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「耳をすませば」(2022)雫と聖司の10年後。挫折しかけてもふたりだから追い続けられる夢!

 

スタジオジブリの人気アミメ作品にあやかった作品と、後で観ると決めた作品。WOWOWに初登場で観ることにしました。

監督:平川雄一朗、原作:柊あおい脚本:平川雄一朗、撮影:中山光一、編集:山口牧子、音楽:高見優主題歌:杏。

出演者;清野菜名松坂桃李山田裕貴内田理央、中川翼、安原琉那、田中圭近藤正臣、他。

物語は

原作漫画とアニメ映画で描かれた中学時代の物語に加え、雫と聖司が大人になった10年後をオリジナルストーリーで描くというもの。

読書好きな中学生・月島雫(安原琉那)は、図書貸出カードでよく名前を見かけていた天沢聖司(中川翼)と最悪の出会いを果たす。しかし雫は聖司に大きな夢があることを知り、次第に彼にひかれていく。そんな聖司に背中を押され自身も夢を持つようになる雫だったが、聖司は夢をかなえるためイタリアへ渡ることに。2人は離れ離れになってもそれぞれの夢を追い、10年後に再会することを誓い合う。

それから10年が過ぎた1999年。出版社で編集者の仕事を働きながら小説家の夢を追い続ける雫(清野菜名)は、イタリアで音楽家を目指し奮闘する聖司(松坂桃李を想うことで自分を奮い立たせていたが……。

物語の前半。雫は編集者を降ろされ、小説を書くことも上手くいかなくなって、中学生のとき小説を書くことが好きになり、そんな雫に愛を告白してくれた聖司を思い出す。後段、雫がイタリアの聖司を訪ね、その後のふたりの運命はというラブロマンス。

この作品の評価はあまりよくないというのは、前半のジプリのアニメ版が実写で再現されているが、アニメ版とかなり異なっている。特に曲がカントリーロード」でなく「翼をください」なっていることに違和感を感じます。

この作品の“訴えるところ”はアミメ版とは異なり、「別の作品」として観ることで感想は変わってくると思います。


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あらすじ

夕子(内田理央)と杉村(山田裕貴)は結婚することになり、雫に「10年もつき合っているのにまだ?」という。実家に戻れば母親に「結婚は?」と言われる。郵便物を調べると児童文学新人賞に応募した不合格通知だった。何度も不合格になり、自分に小説家の資質なないのではと悩む。

出版社では、部長(音尾琢真)から「担当の園村先生(中田圭)の小説は現実味がない。考えてもらえ!」と叱責される。

雫は園村先生に会って「編集部の意見です」と小説の一部変更をお願いしたところ、「それがあなたの意見ですか?」と聞かれ、言い出せないでいると「検討してみます」と言われた。國村は原稿を修正してくれたが「自分に正直な人とでないと仕事はできない!」と担当を降ろされた。

雫が夕子に「仕事も小説も行き詰まった、」と打ち明け、嫌な気分を紛らわしていた。イタリアの聖司は仲間と弦楽カルテットを組み順調に公演活動を続けているようで、壁にぶち当たっていた。雫への想いが支えだった。

雫は「愛している」と言って音楽家を志しイタリアに旅立った聖司とお日々を回想していた。

雫は読書カードが縁で聖司に出会ったこと、地球屋を訪ねて聖司の祖父に出会ったこと、聖司のチェロ奏者になる夢に憧れ、聖司に勧められてバロンをモデルに小説「耳をすませば」を書いたこと、聖司が最初の読者になってくれたこと、聖司のチェロで「翼をください」を唄い、ふたりは似てるもの同士と話し合ったこと。そして聖司が自分への愛を告白してイタリアに旅立ったこと。

聖司の祖父(近藤正臣)に意見を聞くと「心の声を聴いてみたら!」と言われる。夕子は「聖司君に会ったら・・・」という。雫は聖司に会って意見を聞こうとイタリア行を決め、会社に休暇届を出した。

雫と聖司、ひさしぶりに会って、レストランでひと時を過ごした。聖司の誘いで、雫は聖司の部屋を訪ねた。雫が「小説が書けない!」と悩みを打ち明けた。聖司は「夢は形を変える。本が好きな君なら編集者となって多くの読者を楽しませられる、それもいい。しかし、君には書く夢を諦めないでほしい。人生は贈り物だ、人生を見つめ直してみたらいい」と言った。そして聖司のチェロ演奏で雫は「翼をください!」を唄った。

そこに、聖司の音楽仲間の女性サラが「聖司は私の恋人だ」と訪ねてきた。雫は聖司の部屋を辞し、誘われていた演奏会もキャンセルして、日本に戻った。

雫は帰国し夕子と杉村に「聖司とは分かれた」と告げたが、ひとりになって泣いた。

雫は園村先生に会い「担当させて欲しい!」と土下座してお願いをした。園村先生は「あなたが初めて担当者になったときは自分の意見を言っていた。自分に素直な人だった。今の君なら小説は書ける」と言葉を掛け、担当者に戻してくれた。

聖司から手紙が届いた。そこには「図書カードは君に会いたくて書いたんだ!」と秘密を明かし、「技術ばかり追い求めていたが、君に会って音楽の楽しさが戻ってきた」と記されていた。

雫は小説を書き始め、手を休めて外を見ると、聖司が自転車で迎えにきていた。ふたりは自転車に乗って“あの場所”に朝日を見に行った。そこで聖司は「日本で音楽をやりたい。君と結婚したい」と告白した

感想

読書カードで同じ趣味を持つ人を好きになって、お互いが夢を求め、挫折しそうになってお互いの必要性に気付き、結婚するという話。スマホもSNSもない時代の恋愛物語、夢のような話でした。今に若い人はどう捉えるのでしょうか?

 回想シーンはアニメ版シーンとはかなり異なり、10年後のふたりのコイバナに合うように修正されていました

小説を書くように勧めたのは聖司で出来上がった小説を読んだのも誠司。能力があると褒めたのも誠治。バロンにまつわる叔父さんの思い出話はなし、どうやって「耳を澄ませば」が書けたか理解できない。叔父さんに「能力は磨けば光る」と小説を書くことを勧められたことに触れてない、等々。

耳をすませば」のアニメ版フアンには受け入れられないものになっていましたね!

主題歌が「翼をください」となっており、タイトルもこれでよかったのではと思いました。

アニメ版と違って、「夢を諦めそうになったとき、夢をどう捉えるか」が描かれていました。「小説を書く夢を追い続けたいが、小説が好きなら編集者になって多くの人を楽しませるのも夢」という考え方は「なるほど」と思わせてくれました。「夢は楽しみながら追いなさい」というメッセージもよかった。しかし、これは難しい!この映画にはアニメ版とは違った楽しみがありました。

清野菜名さんと松坂桃李さんが演じる青春恋物語。透明感があって、「翼をください」の曲に合った恋物語でした。

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