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日曜劇場「日本沈没-希望のひと―最終回」

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最終回「最後の一人まで諦めない」

 TBS日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」最終回、2時間3分スペシャルでの放送で完結、視聴率:最終回は16・6%。とても好評で最終回を終えました!沢山の感想が寄せられており、今更という感じですが、9回観続けた者としてのけじめとして書くことにしました。


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あらすじ(最終回):

東山総理(仲村トオル)を狙った爆破テロのニュースは全世界に大きな衝撃を与えた。同行していた世良元教授(國村隼)は亡くなったが、総理は重症で入院となった。

国内の情勢が不安定と判断され、移民計画に影響が及ぶことを恐れた日本政府は、早急に里城副総理(石橋蓮司)を総理代行にして世界へアピールすることになった。

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天海(小栗旬)、常盤(松山ケンイチ)ら未来推進会議が中心となって事態の打開に挑むが、状況は改善しない。そして、遂に全世界で日本人移民の受け入れ停止が発表される。

オーストラリアからの500万人受入れ申し出で、再び移民計画が動き出したところに、移民者の中に感染症が発見されたという報告もあったが、副総理の指導で楽観的に進めることになった。

小樽に研究本部を置いた田所博士から「白イカが発見され、確実に環境異変が生じている。日本の環境政策は世界に役立つ」と天海に伝えてきた。

しかし、国民は躊躇していて、「個人か家族」単位での移民申請が進捗しない。

天海は宇和島の母の元に戻って、移民を勧めて分かったことがあった。「皆と一緒に行きたい」ということだった。これはすでに東北地震における原発汚染地域からの疎開で試されたものであって、なぜ気づかなかったか!ましてや二度と日本に戻ってないとなれば尚更であろうと思うのですが・・。

ここで100名を上限としての団体単位での申し込みを認めて、困難を極めたが、申請要領を修正して施策を押し進めた。

天海は久しぶりに椎名に会って、移民申請のことを聞くと「どうせおひとりさまですし」と話す。椎名に「一緒に行かないか」と問いかけ、すぐに「変なこと言ったな」と笑ったが、椎名は「そのお誘い、甘えさせていただいていいですか」と、天海の申し出を受け入れた。これ、移民申請が天海の椎名へのプロポーズになりました!(笑)

移民申請者が1億人に達したと喜んでいるところに、新型ウイールス“ルビー”により死者が発生、感染が拡大しているという情報が持たされた。オーストラリア移民者から感染者が出たことで、今後の移民が無効になるのではないかという大問題が出てきた。

そこに、田所博士から「名古屋から関東にスロースリップが拡大し、日本沈没は早まる!待って4か月だ!」と伝えてきた。移民者はまだ1000万人、残り9000千万人はどうなる?と大混乱に陥った。

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この混乱の中で、京都大学から3名の患者が回復したという事例報告がなされ、常盤製薬とハタ製薬製品両社の薬品が有効であることが判明した。

“ルビー型”による感染症は日本だけでなく、世界共通のものらしい」と伝えられ、世界的感染症学者のブラント博士が「グリーランドの永久凍土から出てきたもの」と発表するに至った。

新型感染症対策で、リモートによる世界臨時会議がもたれることになり、怪我から回復した東山が参加することになった。首相はこの会議で世界に向け、「治療薬の製造法を公開する」と発表し、「世界が日本の移民受け入れてくれること」を要望した。再び移民が始まり、移民が順調に進みだした。

天海は自衛隊の基地空港に元妻・香織(比嘉愛末)・茜(宝辺花帆美)に会いに行った。そこで妻の連れ添いの野田が感染症で亡くなったことを知った。娘との別れは辛かった!しかし香織は気丈に茜と移民先に飛び立っていった。天海の母(佳恵)も仲間と一緒に故郷を離れ、移民地へと向かった。

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椎名は田所博士の研究を手伝うことにして小樽に移動した。そして天海は最後まで移民を見守ると2か月間、東京に残ることにした。

2か月後、

日本未来推進会議は解散し、それぞれが家族のもとに行くことになった。残務は天海と常盤が引き受け、札幌に飛ぶことになった。

これが最終便と、天海たちも北海道に移動するためC130自衛隊機に乗り込んだ瞬間“本州沈没”が始まった。発進したC130の後を捲れるように破壊する滑走路(破壊波動)が追ってくる。「早く飛び立て!」という迫力ある映像でした。小樽の田所研究所では椎名が天海と連絡取れず、心配をする。やっと携帯がつながり涙する椎名。

フォッマグマで日本列島は南北に折れ曲がり、遂に日本が沈没し始めた。

北海道の沈没は1週間後と田所博士に予告され、道民の移民をひとりでも多くとせかした。多くの道民の港に駆けつけ、出航していった。

天海たちのいる札幌庁舎、小樽の地震研究所も激しい揺れに遭遇したが、田所博士から「沈没が止った。プレートが切れたようだ!」との報告が入った。北海道と青森、九州を残し日本沈没は停止した。

常盤は総理とともにここに留まり、世界中に散った日本人を支える大役を担うことになった。天海は椎名とともに中国にわたりジャパンタウン建設に尽力することを決意した。

天海は別れを惜しんで田所博士を訪ねると、「よかったこれが食えて!」と白米のおにぎりを食べる。(笑)

天海の「活動の原動力は“恐怖だった”」と伝えると、田所は「もっと、もっと恐れた方がいい。人間は、この地球があるからこそ生きていられる。みんな、そのことを忘れてしまっている。止められるのは今しかないぞ」。天海は「温暖化の被災国である日本の一人として、地球の危機を世界に訴えていかなければならない。その未来は僕ら一人一人の手にかかっている」と田所との約束を胸に刻み込み、決意を新たにした。

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ラストシーン、天海と田所博士が佇む海岸。美しい断崖絶壁の海岸風景が、日本が一部であっても、沈没しなくてよかったと、日本の美しさを再認識したシーンでした。

感想:

原作は小松左京さんの「日本沈没」(1973)で、概ねこれに沿ったストーリー展開でしたが、この原作にはない、移民をどう進めるかという官邸、官僚の具体的行動が描かれ、原作に深みを与えたのではないかと思っています。

当初は政府や官僚のどたばた騒動に疑念を抱くことも多かったですが、8回、最終回でこれを挽回したと思います。この2話はツッコミどころ満載だったという意見もあるようですが、SFですから!テーマの結末がしっかりしていれば問題なしです。

物語は環境問題解決にと始めた海底資源採掘事業(COMS<コムス)が太平洋プレート境界のスロー・スリップを引き起こし、日本沈没に至り、日本人は世界中に移民することになったが、これを救ったのは日本の世界に先駆けた新型感染症治療薬(発生源は地球温暖化による永久凍土)であったという、「環境で始まり、環境で終わる」物語でした。

将来の日本の姿として“科学・環境”立国であることが日本を救うと訴えたことは、ありきたりな結言のようで、これでよかったと思います。というのは人気のマーベル映画作品の方向付けともいうべき映画「エターナル」(2921)がこれと同じテーマで、世界は同じテーマに向かっていると思うからです。

しかし、第6回で世界に海洋汚染を約束したいという“約束”、原発処置が描かれなかったことが残念でした。このドラマにとって致命的ともいえる欠陥となりましたね!

9回で綴る物語として、関東沈没、日本沈没山場を作りながら、各回ごとの危機に主人公天海が不屈の精神で答えを見つけ出していく「決して諦めない!」物語は次回の期待につながり面白かった。日本沈没を決して受け入れない里城副総理が、後半で主役に踊り出るという激変。この人がなぜ激変したかわよくわからなかったが、石橋蓮司さんの演技に魅せられ、主役の小栗旬さんを食っちゃいましたね!(笑)

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「希望の人」を演じた小栗旬さんが、とんでもない奇人田所博士と組んで、総理・副総理を動かしていくところは、「官僚は国民的視点で仕事をせよ!」と訴えているようでした。SF作品の演技というのは難しいと思うのですが、しっかり感情の入った演技でした。結構、涙するシーンも多かったですが上手かったですね!「ゴジラvsゴング」(2021)で苦労した結果が出ているように拝察しました。

天海の親友、常盤役の松山ケンイチさん常磐の生き方に影響されて「希望の人」に変位していく常盤は、この物語を観る人の立場を代表する役で、ドラマを分かり易くしてくれますが、松山さんの受け演技がとてもよかですね!

椎名役の杏さん。記者としての矜持をもって国民に寄り添う報道姿勢を崩さない強さの中で、この作品の中で唯一、恋ごろころを見せるという役、すかっとしてとてもよかったですね!

田所博士役の香川照之さん。言うことなしの演技でした!

局を挙げての作品制作。日本が沈没していくグラフィックスなどCGでしっかり工夫がなされていました。

最後に、予知情報をいつ、どこまで伝えるかという情報の伝え方がとても面白かった。大災害における最大の問題かも知れませんね。

第1回より読んでいただいた方々に御礼申し上げます。

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