映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ラストナイト・イン・ソーホー」(2021)甘い夢には毒もあるということ、夢みるもいいが、自分を見つけることが大切よ!

甘いf:id:matusima745:20211211222107p:plain

「ベイビードライバー」(17)のエドガー・ライト監督が描く、ロンドンのソーホー地区を舞台に、60年代と現代、2つの時代が交差するタイムリープ・サイコ・ホラー作品。ということで公開初日初回に駆けつけました。これまた客がいない!驚きました!

監督:エドガー・ライト脚本:エドガー・ライト、クリステン・ウイルソンケアンズ撮影:チョン・ジョンフン、美術:マーカス・ローランド、衣装:オディール・ディックス=ミロー、編集:ポール・マクリス、音楽:スティーブン・プライス

出演者:ジョジョ・ラビット」のトーマシン・マッケンジーNetflixの大ヒットシリーズ「クイーンズ・ギャンビット」のアニヤ・テイラー=ジョイという若手人気女優に,60年代をテーマにしたことで、当時の映画作品のオマージュがたっぷり取り入れられており、キャステイングにも工夫がしてあります。「ドクター・フー」のマット・スミス、「コレクター」のテレンス・スタンプ、「女王陛下の007」のダイアナ・リグ、「蜜の味」のリタ・トゥシンハム、他。ダイアナは本作が遺作となりました。

ファッションデザイナーを夢見て、ロンドンのソーホーにあるデザイン専門学校に入学したエロイーズ(トーマシン・マッケンジーは、寮生活になじめずアパートで一人暮らしを始める。ある時、夢の中できらびやかな1960年代のソーホーで歌手を目指す美しい女性サンディ(アニヤ・テイラー=ジョイ)に出会い、その姿に魅了されたエロイーズは、夜ごと夢の中でサンディを追いかけるようになる。次第に身体も感覚もサンディとシンクロし、夢の中での体験が現実世界にも影響を与え、充実した毎日を送れるようになったエロイーズ。夢の中で何度も60年代ソーホーに繰り出すようになった彼女だったが、ある日、夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまう。さらに現実では謎の亡霊が出現し、エロイーズは徐々に精神をむしばまれていく。(はしがき)

               

60年代のソーホーは最先端の流行の震源地で、ポップカルチャーやファッション革命を先導したが、娼婦やペテン師がいて、あらゆる不道徳が蔓延る、名の知れた悪の洞窟であったという。

ということで、レトロな音楽と映像で描き出される圧巻のホラー作品でありながら、60年代と現在をシンクロさせることで社会性のあるドラマとなり、よくできた脚本・演出の作品でした!

あらすじ

冒頭で、「愛なき世界」(64)のレコードを聞きながら、エロイーズは新聞紙でデザインしたドレスを着て、鏡に映し、踊るシーンから物語が始ります。父を幼くして失い、母親を自殺で亡くしたエロイーズは多分に母への霊感を持っていて、母の愛した60年代ソーホーに強い憧れで、デザイナー志していた。

そこにロンドン・カレッジ・オブ・ファッション校から合格通知が届き、祖母に「ロンドンは危ない町よ」と送り出され、田舎町から憧れのロンドンに出てきた。

寮に入ったが、合部屋で都会派のジョカスタ(シノーバー・カールセン)と一緒になった。しかし、田舎ものを馬鹿にする彼女とはそりが合わず、ひとりで過ごせる部屋を探した。

大家さんは老女ミズ・コリンズ(ダイアナ・リグ)だった。「男性の連れ込みは厳禁」という条件で古い屋根裏部屋を借りた。

60Sレコードをかけて、眠ると、いつしか「007サンダーボルト作戦」の巨大なポスターのるカフェ・ド・パリに出くわした。中に入ると、ポップスターが唄っている。そこにゆったりと垂れ下がったピンクのドレスのシサンディが、「歌を唄いたい」と現れ、マネージャーのジャック(マット・スミス)に「踊れるか?」と問いかけられ、ふたりが踊りだした。鏡に映るエロイーズはサンディに替っていて、サンディの踊りにシンクロするように踊った!男たちが踊ってくれと近づいてくるが、ジャックが許さない。ジャックはサンディにキスし、虜になってしまった。

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外に出て高級車で街を疾走してアパートに送ってもらった。エロイーズはここで眼が覚めた。

カレッジでサンディのデザインを画くと、仲間のジョン(マイケル・アジャオ)が「恰好良い!」と褒めてくれ、これが大評判となった。こうして毎晩、サンディに会えるように願って眠るようになっていった。首にキスマークがついていると指摘されてびっくりした。(笑)

ジョンに誘われても断って眠った夜、ジャックに連れられてクラブ「リアルト」に。ジャックにオーデイションだとステージに上げられ、サンディが「恋のダウンタウン」を唄った。ジャックは合格!と判定し、俺がマネージャーだと言い、そのままサンディを外に連れ出した。エロイーズは大丈夫?と見ていた。

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エロイーズはサンディを真似て、髪を金髪にし、白いコl-トを着るようになった。お金が嵩み、パブ「トゥーカン」でアルバイトすることにした。地下のバーに銀髪の老人(テレンス・スタンプ)がいて、こちらを監視している。外に出るとこの老人が「ナンパじゃない、心配するな!」とついて来る。

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夜、「恋のダウンタウン」を聞きながら眠った。すると、舞台のサンディがストリップショーで「パリの操り人形」を唄い、踊っていた。驚いた!「脱げ!脱げ!脱げ!」の叫び声。エロイーズは見るに見かねて、席を外した。部屋に戻ってもすぐにジャックに呼び出され「クレオパトラ」を踊らされていた。その後、

部屋に男たちが押しかける。サンディは男に身を委ねるようになっていた。

エロイーズはこれに耐えられず、デザイン中のサンディの衣装を破いて捨てた。アルバイト先のパブ“トゥーカン”で働いていると銀髪の老人がやってきて、「お前ではなかったようだ!」と似顔絵を渡して帰って行った。エロイーズはこれを見て、夢でないサンディが生きていると思った!店長ペギー(リタ・トゥシンハム)から「この街では、どの建物どの部屋でも、人は死んでいる。あの部屋に泊まるのはやめたら!」と忠告された。

エロイーズは部屋に戻って、レコードを掛けると、ジャックが現れ、サンディをクラブ“リアルト”に連れ出し、男たちと踊っていた。名をサンドラ、アレクシー、・・・と名を変え、男を変え、踊って寝る。エロイーズは助け出そうとするが、もうサンディは娼婦だった

歌手になりたい夢が、悪い男たちの毒牙で、無残に散ったサンディの姿だった。

エロイーズはジョンに誘われ、ハロウインパーティーに参加。そこにはジョカスタたちも参加していて、お酒を勧められた。踊っているうちに周りの男性は全部サンディを犯した男たちに見え、“サンディ”と声を上げた。心配したジョンが外に連れ出し、雨の中、部屋まで送ってくれた。

エロイーズはジョンによってベッドに寝かせ、ジョンが覆いかぶさったところで、この行動にシンクロするように、天井の鏡に、ジャックに首をナイフで切られ、血だらけのサンディの姿が見えた。エロイーズは混乱して激しくジョンと揉み合い、この声を聞いて大家のコリンズが駆けつけた。翌朝、エロイーズはコリンズに丁寧に詫びを入れた。コリンズからは「昨夜の男が来たら殺す!」と言われた。

ここからねたばれ(要注意):

カレッジに顔を出しても、サンディの絵を見るだけで怖くて逃げ出し、街に出ても男たちが負ってくる。カーナビ通りに出て、銀髪の老人に出会った。この老人がジャックに見えた。

エロイーズは警察署に飛び込み、助けを求めた。「サンディは殺されている。ロンドンに出てきてからず~と出てくる」と事情を説明した。警察は「都会に慣れないで混乱している」と判断され、「サンドラが分かったら教えて!」と通報を依頼された。

エロイーズは図書館で、60年代にここで殺害さえた事件を調べ始めた。ジョンが手伝ってくれた。閉館時間近くになって、誰もいなくなったところに大勢の男たちが襲ってきた。エロイーズはナイフでこれに立ち向かい、これを見た係員が警備員に通報。エロイーズは逃げて街にでた。そこでジャックに追われるサンディに出会い、彼女を追って走った。

パブ“トゥーカン”に顔を出すと、銀髪の老人がいた。「今も現役だ!」と言い「この辺りの女は全部知っている。サンディは有名人だ!特別の女で面倒みてきたが亡くなった。サンドラが見つかったらよろしく!」と店を出ていく。そんなことはないとエロイーズが追うと、老人が車に跳ねられ、救急車を呼んで、刑事だということが分かった。

エロイーズは田舎に帰ることにして荷物を持ち出すためアパートまでジョンに車で送ってもらい、外に待たせて中に入った。大家のコリンズに「部屋を出ていく!」と挨拶すると「警官が調べにきた。上の部屋で女が死んだというのは当たっている。何度も男が来て死んでいった。私はかってアレクサンドラで、サンディだった。私も夢があって、男たちに滅茶滅茶にされたから殺した。行方不明よ、遺体はゴミにした」という。

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そこにジョンが様子見に家に近づくと、コリンズは包丁を持って襲い掛かろうとする。エロイーズが止めようとすると、追ってくるので、蹴とばして部屋に逃げ込むと、男の亡霊たちの手が伸びて来て身体にまつわり付き、「あの女を殺せ!」という。

そこにサンディが入ってきて男たちと争い、「もう私はいいから!目の前の男を救え!」という。エロイーズはジョンを探しに部屋を出た。アパートは火に囲まれ、エロイーズは消防の救急隊に収容された。

カレッジのファッションショー。エロイーズの作品は大評判だった。

感想:

ラスト10分間のアパート内でのホラーシーン、何が何だかよく分からなかったですね!怖かった。その後、エロイーズは自分を取り戻し、デザイナーとしての道を歩き始めたことにほっとしました。エロイーズは強くなった!美しい夢の世界でも、いいことばかりはない。夢を追うばかりでなく、自分の力で歩かねばいけませんね!

男性優位社会での女性の苦しみ、これが今なお続いているという、女性の人権擁護作品でもありました。

この物語は、60年代をロケと美術で往時を再現し、これに当時のポップな音楽を被せ、さらに名作ホラー映画のオマージュが沢山挿入され、とても楽しめる作品でした。

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「ドント・ウォーリー」(2018)善行を行い、宇宙に戻る人生!

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事故で四肢麻痺になった漫画家のジョン・キャラハンの半生。ジョンをホアキン・フェニックスで描くという。WOWOWシネマで鑑賞しました。

まずは観ての結論、人生に“為になる”作品でした。

監督・脚本:ガス・バン・サント、撮影:クリストファー・ブロベルト、編集:ガス・バン・サント デビッド・マークス、音楽:ダニー・エルフマン

出演者:ホアキン・フェニックスジョナ・ヒルルーニー・マーラジャック・ブラックマーク・ウェバーウド・キアアンジェリーク・リヴェラ、他。

はしがき:

オレゴン州ポートランドで酒びたりの毎日を送るキャラハン(ホアキン・フェニックス)は自動車事故により胸から下が麻痺し、車いすでの生活を余儀なくされる。これまで以上に酒に溺れるキャラハンは周囲の人びととも衝突し、自暴自棄な日々を送っていたが、あるきっかけにより自分を憐れむことをやめるようになる。持ち前の皮肉と辛辣なユーモアを発揮し、不自由な手で絵を描く風刺漫画家として、キャラハンは第2の人生をスタートさせる。そんな彼の周囲にはいつもキャラハンを見守るかけがえのない人たちの存在があった。(映画COM)

酒乱で交通事故を起こし、半身不随になり、もう酒は止めると断酒会に入り、そこである男に出会い、“彼の言葉“で人生を取り戻すという話,キャラハンがなぜ風刺漫画として成功したかが分かります。

ある男の言葉が、断酒に役立つだけでなく、人生で失敗したと思っている人にとっても大切な言葉だというところにこの作品の価値があります。

この大切な言葉は、2014年に死去した映画「ウッドウイル ハンティング」のロビン・ウィリアムズが自身の主演で映画化の構想を温めていたというのを聞くと、うべなるかなと思える人生語録です。

断酒会でのグループ・ディスカッション主体の映画なんて退屈ですよね!これを見せるために担ぎ出したのが、ホアキン・フェニックスとキャラハンが画いた風刺漫画です。そしてちょっと色っぽくルーニー・マーラが顔を出します。(笑)さらに、乱酒の記憶か?と思わせる編集で、頭をかき回されます。(笑)

あらすじ:

冒頭3つのジョン・キャラハンモエピソードが紹介される。断酒会で体験談を聞くジョン。講演会で車椅のジョンが「私はアルコール依存症のキャラハンだ!・・・」と話し始める。車椅子を猛スピードで走らせトイレに急いだが、横転、スケボの少年たちの手を借りて小便袋を処理してもらい、俺は風刺家のキャラハンだ・・・」。

断酒会で治療して、風刺漫画家になった俺を見てくれ!というこの作品の結末を示しているようです。

講演会でのジョンの講演に従って、物語は展開します。

ジョンは幼くしてアイルランド系の母親に捨てられ、養父に育てられたがそりが合わず酒浸りになった。朝起きて酒を探す毎日。

塗装会社の雇い主アルバラードと女たちを連れてロンブビーチに飲みに出て、そこで知り合ったデクスター(ジャック・ブラック)とベロンベロンになるまで飲んで、この状態でもっと面白いところを目指して車を走らせ、大事故に。運転していたのはデクスターだった。

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ジョンは脊髄が5番と6番は間で切断。肢体麻痺だった。デクスターは軽傷で入院もしなかった。

ジョンは全身を回転ベッドに固定して過ごす。そこに面会にきたのがアヌー(ルーニー・マーラ)。「俺は障碍者で終わる人間でない」と宣言した。リハビリに励んで、車椅子が与えられた。ジョンは車椅子が気に入って、とにかく猛スピードで走る。

性行為は自分を再発見する機会と、看護師がジョン顔の上に股間を開いて乗っかってくる。(笑)

退院後生活保護で、家政夫を付けてもらい生活していたが、酒が辞められず、酒を探して街を彷徨する生活。家政夫が横着で思うように動いてくれない。(笑)そこで駆け込んだのが断酒会「アラノクラブ」。そこで会長・ドニー(ジョナ・ヒル)に出会った。

12段階からなるプログラムで断酒治療が始まった。が、酒が欲しくなり、隠れて飲む始末。ミーティングの中で、酒飲む原因は「孤児院で苦しんだ子供時代のこと」と発表すると、リーバーに「あんたは自分を憐れんでいるだけ!」と注意された。

そこで母のことを調べに孤児院に行くと情報開示禁止になっていた。これでベロンベロンになるまで飲んだ。雨の中で車椅子が故障したが、福祉事務所は「あなたは車を酷使する、予算不足で対応できない」と無視された。(笑)アパートに戻っても介護士が不在で棚の上の酒に手が届かず飲めない。(笑)もう泣くしかなかった。そのとき母が「酒やめて健康で幸せな人間になって!」と現れた。(笑)「もう酒は飲まない!」と誓った。

ここからねたばれ(要注意)

ドニーは4つのことを守れ!と、ミーティングに出席すること、本を読むこと、禁酒すること、趣味を持てと示した。俺は漫画を画くことにした。

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美術工芸で大学に入って、漫画家、ギャグ作家になろうと思った。ギャグ漫画を画きまくった!

ミーテングでドニーが「自分を捨てないと大きな力は見つからない。信念にしがみつくな!神を信じろ!」という。「どうやってやるんだ」と聞くと「老子を読め!」と。

ジョンは自分の漫画を人に読んでもらおうと書いた。「上院議員、本当に猫の糞を食べるんですか?」「あなたの尻の中にスタバが開店している」・・などと。この絵を見た夫人が笑う。わからない絵でした。(笑)

アヌーに会いにいくと、彼女はスカンジナビア航空キャビンアテンダントになっていた。車椅子に彼女を乗せて街中を走った。食事して、セックスした。

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アヌーが空に飛び立っていくと幻覚を見るようになった。ドニーが「ミーテングに出て、本を読め!大きな力が正気に戻してくれる!」と忠告してくれた。

大学新聞の編者に、お廻りさんに、パン屋さんに、道芸人にも絵を見せて、批評してもらった。

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ジョンに画かせる新聞社が現れた。

ドニーの邸宅に顔を明日と、「弱い人間ほど、強い人間になれる。啓発は自分を知って無になる」という。わけわからん!かった。アパートに戻って新聞社からの手紙を読むと「ニューヨークのレベルにない」と書いてあった。

画を描いてすこし金が入るようになると福祉事務所員がやってきて、生活保護費をカットするという。この不条理をドニーに話すと、「何故、彼らを怒る!」とジョンの怒りの元を探った(全部自分都合による怒りだった)。そして「彼らに直接会って、彼らを許すんだ!戦かわないと死ぬぞ!」と言い渡された。

ジョンは迷惑を掛けたと思う人を訪ねて謝罪する旅に出た。商店主、恩師、洋服屋、・・と最後がデクスターだった。誰もが優しかった。デクスターは自分よりも悩み苦労していることを知った。

ドニーに報告に行くと、

次は10の段階だ、自分自身だ!」と言い渡された。ジョンは新聞に掲載された風刺漫画を持って、色々な人を訪ねて意見を聞いた。「立入禁止、警備員はレスビアン」に、「もうこの新聞は読まない」と。「依頼人は遅刻に文句」を運転手に見せた。・・・もう反論ばかりだった。街で会ったアヌーも目で挨拶してタクシーで逃げる。

ジョンは全てを受け入れ許した

ドニーにこのことを報告すると、「このステップが好きだ」と言い、禁酒できた理由を明かした。「苦労を掛けた恋人への償い、人を救うことだ」と。

ジョンは「善行を行える人間になり、宇宙の一部に戻る老子にチャキーチーズだ」と答えた。そして彼と袂を分かった!

感想

なぜ彼は人生を取り戻せたか?

謝罪

弱い人間ほど強い人間になれる!」ということ。謝ることが自分を強くするかが分かります。

この作品で、もっとも憎んで、謝りたくない飲酒で暴走運転したデクスターに対する謝罪。謝ることでいかにデクスターが苦しんでいたかがわかり、自分の悩みなんぞなんでもないと思える。

己を捨てる!

キャラハンを導いた師であるトニーでさえ、未だに達成できない目標、それゆえの人を助けることに没頭しているという。

キャハファンは風刺漫画を読んでもらい、いかなる批判も受ける。これが彼を天に押し上げ、人を俯瞰して見えるようになった。

ラストシーンで見せるシーン、スケボ少年たちに自分の小便を処理してもらって、少年たちと一緒にスケボゲームに車椅子で挑戦するという、年齢も障害も人種も乗り越えた姿に、キャラハンの解脱した姿を観ることができます。

感謝し、自分を捨てて相手を許す。お覚えておきたい言葉です。

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日曜劇場「日本沈没-希望のひと―第8回」

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第8回「閉ざされた世界への扉」

あらすじ:

アメリカの会見を受けて、中国は日本政府との移民交渉を完全に遮断。そして、世界各国も中国の動きに同調し、もはや世界との移民交渉の窓口は閉じられた。

また、日本沈没という情報が全世界に知れ渡り、日本国内でも政府や東山総理(仲村トオル)に対しての怒りやデモは日増しに高まっていた。

そんな中、中国に再度交渉しに行った日本政府は、「常盤医療を含む日本の有名企業5社を譲って欲しい」という到底受け入れられない条件を突きつけられた。

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天海(小栗旬)と常盤(松山ケンイチ)は、何とか移民交渉を進めるためにと、常盤の親父・統一郎(小野武彦)に常盤グループの中国移転を交渉するが、「カナダと交渉を進めている。政府は何も考えていない。従業員には先の人生がある」と断られた。

政府に対するデモ、それに企業からも協力が得られないという八方塞がりの中で、田所博士(香川照之)から「日本沈没はいつ起きてもおかしくないが、全国一斉にではない。北海道は2か月程度後だろう」と聞かされた。

ここからねたばれ

椎名(杏)に呼び掛けで、天海と常盤が居酒屋に。そこで「日本は沈む!」と暴れる男を鎮めようとした常盤が額に受傷を負った。「皆な不安で人間関係はバラバラの世情」という椎名。こんな中で、店の看板娘・愛(与田祐希)が「こんな和食食べられなくなるよ」と料理を勧め,「外国へは差別ないところへ、皆で行けたらいい!」と話し掛けた。

天海は愛の話をヒントに「関東沈没復興のグリーンシティ構想を応用して、各国にジャパンタウンを建設する」(ジャパンタウン構想)という打開策を思いついた。

天海は東総理に中国から要求された5企業の移転先に「ジャパンタウン」構想で町をつくり、他国へもジャパンタウンをつくり、これらが結ばれて未来日本が作れる希望になる。中国にとっても未来ビジョンに繋がる」と提案した。里城副首相(石橋蓮司)が「誰が中国に行くんだ、俺はダメだ!」と拒否した。これに天海は楊錦黎元国家主席からの別ルートを通じての交渉を提案した。首相が「日本を救ってください、お願いします!」と永寧に頭を下げたことで、里城が引き受けた。

天海と里城は中国・桂林に渡り、楊元国家主席と会談。

限られた人数で10分間の会談だった。天野が簡潔に「ジャパンタウン」構想を提案した。これに対して、楊元国家主席は通訳秘書(馬淵優佳)を介して、「移住した日本人は中国人になれるか?」と問うてきた。天海は「もちろん、我々は中国の長い歴史と文化に大いなる敬意を抱いております。しかし、日本人として捨てられないものもあります。中国人になれる、とは簡単にはお約束できません」と回答した。

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楊元国家主席は40年前に里城が日本の企業団を中国に連れてきた時の写真を出し、「あの時の恩義を返したい。国への誇りは我々も同じ。熱意は受け止めました。あなたたちの思いは責任を持って劉国家主席に伝える」と約束した。

政府攻撃デモの中で、回答期日を過ぎても回答がない。今か今かと北京からの回答を待っていた。そこに里城が「やりました!」と駆け込んできた。中国政府からの回答はジャパンタウンを建設して1000万人受け入れるというもの。里城と東山は「やりましたよ、総理」「ありがとうございました!」、常盤と天海は「やったな、啓示」「ああ!」と固く抱き合った。

中国がジャパン都市の建設を発表。アメリカもこれに追随することになった。

フィリッピン、モンゴル、インドネシア等からも受け入れを発表、2200万人の移民が決まった。

首都機能が北海道に移転することになり、天海は小樽移動を田所博士に伝えた。

総理の指示で、日本未来開発会議で移民構想の検討に入った。個人・家族単位で抽選、若者優先、受刑者の移転?等々意見が続出。「まだまだ現実に向き合ってない」と論議を進めることにした。配分方法などがTVで取り上げられ始めた。

天海は久しぶりに宇和島の母親に電話し「一緒に移住しようか」と問うと「老人だ、もういい」と断ってきた。(笑)

天海が椎名に会い、「母は断った」と話すと「わたしはおひとりコース」と涙を見せた。天海はそっと抱いてやった。

椎名が「会社に作ってもらった」と会社ビルの壁に備え付けた大型ディスプレイに、各国からの「日本人歓迎メッセージ」を写し出して見せた。

そのとき、椎名のスマートフォンに不穏なニュース速報が入ってきた。「東山首相滞在のホテルで爆破事件が発生 テロの可能性もある。世良元教授(國村隼)も同席。2人は東京都内の病院に搬送中」というもの。天海は呆然と立ち尽くすしかなかった。

感想:

今回は不可能だと思っていた中国への移民が決まり、この動きが世界に広がっていったことで、希望が見える展開となってきました!

中国と再交渉するというのが、意外だった!

期待したアメリカによる移民説得が困難と見て、再度中国に背を低くしての再挑戦。うまい戦術だったと思います。しかし、ねた本が山崎豊子さんの大地の子にあります。この当時と同じ恩義が残っていれば“あり”の話ですが、その可能性は少ないでしょう。

そんなことより、国家主席の「移住した日本人は中国人になれるか?」に対する天海は回答がよかった。ジャパンタウン、本当にこれが相手国に喜ばれるか?将来の日本人にとって国際人としての度量が問われるところでしょう。

いよいよ日本脱出です

来週12日、最終回(第9話)。69分拡大の2時間3分スペシャル(後9・00~11・03)です。

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「パーフェクト・ケア」(2020)ロザムンド・パイクなしではこの作品は語れない!彼女の最高傑作!

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この作品、ゴーン・ガール」のロザムンド・パイクが主演していること、そして予告編での雄叫びシーンに魅せられ、観ることにしました。第78回ゴールデングローブ賞で主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞したクライムサスペンスコメディです。

「ゴーンガール」(2014)の続編のような作品でした。(笑)

監督は「アリス・クリードの失踪」のJ・ブレイクソン脚本:J・ブレイクソン撮影:ダグ・エメット、美術:マイケル・グラスリー、衣装:デボラ・ニューホール、編集:マーク・エカーズリー音楽:マーク・カンハム。

出演者:主演にロザムンド・パイク、共演に「ゲーム・オブ・スローンズ」のピーター・ディンクレイジ、「ベイビー・ドライバー」のエイザ・ゴンザレス、他。

あらすじ:

法定後見人のマーラ(ロザムンド・パイク)は、判断力の衰えた高齢者を守り、ケアすることが仕事だ。常にたくさんの顧客を抱え、裁判所からの信頼も厚いマーラだが、実は医師やケアホームと結託し高齢者たちから資産を搾り取る悪徳後見人だった。パートナーのフラン(エイザ・ゴンザレス)とともにすべては順風満帆に思えたが、新たに獲物として狙いを定めた資産家の老女ジェニファー(ダイアン・ウィースト)をめぐり、次々と不穏な出来事が発生し始める。そう、身寄りのないはずのジェニファーの背後にはなぜかロシアン・マフィア(ピーター・ディンクレイジ)の影が……。迫りくる生命の危機、まさに絶体絶命、マーラの運命は果たして――⁉(HPから引用)

マーラの運命?果たしてテーマは金亡者であるマーアの突き抜けた人生感、介護地獄、クライムストーリーかと振り回される展開に共感不能だったが、ラストで一気にこれが晴れるというカタルシス。見事な作品でした!

感想

冒頭のマーラの人生感。「世の中欺瞞で溢れ幸せなんて大嘘。何度も騙され貧乏だったからこれが嫌。人間は喰うか喰われるか、私は獰猛なライオンよ」。

まさにこの作品のロザムンド・パイクの演技はこの人生感で貫かれ、金金金と度が過ぎた彼女生き方が、怖いを通り越して、ここまでやるかと滑稽に見えてくる。この滑稽さ!彼女なしではこの作品は語れない!「ゴーン・ガール」を凌ぐ彼女の最高傑作でした!

マ―ラの悪徳後見人ぶり。冒頭で後見人となっている母親の息子が「ケア・ホームで母に面会できない」と訴訟を起こしますが、後見人であることの認可許可書に何の落ち度もなく「息子がホームに来ると混乱が起きること(警備員が騒ぐ)、そして母親の死後の遺産相続の主張こそが大問題だ」と息子の主張を撃退!そのあと「私と争うならペニスと玉を抜き取るよ!」と威嚇する。これをロザムンドが喋ればなんの違和感もなしです。(笑)裁判所、ケア・ホーム、医療機関、警察等、みんなグルになっているという老人ケア・システムが凄い。

とんでもないマーラですが、マーラの言い分に同調できる部分もある。子供が親の介護を他人に預けっぱなしにしているという現実。皆さん、一度、施設を訪ねて現場を見てください!介護の世界には闇が一杯ある!この作品はこれへの警告でもあり、近い将来日本もこうなるかもしれない。

こんなマーラにも失敗がある。アランという女性の後見人はマーラだけではなかった。(笑)そこに飛び込んで来たのはジェニファー・パターソン。カレン医師(アリシャ・ウイット)からの推薦だった。資産家で子供が居ない!マーラは飛びついた。カレンは見返りが欲しいという。(笑)

マーラはパートナーのフラン、この女性も謎が多い、と一緒にジェニファーの邸宅を下見して、直ぐに後見人となる処置をする。年寄りを鴨にしたサギで、ジェニファーが嫌がっても、後見人認可書と警官をちらつかせ、ケア・ホームに収容(連行)し、「困ったら知らせて!」と携帯を渡して、特別メニューの薬を飲ませ、おそらく亡くなるまで放置。

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このあと、邸宅を家探して金目の物は売却、銀行の預託金庫の鍵を押収、家屋は塗装して売却。この荒ましさ!金庫にダイヤモンドが隠されており、これは隠し持つことにした。

ジェニファーの家を塗装していると変な運転手が顔を出し、ジェニファーの所在を聞く。次に弁護士・ディーン(メイコン・ブレアー)がやってきて「サギで稼いでいる。ジェニフを戻せ!」と抗議してくる。ディーンから30万ドルで決着しようと提案されたが、マーラは500万ドルを主張してお流れとなった。ディーンの言い分が正しいが、マーラは「男は脅すに限る!」と一向に意に介しない。こんな鼻息の荒いマーラーを見るのが面白い!(笑)

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ディーンが裁判所に訴えたが、マーラが「この人は弁護士という証拠がない」と反論して、裁判は終わった。(笑)

マーラはジェニファーを「あなたは何者?あなたの金庫調べた、」と問い詰めるが、ジェニファーも曲者で「あの子が帰ってくる」と奇妙な返事をする。このお婆ちゃんも気持ちが悪い。(笑)マーラは頭にきて「お前を絶対にここから出さない」と言い渡し、投薬を強くした。

ここからねたばれ(要注意):

フランがジェニファーは何者かと調べていて、ジェニファー・ピーターソンというは生後3か月で死んだ子の名だと分かった。

ところが、ケア・ホームにピーターソンと名乗る男が、数人の男を伴って、ジェニファーに面会を求めてきた。マーラは不穏な動きを感じてケア・ホームを訪ねると、ピーターソンが、サム所長を殺害し、まさにジェニファーを連れ玄関に出てきたところに遭遇、この男から彼女を奪回した。

ピーターソンを逮捕し警察に突き出すと名はニコラス、ロシアン・マフィアの一員だと判明。取り調べ刑事がフランに「フランキー、よく捕まえた」と感謝している。どうやらフランはかってこの組織と関係があったらしい。

マーラは体力管理もしかりできていて(笑)、フィジカルトレーニング中にTVのパターソン事件ニュースで、ジェニファーの邸宅の廻りをマフィアの連中がうろついているのを見た。

マーラはケア・ホームのジェニファーを訪ね「あんたの後ろにロシアン・マフィアがいる。あんたをここから絶対に出さない!」と挑発して、首を締めさせ、これを裁判所に訴えて、よりセキュリティのしかりした独房に移した。本当にマーラのやることはえげつない!

マーラはすぐに家具等貴重品の売却を急ぎ、闇市を訪れていたところを、マフィアに捕まった。同じくしてファランは自宅で逮捕された。

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マフィアの首領ローマンの登場マーラはビニール袋を被せられ、両手を縛られて彼の尋問を受けた。「俺の名を辱めた!ジェニファーに化けてお前を殺す」という彼に「1000万ドルでどう!私が死んだらダイヤは取り戻せないよ」と太っ腹に交渉に出た。ローマンの「始末しろ!」でマーラは注射を撃たれ、車に乗せられ、河に放り込まれた。

ここから生還するマーラの水中での動き!もう突っ込みどころ一杯だが、これを許さないロザムンドの存在感が凄い!(笑)

水中で車番を暗記して浮き上がり、陸に上がって、予告編にある雄叫び!「もう許さない!!」という形相がすごい!

彼女の怒りに、一段とギアが入った。

ガソリンスタンドで着替え、タクシーを呼んでもらって帰宅。フランが倒れていた。

フランの回復を待って、ローマンへの復讐を謀ることにした。覚えていた車番を頼りにローマンの運転手を見つけ出し、彼を追跡して、ローマンを掴まえた。

ローマンを裸にして麻酔を嗅がせ、道路上に放置。車は焼却処分した。

ローマンは早朝ランニング中の男に発見され、病院に収容。ここにマーラが登場、

意識不明で運ばれ、あんたの後見人は私!1000万ドル振り込んで!」と要求した。(笑)ところが、ローマン「一緒にやろう!俺の80社を使い介護の総合ビジネスをやろう」と提案してきた。マーラはダイヤの取り分を五分五分として、これを受け入れた。

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マーラの法廷依頼人は一挙に増加。話題の人となりマスコミのインタビューを受けた後で事件が起きた!!

ラストは言えない!ホットしました。うまい物語の締めっ括りでした。

こんなケア・ホームには入りたくない!(笑)老後をどうすべきか考えさせてくれました。😊絶対に引かないマーラの生き方に震えた!

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「くれなずめ」(2021)意味が分からなかったが、とんでもない !優れものだった!

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早くもWOWOWに登場。売れなかった作品なんでしょうか!(笑)とんでもない

!優れものです!

監督が「アズミ・ハルコは行方不明」の松居大悟さん。ということで観ることにしました。

脚本:松居大悟、撮影:高木風太編集:瀧田隆一、音楽:森優太、主題歌:ウルフルズ

出演者:成田凌高良健吾若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹、前田敦子、他。

あらすじ:

高校時代に帰宅部でつるんでいた6人の仲間たちが、友人の結婚披露宴で余興をするため5年ぶりに集まった。恥ずかしい余興を披露した後、彼らは披露宴と二次会の間の妙に長い時間を持て余しながら、高校時代の思い出を振り返る。自分たちは今も友だちで、これからもずっとその関係は変わらないと信じる彼らだったが……。(映画COMより)

感想:

監督にまたしても「やられた!」という感じ。途中まで“やつ”が亡くなっていることに気付かなかった!幾つも伏線があったにもかかわらず。だから、分かってから余計に泣けた!

6人の演技がリアルで、昔の仲間を思い出し、あのころを思い出していました。

“くれなずめ”。友の死後5年経って、もう忘れようと思っても忘れられず、もうちょっと待ってくれ!という、ナイスなタイトルでした。馬鹿な思い出だから余計に忘れられない。こんな思い出は捨てたくない。

冒頭の結婚式場の裸踊りの舞台の下見、帰りにカラオケ店で大騒ぎ。翌日結婚式場に入ったところから、いきなり二次会会場へ急ぐシーンに移動。踊りはどうなったんだ?そこには引き出物を持つ6人がいた

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6人がタクシーに乗るのを止めて、ぶらぶら歩き出す。

5人の“やつ”の思い出、つまらん思い出が、繋がっていくところが面白い。これを過去と現在を交差しながら、“夕日のくれなずむ”に合わせるように、“やつ”の思い出に浸り、やがて“やつ”を振り切って、二次会へ急ぐ。どんな“やつ”だったの!

結婚式に参加した男女が、式場外に出て、揉めている。これを見た明石(若葉竜也)、

12年前、ゴミを分類しないで捨てる下級生を見逃した衛生係の“やつ”(成田浚)が同じ係のミキエ(前田敦子)にきつく責められたことを思い出した。(笑)“やつ”はその後キミエとどうなった?と。

4人がぶらぶら歩く姿に、曽川(浜野謙太)は結婚式で“赤ふんどしで踊った訳“、あの時のことを思い出していた。学園祭を休んで、皆でカラオケ店でスプレ騒ぎ。「インドのガルーダだ」と吉尾が騒いでいるところに、番長(城田優)がやってきて説教。これを見た曽川が余りの恐ろしさに赤ふんどしに小便を漏らした。吉尾がふんどしを絞って小便をビールグラスに入れて置いたら、なんとこれを番長が飲むではないか。これをみてふたりで溜飲を下げたという想い出。(笑)曽川は皆で吉尾を喜ばせてやりたいと、裸踊りを思いついたのだった。

曽川に「お前は結婚式で、赤ふんどしで踊るのを嫌がった!」と言われた木島(目次立樹)

9年前、“やつ“と一緒に寝たとき「お前童貞か?」と聞いたら、「セックスは精神だ!俺はインドに行くことしか考えていない!」と言いながら「ミキエ、ミキエ」と騒いだことを思い出していた。(笑)

「余興なんかどうでもいい」と前田(高良健吾)が、

6年前、仙台の屋台で“やつ”と飲んだことを思い出した。風俗で遊んで、屋台で一杯やりながら“やつ“が店から戻りのを待っていた。「リンちゃんとやったか?」と聞くと「バカ、震災で苦しんでるときに出来るか!」と怒り「おまえ立派な舞台を創れ!」と厳しく注意され、何も言えなかったことを思い出した。

「“やつ”のために踊ってやってくれ!」と前田は狂ったように踊りだした。

田島は結婚式で出た菓子を食べて、2年前のことを思い出していた。

2年前、田島は“やつ”の三回忌に参加して、親父さんに車で駅に送ってもらい、雪のちらつく電車のフォームで菓子を食っていて、ミキエに出会った。彼女は「線香をあげにきた!」というので「恋していまいますか?吉尾さんに」と聞くと、「は~!」と驚く。

ここで“やつ“が5年前に亡くなっていて、彼と決別するために5人が集まっていることに気付いた!

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踊っている6人の前に、結婚式帰りのミキエが現れた。田島が「二次会いかないの?」と聞くと「お前、うるさい!」と一喝。(笑)「やつに言いたいことある?」と聞くと「毎年出てくるからアカウント消して!」と言って歩き出した。“やつ”が「ユキエ幸せになれ!」と声を掛けると「死んでも死んでいなくてもかわらない!」とわざわざ戻って話して言った。この人も吉尾が忘れられないんだ!

前田敦子さんのここでの演技、地の前田さんで、演技する前田さんではなかった。(笑)

“やつ”が「未練はない!」と言うから、皆で「成仏しろ!」と胴上げしてやった。

しかし、“やつ”を忘れることが出来なかった、5人が最後に会ったのはいつかと彼との別れを思い出した。

5年前、演出家の前田と俳優の明石の舞台鑑賞に皆が集まった。“やつ”も仙台から出て来て、ひとりで見て、帰るところで見つかった。「一緒に飲んで泊まって行け!」といっても、「良い舞台だった、また来る」と夜行バスで仙台に帰っていった。

それから間もなくして、“やつ“は心臓病で亡くなった。皆これを聞いて泣いた。

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忘れようと、5人が田んぼに穴掘って、思い出を捨てようとすると、“やつ“似の男が現れて「穴を埋めろ!」と難癖をつける。これに反抗すると男が裸になって自分に火をつけフェニックス、ガルーダになって飛び立った。5人は心臓を差し出して、あっちの世界に行って”やつ”に会った。一緒に赤ふんどしで踊って、“やつ”に「過去なんか書き換えろ!帰れ!」と促され、戻ってきた。(笑)

夕日が沈もうとしていた。もう一度5年前の彼を笑顔で送って、二次会に急いだ。

バカバカしい思い出に、“結婚もせんで、何事をも成すことなく死んでいったやつ“への悔しさが一杯詰まっていた!

ラストシーン、5年前にあっけなく亡くなった“あいつ”のことにやっと決着がついて、二次会に出席です。「結婚式に裸で、赤ふんどしで踊る」というなんでこんなバカなことをと思っていましたが、やっと彼らの思いが分かりました。ほんと、泣けますね。

吉尾が明石に言った「手洗いするのは、小便でおちんちんに触る前か、それとも小便をした後か?」。どちらが正解ですかね、どうしょうもないことを思い出します!(笑)この映画絶対に忘れないぞ!

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日曜劇場「日本沈没-希望のひと―第7回」

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第7回「それでもあきらめない人達がいる」

あらすじ:

日本沈没の機密情報を漏洩した疑いで、田所博士(香川照之)が東京地検特捜部に連行された。国家機密とされていた日本沈没も里城副総理(石橋蓮司)主導のもと、なかったことにされようとしていた。

追い討ちをかけるように、著名なジェンキンス教授(モーリー・ロバートソン)も日本沈没を否定。企業の協力も得ることができず、天海(小栗旬)は、窮地に追い込まれる。そこで、世良元東大教授(國村隼)を担ぎだして田所博士のデーター解析を依頼することにした。世良教授も「日本は沈没する」と結論づけた。

天海たちはこの結論に基づき主要企業8社を集め、企業を海外に移転することを起爆薬に海外移住を進めることにしたが、企業側の評判はよくなかった。

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そこにDプランズ社から政府に、海外の土地購入の話を持ちかけてくる。秘密裏にその土地を東山総理(仲村トオル)は購入を決断しようとしていた。そんな中で、椎名(杏)が天海に協力するために渡米、ジェンキンス教授に接触して日本沈没を否定する根拠を糺していた。そこで突き止めのが、田所博士の研究室による地震データーのすり変え。これを示唆したのは官房長の長沼(杉本哲太)だった。

ここからねたばれです(要注意)

長沼は「長年総理に尽くしてきたが、天海や常盤の意見重視が気に入らない」という。そしてDプランズに土地買収を示唆したのは「日本から逃げる自由があってよい。移住しても地獄だ!」と。天海は絶句した!

この顛末を聞いた里城副総理は開いた口が塞がらなかった!ネットで大評判になった。(笑)

ジェンキンス教授も田所博士のデーターを再検討し日本沈没は間違いないという結論に達し、これを機に首相は海外移住の可能性の本格的検討に入った。

天海は企業移住で各国に移住者を受け入れてもらうため、その先駆けとして日本が世界に誇る生島自動車を交渉カードに、アメリカと中国を天びんにかけ多くの海外移住者数を確保しようとした。米国には首相が、中国には副総理が相手大使との交渉」に当たった。

副総理は中国から1000万人の移民受け入れをとりつけ、総理はアメリカから600万人。中国で決着と思われた。

ところが総理はキング大統領から電話で、同盟国として日本人への人道支援を全世界に呼び掛けることを聞いて、600万人もの提示があれば、必ずアメリカが上手くまとめてくれる」と米国に話をつけていた。総理と副総理の関係がおかしくなっていく。

GNNニュース。キング大統領が会見し、ナショナルモータースと生島自動車の合併を発表。その後、中国外務省の王陽航報道官が緊急会見を開き、日米両政府に抗議。「日本政府は生島自動車の中国移転も打診しており、我々は誠意を持って対応してきたが、アメリカの発表は、その誠意を裏切る。我々は生島の中国移転と引き換えに、1000万人の日本人移民を受け入れ、日本が沈没する危機を救いたかった」と報道された。「国家機密の日本沈没が世界中に知れ渡る」と天海は「最悪だ!」と叫んだ。

感想:

天海がラストで叫ぶ「最悪だ!」。これが今回のテーマでした!

こんな内閣はいらない、バカか!米国と中国に、世界的に名を馳せる自動車会社を餌に、日本人移民をどこまで受け入れられるかと天秤にかけるというバカ話。このバカドラマ!と思っていましたが、よく考えてみると面白いですね!

地震対策で忘れてはならないもの、世界の中で日本人はどう見られているか、日本人のアイデンティティは、が描かれていて、これまでのドラマにはない視点があります。あと2回、楽しみにしたいと思います。

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田所博士の東京地検特捜部による逮捕事件の顛末。

なんと官房長官・長沼に計略だった。首相に用いられなかった腹癒せだった。なんとも情けない理由です。たしかに官房長官は役をなしていなかった。問題は官邸の意思決定組織が明確でないこと。これは大問題!現行内閣にも見られます。

これについての彼の言い分は分かりますが、「我々には自由がある。外国に土地を買って逃げて、何が悪い!」という考えだったことに驚きです。日本が沈没するという環境の中では、この行為は大混乱を産むだけで、やってはならない行為。

コロナ禍の中で一部の政治家や医師にこういう動が見られた記憶があり、こんなバカげたことを描いたことも大きな警鐘になるでしょう。

首相は即刻官房長を罷免すべきです!

里城副総理が日本沈没を否定したかった理由。日本の文化、産業、日本人の勤勉さ消えることが恐ろしかったという。その通りだと思います。しかし、沈没してしまえば全て消えてしまう。日本人のアイデンティティとして残すことが大切です。海外に移住した彼らが生きていく拠り所はこれです。副総理には「宇宙にでも日本の記憶を残しておけ!」くらいの発言が欲しかったですね。(笑)

副総理はこのことに気付き、積極的に中国との移民交渉に尽力していたので“よし”としましょう。(笑)石橋蓮司さんが大熱演でした!

米国と中国を天秤にかけたこと。

ドラマの結末はそのとおりだと思います。(笑)とんでもない交渉をやりました。が、ここで大切なのは世界の人たちは日本人のどこを見ているかです。

中国大使が「日本人に来られると汚れる!」と移民に批判的でした。映画「TOKYO!」(2008)で高名なフランスの映画監督レオス・カラックスが描いた東京は、地下鉄に潜む旧日本軍の物語でした。必ずしも我々が思っているようには見てくれていない。我々が世界とどう関わってきたかが問われます。

平和を愛し、礼儀正しく、穏かで、清潔な国民であることをしっかり伝える必要があるのではないでしょうか。「希望!」はここに繋ぐしかないと思います。

この状況で私はどうするか?日本とともに沈没しようと思います。

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「ディア・エヴァン・ハンセン」(2021)

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トニー賞で6部門を受賞し、グラミー賞エミー賞にも輝いたブロードウェイミュージカルの映画化作品。監督は「ワンダー 君は太陽」のスティーブン・チョボウスキー、ミュージカル楽曲は「ラ・ラ・ランド」「グレイテスト・ショーマン」「アラジン」など大ヒットミュージカル映画に携わってきたベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが務めて、さらにエヴァン・ハンセン役はミュージカル版でも主役を演じたベン・プラットが演じるという。

これは皆さん観るな!と公開初日初回に駆けたところ、なんと7人で、劇場貸し切りで観たという状況。(笑)ハリウッドが驚いているでしょう。(笑)隣が「ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM Record of Memories」でした!

監督:ティーブン・チョボウスキー、脚本:ティーブン・レヴェンソン、楽曲:ベンジ・パセック&ジャスティン・ポール。撮影:ブランドン・トゥロスト、美術:ベス・マイクル、衣装:セキナー・ブラウン、編集:アン・マッケイブ

出演者:ベン・プラット、ジュリアン・ムーア、ケイトリン・デバー、エイミー・アダム、ダニー・ピノアマンドラ・ステンバーグ、コルトン・ライアン、ニック・ドダーニ、他。

学校に友達もなく、家族にも心を開けずにいるエヴァン・ハンセン(ベン・プラット)が自分宛に書いた「Dear Evan Hansen(親愛なるエヴァン・ハンセンへ)」から始まる手紙を、同級生のコナー・マーフィー(ジャレッド・カルワ)に持ち去られてしまう。後日、コナーは自ら命を絶ち、手紙を見つけたコナーの両親は息子とエヴァンが親友だったと思い込む。悲しみに暮れるコナーの両親をこれ以上苦しめたくないと、エヴァンは話を合わせ、コナーとのありもしない思い出を語っていく。エヴァンの語ったエピソードが人々の心を打ち、SNSを通じて世界中に広がり、彼の人生が一変しようとするが・・。(はしがき

SNS社会の中で対人不安で自分を見失った少年が、この家族のためにと吐いた嘘に耐えきれなくなって、自分を取り戻していく地味なヒューマンドラマ。これをミュージカルとして観せるために、美しい歌曲と映像で綴られていきます。

大部のセリフが楽曲になっているのが特徴でしょうか。それだけに演技評価の高いキャステイングがなされています。ジュリアン・ムーアとエイミー・アダムのお母さん対決なんて、期待が膨らみます!

SNS社会の中で、周囲との繋がりに希薄に感じ、自分の居場所が分からないで苦しみ、若い人たちの中で自殺者が急増していると現状において、意義のある作品だと思います。社会からの疎外感に苦しむ人たちに「ひとりじゃない!」というメッセージが届いてくれたらいいな!と思える作品でした。「王様のブランチ」のリリコさん。この人は苦労人、彼女が涙で「観て欲しい!」と訴える作品です。

あらすじ:

冒頭、高校生のエヴァン・ハンセンはシングルマザーの母親・ハンディ(ジュリアン・ムーア)とふたり暮らし。父親はエヴァンが幼い頃家を出て行きそれ以来、会っていない。自信が持てず日常に不安を抱えるエヴァン、腕にギブスを付けて、窓の外を見て「今日は良いね!今日はただ自信を持って・・」と「Waving Through A Window」を唄いながら、母親の車で学校に送ってもらい、「今日はセラピーの日よ」と声を掛けられ、校内へと入っていく。歌が合掌となってくるが、誰もエヴァンに話し掛けない。

ベン・プラットの歌唱にここで圧倒されます。「ラ・ラ・ランド」の冒頭シーンが浮かんできます。が、アップになると高校生としては老けすぎ。

そんなエヴァンの話し相手はジャレッド(ニック・ドダーニ)だけ。朝のミーテイングで「あれどうだ、恋人に!」とゾーイ・マーフィー(ケイトリン・デバー)を勧められても汗が出る。(笑)そんなエヴァンがぶっきら棒なコナーに出会い、「腕どうした」と聞かれ逃げようとしたところ捕まり、ギブスに「コナー」のサインをした。エヴァンはこれに「ありがとう」と答えた。

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昼休みにセラピーの宿題、自分に当てた手紙「変わらぬ日々への落胆、自分の居場所を求める気持ち、ゾーイへの想い」を綴って、図書館でこの文章をプリントアウトしているところで、コナーに出会い、彼がこの文をポケットに収めて持ち去った。

後日、校長に呼び出され、コナーの両親に会い、「コナーが自死した。彼が持っていた手紙が唯一の遺書だから話を聞かせて欲しい」と自宅に招待された。

彼がマーフィー家を訪ねると、豪華な食卓が準備され、ゾーイが、そして父親・ラリー・モーラ(ダニー・ピノ)と母親シンシア(エイミー・アダム)が待っていた。最初は「仲のよい友達ではない」と断ったが、老親の悲しむ姿に同情して、自分の木から落ちて怪我した話を、コナーと遊んでいて木(リンゴ園)から落ち、コナーに助けてもらった話にして喋ったら(嘘)、両親は大喜びした。

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エヴァンは大変な話になったとジャレットに話すと、ジャレットは「簡単だ!」とふたりでコナーとエヴァンが交換した偽メールを造った。これでマーフィー家を元気づけることにした。ここで作ったメールに合わせるように流れる高校生活の映像がとても美しいです!

一方、マーフィー家ではエヴァンが帰った後、ゾーイは「兄は金をせびり薬で施設に居た人で、“この話は嘘だ”」と、ラリーはコナーについて何も知らなかったことを、シンシアはエヴァンの話が癒しになるが、家族は一緒になって喜べないと、三人は「エクイエムは歌えない」と唄いながら、次第にエヴァンを受け入れていく。ここではエイミー・アダムの歌が聴けます!エヴァンはゾーイに彼女の好きなところを歌にして唄い、ふたりの距離が縮まっていった。

シンシアはコナーとゾーイを生した後、ラリーと再婚。4人の間には複雑な思いがあって、これを機に一気にそれが吹き出したのだった。このような複雑な家庭環境が上手く組み込まれたドラマというのが面白い!

学年リーダー・アラナ・ベック(アマンドラ・ステンバーグ)がコナーの追悼会をしたいとエヴァンに協力を求めたが、これを断った。するとアラナは「私も鬱病よ。目には見えない問題を抱え隠している子が一杯いる。この秘密を止めたいと思っている、考えてみて!」とエヴァンを説得した。

エヴァンはこのことをシンシアに話すと、励まされ、コナーのネクタイを着けて追悼会の舞台に立ちことにした。

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コナー追悼会エヴァンは準備した原稿が読めない程にびびっていたが、リンゴ園の木から落ちてコナーに救われる段階では、コナーに憑依した状態で語り、聞く人の心を動かした。このスピーチのすばらしさがネットで拡散され、彼はヒーローになった気分だった。そしてギブスをはずし、今までの人見知りのエヴァンではなくなった。

アラマから、コナーを記念してリンゴ園を10万ドル集めて果樹園にするプロゼクトに参加を求められたが、断わった。

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ゾーリーの父母から「コナーは救われた!」と寵愛を受け、もうコナーになった気分だった。ゾーリーから「兄でもない、プロゼクトでもない私の本心」と愛を告白された。エヴァンはゾーリーとの将来について甘い夢を持つに至っていった。

ここからねたばれ(要注意)

マーフィー家に母・ハイデイと招かれ、大学進学の学資提供を申し受けた。しかし、ハイデイは「他人に世話になるのではなく、これは自分のなすべきもの」と断った。エヴァンはハイデイを罵倒するような言葉を吐いた。

資金提供を持ち出すエイミー・アダムとこれを拒否するジュリアン・ムーア柔らかい表情の中で火花を飛ばす演技はみごとでした!

アラナはグランドファンデイングに行きづまり、エヴァンに「ギブスを着けた時期と外した時期に疑念がある」とコナーとの関係に嘘はないかと問うと、絶対に他に見せるなと「Dear Evan Hansen」を見せた。アラナはこれを匿名でネットに乗せ、寄付金を募った。

マーフィー家に非難のメールが殺到、ショッピング店で罵詈雑言を浴びせられる。夫婦が生前のコナーとの関係や「Dear Evan Hansen」を巡って、大喧嘩が始まった。エヴァンが「憧れたものが目の前にあって、嘘を真実にした。誰でも望むことだと思っていた」と謝ったが、事態は収まらなかった。

登校しても学友に、ゾーイからも無視されるようになった。この失態をどう償うべきか、「ブレーキを踏むべきだった」と反省し、自室に篭っていた。

仕事から帰ってきた母・ハイデイに「木から落ちたのではなく木から飛び降りた」と告白すると「そこまで苦しんでいることを知らなかった」と「夫と別れたことで心に傷を与えたことを謝り、仕事のせいにして面倒をみてやれなかったことを悔い、どんなことがあってもあなたの側にいる!」とエヴァンを抱きしめた。ジュリアン・ムーアが唄う「So Big/So Small」。母親の愛が心に染み入りました。

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エヴァンは「嘘ついていた」と謝罪のメールをSNSに載せた!それでもエヴァンは無視され続けられた。

コナーのアルバムを見ていて、好きな曲が「ネコのゆりかご」だと知って、ネットで彼のギター演奏動画を探した。

卒業式を終え、この動画をマーフィー家に、アラナに送った。マーフィー家ではこの動画を見て、絆を取り戻していった。

エヴァンはゾーイからリンゴ園に招待を受けた。そこは「コナー・マーフィー農園」だった。

感想:

ラストシーン。傷心の中でエヴァンはゾーイから、彼の嘘の中に出てくるリンゴ園に招待されました。ゾーイは苦しんでの決断だった。人を苦しめる嘘はついてならない。ゾーイとは別の道を進むことになったが、エヴァンはリンゴ園を望みながら、嘘をついてそれが現実だと錯覚したが、嘘がバレ、謝ることで、自らの道を進むと決意するという、清々しい結末でした。

ここに登場する人物はみなさん心に傷を負っていたエヴァンの嘘でその心がかき回されましたが、いずれも自らがその傷に気付き、癒していく描写に、監督らしい優しさが現れていて、観ている我々が救われます。エヴァンと母親・ハイデイ、ゾーイとその家族、学友のアラナと同じように成長していく“自分たちの物語”ではないでしょうか。

エヴァンが嘘ついて、嘘で彼の善意が拡散し人生の絶頂感を味わう尺に比して、嘘がばれて再び転落するなかで自分を見つけていく過程が僅か。テーマに比して前後段の尺バランスが悪いなと感じ、これがテーマを見え難くしていると思うのですが・・。

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