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「博士と狂人」(2019)世界最高の辞書OEDの誕生秘話

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世界最大の英語辞典「オックスフォード英語辞典」誕生に隠された真実の物語をメル・ギブソンショーン・ペンの初共演で描くというもの。WOWOWプレミアム初放送で鑑賞しました。

原作はサイモン・ウィンチェスターによるノンフィクション「博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話」、未読です。

監督:P.B. シェムラン、脚本:トッド・コマーニキ、P.B. シェムラン、撮影:キャスパー・タクセン、編集:ディノ・ヨンサーテル、音楽:ベアー・マクレアリー・

出演者:メル・ギブソンショーン・ペン、ナタリー・ドーマー、エディ・マーサンジェニファー・イーリー、スティーブ・クーガン、他。

貧しい家庭に生まれ、学士号を持たない異端の学者マレー(メル・ギブソン)。エリートでありながら、精神を病んだアメリカ人の元軍医で殺人犯のマイナー(ショーン・ペン)。2人の天才は、辞典作りという壮大なロマンを共有し、固い絆で結ばれていく。しかし、犯罪者が大英帝国の威信をかけた辞典作りに協力していることが明るみとなり、時の内務大臣ウィンストン・チャーチルや王室をも巻き込んだ事態へと発展してしまう。

辞書編纂事業を描くというより二人の友情物語。言葉という大海の中で溺れかけたマレー。そこでのふたりの奇跡のような出会い。辞書編纂の行き先に灯を見つけた。犯罪者というマイナーの身分は何の差し障りがあろうか!マレーにとっては“神”にあった。

辞書編纂に没頭することで正気に戻ったマイナーが、犯した罪に向かい合うことで、自分が辞書に載せた語彙“Assythment”に苦悩する。この苦悩をどう解きほぐすか、「罪人の罪が許されるのを恐れるか」と救済に走るマレーの姿に心打たれます。辞書編纂者を追いやられたマレーと精神病院に追いやられたマイナーの行く末に内務大臣チャーチルが下した英断に感動しました。

メル・ギブソンの狂気の演技と賢者としてのショーン・ペンの重厚な演技、ふたりが対峙するシーンには、どちらが博士で狂人か分からない信頼と愛に溢れ、泪が出てきます。そして狂人へと落ちていくショーン・ベンの演技が凄い、圧巻でした。

あらすじ(ねたばれ):

1872年のロンドン。ウイリアム・チェスター・マイナー博士(48歳)は元軍医で、南北戦争時に脱走兵の頬にDの烙印を押した行為で、この兵に襲われるという強度の幻覚に陥る。このため安全な場所を求めてロンドンに生活の場を求めたが、ある夜夢に出てきたジョージ・メレットを街頭で、その妻イライザ(ナタリー・ドーマー)が見ている中で銃殺した。この裁判で精神病者の犯罪としてとして刑事犯精神病院に送られた。

このころ妻と6人の子供たちとで穏やかな日々を送っていた言語学者ジェームス・マレー(メル・ギブソン)はオックスフォード大学の英語辞典編纂委員会に呼び出され、理事のフレデリック・ジェームス・ファーニヴァル教授(スティーヴ・クーガン)の「辞書編纂を起こして20年、何の成果もない。優れた言語学論文実績者であるマレー氏は型破りな発想で問題を解決してくれる」という強い推薦で、編纂主任を引き受けることになった。しかし、この人事には「学歴のない、スコットランド訛りの男が!」と蔑む空気があった。

マレーは帰宅し妻エイダ(ジェニファー・イーリー)に「英語の全ての言葉を調べ定義する編集者になった。スコットランドの仕立屋の息子にチャンスがやってきた」と喜びを話すと、「迷いと怖れを捨てると約束をして!信念をもってやって欲しい」と激励をした。辞書作成には長い年月が求められる。家族に大きな犠牲を強いる。エイダはこれに耐えうる腹の座った女性でした。

マレーの辞書編纂の方針は「全ての単語を乗せる、古語も慎吾も、廃語も俗語も外来語、純粋な英語も。言葉のニュアンス、意味の変化や英語の著名な引用を収録する」というもので、この膨大な語彙集めにボランテイアを活用するというアイディアを取った。

「カードに単語と引用文を書いてもらう」と依頼文を読者に届けるために、出版本に挟んでもらうことにした。

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そして自宅の側に辞書編纂室(小屋)を建て、次々の贈られてくるカードの分析・整理作業が始まった。

精神病院のマイナー。囚人たちの散歩を終えて閉ざす鉄鋲の門扉が衛司の脚を貫いた。これを見たマイナーの応急手術が衛司を救うことになり、院長リチャード・ブライン博士(スティーヴン・ディレイン)から特別に2室が与えられ自宅の持ち物の持ち込みが認められた。マイナーは大量の書物と絵具を搬入してもらい院長に「被害者の妻イライザへ自分の軍人恩給を贈りたい」と申し出た。衛司のマンシー(エディ・マーサン)が手紙をもってイライザを訪ねたが、イライザは受け取らなかった。

辞書編纂室では問題が出ていた。17世紀と18世紀の引用文が集まらない。助手のホールとブラドリーが苛立っていた。マレーは「ミントを探せ!」と指示するが、なかなか進まない。部屋の灯が消えることはなかった。

精神病院。本が欲しいというマイナーにマンシーが一冊の本を贈った。その中にマレーの語彙募集のカード「英語という言語の壮大なる多様性の中でその全てを追い求め見つけあらゆる言葉を網羅する。全ての世紀の本を読むことでこの偉業を成し遂げる」が挟まれていた。マイナーは「本当に出来るか?お前のようないかれたやつに!」」と衛司にペンと紙を求めた。

そしてこの仕事で立ち直れると院長に本を求めた。

クリスマスイブ。マンシーに頼んでイザイラに塩漬け肉を届けさせた。6人の子供を抱えるイザイラは生活苦の中にあってこれをとても喜んだ。

イザイラは精神病院を訪ねてきて、マンシーの監視下でマイナーに会い、年金を受け取ることを伝えた。マイナーは「ありがとう」と感謝したが「決して許さない!」と素気なくイライザは帰って行った。マイナーはイライザの肖像画を描くようになった。

「謝罪1848年リー・ハンド」というカードを見たマレーはマイナーに「早速必要なのは17世紀と18世紀の文献を調べて欲しい」と手紙を送った。

マイナーは一心不乱にカードを書き、マンシーを部屋に呼んだときには床と壁はカードで埋まっていた。

マレーは大学の出版局長フィリップ・リッテルトン・ジュル(ローレンス・スワックス)、彼はマレーに反感をもつひとりだった、に呼び出され「編纂が遅れているので聖書を作れ!」と急かされる。「約束どおり作る!」と啖呵を切ったが、打つ手がない。「神よ来い!」と叫んだところに奇跡が起こった。マイナーのカードが「言葉の大海の中で網を張らせてください」という手紙とともに届いた。マレーは「神は救世主を使わせた。Artという単語の変遷・文例を送ってください」という返事を書き送った。このように交流しあいながら第1部AからANTまでを完成した。これを携えマレーは精神病院を訪ねた。

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ここでのふたり。初対面ではなく、にこやかに何年もつきあった仲間のように

単語を検討し合った。「鉄は鉄に鍛えられる。人は友に鍛えられる」と「死の谷を歩いている」というマイナーを友として支えることを誓った。

イライザが本「大いなる遺産」をもって精神暴飲を訪ね「年金は受け取れない」と申し出た。「私の命はあなたの手の中にある」とマイナーは悲しんだ。以後「本を読んでいるときは誰も追って来ない」と本でふたりは結ばれていった。

マレーが第1巻「AとB」を完成したところで、学位記が送られ、皆に祝ってもらえ、自らも喜んだ。

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イライザは子供を連れて精神病院にやってきてマイナに会わせた。マイナは喜んだが長女のクレアが嫌がった。これを謝るようにイライザは「愛があれば、その先は?」というメモを渡し、キスして帰った。マレーは「また彼を殺した!」と苦悩し、下部を傷つけ、病院内で大騒動になった。マレーは救済の手紙をマレーに送った。

マレーが精神病院を訪ねると、彼の部屋から図書は消えていた。マイナーは「神に厳しさを求められた。彼女がこれをくれた。理由はあなたに送ったAssythment(償い)だ!」と言い「二度と来るな!」と怒鳴った。

辞書編纂委員会で大問題が起こった。第1巻に日常語の“女奴隷”が載っていなかった。ウイーン大学から指摘されたもので、名門大学の名に関わることと厳しく追及され、責任を取って後ろ盾であったフレデリックが辞職した。

マレーは妻エイダにマイナーのことを話した。エイダは「正気でなければできない仕事になんで殺人者を!」と激怒した。マレーは「罪人の罪が許されるのを恐れるのか」と“許すことの大切さ”をミルトンの失楽園を引いて“先行する悩み“「神に誓約を誓えば堕落から救われる」と説き、イライザのメモを見せ、これに対するマイナーの答“「決して許されない!」と見せた。罪に厳しく向き合うマイナーの姿勢に「なぜ彼が狂ったか?」が分かりように思いました。

エイダは「試練を求められたときは屈しない覚悟が必要だ!」と返事した。

 マイナーには院長による新しい治療が始まった。マンシーには正視できなかった。完全に魂を抜かれていた。精神病院を訪ね「辞書の中の400年は彼のものだ!」とこの治療に抗議した。しかし、「偉業はアメリカ人の殺人者か」と新聞に載り、マレーは編集主任から降りることになった。

失意のマレーはフレデリックを訪ねた。彼は「言葉は生まれ続けている。君は偉大な土台を作り上げた。次の世代が君を道標に引き継ぐよ。終わりなき旅なんだ!」と励ました。

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妻のエイダがマレーのいない編集委員会に出向き「夫は病を抱え殺人犯と力を合わせすばらしい宝物をくれました。常識から外れた生き方も認めて欲しい。罰しないで欲しい」と訴えた。

エイダは「辞書は私たちのものでもある。愛があれば成し遂げられる」と言い、「未亡人の瞳を見て来て欲しい。もし赦しが、愛が見えたらマイナーを助けて欲しい!」と懇願した。

マレーはイライザを訪ねた。「私が許したのになぜ彼らは罰するの!」とマイナーに会えないことを嘆いた

マレーはイライザの精神病院に連れてきてマイナーに会わせ、「愛があれば、その先は・・」のその先を聞かせた。「愛があれば、愛と叫ぶ!」。これを聞いたマイナーは涙を零した。

これで勝訴できるとマイナーの再審に臨んだか、イザイラの証言が、娘クレアの出席で、「妻として申し訳なかった夫は不公平であると思っている」で終わり、「愛があれば、愛と叫ぶ!」に届かなかった。しかし、マイナーは満足だった。判決は敗訴だった。

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マレーはフレデリックと共に内務大臣チャーチルの執務室を訪れた。チャーチルは多くの人に囲まれ、話を聞いてもらえる状況ではなかった。マレーは「友人が痛ましい状態にあります。ひとつの人生、掛け替えのない人生です。全ての者の人生は尊重されるべきです」と訴え、室外で答えを待っていた。そこにチャーチルが現れ、「博士は釈放しないが手はある、君の辞書で見つけた“国外追放”だ、アメリカに処置を任せる。君は早く職務に戻れ!」と辞書編纂責任者としての辞令を渡した!

感想

物語は辞書編纂から、悩める殺人犯マイナーの救出物語になってしまいましたね!😊しかし、Assythment(償い)という単語の重みを感じさせてくれ、感動的な物語でした。

「オックスフォード英語辞典」は183万語の引用と41万語を収録し初版の12巻は1928年に完成。編纂を始めて70年という歳月を要しました。マレーが関わったのはTまで。彼は1915年脳膜炎で、マイナーは1920年自宅で肺炎を患い亡くなりました。

チャーチルの逸話があまりにも恰好良すぎます。😊しかし説明不足でしたね!

辞書編纂は世界の面積と人口の四分の一を占め、最大の自治領を誇る英国にとって、ここで貿易をするには“陛下の言葉を話す”必要があるという国家事業。この想いが感じられる作品でした。

辞書でAssythmentの解説を読んでみたい。字句から受けるよりもっと深い意味が読み取れるのではないでしょうか。辞書は見るのでなくその奥を読むことを教わった作品でした。「舟を編む(2013)」はとても役に立ちました!

           ****

「モンタナの目撃者」(2021)THOSE WHO WISH ME DEAD

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アンジェリーナ・ジョリーが、残忍な殺し屋と大規模な山火事から殺人事件の目撃者である少年を守る森林消防隊員を演じるサスペンス・アクション。

監督は、「ボーダーライン」(2015)の脚本家にして「ウインド・リバー」の監督、テイラー・シェリダンです。アメリカの荒涼とした風景と無法下に生きる人々の物語だろうと期待していました。😊

監督・脚本テイラー・シェリダン原作・脚本:マイケル・コリーダ、脚本:チャールズ・リーピット、撮影:ベン・リチャードソン、編集:チャド・ガルスター、音楽ブライアン・タイラー

出演者:アンジェリーナ・ジョリー、フィン・リトル、ニコラス・ホルトエイダン・ギレンメディナ・センゴア、タイラー・ペリー、ジョン・バーンサル、他。

森林消防隊員として活躍するハンナ(アンジェリーナ・ジョリー)は、過去のある出来事に関する強いトラウマに苦しんでいた。そんなある日、森林で監視中の彼女はたった一人で森の中をさまよう少年コナー(フィン・リトル)を発見し保護する。彼の父はある重大な秘密を握っていたために、2人組の暗殺者に殺されてしまったという。その暗殺者たちは、父から秘密を託された少年の命も狙っていた。暗殺者から少年を守るために動き出すハンナ。しかしやがて、非情な暗殺者が放った火が巨大な山火事となってハンナと少年に襲い掛かってくるのだったが…。(allcinemaから引用)

前段、モンタナの荒涼とした原野で繰り広げる秘密資料を持つコナー親子と暗殺者との追走劇。後段、暗殺者と彼らが放った大森林火災に、森林消防隊員ハンナが保安官夫婦も巻き込んで追われるコナーを救出する物語。彼らの使命感がこれらにどう対応するか、自然の脅威にどう立ち向かうかというサスペンス・アクション物語。使命感に対する姿勢が圧巻で感動的でした。アンジーの熱演がモンタナの森林火災の熱量を凌いでいました!😊

あらすじ(ねたばれ):

冒頭、森林消防降下隊員のリーダーとして参加した森林火災現場。ハンナが押し寄せる猛火の中で救出すべき3人の少年を見失い、このトラウマに苦しむシーンから物語が始ります。消防隊員がパラシュートで火災地に降下する映像はめずらしいですね!

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ハンナはトラウマのため、監視塔で森林火災監視員として働いています。アンジーの消防隊ユニフォームが“ぴたっと”決まり、憂鬱そうな表情を見ていると、これだけで作品を見る価値があります。😊自業自得になる彼女を、副保安官のイーサン(ジョン・パーンサル)とその妻アリソン(メディナ・センゴア)も気に掛けていました。

フロリダで地方検事一家が家庭ガズの爆発で殺害され、検事に依頼された秘密資料をもつ会計士オーウエンとその息子コナーは、イーサンに電話して、モンタナへ発った。オーウエンの発った後に彼の事務所にやってきた黒組織のパトリック(ニコラス・ホルト)とジャック(エイダン・ギレン)が資料を捜査するが見つからない。PCで見つけた資料から、「サバイバルハウス?」とこれまたモンタナへプライベートジュエットで飛ぶ。

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モンタナの壮大な荒廃地を走るオーウエンの車。黒のパトリックとジャックが先回りして待伏せ。めっちゃめっちゃに短機関銃をぶっ放す。オーウエンの車は崖下に落下した。オーウエンはコナーに「信頼する人に渡せ!」と秘文書を持たせて脱出させ、自らはアクセルを踏んで黒を引き付けてコナーの脱走を支援し、亡くなった。

黒は通りがかった車を襲い、運転手の女性を殺害して逃走。イーサンが女性の車を発見して、TVニュースとして報道された。

黒の元締アーサー(タイラー・ペリー)が「終わらせろ!秘密が暴かれないかぎり、何人死のうがかまわない」と指示した。黒のふたりは「時間稼ぎ!」と荒野に火を放った。

突然の雷雨。ハンナは素早く監視塔からロープを伝って脱出。これはスタントだったんですかね。グローブをつけず、手を怪我し、腰を痛めた。(笑)そこにコナーが血の付いたシャツで現れた。監視塔に連れて上がり、事情を聞くがなかなか信用してもらえない。が、コナーがやっとハンナを信用して秘密文書を渡した。読むと・・・。

塔を降りて、街に急ぐが、雷雨に遭う。強烈な雷これが一番怖かった!(笑)

走り、停止、走りで雷を回避。

迫ってくる山林火災を見て「塔でヘリを待とう」と監視塔に戻った。

黒のふたりがイーサンのハウスを訪ねた。妊婦のアリソンが対応に出た。「イーサンから聞いているか?サバイバルスクールの真実を言え!」とジャックが脅す。

アリソンが機転を利かせて、黒のふたりにガソリンをぶっかけて逃げ出した。ふたりは火ダルマに。ジャックは「妊婦だけは殺したくない」という。(笑)メディナ・センゴアの格闘技にも注目です。

そこにイーサンが帰って来て、黒に捕まった。三人で川原を捜索、イーサンはコナーの痕跡を見たが「大きなネズミだ!」と協力しなかった。

アリソンがハウスに戻り、馬を引き出してイーサンを追った。この自然に対応するのは馬が必要というのが面白い。

黒のふたりがイーサンを連れて監視塔にやってきた。「誰かがいる!」とイーサンに偵察を命じた。ふたりは近くの木にのぼり塔の小屋に銃を構えた。イーサンが小屋に入りハンナとコナーが居ることを知った。武器を調べると斧しかない。炎を迫って来る黒を引き付けイーサンはハンナとコナーをロープを誓って塔から脱出させることにした。保安官らしい判断ですね。

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ハンナとコナーが逃げ出した!後ろから黒、前には火炎が迫ってくる!そこにアリソンは馬に乗って来て、ライフルでジャックを撃った!ジャックは・・・。(笑)

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ハンナはここに残ってパトリックと対決し、コナーに「この先に河がある、潜って逃げろ!」と指示して逃がすことにした。コナーは泣いた!ハンナが木の陰でコナーが去っていくのを見ていると去らない!そこにパトリックがやってきた。斧で切りつけたが、逆に捕まって引きずりまわされる。これを見たコナーが引き返してきた。隙を見てハンナが落ちていた斧でパトリックを斬りつけた。

そしてハンナとコナーは炎の中に入り、小川に走りつき、潜って、炎を通り過ぎるのを待った。

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一方、アリソンは塔に上り、そこで負傷しているイーサーを見つけた。「お腹の中の娘のために逃げろ!」というイーサーに「ここに残る!」とアリソン。ふたりは防炎マスクを被り、ヘリの救助を待つことにした。

炎が通り過ぎ、監視ヘリ、森林消防降下隊員が降下して救助にやってきた。ハンナは救援に駆けつけた班長に、煤と傷だらけの顔で、「光を直視しない!美しかった」と笑顔を送った。イーサンとアリソンはヘリに収容された。

コナーは「これから僕はどうなるの?どこに行くの?」とハンナに聞いた。「約束する、一緒に考えよう」とハンナ。ジョリーらしい回答でしたね!

感想:

森林火災がまるで火砕流のような勢いで迫ってくる!怖かったですね。とてもよく出来た映像でした。

森林消防隊員のプロモーションビデオかと思いました!とても頼もしい消防隊員たちでした。そのなかで女性消防隊員アンジーの感情表現、武器の持たない46歳のアクションが見事です!これで十分です。😊

ハンナは自力でトラウマから脱出する物語。消防隊員の活躍の裏にはトラウマが付きまとうと言います。隊員に感謝しなければなりませんね!

アメリカの消防車を見て、「何でこんなにデカイんだ」と思っています!

前段のストーリーはよくわからない!これが物語の進展で少しずつ分かってくるという、最小限の設定と会話の少ない演出は、この風景に合い、緊張感があって結構面白かった!黒のふたりは乱暴なようでどこか抜けている、面白いキャラでした。これをうまく、ホルトとギレンが演じ、楽しませてくれました。

テイラー・シェリダンの作品となると、「ボーダーライン」のメキシコ国境の荒廃地を思い出し、アメリカの原風景、これが欠かせないと思いました。

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「カラフルな魔女 ~角野栄子の物語が生まれる暮らし」(2021)NHK製作

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8月、2回にわたって放送された、「海と旅」と「見えないものを見るメガネ」。角野栄子さんの自分語りの作品で、宮﨑あおいさんがこれをアシストします。語り口のふたりの相性もみどころです!

魔女の宅急便」をはじめ数多くの作品を世に送り出してきた、86歳の国際アンデルセン賞作家・角野栄子さんは、鎌倉にある「いちご色」の一軒家で暮らしている。「自分にとって気持ちのいいもの」というものさしに貫かれたカラフルな暮らしと、その中から生まれる物語の魅力を伝える番組です。

終戦時10歳の女性がどう生きたか、あれほどの戦争悲劇を体験した少女がこんなにも自由でチャーミングに暮し、魔法を見つけて大活躍。😊それでいて靴を修理して20年も履き、水溜まりの道を歩き、コーヒーの中の砂糖の味を楽しみ、“ぼんぼり”絵を描くというあのころの記憶が魔法に繋がる。これがとても心地よかった。

出演:角野栄子(児童文学作家)、朗読・語り:宮﨑あおい(俳優)、テーマ音楽:藤倉大(作曲家)。

第1回「海と旅」

86歳の角野はこの夏「海とお別れする儀式」をしようと考えている。その心はというお話しです。

40代後半でヒールにお別れして以来、角野のモットーは「ペタンコ靴をはいて自分の足でどんどん歩く」こと。鎌倉の海辺の散歩も日々の楽しみのひとつだ。24歳で海を渡りブラジルで暮らしたことが、作家としての原点だという角野。「魔女の宅急便」の主人公キキも、海が見たいとコリコの街にたどり着いた。「海」は何かが生まれてくる感じがしてわくわくするという角野が、「もう一度だけ海に入りたい」と考えた理由とは…

ヒールを履くのを止めたのは「たった5cm高くしても、疲れるだけ!」と身体と心を自由にしたかったと。

角野さんは24歳で結婚してブラジルに渡り、ここで書いた最初の本「ルイジンニョ少年」で主人公エイコのポルトガル語の先生ルイジンニョ少年のモデル、ルイズ・カルロス・ディアオさん(14歳?)に出会ったことが小説家になるきっかけになったという。彼女のアパートの近くに住んでいて、よく面倒を見たようです。ダンスが出来ない彼女に、ディアオ少年は軽快にタンゴを踊り、「踊れ!」というが私は踊れない。すると「僕のコンソラ(心)のビート音は、エイコの音と同じ、僕が歌い踊るんだからエイコも歌い踊れ!」と励まされ、自然に踊ることができた。「ここはもう外国でない!ふたつの国が出来た」と思った。そしてこの物語を書いていて、「私は一生これをやろう」と思った。書いて行けば気持ちがワクワクするし、生きいきでき、安全でもあると思った。だから一生書こうと思った。いいものを書く、そうではない、“楽しく書く”です。

この作品のなかでふたりは60年ぶりのTV電話で面談します。ディアオさんは「エイコは好奇心が旺盛でアーティストになると思ったが小説家になるとは」と驚きます。(笑)

海に入ると世界に繋がる、波の音が地球の鼓動に聞こえるという、とても生命力に溢れた人だと思うんですが・・。

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今、伝記を執筆中。「イコ、トラベリング」。イコは栄子です。弾けるように解放された女の子を書いてみたい。面白いことを形にしたい。トラベルは86歳まで続いているし、これからも続くと言います。

「私の一生として海に浸かるのはこれが最後だと思っていたが、非公開で来年も来ます!」と。(笑)

第2回「見えないものを見るメガネ」

トレードマークのカラフルなメガネを通して角野が見ているものとは。

老眼鏡が手放せなくなり、メガネのおしゃれの楽しみに目覚めたという角野。その日にかけるメガネを決めてから着るものを選ぶことも。27年にわたり6巻を書き継いだ魔女の宅急便にも、主人公キキがメガネをめぐって不思議な体験をする話が出てくる。「キキは物にこめられた見えない思いも一緒に運んでいる」という角野。「見えない世界の力」を、母を亡くした幼少期から考えてきたという角野が、作品にこめたメッセージとは。

角野さんはメガネを新調することにしました。選んだメガネは視力検査に用いられるようなメガネ?「皆が笑顔になる、笑ってくれる!ちょっと変わっていて顔の皺が見えない」というメガネでした。(笑)さてこのメガネで何をどう見るのでしょうか。

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宅急便というのは物を運ぶ、物というのは見えない世界を持っている。「魔女の宅急便」は見えない世界を見える世界と一緒に運びながら、いろんなことを経験して見えないものが見えるようになる物語。47歳で書き始め26年間も描いてきた角野さんのライフワークです。

5歳のときに母親を亡くし、お盆には母親が帰ってくるという不思議な世界に関心を持った。死んだら人はどこかに行くということ。もしかしたらあるかも知れない、違う世界というものの力、見えない世界が持っている力を知らず知らずに教えられた。心が満たされないと“創造する遊び”に楽しみを覚え、その楽しみが物語を書く楽しみになっていると言います。

魔女の宅急便」が完成したとき、角野さんは「だれでも魔法を持っている。空を飛んだり、姿を消せなくても、好きなことで生きていればそれは魔法になる」と書き記しました。魔法とはその人の喜びを見つけること、見つからない人もいますが、メガネで見つけて欲しい。魔法はひとつ、幾つもあったら魔法でないと。

角野さんは今、「魔女は宅急便」のスピンオフ作品「ケケと半分の魔女」を書いています。ケケの分身15歳の少女タタが母親を早く亡くし自分には何かが欠けているといろいろ人に出会い、見えない部分を探して旅する物語です。見えるものを探すのは簡単。見えないものを見えるようにするのが人の心を豊かします。人は誰でも自分はもっと豊かになりたいと思う。自分に掛けているものを求め、生きていくのは誰しも思うことです。

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角野さんはお盆には“ぼんぼり”を描きます。“ぼんぼり”は幻想的で、この時期の“むっとした湿気”で、向こうの世界に繋がっていて、小さな頃の思い出がそうさせってくれ、「姿がなかったものが現れてくる、なかったものが形になる。向こうの世界からこちらにやってくる」と言います。

角野さんは見えないものを探しながら、新しい物語の姿が現れるのを待っています。

鎌倉八幡宮ぼんぼり祭りの風景で角野さんのお話は閉じられます。

宮﨑あおいさん コメント

もう、角野さんのことが、大好き! になりました。言葉のひとつひとつが、本当に優しくて温かくて。初めてVTRを見たときも、ナレーションしている間も、心が温かくなるような、幸せな時間でした。見ている間、ずっと口角が上がっていたような気がします。本当に透明感があって、すてきな方! 日本中の人、世界中の人が知っている「魔女の宅急便」を、こんなすてきな人が書いているんだと思ったら、よけいに角野さんの作品のことも好きになる気がするし、生きていくうえでとてもポジティブに、前向きになれる言葉が詰まっています。見ていて幸せになれる。そんな番組はなかなかないと思うので、ぜひ見ていただきたいなと思います。

NHKでは最近、宮﨑あおいさんの映像、声の番組がしばしば取り上げられており、そろそろ二児の母となった宮﨑さんの演技が見られるかも知れないとわくわくしながら作品を楽しんでいます。

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「ミッドナイトスワン」(2020)草なぎ剛さんのトランスジェンダー演技で見せる作品でした!

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昨年、草なぎ剛さんがトランスジェンダーを演じてとても話題になった作品。見落としていて、WOWOWシネマ初放送で鑑賞。

第44回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を、最優秀主演男優賞、新人俳優賞受賞作です。

原作:内田英治さん、未読です。監督・脚本内田英治撮影:伊藤麻樹、編集:岩切裕一、音楽:渋谷慶一郎

出演者:草彅剛、服部樹咲、田中俊介吉村界人、真田怜臣、上野鈴華佐藤江梨子、平山祐介、根岸季衣水川あさみ田口トモロヲ真飛聖、他。服部樹咲さんはオーディションで抜擢され選抜された新人です。

トランスジェンダーとして日々身体と心の葛藤を抱えている凪沙(草なぎ剛)と、親から愛を注がれずに育ちながらもバレエダンサーを夢見る少女・一果(服部樹咲)の姿を通して、“現代の家族愛の形”を描く“ラブストーリー”。

家族愛をテーマとして観るとストーリーが浅すぎるように思いました。トランスジェンダーの男性が性別適合手術を施す作品は「リリーのすべて」(2015)でしか知らないので、それだけにトランスジェンダーの生き様には共感し、少女の姿を通して“凪沙の生き方・生きずらさ”にテーマを絞った方がよかったのではないかと感じました。いずれにせよ草薙さんの演技に圧倒され、服部樹咲さんの演技もすばらしかったです!😊さらに凪沙の心情を表すような映像もよかったですね!

 

あらすじ(ねたばれ):

新宿のニューハーフニューハーフクラブに勤める凪沙。「男に消費されたらお終いよ!」と仲間に声を掛けて白鳥の湖のダンスステージに立ちます。今ではこの姿が彼の生甲斐になっていました。男に騙され、男に溺れないで、美しく生活できると、稼ぎは安いが、この仕事を続けているらしい。

踊り終わって、客のテーブルにつき「海水浴で海パンだったのが悔しい」と夢ネタを披露。安いアパート部屋に帰り、金魚に餌を与えるのが唯一の楽しみ。夜は明るく振舞えても昼間に出向くことはない。こんな毎日の凪沙の生活。

そこに広島の母(根岸季衣)から「従妹が女の子の世話できないから、ちょっとの間でいいから面倒見て欲しい」と電話が入った。凪沙はめんどくさいと思ったが、お金がもらえるとこれを受けた。

女の子は中学3年の一果、母親(水川あさみ)は夜の仕事で酒乱、暴力を振るう。それに暴力男が付いていた。一果はお婆ちゃんに勧められるように新宿の凪沙の元にやってきました。

凪沙は「掃除・洗濯をきちんとやりなさい」と指示して放ったらかしていましたが、一果は学校からの帰りに見たバレエ教室に魅せられ、ここでの生活に生甲斐を見出し、片平先生(真飛聖)も一果の素質に只ならぬものを見ます。

一果の心配ごとはバレエ教室の授業料でした。母親(佐藤江梨子)がかってバレエダンサーだったリン(上野鈴華)と仲良しになり、彼女の勧めで写真教室のモデルとして資金稼ぎを始めました。が、カメラマンから無理なポーズを求められた一果が暴力を振るってしまい警察沙汰になってしまった。

凪沙は警察に呼び出され、初めて一果がバレエが好きで自分で稼いで練習していることを知りました。「もうこれでバレエはダメになる」と悲観する一果に「もっと自分を大切にしなさい」と励まし、そっと一果を抱きしめました。凪沙は自分の身の上に一果の苦しみを重ね、「助けてやりたい!」と泣きました。

凪沙は「放っておけない」と一果をニューハーフクラブに連れてきて勤務です。洋子ママ(田口トモロ)を始め皆さんが一果を可愛がってくれる。そんな中で、酔っ払い客と凪沙らが衝突し大騒ぎになった。その隙に、一果は憧れだったステージに上がって踊ってみた。これを見たお客さんが大喝采!凪沙も一果のダンスに魅入り「支援してやりたい」と強く誓うのでした。

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リンは足に骨折が見つかり踊れなくなってしまった。一果はリンの想いも背負って、バレエコンクールの練習に励んでいました。

凪沙は料理を作ってしっかり食べさせ、これをすることで母親のような気分に浸り、これまでになかった喜びに浸っていました。夜の公園で踊る一果を見ていると、身知らぬ老人が「お嬢さん方、御上手ですね。朝がくれば白鳥に戻ってしまう、なんとも悲しい!」と去って行く。凪沙が一果からバレエの基本を教わる関係になっていきました。

凪沙は一果のためにと、堕ちたら二度と這い上がれない夜の商売をすることにして客を取ったが、だめだった。救ってくれたのはかって一緒に働いていたみつこ(田中俊介)で「どうしたら幸せになれるの?」と泣いてくれた。

男性として稼ごうと髪を切って男性姿で朝の食卓に着くと、“一果は嫌がって大暴れ!”「迷惑を掛けたくない!」と自爆したのでしょうか?凪沙は一果を落ち着かせ、抱いて慰めました。

凪沙はニューハーフクラブを辞め就職試験を受けますが、トランスジェンダーという偏見で、名前を本名・雄二として力仕事にしか就けなかった。これはきつい仕事だった。

一果はコンクールが近付き猛練習。先生から「オデットは難しいから優しい踊りに変えたら」と忠告されたが、凪沙の憧れの姫・オデットを踊ると決めて練習。そこに母親が迎えにきたが、帰ることを拒否した。ここでの練習風景がとても美しく描かれます!

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コンクールの日。一果は凪沙と一緒に会場入り。最初の曲は見事な踊りで大拍手が起こりました。しかし、踊ることを諦めたリンが、踊りにしか興味を示さない母親に愛想尽かして、ネットで一果の踊りに合わせて踊りながらビルから投身自殺してしまいました。

2曲目、オデット姫の踊りで、リンの姿が客席に見え踊れなくなった。すると会場にいた母親が舞台に駆け上がって一果を励ます。これを見た凪沙は“私はこのままでは母になれない”と女性への転換手術を決意しました。

凪沙はタイで手術して帰国し、広島に帰った一果を迎えに実家にやってきましたが、激しい母親の抵抗、彼女の夫の力には逆らえず、胸から露出した胸部を見せながら無念な気持ちで東京に戻りました。

一果は無事中学を卒業し、片平先生とともに励んだ猛烈な練習が実を結んで、外国へのダンス留学チャンスを掴み上京してきました。「これも凪沙のお陰」とアパートを訪ねると、荒れ放題の部屋に下半身血だらけの凪沙と再会しました。

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凪沙が女性の水着で入りかった海を見たいというので、ふたりで鎌倉の海にやってきました。凪沙は「踊りを見たい!」と一果に所望し、夢の中で亡くなりました。チャプリン「ライムライト」のラストシーンのようだった!

一果はニューヨークで「見ていて!」とオデット姫で舞台に立ちました。

感想:

凪沙が孤独な一果に出会い、自分の同じ悩みを抱えてさらに自分の夢を持っていることで、心を開き、本当の母親となって、女としての喜びを持ちたいと性別適合手術を選択する物語

その心情は頭の中では理解できるのですが、どこかピンとこない。これまでトランスジェンダーとしてどう生きてきたのか。性転換手術が唐突に思え、凪沙の生き方に疑問を持ちました。

一方、一果の成長も、バレエの練習シーンがやたらと多くて、凪沙と心が通じ合うところが、草なぎさんと服部さんの演技に依存し過ぎた感じで、物語として突っ込みどころもあり、もっと深い物語が欲しいと感じました。

凪沙が海で一果のダンスを見ながら亡くなるシーン、凪沙の笑みを見たかったですね!そしてラストシーン、一果のニューユークでのダンス。一果の成長を描きたかったのでしょうが、このシーンが必要だったのかと思いました。

トランスジェンダー育児放棄、母親の愛情のあり方等とテーマが広がり過ぎたのではないでしょうか。

草なぎ剛さんが凪沙になり切り、決して美しい姿でなくどちらかと言えば醜い姿を晒して、トランスジェンダーの苦しさが自然に出ていて、演技ではない演技に酔わされました。また、服部さんのバレエシーンは、かなりの実績があるようですが、美しく、お芝居もちゃんとやれていましたね!

LGBTの生き苦しさを、結末を性別適合手術で描くという稀有な作品でした。

            ***

「白頭山大噴火」(2019)韓国映画は面白い!これに尽きます!

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「世界90カ国が激震!“白頭山大噴火”、韓国公開後3週間連続興収1位、観客動員820万人」の派手なチラシを見て、確認しようと本作を選び鑑賞しました。😊

さらに続く、

北朝鮮と中国の国境にある白頭山が突然噴火。次に大噴火が起これば、朝鮮半島は間違いなく壊滅する。残された時間は僅か75時間。半島の運命を握るのは、北朝鮮の隠された核兵器とその場所を知る北の工作員成功率3.48%oの半島救出ミッションが始動する。このミッションを任された韓国特殊部隊は、謎の工作員接触核の確保といった数々のミッションを全て突破し大噴火を阻止できるか?というパニック・アドベンチャー“大作”

監督・脚本イ・ヘジュン、キム・ビョンソ。撮影:キム・ジョン、音楽:バン・ジュンソク、VFX;デスタースタジオ。

出演者イ・ビョンホン、ハ・ジョンウ、マ・ドンスク、チョン・ヘジン、ペ・スジ、他。

結論を先に言っておきます。“凄かった!映像もストーリーも!日本では作れない。😊

白頭山(2744m)は活火山で大噴火は1000年に1度起きているそうです。946年の大噴火以来起きていないで、最近世界的に注目されてきているとのこと。これが起きると火山灰が日本にも降り注いだそうです。また、北朝鮮の核実験との因果関係も指摘されているとのこと。

ということで、韓国民の火山噴火に対する防災啓蒙という視点で、リアルで迫力のある映像を楽しめます。

実戦経験がない退役直前韓国陸軍大尉と得体の知れない北の工作員がバディーとなりミッションに挑む、出来るか?そしてこのミッションに中国、米国が絡むというまさに今の韓国国際環境下で、“韓国主導”でミッションを完結しようという物語、これをイ・ビョンホン、ハ・ジョンウ、マ・ドンスクが揃い踏みで演じる!これでは韓国で大ヒットするでしょう。😊

あらすじ(ねたばれ)

北のICBM核破棄交渉が最終段階にあると報じられる中で、定年前の韓国陸軍大尉チョ・インチャン(ハ・ジョンウ)は不発弾処理を行っていたが、妻チェ・ジョン(ペ・スジ)の胎児診断結果が気になって仕方がない。訓練が終わり急いで帰宅中に地震が発生。TVで“白頭山爆発”と報道されている。構想ビルの崩壊、道路の捻じ曲がり、車の衝突・炎上、避難民の大混乱。インチャンは崩壊したソウル江南街の光景を目にしていた。

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大統領の民生首席のチョン・ユギョン(チョン・ヘジン)は白頭山の噴火を警告していた地質学者カン・ボンネ(マ・ドンソク)に協力を要請。彼は大統領(チエ・クアンイル)に「白頭山の地底には4つのマグマ溜りがあり最大は4番目、これが最大でM8以上の巨大地震を誘発し挑戦半島全域に壊滅的な惨事をもたらす。解決策は白頭山から5km以内で600キロトンの人工爆発を起こしてマグマ圧を下げること。核を使うのがよい、成功率は3.48%、4次爆発まで75時間しかないと提案した。

大統領は「アメリカより先にやり恥をかかせてやる!」とこの提案を受け入れ、白頭山周辺にある鉱山の坑道で核爆破を行うことに決した。インチャン大尉はICBMの解体処理には適任とこの任に選ばれ、定年後アメリカへの移住が約束された。

作戦本部はふたつのチーム、本体のアルファーチームとこれをサポートするデルターチームで任務遂行することにした。インチャン大尉はデルターチームを率いることになった。

C130、2機で基地を発進したが目標上空で火山灰で機は墜落。アルファーチームは全員死亡。デツターチームは落下傘降下し、人員損害がなかった。インチャンが全任務を引き継ぐことになった。

搭載の装輪装甲車で北の工作員リ・ジュンピョン(イ・ビョンホン)と接触するため彼にGPS電波を追って、収監壕に辿り着いた。髭ぼうぼうの得体の知れないやつだった。出獄のときインチャンの財布をスルという業師。「共和国はいずれ潰れるが、俺は裏切れん!」と呟く、敵か味方か掴みどころのない男だった。(笑)

インチャンは財布がないことに気付いたが、中に炭坑の地図が入っていた、ジュンピョンが地図を食べてしまっていた。これは巧妙な彼の戦略だった!

慈江道のミサイル格納豪に急ぐ途中で、「糞だ!」と車外に出て、そのまま逃走してしまった。(笑)彼は妻(チョン・ドヨン)が住む平壌のアパートを訪ね、妻が彼を二重スパイと密告したことを確かめ、娘スノクの居場所を聞き出し、妻を射殺しようとするところにインチャンが飛び込んできた。ジュンピョンに手錠をかけミサイル格納壕に急いだ。

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ジュンピョンは壕に入るインチャンに「電源を切って、暗視で入れ!」と示唆するほどにすぐれた戦術眼を持っていた。電源を切って、暗視装置で進入、交戦してくる警備兵を倒し、ジュンピョンの案内でミサイル庫に到着。6機分のウラニウムを起爆装置に収めた。作業中、2白頭山爆発が起こり、作業は困難を極めた。ジュンピョンは密かに○○に電話していた。

ソウルでは妻のジョンが運転中、潜水橋で、ダムの崩壊による大波(津波)に遭遇し、漢江に放りだされ泳いでいた。(笑)

インチャンは「ウラニュームを確保した」と作戦本部に伝え、第9号坑道へ向かう指示を受けた。ジュンピョンの案内で出発。が、突然○○の兵士がロケット弾で襲ってくる。下車して、チームで応戦。インチャンはそこにあったトラックにガソリンを詰めロケット発射建物に突っ込み、チームの安全を確保しようとする勇敢な指揮官となっていた。これは使えるとジュンピョン。

しかし、チームを失った。インチャンが装甲車に戻ると、いきなりジュンピョンにスタンガンで撃たれ、意識を失った。

韓国作戦本部に米軍が「北に部隊がいたことでICBM核破棄交渉が無駄になる」と作戦中止を求め、作戦戦計画を持ち帰った。ボンネ博士は「こんな無能な本部には用はない、米国に帰る」と本部を出て行った。

インチャンが目を覚ますと、手錠を掛けられていた。ジュンピョンが「中国が狙っている、不可侵条約を破ったと・・」という。「ひとりになっても白頭山の爆発に行かねばならんのだ!」と言うが、ジュンピョンは「いずれ北は滅ぶがGPSで追ってくる」と興味を示さない。インチャンはジュンピョンのCPSを取り上げ飲み込んだ。

ジュンピョンが小便で装甲車を降りたとき手錠を外し、装甲車のハンドルを握った。ジュンピョンが襲ってきて激しい格闘になり、装甲車が暴走して崖から転落、森林の中を暴走し大木にぶちあたって止まった。(笑)

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ソウルのジョンはインチャンと連絡取れず、余震に耐えられず、脱出する米軍家族の船で先に米国に渡ろうと仁川港行きのバスに乗っていた。なんとそこに米国へ帰るボンネ博士が乗っていた。ジョンが夫を思い出し泣いていると、ハンカチを差し出してくれる。アメリカ人ですかと聞くとそうだ!という。(笑)

ジョンは仁川港で乗船しようとしたが、国籍がないので拒否された。気の毒そうに見るボンネ博士。

装甲車は走行不能で、ふたりで起爆装置をリヤカーで運び、○○行のバスを待っていた。そこに北の工作員が追って来た。バスに乗り、激しく撃ち合った。そのとき3白頭山の爆発!

バスが大吊橋上を走っていて回転。橋が落下するなか、ぎりぎりでバスが踏み留まり、北の追跡を逃れた。😊ここは映像が凄い!阪神大震災時高速道からの落下を踏みとどまったバスの例を引いたのかな。

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仁川港のジョン。地震発生で転びそうになり、ボンネ博士が{妊婦が危ない!}と庇ってくれた。ボンネ博士は「もう1回やる、チョ大尉がいるから」と作戦本部に戻った。

ユギョン首席は米軍から作戦計画を取り戻すために司令部に潜入し、PCに接触してコピーした。気付いた兵士に追われるが、警官隊の助けを借りて持ち帰った。この計画をボンネ博士が「もっと確率を上げられないか!」と検討を始めた!

タクシー車のふたり。インチャンが「もうすぐ白頭山が爆破だ」というがジュンピョンは「成功するとでも思っているのか」と貶す。しかし、キューティープチとは何かと子供の話題でふたりの間には繋がるものが出てきます。

崩壊したリマンボチャンの街に着いた。ジュンピョンが車を降りて娘スノクを探しに出た。妻ジョンから「どれだけ待たせるの!どこにいるの」と電話が掛かってきた。「何でそんなところにいるの」と喧嘩になった。(笑)すぐにボンネ博に替わり「9号でなく7号坑道、ラー24区!」と爆破目標を送ってきた。

ジュンピョンはスノクを見つけ出した。そこに黒服の一団が現れ「物は!」と問い、ジュンピョンを撃ってきた。「国境を越えさせてくれたら吐く。上層部に白状する」と交渉中。

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そこにインチャンがミン中士(オク・チャヨン)と車で駆けつけ「起爆装置はこっちだ!」と叫ぶ。ここに米軍も駆けつけてきた。インチャンが白旗を掲げて車を降り、タイマーがセットされた起爆装置を見せた。米軍がペンタゴンに報告。黒の一団も上層部に報告。米と黒の一団が対決。インチャンは「白頭山が爆発するぞ!ばかもの!」と叫んだ。

ジュンピョンがスノクと逃げ出すと、米軍も黒も逃げ出した。(笑)タイマーはミン中士がセットしたもの。

ジュンピョンに「娘と帰れ!」とエールを送ると「お前は場所が分からない」と戻ってきた。

4白頭山噴火は始まった。泣くスノクを残して、噴石が降る中を、車でラー24区!に駆けつけた。

ロッコに起爆装置を乗せて奥に。下降エレバーターの電源が切れていた。インチャンがダイナマイトを見つけてエレベーターの牽引索を切断する手配を整えてエレベーターに乗ろうとするとジュンピョンが「俺がひとりで行く。スノクを頼む!お前は家に帰って父親になれ!」とダイナマイトに点火した。

そのときソウルの病院で妻シュンが女のあかちゃんを出産していた。

数年後、インチャンはソウルでスノクを養女にして、家族4人となっていました。

感想:

ジュンピョンの生き様は謎が多かったですね!確かなのは娘スノクを幸せにしたかった!二重スパイならいずれ処刑されるでしょう。その彼が娘のために自分の命を捨てるという話、泣けます!さらにこの娘を預かったインチャンの想いにも。家族への熱い想いが不可能なミッション達成の力であったというドラマ、感動しますね!

ストーリーがスパイもので、二重スパイのジュンピョンとの駆け引き、これに絡むアメリカ・中国の動きと、とてもミステリアス。ジュンピョンが地図を飲み込んだところから始まり、GPSの行方、携帯電話の相手、戦う相手とミステリアス。見る人に任せている部分があり、考えさせるストーリーになっていました。眠ったら分からなくなります。あらすじも当てになりません!(笑)

噴火災害の映像ハリウッド並みでよく出来ていてリアルでした。白頭山の第1次爆発から第4爆発(兆候)までの4段階に区分し、ドラマに合わせて、地震津波・地すべり。噴石災害を描き、これをドラマの中で観せるという着想がいい。しっかりと火山災害の防災啓蒙になったと思います。(溶岩流、火砕流がなかったか!)

ジュンピョン役のイ・ビョンホン。掴みどころのないところがしっかり出て、それでラストシーンでは溢れるばかりに愛が感じられる演技、見事でした。内野聖陽さんにそっくりでした。(笑)

一方のインチャン役のハ・ジョンウ。コミカルな役で、物語の進展に伴い軍人として任務に邁進する演技、楽しかったですね!

ボンネ博士役のマ・ドンソク。地質学者という役をどう演じるのかと思っていましたが(笑)、ひょうきんな役をうまく演じましたね!

韓国映画は面白い!これに尽きる映画でした。

                                     ****

「ドライブ・マイ・カー」(2021)幾重にも伏線が繋がり緊張感が漲る、人としての生き方を描いた作品だった!

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寝ても覚めても」の濱口竜介監督作品カンヌ国際映画祭でみごと脚本賞に輝いた人間ドラマ。さて如何なる作品かと楽しみにしておりました。

原作は村上春樹さんの短編集小説「女のいない男たち」の一作目「ドライブ・マイ・カー」(妻を失った男の喪失と希望)、さらに「シュエラザード」「木野」のエピソード」が投影されているとのこと。いずれも未読です。これに「ワーニャ叔父さん」ゴドーを待ちながら」の演劇要素を加えて原作を大きく膨らませ、感動的な人間ドラマになっています。

監督濱口竜介脚本濱口竜介大江崇允撮影:四宮秀俊、音楽:石橋英子

出演者西島秀俊三浦透子霧島れいか岡田将生、パク・ユリム、ジン・デヨン、ソニア・ユアン、ペリー・ディゾン、アン・フィテ、安部聡子。

舞台俳優で演出家の家福悠介(西島秀俊)は、妻の音(霧島れいか)と穏やかで満ち足りた日々を送っていた。しかしある日、思いつめた様子で“今晩話がしたい”と言っていた音は、家福が帰宅する前にくも膜下出血で倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまう。

2年後、「ワーニャ伯父さん」の演出を任された演劇祭に参加するため愛車で広島へ向かう家福は、寡黙な女性みさき(三浦透子)を専属ドライバーとして雇うことに。やがて様々な国から集まったオーディション参加者の中に、かつて音から紹介されたことのある俳優・高槻耕史(岡田将暉)の姿を見つける家福だったが・・・という展開。

物語はこんなダイジェストでは語れない生々しいものになっています。😊

悠介は音の不倫現場を見たがこれを黙殺。これが原因で音の不慮の事故に立ち合えず死なせたという贖罪と高槻が音の不倫相手ではないかという猜疑心に苛まれるなかで、みさきに出会い、「ワーニャ叔父さん」を演じて、再生への“道”を見つけるという物語。

音が悠介とのセックス中につぶやくドラマシナリオから始まるというショッキングな出だし。このシナリオが高槻に絡むというミステリアスな展開。さらに「ワーニャ伯父さん」の舞台稽古での家福と高槻の一発触発の触れ合いがスリリングで、この舞台を演じることで再生れていくヒューマンドラマ、壮大な仕掛けの物語でした。映画の面白さは“脚本”と知らしめてくれ、3時間に及ぶ作品ですが精緻なセリフを聞き漏らすまいと時間は気にならずアッという間に過ぎて、2~3本分の映画を観た感覚でした。(笑)

あらすじ(ねたばれ):

セックスを終えた余韻の中で音がベラベラと喋る猥褻なドラマシナリオ、悠介が処々に意見を入れる。出勤時、赤い車・サーブ900スウェーデン製)の中で、音がシナリオを悠介に再確認する。音は思い出せない部分を携帯のメモを入れる。音はドラマ作家。この手で書いたドラマが評判になった。このシナリオは初恋の人・山賀の部屋に忍び込み、彼女と山賀の密事を描いたもの「山賀の物語」。

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悠介は芝居の演出者であり役者。出し物は「ゴドーを待ちながら」。なんと、スクリーンに映し出される4か国語のセリフを見ながら芝居を観るという“多言語芝居”でした。音と身体表現で観せる芝居、これがこの物語の奥に隠れたテーマ、伏線です。悠介は劇中で「俺たち別れたら破滅になるな!」とセリフを吐きます。このセリフに悠介と音の関係が見てとれ、ギョッとします。(笑)

悠介はサーブの中で、音が舞台劇「ワーニャ叔父さん」のセリフを吹き込んだテープで自分のセリフを暗記します。ここで吐く悠介のセリフが常に悠介と音の関係を暗示しているようで、このセリフ覚えシーンは大切な伏線です。これが面白いです。赤いサーブは音そのものだった!

舞台が終わったところに音が高槻を連れて来て紹介します。

悠介はウラジオストックからの招聘で空港に急ぐが、天候急変で航空機が飛ばない。家に戻り、ドアーのキイを外して中に入ると、大音響のクラシック音楽のなかで、裸の音と男が身体を重ねている姿を見た。男の顔は分からなかった。ドアーを閉めて?震える手でタバコを吸って空港ホテルに戻り、夜、ウラジオストックから話しているようにビデオ通話。音は「無事着いた!」と怪しむ風ではなかった!

2週間後、帰国。音に電話していて衝突事故を起こした。緑内症と医者に診断されたが、原因は・・・?

悠介と音は亡くした子供の命日に寺を訪れていた。帰りにサーブ運転中の音が「子供が欲しかった!あなたが好きだ」と告白。悠介はそと音の手を握りました。

その夜、音は激しく悠介に絡み、あのへんな「山賀の物語」の続きを語った。「山賀を訪ねた私は八つ目ウナギだった。ひたすらひらひらと岩に張りつき・・」と卑猥に話し続け(笑)、「その時、誰かが二階にやってきてこれでお終いと、前世からの因果から抜け新しい彼女になる」と喋って絶頂を迎えた。悠介はこの話に・・?

翌朝、音が「昨日の話を覚えている?」と聞くが「覚えてない!」と返事して出掛けようとすると「今晩帰ったら話せる?」と聞いてきた。

悠介はサーブの中で「ワーニャ叔父さん」のセリフ覚え。「そんな悪魔に憑りつかれた!今日もひどい!」とワーニャのセリフをしゃべっていた。(笑)しっかりセリフを覚えて、夜になってパークでソーニャの「ワーニャ叔父さん、生きていきましょう!運命の試練に耐えて・・」というセリッフを聞いて、部屋に戻ると音が倒れていた。病名はクモ膜下出血だった。悠介は「もう少し早く帰っていれば」と悔やんだ。音を失った喪失感と「打ち明けられなかった秘密」を苛まれながら2年が過ぎ、広島で上演される「ワーニャ叔父さん」の演出を引き受けた。

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家福はサーブで「真実は恐ろしくない、それを知らないでいることは・・」というテープを聞きながら、広島の劇場に着いた。プロデューサーの柚原(安部聡子)とユン・ユンス(ジン・デヨン)から「キャステイングはオーディションでお願いします。準備している運転手を使って欲しい」との申し出があった。家福は不安だったが誠実で口が堅い渡利いさきにサーブの運転を任せることにしました。

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オーディションで高槻に出会った。彼はアーストロフ(医者)役志望で、エレーナ役志望の台湾女優・ジェニス・チャン(北京語)と芝居をしてもらった。

高槻は感情的に芝居しチャンにキスした。ここで家福は「ありがとう」と止めた。

ソーニャ役を志望した韓国女優・イ・ユナ(パク・ユリム)は“聾”で韓国手話で演じたが、家福はこの演技に感動を覚えた!

翌日、キャステイングを発表。皆さんが志望通りだったが、高槻にはワーニャ役を振った。これに高槻が「年齢が合わない」とクレームをつけたが「嫌なら辞めていい」と突っぱねた。高槻はしぶしぶこれを受け入れました。何故、家福はこのキャステイングに拘ったのか?

ここから毎日、それぞれの言語での脚本読みが始まった。家福は徹底的にテキストを読ませ聞いていた。そして、みさきの運転するサーブで音のテープを聞きながら、宿と劇場を往復する毎日だった。

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ある日、高槻が「話したい!」というので高槻が宿泊しているホテルのバーで話を聞いた。高槻は「音さんの脚本が気にいってつき合うようになった」という。「売れていたのにバカだ!」と腐すと「身元も知らない人とフィーリングが合って・・」という。「セックスはしたしか?」と家福も感情的に話し出す。「否定はしないが、音さんは素敵な人で、家副さんに嫉妬している」と話す。これに家福が怒ったところで、高槻が写真を撮られ騒動になり、家福はサーブで宿に戻った。高槻というのは得体の知れない、直行性の男だった。

ユナの手話をうまくユンスが通訳するので「なぜだ!」と聞くと、「家に来れば分かる」と誘われたので、みさきも一緒にと訪れると、ふたりは夫婦だった。😊

ユナが「私は見ることも聞くこともできます。言葉以上に知ることができます。家福さんの言葉が私の中に入ってきて私を動かします」という。まさに家福が目指す演劇だった。ユンスが飼っている白い犬(ラブラドール)をみさきが気にいった。これを契機に、家福とみさきが会話を交わすようになった。

帰りのサーブの中でみさきに「テープの声は嫌いか?」と聞くと「好きだ!」という。そして彼女の運転が“なぜ心地良いか”を知った。「北海道にいたとき、水商売の母親の眠りを覚まさないよう送り迎えしていた」と語った。

立ち稽古の日。高槻は車両事故で遅れてやってきた。高槻にイ・ユナ(ソーニャ)との芝居を命じた。高槻のセリフに「ひどい!」とダメ出しをするとユナが「賛成!」とサインを送ってきた。高槻は「すいません」と謝ったが、家福はうんざりしていました。

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帰りにみさきに「好きなところに連れていってくれ」と頼むと、広島環境局の中工場“ごみ収集所”に案内して「母が山崩れで亡くなり、ここに流れついて運転手をしていました、この建物の廊下と平和公園を連る道路は真っすぐ伸びて海に繋がっている」と話します!ミサキを知る大きな伏線で、ラストシーンに繋がります。

公園で立ち稽古を行うことにした。チャン(エレーナ役)とロイ・ロセタ(セレブリャコフ役)の演技を「何かが起きている!」と褒めたあと、高槻(ワーニャ伯父)とユナ(ソーニャ)の芝居を観たが、何も言わなかった。

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夜、高槻が「地下のバーで飲みましょう」と家福を誘った。飲んだあと高木のホテルまでサーブで送ることにした。貴樹が「公園での稽古で、あのとき何が起こっていたのですか」と聞いてきた。家福は「テキストをしっかり読め!」と答えた。「なぜあなたがワーニャを演じないのですか、何故僕がワーニャなんですか?」と聞いてくる。「チェーホフは恐ろしい、魂を引き出されるから。君ならオーラで演じられる」と答えた。そして音がセックスをしながら小説を書くことを教えた。「音には別の男がいた、何人もいた。家にも連れてきた。それでも疑わなかった」と話すと「何故聞かない!聞いて欲しかったのではないですか?」と、八つ目ウナギの話を始めた。家福が「オナニーで終わっている!」と言うと、「その続きがある」と話し始めた。

「二階に来たのは空き巣で彼女はこの男を殺した。そして玄関に監視カメラをつけ、『私が殺したから玄関には鍵はなかった。カメラに向かって何度も何度も私が殺した』と話したと言った。これを聞いて音さんから大切なものを託され、素敵な女性だと思った。この人と20年暮らした家福さんは感謝しなければならない」と語った。そして「自分の心で折り合いをつけること。本当の他人を見たいなら自分を真っすぐに見つめることしかない、自分はそう思います」と言葉を残して下車しホテルの中に消えていった。家福は愕然とした!!

夜の高速道を走るバーブ。家福はみさきに「どう思うか?」と聞くと、「高槻さんは嘘を言ってるようには聞こえなかった!本当のことを言ったと思います。私は嘘ばかり言う人に中にいたから分かります」と返事した。高槻の声に真実があった!ふたりはサーブのルーフを開けタバコを天にかざしながら、喫った!😊

翌日の芝居稽古。高槻が暴行致死罪で逮捕された。柚木は「中止かあなたが演じてください」と言い、家福は「やらない!」と言ったが、エンスが「演じてください!」という。家福は「2日間待ってくれ!」と、みさきと彼女の生家・北海道の上十二滝村を訪ねることにした。昼夜を突いて、幾つものトンネルを赤いサーブが走り続け、フェリーで北海道に渡るとそこは雪だった。

上十二滝村の崩落地に崩壊した家屋を見た。みさきが「山崩れのとき母は精神病を患っていて救えたかもしれないが何もしなかった」と花を一本づつ廃屋に手向け泣いた。家福は「自分も同じだ、救えたかも知れないのに帰る時間が遅れ、妻を殺した。君と同じ罪だ」とみさきを抱擁した。

「俺は正しく気づくべきであった、妻を愛していたことに何の矛盾もない、自分自身に耳を傾けるべきであった」と後悔した。「死んだもののことを考え続けながら生きて行かねばならない。俺たちはきっと大丈夫だ!」と広島に引き返した。

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家福はワーニャ伯父として舞台に立ち、ソーニャに「何と辛いんだ!」と問うと「生きていくしかない!人の幸せのために・・・」とソーニャのユナの手話による熱演で大拍手の中で幕を閉じ、家福はこの舞台で救われました。

みさきは娘らしい小奇麗な服装で赤いサーブにラブラドールを乗せて、まっしぐらな道に走り出しました!

感想

得体の知れなかった高槻がサーブの中で語った八つ目ウナギの話。こう繋がってくるのかと脚本に驚きました。

悠介は「音は何も気づいていない」と思っていたが、こんなところに夫への愛を残していたんですね。この展開にアッと驚きました!渾身の力で高槻が説く「本当の他人を見たいなら自分を真っすぐに見つめることしかない」の言葉に、簡単な言葉ですが、自分を許すための力のある言葉だと気付かされました。これまでチャランポランだった高槻が豹変して熱っぽく語る、岡田さんの熱演が凄かった。これは高槻の家福への贖罪でもあった!

家福がみずきと上十二滝村を訪れ、罪を同じゅうする者として、「それでも生きていかなければならない」と気付き、舞台劇「ワーニャ叔父さん」でワーニャ伯父を演じて、人として普遍的に求められる生き方に到達するという、感動的な物語でした。

この脚本に引っ張られるように出演者皆さんの演技が凄かった。西島さんの誠実さや清潔さ、それでいて濡れ場もしっかり演じるという、すばらしい演技でした。渡利透子さんは“みさき”という大役を演じ大変だったでしょう。無口で思慮深い役を丁寧に演じ、クライマックスで泣きだすシーン、ラストの変化にびっくりしました。

音を演じた霧島れいかさん、しなやかな肢体で濡れ場を自然に大胆に演じましたが、全編にわたって出てくるテープの声の出演も柔らかい声でよかったと思います。イ・ユナ役のパク・ユリムさん、舞台劇「ワーニャ叔父さん」のラストシーンにおける手話と身体による感情表現は素晴らしかったです!

幾重にも伏線が繋がり緊張感が漲る人間の業を描いた作品、素晴らしかったです!!

            *****

「孤狼の血 LEVEL2 」(2021)

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余韻がまだ残っているほどの前作、これの続編。マル暴刑事・日岡がどう型破りの先輩刑事・大上の心を引き継いだかと楽しみにしていました。マン防の中、公開初日初回で鑑賞、まあまあの入りでした。

前作から3年後の日岡の容貌、大上を凌いでいるではないですか!😊これに“にたり”でしたが、・・・。

原作は柚月裕子の同名小説ですが、今回はオリジナルストーリー。柚月さんに断りを入れたとか。(笑)それだけに白石監督の描きたいものが描かれているのではないでしょうか。

監督白石和彌脚本池上純哉撮影:加藤航平、音楽:安川午郎。

出演者松坂桃李鈴木亮平西野七瀬村上虹郎音尾琢真寺島進、かたせ梨乃、滝藤賢一中村獅童中村梅雀吉田鋼太郎、他。

亡き先輩刑事・大上の後を継ぎ、一匹狼となって呉原市の裏社会に安定をもたらすべく奔走してきた刑事・日岡松坂桃李)。目的のためには汚い手段もいとわず、どうにか危うい均衡を保っていた。そんなある日、上林成浩(鈴木亮平)という男が7年の刑期を終え出所する。

上林は自分が服役中に殺された五十子会長の仇をとることに執念を燃やし、原因となった抗争の黒幕を突き止めようとしていた。そんな上林の常軌を逸した暴走で、かろうじて保たれていた裏社会の秩序が崩れ始め、遂に日岡と上林が対決することになるが・・・。

日岡は大上から学んだ警察とヤクザを操り、武力闘争を避けて市民の治安を守るという正義のために際どいタイトロープを渡っていたが、とんでもない狂気の上林の出現で、このタイトロープが切れて窮地に陥るという話。前作を観ておくとより楽しめます。

前作に比して、日岡と警官、ヤクザの関係にミステリー要素が加わり、周りは敵だらけ!という物語展開。何よりもえげつない狂気・暴力、グロ描写、そして派手な闘争アクションが圧巻、このコロナ禍に楽しんで欲しいという監督の心使いが感じられる作品です。😊

あらすじ(ねたばれ):

冒頭、前作から3年後の広島市暴力団情勢。日岡が広域暴力団「広島仁正会」と謀って、有力な地元暴力団だった「五十子会」の力を削ぎ、「尾谷組」(組長は服役中)と手打ちさせ因縁の対決状態を回避するという、大上から教わった手管で、小康状態を保っていた。日岡暴力団情報入手のためにスタンド華のママ・近田真緒(西野七瀬)とは男女の関係で弟・幸太(村上虹郎)を五十子会に潜り込ませていた。この日岡の風貌を見てください!

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ここに、獄中にあった五十子組組員の上林成浩が、刑務所で激しく刑務官と争うために模範囚として厄介払いされて出獄してきた。獄中の上林、鈴木亮平さんの極道面にはこれが鈴木さん!というほどに悪になっていました。(笑)

出所した上林は、獄中で虐められたと、刑務官の妹でピアノ講師・神原千晶筧美和子)を訪ねて、強姦して目ん玉を引き出して殺害!この狂暴性が見せ場です。(笑)

広島県警ではピアノ講師殺人事件の捜査本部を立ち上げ、管理官・嵯峨大輔(滝藤賢一)は東呉原署の日岡を呼び出し、公安の瀬島孝之警部補(中村梅雀)とバディーを組ませて捜査を開始した。瀬島は定年前で、「これが最後の務め!」と大喜びだった。

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上林は亡くなった五十子組長の3回忌に参列し、そこで仁正会会長の綿船陽三(吉田鋼太郎)、二代目五十子組長・角谷洋三(寺島進)に「尾谷を潰す!」と心境を明かすと、「今はビジネスの時代、止めとけ!」と聞き入れられなかった。上林は怒ってその場を去った。組長夫人の環(かたせ梨乃)がひとりたいそうな喜びようだった。ここに出てくる面子はいずれもドスが利いて、ヤクザ映画には欠かせない人たちですね。(笑)

上林はかっての組員の吉田滋(音尾琢真)、大上に真珠を抜かれ口に入れられた男(笑)で今では足を洗ってパールエンタープライズという不動産会社経営者を訪ね、この会社を配下に置いた。代償は吉田の指だった。(笑)

上林はパールエンタープライズを配下に置いたことを綿船会長に報告すると、組頭の溝口明(宇垣剛士)が「つまらんことするな!」と口出しした。上林はアイスピッグで溝口の頭に突き刺し殺害した。皆は唖然として口がきけなかった!

日岡がピアノ講師事件の件で村上の事務所を訪ね、部屋を物色したが何も出てこなかった。が、帰りしな、日岡に「おやじの事件には東署の刑事が関わっている、必ず地獄を見せてやる!」と睨みつけた。

日岡は特捜研を訪ね、ピアノ講師事件で採取した精液の検査を依頼した。帰りの玄関で、この事件を追う記者・高坂隆文(中村獅童)に写真を撮られた。

次に上林は五十子会の事務所を訪ね、いきなり拳銃で組員を銃殺、角谷夫妻を裸にして犬の首輪をつけさせ犬柵に入れて首を絞めて、武器の在処を問う。そして、穴を掘って生き埋めし、チンタに火を点けさせて焼き払った。チンタは震えが止まらなかった。上林は五十子組の看板を「五十子上林組」に書き換えた。

このころ、日岡は瀬島のアパートに招かれ、妻の作ったタコ飯を喰って酒を飲みすっかり瀬島の虜になっていた。外では高坂が張っていた。そこをチンタが襲った。

ビヤガーデンでチンタに会うと「上林はやばい!」と音を上げたが、「じきに終わる!上林が尾谷組を襲撃する時期をつかめ!」と叱咤激励、韓国行きのパスポートを与えた。チンタは喜んだ(振りをした)。

高坂が署に取材に来て、日岡に「あんたのやり方は極道だ、大上よりあんたは問題がある!裏でヤクザと手を結んでいる」と言葉を投げつけた。「心配ない、市民の治安を守っている。黙って見とれ!」と無視した。これで高坂は上林に走った!

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上林組の舎弟頭・佐竹昌利(毎熊克哉)らがスタンド華にやってきて、ママの真緒に「チンタはあんたに似てない!」などと絡んだ。店にやってきた尾谷組若頭・橘雄馬斎藤工)に追っ払った。

このことで橘は路上で上林組組員に撃たれ入院した。日岡が見舞いに訪れ「我慢しと、一ノ瀬に任されているから」と諫めるが「どげんな口で言える!おやじを嵌めた」と拳銃を向けてくる。

日岡は理髪中の仁正会長・綿船を掴まえて「尾谷組を抑えてくれ!」と頼むと「もうオオカミはおらん、人間がおらんようにした。強ようなるのも考えもんだ!」と意味深な答えだった。

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上林のチンタ虐めが始まった。チンタに麻薬を打って、日岡の殺害を命じた。チンタは屋台で飲んでいる日岡を拳銃で数発撃った、弾は腹部に命中した。騒ぎを聞きつけてパトカーがやってきたが、日岡が「逃げろ!」と促して逃がした。日岡は入院した。

上林は「数発撃って殺せなかったのはおかしい」とチンタに指を切り落とすことで釈明を求めた。チンタは歯を食いしばって切り落とした。

チンタは上林からオートバイをもらい、これで近田の家に戻ってきた。姉の真緒に「日岡さんが正しい。上林みたいな外道を野放ししたらいかん」と訴えた。これに真緒が「もう警察に協力することはない、辞めて!」と説得したが、チンタは組に戻っていった。

入院中の日岡にチンタから「5時上林組が尾谷組を襲撃する」と伝えてきた。日岡は瀬島に「スパイからの情報だから確か!直ぐに襲撃を掛ける」と情報を送った。

雨だった。日岡は病院を抜け出し尾谷組事務所付近で待機していると上杯がオートバイでやってき「サツにすぬけで変更した」と言い、「あまえはおやじを嵌めた!」と襲い掛かってきたが、警官隊を見て逃げて行った。その後、チンタは殺害された。

日岡が近田家に出向くと、報道陣が家を取り巻いていた。中に入ると真緒が激しく日岡を罵った!チンタは大きな鳥籠に入れられて届けられていた。高坂記者から「こいつのせいだ!」と激しく罵られた。    

県警本部に出向いた日岡は「高坂が上林に情報を売った」と思った。嵯峨が「今回の始末書と3年前の事件のことも文書にせよ」と要求してきた。瀬島が手伝うというので全部告白した。

本部から出たところで高坂に会った。「売ったのか!」と聞くと「上林を野放しにし、ピアノ殺人事件を放置しているから、なぜパクらないのかと聞いただけだ」という。日岡は」「まさか?」と思って、科捜研に出向いて精液検査結果を聞くと、「上層部の言う通りにした」という。瀬島のアパートを訪ねるともぬけの殻だった。

日岡は真緒を訪ね「俺は警察の犬に成り下がっていた。チンタは俺が殺した!」と詫びた。

日岡は新聞社に出向いて高坂に「俺の味方になる記事を書いてくれ。県警と上林をやる!」と情報を与えた。高坂が連日書きまくった!嵯峨が新聞を投げ捨てた。

日岡は県警本部に手錠を掛けられ、拘束されていた。上林は日岡が拘束されているのは好機と、尾谷組に襲撃を掛けた。この情報を監視役の中神警部補(三宅弘城)から聞いた日岡はここから脱走してパトカーで現場に急いだ。

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上林組は橘らを射殺して引き揚げていた。日岡が上林の車を追った。トンネル内で激しいカーバトル。トンネルを抜けたところで上林の車が横転。ここからふたりの格闘が続く。韓国映画「悪人伝」を観る思いでした!

上林が日本刀で日岡に斬りかかるところに、嵯峨が「なにやってる!迷惑かけて」と駆けてきた。日岡嵯峨の拳銃を取り上げ、この銃で3発上林を撃った

瀬島の処理は真緒に任せた。瀬島はトラックに跳ねられ亡くなった。

平成4年暴力団対策法が施行。多くの暴力団が消えていった。日岡は県北の駐在所に勤務していた。オオカミが出るというので駆り出され、山中を捜索していてオオカミに出会った!

感想:

日岡のオオカミ(大上)捜し、見つからず完敗!悔しさのみ日岡に学習能力がなかったのかと言うほどにやられましたね!今回の松坂さんの演技、押さえていましたね!そこに知性が見えて、大学出のインテリ刑事のやることかと次作に期待しています。😊

嵯峨に命じられ監視役として大上とバディーを組まされた日岡何故瀬島の存在に疑念を持たなかったか?瀬島役の中村梅雀さんの惚け演技が冴えていました。また中村獅童さんにもやられましたね!

これに反し、ちんぴらヤクザの近田幸太(チンタ)の正義は“大きくて爽やか”、最後まで自分の正義を貫き、弱いようで一番強かった!ウサギがオオカミを倒すような話だった。😊村上虹郎さんが苦しみを隠して優しさを見せる演技が冴えていました。姉・真緒との姉弟愛には泣かされますね!

真緒役の西野七瀬さん乃木坂46の元メンバー。初めてお目にかかりましたが、いけますね!なかなかの演技でしたね!

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とは言え、上林の狂気が凄かった。今回はこいつが居たから物語が成立しましたね。 (笑)目ん玉を握って引き出す、犬の首輪をつけて締め半殺して埋め火を点ける、いびって、いびって、いびり殺す、映画「凶悪」をも凌駕する殺し方だった。

しかし、上林の正義に一点の曇りはなく言行一致だった。親分を失った復讐心のみで生きる望を捨てていた。なぜここに日岡は目を向けなかったか。人たらしの大上ならきっとそうしたと思った。上林の幼いころの恐怖体験がこの人格を作ったと思え、今日の“幼児虐待”への警告です!

日岡がオオカミに出会ったようだし、この様では終われないでしょう。次作を楽しみにしています。

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