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宮﨑あおいさんを応援します

「記憶にございません!」(2019) 政治家の皆さん、このフレーズは使えなくなりました!

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三谷幸喜監督作品ということで、公開4日目、朝一番に。パンフレットください」というと「どちらの?」、「記憶にございません!」。笑いましたね!!満席でした。( ^)o(^ )
映画が始まると、笑い声が一杯で、最近ではめずらしい光景でした!

ある日突然記憶喪失になった総理大臣が、3人の秘書に守られながら事実を隠して公務をこなしていくなかで、まともな総理になっていくというコミカルでファンタジーな作品。

政治ねたが満載ですが、監督は、風刺喜劇ではない、コメディーだと。もしこの作品がヒットしたら政治家は「記憶にございません!」というフレーズを使えなくなると笑っています。今の状況では、先生方はもうこのフレーズを使えなくなりますね。頭に石が飛んできますよ!(笑)

監督は小さい頃から「総理になったらまず何をしよう」と考えたそうで、一般の人と変わっていらっしゃる。さすが、国民的コメディー作家、脚本、監督と称せられる方です。

有頂天ホテル」(2006)年から13年間温めてきた構想だそうで、ネタも多いしどのネタも面白い。笑いの羅列のように思えますが、そこには監督の人柄、楽しんでほしいという願いがこもっています。
この作品の面白さは監督の脚本、演出のほかに監督の期待に答えようとする俳優さんたちの熱演です。なかでも、三谷組初出演の吉田羊さん、木村佳乃さん、有働由美子さんの演技に七転八倒の笑いでした!
スタッフ・キャステイング:
https://eiga.com/movie/89619/

物語の軸は、こんな日本になって欲しい、そして、身近な家族の絆、夫婦、友情などではなかったかと。あまりにも頑張りすぎましたね。少々、冗長すぎました。
あらすじ(ねたばれ):
物語は、石をぶつけられて入院していた総理大臣が、病院を抜け出し、街の人の罵声を浴び、ポリスに掴まり、警護官たちによって官邸に連れ戻されるが、家族が思い出せないシーンから始まり、まともな総理になった姿に息子が自分も総理大臣になりたいというラストシーンで終わります。
後半は「妻を愛せないものに、国が愛せるか」と妻の愛を取り戻すために「世界に中心(官邸)で愛を叫ぶ」という“ファンタジー・ドラマ”です。(笑)

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家族の誰をも思い出せない。バナナチョコの味も分からない。しかし、閣議は「例の話、あれのあれ・・」「うん、あれのあれね・・」と総理が務まるという可笑しさ。(笑) 影の総理、官房長官鶴丸草刈正雄)に完全に支配されている。

野党党首に挨拶伺い。「頭打って、変わったね!」と白いスーツから黒のランゼリーになり、挑みかかってくる国民党党首・山西あかね(吉田羊)。長回しで、羊さんが「党を合併しよう」と色っぽい演技を見せてくれますが、与野党のなれ合いを最大限に風刺しているようで、大笑いです。

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妻・総子(石田ゆり子)は筆頭秘書官・井坂(ディーン・フジオカ)と浮気しているらしい。フリーライター・古那(佐藤浩市)に浮気証拠写真があると脅かされ、さらに「ミス“しらたけ”」の表敬訪問にまともに対応できず、日系三世の女性アメリカ大統領スーザン・セントジェームス・ナリカワ(木村佳乃)の来日を控え、「もう総理を辞めた!」と言い出す。

しかし、井坂の勧めで、小学校時代の先生・柳(山口崇)の教育を受ける。「あんたは記憶を無くした。憲政史上、もっとも自由な総理だ」とおだてられ、本人がやるきになる。
中井貴一さんの、ここまでのなんとなく体の動きがおかしい、身体全身でおかしみを見せてくれてこれだけで笑えますが、ここらあたりから身体がしゃんとしてくるから驚きです。(笑)

官房長官を追い出したい」と言い始める。井坂が、事初めに、K-2プランを取り下げることだという。K-2プランとは銭湯付きの国会議事堂建設計画。これを笑えるかどうか。
総理と井坂は公用車内で「あきらめろ!」と建設会社社長・小野田(梶原善)を説得する。小野田は「よくぞ止めてくれた」と泣く。ドロドロの国会審議にならなかったと痛切な皮肉。(笑) 風刺まではいかないか。

総理は、これまでの数々の行状、女性をチンパンジー呼ばわりしたこと、SMクラブに8回行ったことなどを国民に謝罪する。(笑)

ニュースキャスター(有働由美子)が「これで帳消しにはならない。大間違いです!」と宣う。このキャスター、厚化粧で、本心が読めない。いつもこの発言で終わる。(笑) キャスターが有働さんとは分からない。大笑いでした。

アメリカ大統領を迎えての接待ゴルフ。大統領への大サービスに、そこに現れた古那のキャディ姿に大笑い。おそらく総理と古那の会話はアドリブでしょう。佐藤さんのこういう役はうまい!

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大統領との会談が終わり、記者会見。大統領が「交渉はうまくいかなかったが、お互いに言いたいことを言い合えた」と首相を褒め上げる。木村佳乃さんの意外なキャスティングに驚き、英語スピーチは完璧でした!

いよいよ、鶴丸官房長降ろし。ここはお笑いでなく、フリーライター古那の文屋魂の出しどころ。中井さんと佐藤さんが、アドリブを入れながら長回しで演じてくれます。真面目にやるから可笑しい。これで、鶴丸は尻尾を掴まれ、官房長を投げ出す。アロハシャツでの会見に大笑いです。

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後任の官房長が義兄の鰐淵(ROLLY)。ROLLYさんのキャラクターが生きています。(笑)

仕上げは、いかに妻の愛を取り戻すか。党首討論で妻を愛していることを訴え、官邸バルコニーから「世界の中心で愛を叫ぶ」と国民に訴える。ここまで描くかと思うのですが、中井さんが演じると嫌味がない。大笑いしました!

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大いに笑いましたが、2時間はちと長かった。テーマを明確に、ネタの絞りと深みが欲しかった。

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映画『記憶にございません!』予告