TBS新春特別企画として放送されたドラマ。
ホームドラマを作って50年の石井ふく子さんがプロデュースしたこれからの家族の幸せの形“を描いた物語。主演者のひとり宮﨑あおいさんが一児の母親になっての初ドラマ出演ということでも注目されています。
1世帯住宅で暮ことに、定年間近な夫婦と若い二人が葛藤する様を描いた本作は、これからの高齢社会での生き方として、こういう家族ができれば幸せだな(初夢)と思わせてくれる石井さんらしい、笑って、泣けるとても上品なドラマでした!!
脚本はドラマ「大好き!五つ子」の浪江裕史さん、演出は映画「ハナミズキ」やドラマ「カルテット」などの土井裕泰さん。主演は永山瑛太さんと宮崎あおいさん。共演には、松重豊・松坂慶子・六平直政 ・一路真輝さんらが参加。
宮﨑あおいさんにベタ惚れの石井さん作品、石井さんイメージの宮﨑さんが沢山出てきて、宮崎さんもよくこれに応えていて、フアンにはたまらないでしょう!(笑)
家族がお互いを思いやるTVドラマ。繊細な感情表現が求められ、大河ドラマ「篤姫」(2008)での共演者、宮崎あおいさん、永山瑛太さん、松坂慶子さんに、松重豊さんを加えた演技が見どころです。
あらすじ:
小野寺理紗(宮﨑あおい)は4年前の結婚式当日に新郎に逃げられた過去を持つが、今はすっかり立ち直り元気に暮らしていた。父親の俊作(松重豊)は製菓会社の営業部長だったが、人事異動で別の部に配属される。母親の真知子(松坂慶子)は明るい専業主婦だ。
3人は理紗が結婚したら理紗とその夫、そして両親が一緒に暮らすために建てた大きな二世帯住宅で暮らしていた。
俊作が異動した部署に、兵頭幸太郎(瑛太)が新部長として着任する。幸太郎はかつての俊作の部下だったが、これで上司になってしまった。元部下の昇進はめでたいが、俊作の心境は複雑だった。
そんな俊作が心を休めることができるのは、幼馴染みで先輩の村上洋一(六平直政)が営む居酒屋。仕事や家庭の愚痴をこぼすことができる、唯一の場所だった。
一方、真知子はフラワーアレンジメントが趣味で、倉橋響子(一路真輝)が経営する教室に通っている。響子は洋一の元妻だが、真知子にとって響子は、何でも話すことができる大切な存在だ。
そんなある日、理紗はプロポーズされたと言って、挨拶のために恋人を家に連れてくると、その顔を見て俊作は驚く。なんと、理紗の恋人は幸太郎だったのだ。元部下が上司でしかも娘の婚約者とは…。
果たして、理紗と幸太郎の恋の行方は?理紗と幸太郎は俊作、真知子と同居することができるのだろうか?(番組HPから)
****(ねたばれ)
結婚式場で梨沙が結婚相手から「結婚できない!」と知らされ気落ちするシーンから物語が始まります。冒頭で、宮崎さんの花嫁姿を観せるといううまい演出です。
ここで梨沙が「よかったかも!」とつぶやきますが、何故つぶやいたのか? この“つぶやき”の想いが父と母、交際相手の幸太郎を巡って、思いやりのある家族が出来上がるという脚本がすばらしい。
俊作が定年近くになり配置転換。そこでの若い部長に仕えることになり、部長が元の部下であることのわだかまり。さらに娘の婚約者であればなおさら。
元部長とその部下という、定年を前にして、どうでもいい上下意識をどう乗り切るか。
妻・真知子の「知っている人ならやりやすいじゃないの」「若い人に抜かれて面白くないの」やフラワーアレンジメント教室の先生・響子が言う「男というのはいざというときに決断が出来ない」という言葉。女性は現実的で生きる知恵をもっている。男はなぜこうも面子に拘るのかと思い知らされます。(笑) これ、もう少し年齢を重ねたら分かります。( ^)o(^ )
定年で熟年離婚した夫婦、村上洋一と倉橋響子の生き方を絡めて、小野寺夫婦の生き方が描かれるのがいい。
響子から家庭内別居を勧められ、真知子が二階の梨沙の部屋に退避し、自分の我儘だけでは生きて行けないことを俊作に思い知らせる。真知子と梨沙が仲良く交す会話の温かさ。松坂さんと宮﨑さんならではの、大の字になってくつろぐところがなんとも愉快でした。
会社で俊作の出番があって、俊作と幸太郎は居酒屋“まわり道“で飲み、幸太郎が俊が部長であった頃に自分が受けた恩義、自分の生い立ちを語り、ふたりの間にあった拘りも一気に解け、ふたりが理解し合える関係が出来あがっていく。若い部長が、かっての部長を生かすという配慮が美しい。
そして、梨沙から「一度結婚に失敗した自分を心配する父母に、幸せに暮らしているのを見せたい」という“同居に拘る訳”を知って、幸太郎は梨沙の苦しい胸の内を察し快く同居することに同意。俊作に「梨沙とお父さん、お母さんと家族を作りたい」と同居したい意志を伝えた。永山さんの男らしいさわやかな演技、幸太郎が受け容れたことにそっと涙をみせる宮﨑さんの演技が、とても自然でいい。
しかし、俊作が「この家には梨沙の辛い思い出がある。新しい場所で、真っ白な気持ちで生活して欲しい」とふたりの申し出を断った。幸太郎は「お父さんは叶わない」と俊作の梨沙への大きな愛情を感じた。
別居と決まった梨沙。母は花の教室で留守に、父俊作に家を出ることでの挨拶。梨沙が生まれたときに仕込んだ梅酒で乾杯。梅酒作りは宮崎さんの趣味。宮崎さんの「世界一幸せになる、見ていてね!」と泣き笑いのあいさつに涙で応える松重さんの演技は絶品です!
結婚式。花婿の幸太郎に異変が!4年前の悪い記憶が蘇る俊作。ところが、幸太郎がやってきて「同居して梨沙の辛い記憶を一緒に乗り越えたい。家族にして欲しい!」と訴えた。こうやって、お互いを想い合うことで家族は出来上がっていくが、若い人の協力が必要です。
結婚式は、しっかり見せてくれます。これは石井さんからのプレゼント。
ラストシーンで、俊作がすっかり元気になるが、これに孫が出来ればと思うと、
2世帯住宅はあすの家族の姿かもしれませんね!とても愛に詰まった作品でした。宮崎さんのために石井さん、もう一本撮って欲しいです!
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