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「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 永遠と自動手記人形」(2019)

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とても美しい映像と評判の京都アニメ。観たことがない!新作がコロナウイルスの影響で公開延期となりましたが、幸いかな外伝が劇場で再上映というので駆けつけました。アニメもTV版も見ず、情報なしでの鑑賞。

映像が美しいのはもちろん、圧倒的な“美しい心”の物語に感動しました!
アクションも時空が飛ぶこともなくひたすら“人を幸せにするのはどうあるべきか”が描き出され、他のアニメ作品とは一線と画していると思います。

原作は暁佳奈さんの同名アニメ。監督はテレビシリーズで演出を担当したという藤田春香さん。脚本は鈴木貴昭さん、浦畑達彦さんです。声優は石川由依寿美菜子悠木碧子安武人さんたちです。

あらすじ:
ヴァイオレット・エヴァーガーデン」物語は、
主人公ヴァイオレット・エヴァーガーデン石川由依)は大戦争に戦士として参加し両腕を失い、義手となっている。「愛している」という上官の言葉で野戦病院に後送され、その後エヴァーガーデン家が後見人となり、今では知人の経営するC.H郵便社で“自動手記人形”(代筆屋)として働いている。自動手記人形としてさまざまな依頼人からの思いを手紙にしたためていく中で、次第に愛を知っていくという物語。
ここはしっかり押さえておいた方が良いと思いますので「5分でわかるヴァイオレット・エヴァーガーデン」を貼っておきます。


5分で分かるアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』第1回

外伝となる本作では(ねたばれ)、
捨てられていた幼子テイラー(悠木碧)を救って自分の妹にした姉イザベラ(寿美菜子)の姉妹。懸命にイザベラがテイラーを育てていたが所詮無理で、イザベラは大貴族のヨーク家の養子に、テイラーは孤児院に送られことになった。イザベラは自分がテイラーを見捨てたという自責の念で、未来への希望や期待を失い孤独になっていた。
イザベラは結婚を控え、高校教育を受けるためにと家庭教師に迎えられたのがヴァイオレット。

当初イザベラはヴァイオレットを拒否していたが、献身的に尽くすヴァイオレットに心を開いていきます。別れの時、イザベラは自分の過去を明かし別れたテイラーに手紙を書いて欲しいと頼みます。

ヴァイオレットはどんな手紙を書いたでしょうか?

その手紙を読んだ(読んでもらった)テイラーは3年後、ヴァイオレットの元に郵便配達員になりたいとやってきます。テイラーはなぜ配達員になりたかったのか、そしてイザベラに会うことが出来たのでしょうか。


『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』予告
               
終戦直後、日本では沢山の戦争孤児が生まれ、皆さんがとても辛い体験をしました。だからこの物語は心に響くものがあります。

この物語の面白さはヴァイオレットが自動手記人形(代書屋)として成長していくところです。
代書屋は頼まれた人のつもりでその気持ちを書かねばなりませんが、それだけでは不十分で“幸せになって欲しい”という視点で必要です。だから代書屋は人として大きく成長していくと思います。物語としてうまい設定です。

この作品は人としての成長物語であり愛の物語です。これをどう映像で表現するか? キャラクターの心情を風物で、音響・音楽で、はっと息を飲むほどの美しさで描写してくれます。

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ヴァイオレットはまずは義手による握手から始まり、食事の仕方、一緒に風呂に入り、ベッドで星座を物語り、星座が美しかった!すこしずつイザベラが心を開き、髪を触るようになり、ここでの髪が靡くシーンはリアルで、卒業パーティーでダンスを楽しむようにふたりは姉妹のようになってきます。卒業ダンスパーティーでの天にも昇りたい気持ちがよくわかります。

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ヴァイオレットが去るにあたってイザベルに贈った言葉「私は人を守ることを教えられ、優しく生きていくこと学びました」と自らが沢山学んだというのがいい。
そしてヴァイオレットは孤児院にいるテイラーに手紙を2通書きました。
1通は「何かあったらいつでも自分を訪ねて欲しい」というもの。もう1通は「寂しくなったらエイミーと唱えて!魔法の言葉です!」でした。エイミーはイザベラがテイラーと一緒に過ごしていたころの名。しかし、テイラーはこの名で呼んだことは一度もなかった。覚えているかな!

ヴァイオレットの手紙はこれからのイザベラの人生を考え、テイラーを元気づけるものでした。

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3年後、テイラーは手紙を携えC.H郵便社を訪ねてきました。彼女はここで働きたいというのでベネディクト(内山昂輝)の下で働くことになった。朝から夜遅くまで働く。字が読めないのでベネディクトに教わりながら一生懸命に働きます。そしてヴァイオレットが面倒をみることに。

朝日に、夕日。雨、夜空そして川や湖、海が美しく輝いてきます。新海さんの作品に比べるとこちらが濃い色彩のように感じます。

 

話が外れるようですが、ヴァイオレットは同僚の“自動手記人形”たちと結婚や仕事のことなど将来の人生についても触れ、“女性として人生を如何に生きるか”という「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」本流の伏線にもなっています。

テイラーはまだ幼い、だからシャボン玉を飛ばして遊ぶ子を見るとお姉ちゃんを思い出し車に轢かれそうになる。シャボン玉が美しかった。郵便を渡す先に飴を食べている子がいると欲しくなる。(笑)テイラーの頑張りがちょっと涙を誘います。

「何で郵便配達人になりたいのか」と聞くと、「お姉ちゃんが手紙を残してくれていて幸せだから」と応える。ヴァイオレットはこの気持ちをイザベルに伝えてやりたいと、手助けしてテイラーに手紙を書かせ、これをベネディクトに託し、どこに御嫁に行ったか分からないイザベラに届けようとする。

ベネディクトはオートバイにテイラーを乗せ、虱潰しにイザベラを探した。大邸宅から出てくる貴婦人・イザベルを発見、ベネディクトはテイラーの手紙を渡します。テイラーは離れたところからこれを見ていました。イザベルは「字が書けるの!」と大粒の涙を流した。

テイラーは自分で手紙を渡せるようになったか会いに来ると決心するのでした。

なんて!相手の気持ちをこれほどまでに慮っての行動かと、人の優しさに泣けてきます。
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