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「アド・アストラ」(2019) ブラッド・ビットのための映画

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主演がブラッド・ビット、近未来の宇宙物語ということで、近未来の宇宙ステーションやスペース・シャトル、月や火星での活動を見ようと出かけました。ところが、とんでもない、心に大きな傷を抱える息子が、傷を埋めるために16年前に宇宙の彼方に消えた親父を探すという息子と消えた親父の心理を読ませる物語でした。( ^)o(^ ) 

監督は「エヴァの告白」「ロスト・シティZ 失われた黄金都市」のジェームズ・グレイ。共演はトミー・リー・ジョーンズ、ルース・ネッガ、リヴ・タイラードナルド・サザーランド

あらすじ:
地球外生命体の探求に人生をささげ、宇宙で活躍する父・クリフォード(トミー・リー・ジョーンズ)の姿を見て育ったロイ・マクプライド少佐(ブラッド・ビット)は、自身も宇宙で働く仕事を選ぶ。しかし、その父は地球外生命体の探索に旅立ってから16年後、地球から43億キロ離れた太陽系の彼方で行方不明となってしまう。
時が流れ、エリート宇宙飛行士として活躍するロイに、軍上層部から「君の父親は生きている」という驚くべき事実がもたらされる。さらに、尊敬する父が太陽系を滅ぼしかねない「リマ計画」にかかわっているという。危険な実験を抱えたまま姿を消した父を捜すため、ロイも宇宙へと旅立つが……。(映画COM)
              *
海王星に行くということ自体がアクシデントかもしれませんが、いわゆる宇宙物に出てくる大きなアクシデントはなく、必ず父親に会いたいと変化していくブラッド・ビットの表情変化を楽しむことになります。
ラストシーン近くで、父親が宇宙の彼方に消え、これを見送る宇宙ヘルメットのなかのビットの顔は、こんなビットの顔をしりません、忘れられないものとなりました。

資源盗賊の出現、動物飼育の失敗談、磁気嵐対応、船内での栄養俸給などのエピソード、作品の本筋にはほとんど関係ないですが、近未来の宇宙活動というリアルさを楽しみました。

撮影監督が「インターステラー」のホイテ・ヴァン・ホイテマで、映像はとても美しいです。が、既視感ありでもっと面白くしてほしかった。

***(ねたばれ)
冒頭、ロイが「大切なのは集中すること。決して気にしない」と呪文を唱え(笑)、“心理テスト”を受けて、宇宙に出発。この心理テストがいまのロイを作り上げている。この心理テストが苦にならないよう成長する物語です。

大気圏外で宇宙アンテナを整備中、突然の“サージ“(電気嵐)で同僚がぶっ飛ばされ「退避!」の指令にもかかわらず、電源スウィッチに飛びつき、切って危険防止。しかし、足場を失い地表めがけて落下。激しく回転しながら、見ているこちらの目が回る、冷静に対応してパラシュートを開き、着地に成功。落下中に見えた地球が美しかった。宇宙服もずいぶん改善され、冷却装置が付いている。

とりあえず病院で身体検査。医者から「自滅的傾向がある」と奥さんに伝えておけといわれる。ロイは家庭のことなど、勤務中、考えることなく、頭の中は任務だけの男。身に危険が及ぶ仕事につく人は、こういう人が多い!

ロイはこの行動で、アメリカ宇宙軍の上官から呼び出され、「リマ計画」の指揮官である父親が海王星付近で生きていて、サージは何かの物質が反応して起きており、太陽系全体を危険に陥れると告げられる。16年間父親に会っていないロイの気持を確認され、「火星に行き、そこから父親にメッセージを送れ。父親の発見は、君にかかっている」と命令された。

火星でメッセージを父に送った以降の行動について、何も示されないのが気になります。ロイは父が「必ず見つける。愛している」と言って出て行った父の言葉を思い出し、「他に選択岐はない」とこれを引き受けた。

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ロイは父親の友人であるブルイット大佐(ドラルド・サザーランド)とともに行動することになっている。ロイが「監視ですか?」と聞くと「親父さんは姿を隠しているのかもしれない」という。大佐の役割がよく分からない。ロイは妻イヴ(リヴ・タイラー)への「行かない!」というメールを削除した。妻とは心が離れてしまっていた。

月への移動はロケットタイプのシャトル。登場前に心理テスト。飛行はほとんど振動がなく快適になっている。

月に到着。空港は立派に整備されている。ここから火星行きロケット基地まで地下鉄、車両を乗り継ぐ。グレーの無彩色な殺風景な景観。車両で基地に移動中、突然、無法者に重火器で襲われる。資源を巡る闘いが繰り広げられており、そのせいだという。この領域に入るなということなのかな。銃撃戦というのは穏やかでない。でも、月でこのスピードで走り、銃撃戦ができることを知った。

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この銃撃戦で、大佐が体調を崩し、一緒に行けないとメモリーを渡し、「宇宙軍は君を信用してない」と忠告する。ロイがこの忠告をどう受け取ったか?

ロイは火星行のロケット・ケフェウス号に搭乗。気分安定剤が配られる。無重力のなかで口に入れる動作が面白い。ロイは大佐のメモリーを読む。「リマ計画は宇宙軍のもの。息子の接触も断るだろう」とあった。ロイは父に何が起こっているんだと懐疑心を抱く。

突然、遭難信号が入る。遭難船を誰が点検するか?乗員がびびっているのでロイがこの役割を買ってでた。船長のタナーと二人で漂流船内に入ると、なんと動物飼育実験船だった。タナーが襲われ亡くなり、宇宙葬でおくった。

船長に副操縦手が就いた。ロイが「火星に行かねばならんのだ」と訴えた。ロイは任務をやり遂げたいだけだと言いながら、父への怒りを感じる。母は捨てられ、自分は人との関係が築けない男になり、これからどう物事に向かうのかと不安を抱き、心理テストを要求した。

サージに襲われ、ロケットが自動モードで飛翔できなくなり、ロイが操縦手を買って出て、手動で火星に着陸した。ロイの心理状況は正常なようだ。

火星に到着。火星は赤くただれていた。出迎えた基地責任者ヘレン・ラントス(ルース・ネッガ)の案内で、地下にある隔離室で宇宙軍幹部に会う。ヘレンが、通りがかりのケフェウス号の乗員が「サージに酔った」というのを聞いて、いやな表情を見せた。

ロイは宇宙軍が作った文面をそのまま読み、父にメッセージを送った。何も反応がない。
ロイは「父は嵌められているのではないか?自由になりたかったのでは」と父を思い泣いた。

次のメッセージでは、自分の言葉で「会いたい!あなたのおかげでこの仕事につけた」と送った。幹部たちが協議し「これ以上続けるおは不適切」とロイの任務を中止した。本当に父からの返答はなかったのか?
幹部から任務終了を告げられ、地球帰還の心理テストが不合格となり、治療室に入れられる。

ヘレンがやってきて、「ケフェウス号が5時間後、海王星に向けて発つ」と告げ、「あなたを知っている。お互いリマ計画の犠牲者よ、私も父を失った」と言い、父・クリフォードのメッセージ(映像)を見せる。いつのメッセージは?
そこには「心理テストで地球に帰れなくなった者たちに船を乗っ取られた。この者たちは亡くなった。宇宙の深部へ行く、この任務を永遠にやる」とあった。ヘレンは「宇宙を守るために、クリフォードは英雄にされている」という。

ロイは「船に乗せてくれ」とヘレンに頼んだ。ヘレンは、「ロケットに乗るかどうかは自分で決めて!」と言い、車でケフェウス号の発射基地までロイを送り届けた。ヘレンは何を望んでいたか?

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ロイはロケットエンジン部から船内に潜り込む。が、乗員に見つかり格闘、ロイに殺し気はなかったが、乗員全員が亡くなった。

ロイは海王星への旅を続けるため、宇宙軍に追尾されないよう通信を切り、孤独な旅をつづけた。ケフェウス号の行き先は、父の居場所を掴んだ宇宙軍がセットしていた。

なんども妻の「あなたはいつも居ない。私たちはなんなの?」というメールを見た。お腹に注射針を刺して、栄養補給する。これには驚きです。

かくして、ロイはリマ計画宇宙船にたどり着き、父と対峙した。父が「ロイか?メルトダウンを止めるんだ!」と叫ぶ。ロイは宇宙船に爆薬を仕掛けた。
ロイは一緒に地球に帰るよう説得するが、「生物が見つかっていない。探すのが任務だ。地球に居場所はない」と帰還を拒否。それでもロイは父に宇宙服を着せ、お互いを命綱で結び船外にでたが、途中で父が「ロイ、放せ!」と命綱を切って、宇宙に消えた。父に愛はあった!これが父の生き方だった。ロイは泣いた!!

ロイはもう父を追わなかった。ケフェウス号を探し、これで地球に帰還した。

ロイは、父親の生き様を目の当たりにし、これまで父を追っかけてきた生き方を改め、愛情ある、人とつながりをもった人、他の人と親しくなる人を目指すことを誓った。 
                 
無表情のロイが人間になっていく、ブラッド・ビットのための映画でした。結構ミステリアスな物語で、筋が読めないところがあり困りました。(笑)
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映画『アド・アストラ』予告編 9月20日(金)公開