震災地にやってきた。そこで大学院生小野陽介(菅田将暉)が津波で泥だらけの写真を洗浄するのを見て、外川美智子(渡辺真紀子)とともにボランティアとして参加。沢山の写真を洗浄し、写真を見て喜び元気になっていく人々を目にした。そして避難所となっている小学校の中に写真保管所を立ち上げた。

写真保管所に自分で作った家族のアルバムを持って訪れる内海莉子(後藤由依)がいた。なかなか父親が見つからない。ある日、政志が家族写真家と知って家族写真を撮って欲しいと言い出す。政志は多くの方が亡くなっているなかで撮ることはできないと断った。

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父・章の72歳の誕生祝いに実家に戻った。楽しい誕生会であったが父が脳卒中で倒れた。見舞いにきた若菜が「浅田家の写真に入れて!」と言うので、加わってもらうことにした。(笑)

父の早い回復をと兄・幸弘と専修寺を尋ね、ここで父が写真を撮ってくれた家族写真を思い出し、写真保管所に戻った。

莉子に家族写真を撮ると伝え、莉子と母親、妹の希望で、父の思い出のある海水浴の写真を撮ることにした。冬の海岸での撮影。莉子の父親が見つからないわけが分かったといつも莉子が身に着けている腕時計を自分の腕につけ、ポーズをつけて写真を撮った。莉子が泣いた! 自分が家族写真を撮ること自体に意味があることを知った。

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政志は幸いに高原家が安全であったことを掲示板で確かめることができた。

2011年9月、写真保管所を閉所し、仕事は外川さんが引き継ぐことになった。8万枚の写真を集め、6万枚が引き取られた。写真は記憶を大切にしてくれるものであるが、今を生きる力になることを知った! 政志はある日、父・章の生前葬家族写真「お葬式」を撮った。

感想:

前段、家族写真で家族の絆、政志の写真家としての成長を描く。後段、東北地震での写真洗浄作業を通じて、多くの死者に出会いそれが家族と結ばれていく姿に、写真の真の力を知るという2段構えの描き方。ふたつの話がうまく続くうまい脚本でした。パンフレットの家族写真を見れば、家族の絆や政志の成長は分かると、ストーリーを描かないパンフレットも粋なものでした。

忘れかけている津波震災の被害状況や支援活動が生々しく伝わってくる、見事なセット撮影でした。

出演者、皆さんの演技、すばらしいです。二宮さんのカラフルな井出達から立派なプロカメラマンまでの変化のある演技。その都度美しい涙を見せるという演技に酔わされます。

小野さんの無口で、黙々と写真を洗浄する姿。こんな平凡な人が、これほどの大きな仕事を成し遂げたことに、物語の本筋ではないが、感動しましました。菅田さんが演じているとは思いませんでした。分かってびっくり。作品のなかで、決して表にでない菅田さんの押さえた演技もよかったと思います。

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一番のお気に入りは父・親章です。木村伊兵衛写真賞受賞式での挨拶にみるように、家族を愛してやまない父親の姿を見ることになります。この父があっての浅田家。演じる平田さんが自然な演技ですばらしく、立派な家長さんでした。

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「ザ・シークレット・サービス」(1993)ケネディ暗殺事件をモチーフに、ただの犯人追跡のエーゼント物語ではない!

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米大統領選が目前に迫っています。大統領を身を投げ出して守る護衛官の話ということで、NHKBSプレミアムで観賞。

第66回アカデミー賞(1994)で助演男優賞編集賞脚本賞にノミネートされた作品。物語は抜群に面白いです!

ケネディ大統領付き護衛官として、ダラスでの暗殺を防げなかったことを後悔するホリガンの元に、「大統領を暗殺する!」と挑発する謎の男が現れる。二度とこのような事件を起こさせないと再び大統領付護衛官となったホリガンと謎の男との対決を描くというもの。

ケネディ暗殺事件をモチーフにした作品。犯人が元CIAの男でジム・ギャリソン判事(ケネディ暗殺事件での唯一の裁判)が新犯人と推論する人物像に近いだけに、ダラス事件を思い出させてくれ、ただの犯人追跡の刑事物語ではない、アメリカの闇を思い出す作品だと思います。

エンターメント作品として、華やかな大統領選挙遊説の現場、シークレットサービスの勤務実態を知るとともに、恋あり、大アクションありで、楽しめる作品になっています。

ホリガンはプロの警護官と、いかなることがあっても“己の目”で相手を発見し、相手が撃った銃弾を身をもって受け止めるという信念の男(原題:In the Line of Fire)。ホリガンを演じるクリント・イーストウッドには大満足の役だったでしょう!

監督:ウォルフガング・ペーターゼン、脚本:ジェフ・マグワイア、撮影:ジョン・ベイリー、音楽エンニオ・モリコーネ

出演者:クリント・イーストウッドジョン・マルコヴィッチレネ・ルッソディラン・マクダーモット、ゲイリー・コール、フレッド・ダルトン・トンプソン、ジョン・マホーニ、クライド草津ジョン・ハードトビン・ベル


映画CM 「ザ・シークレット・サービス」テレビスポット

あらすじ(ねたばれ):

偽札犯罪捜査で“シークレット・エーゼント”と見破られ捕まったアリ(ディラン・マクダーモット)を素早い拳銃さばきでいとも簡単に救出するホリガン(クリント・イーストウッド)。アリは狂言回し役で、ホリガンを支えます。

ホリガンは伝説の大統領付警護官。ダラスでケネディ大統領を狙った弾を受け止められなかったことに大きな後悔を持っていた。これで妻子と別れ、今は孤独でバーでピアノを弾いて慰めるのが唯一の安らぎ。

アパートの管理人から男(J・マクローリー)が部屋に奇妙な物を残して消えたという通報で駆け付けると、ケネディ暗殺事件の報道記事・写真記事、模型フアン誌などを発見。調べるとマクローリーは31年前に死亡していたことが分かった。

引っ越し先のアパートは空になっていて、ケネディ大統領暗殺時の写真が貼られ、警護についていたホリガンの顔に丸印がついていた。

夜アパートに帰ったホリガンにマクローリーから電話が入る。「辞めずにシークレットにいたか!大統領を殺す!あんたも敵だ!」と怪電話があった。

翌日、ホワイトハウスシークレットサービス室に出向き、主任のワッツ(ゲイリー・コール)に自分への電話の傍受と大統領付護衛官に戻してくれることを訴えた。

早速、大統領の街頭パレードの警護に付いた。しかし、若いエーゼントと一緒に走るのはきつかった!

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勤務を終えてアルの車でアパートに帰る途中で、“模型フアン誌”を買ってアルに調べるよう頼んだ。

夜、またマクローリーから電話。「あのとき銃声に反応したのはあんたが一人だった。しかし、教科書倉庫をちょっと見上げればいいのにそれをせず、あの惨事。なんでせんかった?恐怖か?」と言ってきた(ヴォーレン・レポート)。これにホリガンが激怒した。逆探知は成功したがその場所にはマクローリーはいなかった。

仏大統領とのディナーを止めるよう首席補佐官に具申したが、拒否された。ディナーの警備に、女性シークレット・エイジェント:リリー(レネ・ルッソ)と共についた。

クローリージョン・マルコヴィッチ)は、プラスティックで銃を作り、サウスウエスト銀行に「マイクロ・スタンリーコーポレーション」名義で口座を作っていた。口座を作る際、おしゃべりな女性行員と会話して、素性がばれると彼女を殺害した。

シークレットサービス室にマクローリーから電話が掛かってきた。「こんども大統領のために命を捨てるのか?ヴォーレン・レポートで警護官に落ち度があったと書かれているぞ!やめとけ!ケネディには死の願望があったんだ。自分勝手なケネディだったんだ!」。電話の傍聴に成功し、駆け出したが、逃げられた。この際マクローリーは車に当たり指紋を残した。

指紋はFBIで解析したが、「これは機密だ!」とホリガンには「解析不能!」としか知らされなかった。

6日間で12州を巡る大統領の遊説に同行することになった。アルに模型フアン誌の分析を依頼した。

大統領がエアーフォースに乗り込み、大パレードを繰り広げる映像がうつくしい。ホリガンは警護に立ち続けた。カリフォルニアが決戦地と報じられていた。

一方、マクローリーはカルフォリニア勝利寄付金5万ドルを大統領に送金していた。

エアーフォースで移動中、リリーが「立ち番のとき何故サングラスをしないか?」と問うと「異常者を見た時、目で威圧感を与えるためだ!」という。ふたりはすかりいい関係になっていった。(笑)

急遽アトランタに会場が変更。雨の中で任務に就いた。風邪をひいた。次にシカゴ、雨の中での演説だった。「テロ!」と声を上げ、大統領が防護体制をとったが、これが風船の音を銃射撃音と間違えたことが分かった。「大統領が臆病に見える!」とホリガンは任務を解かれた。リリーからは「ケネディの愛人が訪ねてきたとき俺のだ!と言って停職になったでしょう。同じよ!」と慰められた。(笑)

夜、マクローリーから「風船が割れてパニクったか?なんであんな男に命を投げる!変わった仕事だ!バカだよ。俺は憂さ晴らしで殺す!」と電話があった。

アルから模型フアン誌を呼んで模型製作工場を尋ねると、政治に執着を持ち復讐するといっていた男がいたという情報を得た。似顔絵から身元は「ミッチ・リアリー」だと割れた。

彼の居場所を襲うと、そこでCIAと出くわした。CIAは「工作員で非公式任務、暗殺要員だった。不要になり解雇した」という。リアリーはプラスチックの拳銃の試射を終えていた。

ホリガンはリアリーの色々な変装写真を作らせ、警護官に持たせた。

リアリーが長電話を寄こした。「この国は美しい国だと思ったが無理だった。俺は身の毛がよだつような仕事をしていた。やつら(CIA)にそんな男に仕立てられ、俺を殺しにきた。一緒にやらんか!大統領を箱に入れて返すよ、カリフォルニアだ!」。

この長電話を傍聴し、リアリーの居るホテルに駆けつけた。彼はビルを伝って逃げる、これを追うホリガンとアル。ホリガンが捕らえられ危機に陥ったが逃げ切ったが、アルが射殺された。アルが死の直前に「この仕事を降りたい」と言っていただけに、ホリガンは「目をしっかり見たから息を止めてやる」と復讐を誓った。

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リアリーに「ダラスで任務を果たしたか?選択したか?本当に弾を喰うガッツがあったか?」と問われたのを思い出した。再び大統領付護衛官を懇願した。

リアリーのいたホテルの部屋に“SW・スケラムLA”の紙切れが遺されていた。電話番号をエーゼントスタッフに調べさせた。

ロスの「ザ・ウェスティン・ボナベンチャーホテル」。大統領到着前のホテルの安全確認でベルボーイを異常者と誤認したことで大統領付護衛官を外され、サンディエゴに先行して準備を命じられた。

空港で、エアーフォースワンの到着を見て思い出し、リアリーの部屋にあった紙切れの住所に電話すると銀行に繋がり、口座を作った当時の行員が殺されたと聞いた。

ホリガンは急遽ホテルに引き返し、寄付者名後、参加者名簿と調べていく。リアリーは変装して支持者グループに紛れ込み、密かにプラスチック銃を組み立て、装填を終えた。

大統領がリアリーに近づく。リアリーが銃の引き金を引き、ホリガンがその先に飛び込んだ!

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大統領暗殺に失敗したリアリーはホリガンを人質にエレベーターに逃げ込んだ。ホリガンの機転でリリーにエレベーター上部を撃てと指示。狙撃隊が射撃し、その隙に逃れたホリガンがリアリーを追い詰め、彼はエレバーターから投身自殺した。

感想:

前半は見えないマクローリー(リアリー)の影に、ホリガンが警護中になにが起きるのかとハラハラさせられる。後半はリアリーが姿を現し、ホリガンとリアリーが交互に描かれ、預金口座、宿に残したメモ、プラスチック拳銃などの伏線がよく繋がり、どういう形で対決することになるかとひやひやで、よく出来た脚本でした。

ラストの“ザ.ウェスティン.ボナベンチャーホテル”のパーティで大統領にリアリーが近づき発砲すると同時にホリガンが飛び込み、大会場の混乱。このあとホテルのエレベーターでのふたりの格闘と息つく間のない展開でした。

 イーストウッドのラブシーンはサービスでしたね!(笑)

 リアリーのキャラクターが圧巻で、ジョン・マルコヴィッチが凄みを出しています。CIAに恨みをもつ殺人偏執者。いったいCIAは当時如何なる動きをしていたのかという大きな疑念を抱かせ、CIAがケネディ暗殺に関わったことを暗示しているようでとても面白い。実際にこういう人物がいたかもしれないことに驚きです。

オリバーストーン監督の「JFK」(1991)が参考になります。

クリント・イーストウッドはこの年、自らが監督俳優(兼)でパーフェクトワールド」(1993)を撮っていて、ケネディ暗殺事件によほどの思い入れがあったのでしょうか、ここでもこの事件を背景にしています。

                                          ****

「インターステラー」(2014)5次元は空間、時間、重力、愛情の世界だった!

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[テネット]、映像の謎解きのような難解な作品でした。そこで、監督の映像世界を知りたくて、この作品に挑戦、DVD鑑賞です。

世界的な飢饉や地球環境の変化によって人類の滅亡が迫る近未来。最愛の娘を残し未知の宇宙へと旅立った元宇宙飛行士が、宇宙と地球の時間差という大きな壁を乗り越えた愛の力で、世界を救うという物語。

しっかりした科学的な根拠を持たせたSFとして、“驚くべき宇宙”を見せてくれます。 “宇宙で試される人間性、そして“重力に負けない愛の力”が描かれています。「テネット」より人間ドラマになっていて楽しめます。

相対性理論なんか知らないでも、十分楽しめる作品でした。これが良い!

監督:クリストファー・ノーラン、脚本:クリストファー・ノーランジョナサン・ノーラン、製作総指揮:ジェイク・マイヤーズ、ジョーダン・ゴールドバーグ、“キップ・ソーン”,撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ、編集:リー・スミス、音楽:ハンス・ジマー。“キップ・ソーン”はノーベル賞学者です。

出演:マシュー・マコノヒーアン・ハサウェイジェシカ・チャステイン、ビル・アーウィンマッケンジー・フォイエレン・バースティンマット・デイモンマイケル・ケイン


映画『インターステラー』特別予告 2020年9月4日(金)IMAX®にて緊急公開【2週間限定】

あらすじ(ねたばれあり)

地球環境の変化で食糧危機。いまではNASAも空軍も亡くなった元宇宙飛行士・クーパー(マシュー・マコノヒー)は、飛行士時代の技術を生かして、トウモロコシ農業を営んでいるが、例年猛烈な砂嵐に見舞われ、人類が滅びるのでなないかと不安を持っていた。彼にはトム(ティモシー・シャラメ)という長男、マーフィ―(マッケンジー・フォイ)という娘がいた。マーフィーは父親が宇宙飛行士ということに誇りを持ち、天才的な能力、ポルターガイスト現象を読み解く力があった。クーパーの書斎で時に起こる本の位置のずれに規則性を見出し“ユウレイ”がいるという。

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親子がインド軍のドローンを、トウモロコシ畑を踏み倒して追い駆けるシーンは爽快でした。

野球見物中に発生した大砂塵の波紋に規則性があることに、マーフィーの予言が当たっていると気付き、ある地点が関係していることを突き止めた。そこは潰れたはずのNASAだった。

ブラウン博士(マイケル・ケイン)から請われてラザロ計画」のために移住可能な星を探すパイロットとしての参加を要請された。ラザロ計画にはA計画:地球人を他の惑星に移住するという案と、B計画:受精卵を保管し、移住先の惑星で人口培養する案から成り立ち、A案で実行、すでに別の銀河の3つの星に人を送っているという。博士は重力方程式を示し、「君が帰るまでには必ず解く」と約束した。クーパーは「家族に会えれば」とパイロットになることを引き受けた。

しかし、マーフィーを納得させることは難しく、「親は子供の記憶の中に生きる」と後ろ髪惹かれる思いで宇宙に旅立った。

クルーはクーパー、ブラウン博士の娘アメリア(アン・ハサウェイ)、ロミリー博士(デヴィッド・ジャーシー)、ドイル(ウェス・ベントリー)にロボットのTARS、CASE。レンジャー号で地球を発ち、宇宙船エンゲュランスに乗り変え、14か月の冬眠カプセルで土星近くのワームホームに。手動でこれを通過。ワームホームは初めて見るのでとても興味がありました。

ワームホームを抜けたところで、先人の3つの星は“ミラー星”、“マン星”、“エドマンズ”のいずれを検証するかを論議した。

マン星は先発12名を率いたマン博士(マット・デイモン)が発見した星で、毎年報告がある。ミラー星も毎年報告がありここからの距離が最も近いが、ガルカンチェア(ブラックホール)の軌道上にある。エドマンズ星は3年前で報告が途絶えているが、彼はアメリアの恋人だった。

ドイルが「ミラー星は重力が強く時間の流れは遅い。1時間が地上の7年に相当する」とミレー星を押した。クーパーは「確実性、短距離、任務の容易性」ということでミラー星調査を主張すると、アメリアがこれに賛成し、ミレー星に決定。

クーパー、アメリア、ドイル、CASEがレンジャー号でミレー星に向かった。ロミリーはエンゲュランスに残り、ブラックホールのデーター収集に当たった。

一面海だった。膝までの水深。アメリアとドイルが船を降りてミレーの足跡を探す。機体の破片が見つかった!ブラックボックスを収容している時、大きな山のような波が襲ってくる。重い重力によるもの。急いでCASEがアメリアを収容したが、ドイルを置き去りにして宇宙エンゲュランスに戻った。アメリアは「命よりデーターが大切だ」と言い張った。

使った時間は23年4か月。地上から送られてきたビデオレターを見た。トム(ケイシー・アフレック)は農業を継ぎ結婚し子供が出来てクーパーはお爺ちゃんになった。マーフィー(ジェシカ・チャステイン)は「父とあのころと同じ歳になった」と言い帰って来ると言ったのにと悲しそうな表情をした。マーフィーはブラウン博士と一緒に重力の方程式を研究していた。

次に調査する星は決まっているようなもの。だか、アメリアがエドマンズだと言い張る。クーパー7が恋人だからかと聞くと「そうだ!」と言い「愛は時間も空間も超える。愛の未知の世界で信じていい」という。クーパーが「間違いだ!」と反対。アメリアは受精卵が安全であることを確認し「エドマンズの星でコロニーを作れば人類を救える。あなたは子供に会うことを考えているが、それが人類の未来を選ぶことにふさわしいのか」と反論。TARSが決を採ってマン博士の星に決まった。

マーフィーは病院で療養中のブラウン博士に呼ばれ「嘘ついていた。方程式は解けず、クーパーが地球に戻っても救えない!」と告白した。マーフィーは激怒した。父も嘘を言ったのか?

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レンジャー号でクーパー、アメリア、ロミリーが氷のマン星に降り、マン博士のキャンプに入った。博士は日付も決めず冬眠カプセルに入っていた。起こすと感激で泣いた。「マン星は氷の下は地表があり水と大気も大丈夫、人類は生存できる」という。

そのときアメリアにマーフィーからの「博士は嘘ついていた」のメッセージが伝えられた。クーパーはブラウン教授の目的は人類の移住ではないことに疑念を持ちアメリア、ロミリーに説明を求めた。ここはしっかり両博士が相対性理論ブラックホールを説明してくれるがよく分からなかった。(笑) ブラックホールの中が解明されていないらしい。マン博士が「その代案がB計画だ!」という。クーパーは「地球人を皆殺しにするのか?」と反発すると「地球は終わりだ。希望はない」と言い切った。

クーパーは地球に帰ることに決めた。ロミリーから「ガルカンチェアは重力が強力だか潮汐力を利用して地平線を猛スピードで突っ走れば生きれる。地平線の向こうは全くの謎だから量子データーを送信できたら方程式は解ける。送信機をTARSに持たせればいい。光通信装置はマンのものを使えばいい」と教えられた。

ロミリー、アメリアがここで活動できるよう研究棟、生活棟を作る資材をCASEの操縦するランダー号で運び込むことにして、その場所選定にマンの案内で出掛けた。

マンは「ここは人類の星だと思ったが嘘だ。死を覚悟していたが誰かが迎えにくるよう信号を送り永眠カプセルに入っていた。生きると決まったら(他の星の探索だ)、お前を帰すわけにはいかん!宇宙船エンゲュランスが必要だ!」とクーパーを襲い、谷に突き落とした。クーパーは目覚めアメリアに連絡してランダー号に収容された。

命を捨てて宇宙探索に執念を燃やす狂気の男がいる。監督はうまく描いたと思います。

マンは資材を焼き払い、ロミリーを殺害してレンジャー号を奪い、エンゲュランスに向かい、これにドッキングを試みる。クーパーとアメリアはランダー号でマンを追った。マンは主動でのドッキングに失敗し宇宙に消えた。

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エンゲュランスはガルカンチェアに向かっていた。クーパーは「エドマンズ星に行こう」とアメリアを誘った。彼女が微笑んだ!「ガルカンチェアの水平線まで行き重力ターンでエドマンズに行く」と伝え、通信機を備えたランダー号にTARSを乗せてエドマンズから切り離し、次いでターンのためとレンジャー2号にアメリアを乗せて切り離したアメリアは「別れるの!」と驚いた!

クーパーはロミリーに教わったように宇宙船をブラックホールに突っ込んだ。そこは第5次元の世界だった。過去や未来が同時に存在して、空間を移動するように自由に行き来することができる。クーパーは本棚の裏側でマーフィーに会って(姿は見えない)、コトコトとブラックホールのデーターを残した腕時計で届けた。

マーフィーはこれを解析し重力方程式を完全に解くことに成功した。

クーパーは土星軌道上の宇宙ステーションで目覚めた。「クーパーステーション」と名付けられていた。年老いたマーフィー(エレン・バースティン)に会った。「私には沢山の孫がいる。だからアメリアの元に!」と送り出され、再び宇宙に向かった。

アメリアはエドマンズ星にコロニーをつくり、たったひとりで眠りにつくところだった。彼女の「愛」で感じた予想は当たったようです!

感想:

マーフィーが幼いころ本棚の本がコトコトと音を立てて動いたことをオバケがいると話した伏線に、ブラックホールからクーパーが送るデーターの音が繋がるという、うまい筋書きでした。

愛がふたりを結び付けた!5次元。5次元は空間、時間、重力、愛情だと思いました。アメリアもそうでした!未来の宇宙物語で“愛の物語”が描かれるなんて、おもしろかった。

未知に挑む人たちの夢と愛、生きる欲望との葛藤。なかでも氷の星で繰り広げられてたクーパーとマン博士の戦いは面白かった。

相対性理論などわけ分からない科学用語が出てきますが、監督は嘘をつかないと信じて(笑)、楽しめる作品でした。物理学がしっかり分かればもっと楽しめるのかもしれません。

レンジャー号でリフトアップと飛び出し宇宙船との連接。ここから他の銀河系へ向かい、ワームホームの通過。海のミラー星、氷のマレー星の観測を終えて、第5次元のブラックホールへの突入、みたこともない映像でこれだけで十分に観た価値があります。

             ****

「映像研には手を出すな!」(2020)

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大童澄瞳さんの人気コミック。TVによるアニメ版、実写版がある。湯浅政明さんのアニメを作る覚悟と思いと狂気に満ちたアニメ版を観ていて、映画化は“手を出すな!”の暴挙だと思っていましたが、「思い、思われ、ふり、ふられ」(2020)の浜辺美波さんと福本莉子さんが出演。なかでも「思い、ふられ」の福本さんを観ないわけにはいかない!(笑)

湖に面した芝浜高校。人見知りだが監督としてすぐれた素質をもつ浅草みどり、カリスマ読者モデルでアニメーターの水崎ツバメ、金もうけが好きなプロデューサー気質の金森さやかは、「映像研究同好会(映像研)」を結成し、自分たちが思い描く“最強の世界”を描くためアニメーション制作を開始する。が、そこに大問題が起こった。高校には部や同好会がなんと470もあって、生徒会は自主的にこれらを統合、廃部するという。はたして映像研は生き残れるか!というSFっぽい、コミカル青春物語です。

ぶっとんだ世界感で学園生活が描かれ、そんななかでどうやって「映像研」として生きていくんだと、アニメとはまったく違った視点で彼女たちの覚悟を見ることができました!

アニメでは感じられないキャラクターの性格やリアルな感情が、「アイドル侮ることなかれ!」と伝わってきて(失礼)、彼女たちの脳内イメージが爆音で“最強の世界”に昇華していくプロセスは感動ものでした。この作品、音質がとても良いんです!

監督は「ハンサム・スーツ」(2008)「前田建設ファンタジー営業部」(2020)の英勉さん。脚本:英勉 高野水登、撮影:川島周 古長真也、音楽:佐藤望、主題歌:乃木坂46「ファンタスチック3色パン」。

主演は齋藤飛鳥山下美月梅澤美波さんの乃木坂46人気メンバー。共演に小西桜子、福本莉子桜田ひより浜辺美波さんら人気若手女優の参加です。


映画『映像研には手を出すな!』本予告【公式】

あらすじ(ねたばれ):

学園の門前。生徒会の警備部が出入りを監視。ほかに校(公)安部もある(笑)。やってきた3人が検問で逃げる!これを見た三助と相棒。「う~ん、わからん!わからん!」。「映像研か?」「あんな部活はわからん」と名作「羅生門」(1950)の最初のシーンを持ってきて、以下映像研設立の経緯・活動が描かれます。このぶっ飛んだ出だしが気に入りました! (笑) 話があっちこっちと飛んで、映像研の三人が意気投合し、脳内イメージから空飛ぶポットカイトを作って、街のなかを飛ぶ映像など「TENET」を遙かに超えていて“わかんね~”です。(笑)

浅草みどり(齋藤飛鳥は想像力豊かだが極度の人見知り、水崎ツバメ(山下美月はカリスマ読者モデル、アニメーター志望だがアニメに関わることを両親に禁止されている。森さやか梅澤美波は金儲けに執着し対外的な交渉や資金集めに力を発揮し、プロデューサーを担っている。

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いよいよ大・生徒会であらゆる部活の統廃合しようと討論が始まった。ここか、らが本作の本番です。

大・生徒会委員の面子を見ただけで笑えます。会長が道頓堀透(小西桜子)そのサイドに並ぶのが切り込み隊長阿島(福本莉子、「この役はなんじゃあ!」という感じでびっくり。もうひとり書紀:さかき・ソワンデ(グレイス・エマ)、この人の存在感が凄い。これからが楽しみだ!この種映画にはこんな楽しみがあります。

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書紀のさかきから「アニメ部」との統合を打診されたが、金森は浅草が鉄巨人のイメージを持っていることを知っていて、ロボット研究部(ロボ研)と手を組むことを顧問・藤本先生(高嶋政宏)に許可を得て提携を打診する。

ロボ研(小野:板垣端生ら)は提携の申し出を「俺らは第3位の部、タロース・ロボットがある」と提携を渋る。が、帯同したアニメ部の伝令に「タロースでアニメを作る」と宣言。ロボ研に有無も言わせぬ速攻でした!

金森はロボ研提携を生徒会に報告。文化祭には参加しないで、ロボ研の反対を押し切って、コメット社に映像提供し、自立して活動する道を選ぶ。顧問の藤本先生にこの案を持って行くと断れた。

タロース・ロボットを使って怪獣を倒すアニメを作りたいと、映像研の三人が下水道のロケハンに出掛け、浅草がカニを見て、「これ!」と決まった。“巨大怪獣テッポウカニ”。このイメージを持ち帰りロボ部と話し合う。

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肝心のタロースのイメージ作りで、爪は?チェンソーは!とアイデアが固まっていくが、ロボ部は自分たちの存続とテクノロジーの可能性追及ばかりで、何の面白さも夢もない。両者の間で熱い論議が交わされ、「分かった、見つけた!」と浅草と水崎のアイデア絵図で、巨大ロボ・タロースが作られ、その操縦席に案内されたロボ部員はその精巧さに驚いた。ロボ部が金森の言うとおりに動くことになった。

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しかし、金がない。金森がふたりに生徒会でアルバイトを斡旋してもらうよう勧めた。ふたりは廃品部のバイトで音響部室の廃品回収に訪れると、廃部になると泣く百目鬼桜田ひよりに会った。桜田さんの持つ雰囲気がアニメを超えていました。物語はここから、アニメ創作者の感性を見ることになります。

浅草は華厳の滝の音源が75通りもあるという“ゴミ”音響部を合併することにして、研究室地下に置くことした。

金森が藤本先生にコメットとの取引を再度許可してもらうよう訪ねるとバカ、「学校の指導要領でダメだ!」という。金森は「指導要領には先生はバカしかなれないと書いてある」と皮肉って部室に戻ってきた。(笑) この作品のセリフはとてもユニークで面白い。笑えます!

金森はコメット出品を諦め、文化祭でDVDを得ることにした。時間がない!どこまで作品が出来上がっているかを水崎に聞くと「パソコンがないからまだ描けていない!」と応えた。金森が「高校生のアニメ制作にパソコンなんかいらない!」と言ったもんだから、浅草が「水崎に謝れ!」と怒った。この日から金森の姿が消えた。

金森はパソコンを手に入れるために駆け回っていた。音曲浴場でラーメンを食べていた浅草と水崎のところに「パソコン頼んだ!当日の上映は第1行動だ!」と金森が駆け込み、ラーメンを食った。(笑) 水崎は父母に隠れ自宅でも描きまくった。

この機に及んで浅草が「万人が希望するロボットが描けない!」と落ち込む。金森が「人の目を気にするな、バカ!」と蹴とばした。浅草にとって、人目に作品が触れることでこれほどの精神的圧力が懸かることに、ちょっと泣ける演出になっています。

浅草はこの日から姿が見えない。3日後、部室の地下から爆音がする。部屋に入ると、浅草がいた。3人で“ロボの足音”、“カニの足音”と大音響を聞きながらタロースとカニの対決を妄想して「巨大ロボ・タロースと巨大怪獣・テッポウガニの決闘」イメージが出来上がった。徹夜して完成した。

当日、こないはずの水崎の両親がくることになって、上映を躊躇したが、水崎がやると決心。人見知りする浅草が舞台挨拶に立ったが、すぐに水崎に代わった。アニメ上映は大成功で、水崎の両親が娘の才能に驚いた!

感想:

ぶっとんだ作品で、アニメとは別作品のようで、笑って、笑って、最後に感動するという作品。監督のこの作品に挑んだ勇気を褒めたいと思います。

テーマは「自分らしさを失うな!」でしょう」。

乃木坂の三人、しっかり演技ができていました!これが作品の「売り」でしょう。特に浅草役の斎藤さんはおどおどしているかと思えば話が止まらないほど広島弁で喋る子、イメージぴったりでした。

福本さんと、グレイス・エマさん、出番はわずかですが、存在感がありました。そして、桜田ひよりさんの演技は物語の後半、“アニメとは”想像力”を引き出すような雰囲気のある演技でした。浜辺美波さん、どこに出ていたんですかね。(笑) 

                           ***

 

劇場版 「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(2020)極限状態で知った愛の物語! 

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Sincerelyで始まる物語。ヴァイオレットとギルベルトの戦場シーンが京アニの事故が重なり、ふたりの愛の物語は、極限状態で得た人の優しさに溢れていて、涙が止まらなかった。このような作品はもう出てこないのでは!

原作もTV版も見ておらず、「外伝」を見たのみの所見となります!京アニは絵が美しいですが、それを凌駕する愛に溢れる物語だと思っていましたが、本作はさらに磨きがかかった愛の物語になっていました。

孤児で言葉も親も知らなかった少女。ブーゲンビリア家に拾われ、次男ギルベルト(少佐)によってヴァイオレットという名を付けられ、戦場に女子少年兵として参加。少佐の配下となり活躍、激戦のなかで両腕を失い「愛している」という少佐の言葉で病院に送られた。復員後、エヴァーガーデン家の養女となり、今では郵便社で代筆業をしながら、少佐の「愛している」という言葉の真意を探しながら、少佐との再会を待っていた。ふたりは会うことができるかという愛の詰まったドラマ。

「人は人のための生きる」「本当の気持ちは言葉だけでなく、隠れたところにもある」「気持ちを伝える手段としての手紙の価値は?」など、愛の本質と伝え方に触れる物語です。

代筆業をしながらいろいろな愛の形・伝え方を知って行くヴァイオレット。彼女が少佐の「愛している」をどう理解したかが試されます。彼女の勤めるC.H郵便社の面々や少佐の兄ディートフリートとの交流、代筆で知合った命僅かな少年との交流を交えながら、愛とはなにかを問い、戦場で傷つき未だ癒えぬ少佐との対峙がみどころです。泣けます!

原作:暁佳奈、監督:石立太一、脚本:吉田玲子、キャラクターデザイン:高瀬亜貴子、総作画監督:高瀬亜貴子、撮影監督:船本孝平、音響監督:鶴岡陽太

音楽:エバン・コール、主題歌:みちしるべ(茅原実里)。

声優:

ヴァイオレット・エヴァーガーデン石川由依、ギルベルト・ブーゲンビリア浪川大輔


『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』本予告 2020年9月18日(金)公開

あらすじ(ねたばれ):

テイジーは母親にうまく想いが伝えられない。ヴァイオレットの代筆で交された祖母と曾祖母の絆を思い、彼女の足跡を訪ねる旅で出るシーンから物語が始まります。

ヴァイオレットがC.H郵便社のドールになって5年。沢山の代筆をこなし海も感謝祭の文章で賞をいただき、市長から称賛されるほど今では社の人気ドールになり、エリカやアイリスの憧れの的だった。しかし、戦場で別れたギルベルト少佐の言葉「愛している」を思い出し、思慕が募り手紙を書く日々で、表情は暗かった。こんなヴァイオレットを社長のホッジンズや先輩ドールのカトレアが心配しながら暖かく見守っていた。

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ベルベットの母親の月命日。墓参でギルベルトの兄ディートフリートに出会った。「戦争が終わって何年にもなる。もうギルベルトのことは忘れなさい!」と言われ、「生きている限り無理です」と返した。こうやって月命日に墓参りをするというのは、戦場で“命の重さ”を知った者でなければできない。この重さがギルベルトへの想いに繋がっている。この時落としたリボンをディートフリートが拾ったことが縁で、彼の招待でギルベルトの思い出が詰まったヨットを訪れることになる。

ヨットを訪れるとギルベルト少佐の想い出の品が一杯だった。ディートフリートが、今だから話せるとギルベルトへの想いを語った。

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「家を継ぐこと、軍人になるのが嫌いで父親と喧嘩し、それを見たギルベルトが家を継ぎ、軍人になった。俺のためにあいつは生き方を変えた。そしてこの様だ!失くしたものは大きい!会ったら話したい!」と悔いた。

墓参りのあと、男の子から電話で代筆の依頼が入った。訪ねるとユリスという男の子だった。3度も手術して長くは生きられない。そこで父母、弟に手紙を書いて預かって欲しいという依頼だった。ヴァイオレットが「気持ちには表と裏があります。本当の気持ちを書きたい」とユリスの希望を聞いた。「父母には感謝の気持ちを、弟には自分が父母に甘えられなかったからしっかり甘え、自分の分まで生きて欲しい」と書くことで同意した。

ユリスは「あなた変わっている。何も聞かない、同情は嫌だ!」と言った。心の傷に触れるときは言葉でなく沈黙の愛情しかない。腕を失っているヴァイオレットは、そのことを知っていた。

帰りかけると、もう1通書いて欲しいという。見舞いを断った親友ユカに。「それは自分で伝えたほうが良い。私に愛を教えてくれた人にそれを言えなかったから、手紙にしますが・・・」と言って帰った。3通目を書き上げることなくギルベルトを探す旅に出た。

ある日、ギルベルトは生存しているのではないかと思われるあて先不明の手紙が見つかった。ディートフリートにも知らせた。彼の生存を確かめるため、切手から判断して、ホッジンズとともにエカルテ島を訪ねた。ヴァイオレットは「何を伝えたらいいのか?」と悩んだ。「手紙を書きなさい」とカトレアがアドバイスした。

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島は戦争の傷が残る寂しい島だった。孤児院を尋ねホッジンズが「確かめてくる」とヴァイオレットを待たせて、院に入って行った。

ヴァイオレットは院化から出てきた子供たちから、ギルベルトが生きていて子供たちに好かれる先生。片目、片足、片手になっていることを知った。しかし、院から出てきたホッジンズは「武器のように使ったことを謝り切れない。ヴァイオレットを不幸にした!」と会うことを拒否したという。ヴァイオレットには受け入れられなかった

雨の降る中、ヴァイオレットは少佐の小屋を尋ね、扉越に話した。少佐の「幼い君を戦争に出し、両腕を失ったことを思い出すので帰って欲しい」と話すのを聞いて、「私が少佐を苦しめている。今の私には少佐の気持ちが分かります!」と扉の前に佇んでいたが、開けられることはなかった。これを見たホッジンズは「大馬鹿野郎!」と叫んだ。ヴァイオレットは雨に中、野を走り、泣いた!

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その夜、灯台の一室に泊めてもらった。灯台が郵便社も兼ねていた。「ユリスキトク」という電報が入った。ヴァイオレットは「帰る!」と決心したが、3日はかかるというので、C.H郵便社からベネディクトとエリカが駆けつけ対応することになった。ヴァイオレットは知らせを待っていた。ユリスは死の直前にユカに電話で見舞いを断ったことを謝り、「ヴァイオレットの愛している人が生きていてよかった!」と話して亡くなったという。依頼された2通の手紙はベネディクトにより配達された。

ヴァイオレットは「少佐に生きて会えないと思っていたが、声を聞き、もうこれで十分」と郵便社に戻ることにして、子供たちにベネディクトへの手紙を託して翌朝の船に乗った。この手紙は、ギルベルトが島民のために収穫したブドウを山から港に降ろすために作ったリフトで彼の元に。(笑) そのとき、ディートフリートが訪ねていて「ヴァイオレットの気持ちを察しろ!」と説得していた。

読み終えたベルベットは、兄に「素直になれ!」と声を掛けられ、泣いた!そして出航した船を追って走った。

テイジーはエルカ島の灯台を訪れ、ここで沢山の手紙を代筆したドールがいたことを聞き、「両親に素直な気持ちを伝えたい」と手紙を書き、家路を急いだ。

感想:

館に入って来るコツコツという足音。オープニングはヴァイオレットが初めてマグノリア家の館に訪れた足音。そしてラストの足音はテイジーがヴァイオレットの足跡を探す旅を終えて帰ってきたもの。ヴァイオレットが亡くなり、電話が発達した時代になっても、ことばでは言えない手紙なら伝えられる「愛している」の伝え方があることを訴えています。SNSの今の時代だからこそ求められる手紙の役割ではないでしょうか!

作画がその時々のヴァイオレットの感情を表現していて素晴らしい。しかし、それ以上にディートフリートとギルベルトの兄弟愛、ユリスの父母や弟、さらに友人への感謝の想いが、ヴァイオレットがギルベルトに与える「愛」に全て繋がっているという、“脚本のうまさ”に感嘆しています。

この物語のキーは戦場シーンだと思っています。ヴァイオレットが少佐を思い出すシーンでは必ず戦場での別れのシーンが挿入されている。生かされて生還した兵士が亡き戦友の墓参りを欠かさない話はいっぱいあります。戦場は「生きることの意味を知る」ところです。

ヴァイオレットも生かされていることの意味、「生きて、人のためになりなさい」を知り、代筆の仕事を通して一層この思いが磨かれている。この作品にはこのことがしっかり描かれ、あの炎のなかで感じた京アニの人達の気持ちがしっかり出ているようで、他の人には描けない感情・表現があります。

ヴァイオレットがエラルテ島を訪ね、ベルベルトとの長い別れの空白を埋めていく作業にはっきり出ています。

どんなことがあっても“あんな”惨めな想いをさせてはならない、生きることの大切さを説いています。決して自分のことではなく、相手の幸せを願う「愛」です。このことに胸打たれます。京アニの優れているのは「深い相手への想い」だと思っています。

ヴァイオレットの少佐に当てたラストレター。「最後の手紙です。私が生きて誰かを思えるのはあなたのせいです。受け入れてくれありがとうございました。教えてくれ、ブローチありがとうございました。いつも側においてくれ、ありがとうございました。“愛している“をありがとうございました。少佐を愛しているのが”生きるみちしるべ“です。愛しているを知って、愛したいとは思いません。少佐本当にありがとうございました」。愛の本質を表現しています。

 希望と命の大切さのメタファーである、大きな青空、海、夕日、花火が本当に美しい。これに音楽と声優さんの声の演技が被さり、すばらしい愛の物語になっていました!

             *****

「TENET テネット」(2020)

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クリストファー・ノーラン監督作。とても評判のよい作品で期待しておりました。

スパイとしての能力を買われた男が、ある組織から、未来からやって来る敵と戦って、第三次世界大戦を阻止して欲しいと頼まれる。彼は時間が逆行する兵器を売買する商人を炙り出し、彼らを通して未来の敵と対峙する。

時間が順行や逆行しながら展開するスパイもので、ストーリーはシンプルですが重みがある。しかし、時間が逆行する展開は読めないところがあり、とてもミステリアスでした。見たことのない逆行アクション、そしてリアルさに拘る監督らしい映像を楽しめます。

1回目の所見。ハラハラドキドキは嘘で、よく分からなかったが本音です!(笑)

順行逆行を同時に描いて、時間内の情報量を2倍にするんだから、分からないは当たりまえ!

監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン、撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ、音楽:ルートヴィッヒ・ヨーランソン

出演者:ジョン・デビッド・ワシントン、ロバート・パティンソンエリザベス・デビッキケネス・ブラナー、ディンプル・カパディア、アーロン・テイラー=ジョンソン、ヒメーシュ・パテル、クレマンス・ポエジー


映画『TENET テネット』本予告 2020年9月18日(金)公開

あらすじ(ねたばれ):

キエフ国立オペラ座。テロ事件が発生!と同時に準備していた特殊部隊がワッペンをつけて?場内に侵攻。名もなき男(ジョン・デビッド・ワシントン)が合言葉「黄昏に生きる!」と発声し、男に近づく。「物は?」「クローゼットだ」。クローゼットを調べ、場内に戻ると爆発物を発見。「観客に罪はない!」と安全処置を施すと敵に捕らえられ「お前は誰だ!」と拷問に掛けられ、自ら毒薬カプセルを噛んだ。このテロ襲撃は誰が仕掛けたか?

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名もなき男が病院船で目覚めると、フェイという男から「ようこそ未来へ!お前は死んだ!」と声を掛けられ「未来からくる敵から民を守る」という任務が課せられた。彼はしばらく洋上風車のタービン室で休養・体力回復を待って、トロンヘイムに所在する「時を逆行する武器」を研究している施設で、弾丸は前に進むのではなく戻ってくるという“逆行”の実態を教わる。

時を逆行させる武器の売買をやっている商人シン(デンジル・スミス)をムンバイに尋ねることにした。

ムンバイのシン商社待合室。ニールという男が現れ、昔あったことがあるように話しかけてきて、名もなき男の作戦に同行するという。面談に時間がかかりそうなので、夜、バンジーロープを使ってシンのペントハウスに乗り込むことにした。

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部屋にはシンとその妻ブリヤ(ディンプル・カパディア)が居た。ブリヤから「逆行する武器ならセイダー(ケネス・ブラナー)が良い。しかし、仲介がいる」という情報を得た。

名もなき男は、ロンドンに飛び、馴染みのある英国情報員クロスビー(マイケル・ケイン)に面談。「セイターはスタルスク12の出身。2週間前オペラ座のテロ事件があった日に、核事故があった町だ。妻の名はキャット(エリザベス・デビッキ)、贋作鑑定士だ。画家のトマス・アレポと出来ている。スーツには拘ること!」と教わった。

名もなき男はアレポのゴヤ贋作絵を持ってキャットのオークション・ハウスを訪ねて、艦艇をしてもらった。キャットは名もなき男の意図を読み取り、冷え切った夫婦関係を打ち明けた。セイターはキャットを繋ぎ止める担保として、キャットがアレッポの贋作に高価な値を付けた絵を買い取ってオスロー空港内のロータス社フリーポートで管理していると話した。名もなき男はこの絵を取り戻すことでキャットとの関係を築き、セイターへの接近を試みることにした。

名もなき男とニールはオスロ空港に飛び、いかにして絵を取り戻すかを検討。ニールが輸送機を盗んで仲間の操縦手マヒア(ヒメーシュ・パテル)に操縦させロータス社ビルに突っ込み火災を起して、その混乱に紛れて盗み出すことにした。

結果は成功!しかし、どの部屋にも絵が見つからない。奥の回転ドアーを開けようとするとふたりの黒服男が出てきた。名もなき男は相手に挑むが変だ!「逆行戦闘」だった。ニールが男のマスクを剥ぎ取るとドアーの向こうに逃げこんだ。部屋に入るとそこに絵が見つかった。

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名もなき男はムンバイのブリヤを訪ねこの奇妙な体験を話し援助を請うた。ブリヤは「逃げた男は未来から来たやつ。セイターはプルトニウム241を狙っている。セイターを殺してはダメ!プルトリュームを餌に捕まえなさい!」と教えてくれた。

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名もなき男はキャットの仲介でアマルフィでセイターに会った。豪華なヨットに誘われ、レーシングヨットを楽しんでいるとき、キャットがセイターの安全ベルトを切って海に放り出した。彼を名もなき男が助け上げた。セイターは名もなき男を呼び助けてくれたことに謝意を示したが「プルトニューム241は苦労して探したもので誰にも渡さない!」と言う。

夜間、ヘリがヨットに金塊が運び込まれ、フリーポートビルに運び込まれた。名もなき男がこれを覘き見したためボルコフ(ユーリー・コロコリニコフ)に捕らわれ、セイターの信頼を失った。

名もなき男はセイターと組んでプルトニュームを盗むことを諦め彼を監視していた。セイターとキャットがフリーパスポートビルに入るのを見た。ここでキャットはセイターが武器売買人だと知った。彼を殺そうと拳銃を向けたが、奪われて駄目だった。

タリン。名もなき男らが見張っているとプルトニュームを乗せた警察の大型トラック出てきた。これを追跡し、高速道路のカーチェイスで追い詰め、赤いバッグを盗み出すが、バッグの中身は部品だった。そこにマスクを着け逆走で駆けつけたセイターが、キャットで脅しながら、バッグを寄こせ!という。そこに横転した車両が元に戻り逆走で中に割って入ってきた。名もなき男は部品を逆走車に投げ、バッグをセイターに渡した。セイターは下車し、キャットを乗せた車が走り出す。名もない男はこの車に乗り移りキャットを救出した。車は炎上しセイターの一味に捕らわれた。「逆行カーチェイスシーン、ここはとても複雑でよくわからない!()

名もなき男はガレージに連れてこられ、キャットをガラス越しに対面した。キャットの部屋は逆行で、セイターはキャットを拳銃で脅しながら、「プルトニュームはBMWか?」と聞いて来る。ニールが「俺の処だ!」という。キャットはセイターに拳銃で撃たれた。

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名もない男とニールはキャットを救うために彼女のいる部屋(逆行ゾーン)に入って行った。ふたりはマスクを着け高速道路のカーチェイスを辿った!横転した車は名もなき者の車だった。そこにセイターがやってきてプルトニウムを奪っていった。

ロータス社のコンテナーのなかに傷ついたキャットを見つけ出した。彼女が「爆心地にアナゴリズムを届けたい!」と喋った。ニールが注射で眠らせた。キャットをオスロに匿うことにした。ニールが「起きたことは仕方がない!破滅から救おう!」とキャットの治療にあたった。

ブリヤをオスロに呼びセイターのアルゴリズム完成度について聞いた。「セイターは部品を全て揃え、アルゴリズムを組み立てるとろに来ている。組み立て場所はセイターの生まれ故郷スタルクス12だ」「トロンハイムで準備して、毒をもって毒を制するしかない。TENETは現世でなく未来で作られる」と示唆した。

トロンハイムの基地(母艦)。キャットが「セイターはガンよ」と告白。名もない男は「死ぬ前にアルゴリズムを奪う。死に場所はどこだ」と聞くと「ベトナム!」

母艦で作戦準備を整え、スタルクス12へ乗り込んだ。一方キャットはベトナムでセイターの自殺を防ぐ役目だった。

軍は逆行するブルー部隊(ニール)と順行するレッド部隊(名もない男)をもって行う時間挟撃作戦を計画。ブルー部隊でトラップを察知処理しカプセルを探索、レッド部隊でこれを回収するとともにブルー部隊を収容するというもの。

名もなき男が爆心に辿りついたが鉄格子があってカプセルに近づけない。そこにニールが現れ鉄格子は開けられ、妨害するボルコフを射殺して任務を達成した。地表に戻ってきたニールは「世界は終わった。やったことは仕方がない」とブルー部隊とともに去って行った。

キャットは「やられたらやり返す女よ」とセイターを射殺して島を離れた。

感想:

第三次世界大戦はなぜ生起するか?未来世界は“食料難”で行き詰まり、未来人が現在に逆行してきて生活圏を争うという設想に、将来起こりうるかもしれないという感があり、この物語を面白くしてくれます。

時間の逆行をバカ話ではなくエントロピーの逆転で説明し、その物理現象を明らかにして、順行と逆行という時間の流れのなかで人の行動や物の動き、環境を描く物語には説得力があります。が、難解でした。(笑) 

逆行を当初研究所で、拳銃弾の動きで基本を教わり、回転扉を使った逆行戦闘、逆行カーチェイス、時間挟劇作戦と、逐次レベルアップしていく逆行描写が、未だに掌握しきれていませんが(笑)、見事でした。

オペラハウス、洋上風車群、ボンベイアマルフィ海岸など世界を駆け巡る風景が楽しめました。お気に入りはアマルフィでのレーシングヨット

ペントハウスの逆バンジー登けん、オスロー空港でのボーイング747ジャンボジェットのビル突入炎上、高速道路でのカーレースなど迫力のある映像でした。難解さでカーチェイス、映像の面白さでラストの時間挟劇作戦がよかった!

ラストでスタルクス12における軍の活躍と、キャットとセイターの動きがシンクロされて描写され、とても緊迫感が感じられる面白い演出でした!

キャットとセイターの愛憎劇。キャットを演じるエリザベス・デビッキがとても魅力的で面白かった!ラストは少しやり過ぎ!

ニールが別れ際名もなき男に「お前が呼んだから来た!」というセリフ、一体ニールは何者か?そして時間挟劇作戦を終えて、名もなき男が結果をキャットに伝える「あなたではなく俺だ!作戦は終わった!」の言葉。彼は何者か?俺か?、確認しなければなりません。😊

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