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「モービウス」(2022)

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“モービウス”の生誕物語。ここにきてSPUMC(ソニー・ピクチャーズユニバーバース・オブ・マーベル・キャラクターズ)作品の主人公として映画初出演。今後の「スパイダーマン」シリーズ、ひいてはマーベル作品にも強く濃い影響を与える可能性が非常に高い。ということで観ておくべき作品と駆けつけました。

監督:チャイルド44 森に消えた子供たち」(’14)「ライフ」(’17)「のダニエル・エスピノーサ脚本:マット・サザマ バーク・シャープレス、撮影:オリバー・ウッド、美術:ステファニア・セラ、衣装:シンディ・エバンス、編集:ピエトロ・スカリア、音楽:ヨン・エクストランド。

出演者:主演は「ダラス・バイヤーズクラブ」「スーサイド・スクワッド」でジョーカーを演じたジャレッド・レト。共演に「ラストナイト・イン・ソーホー」(’21)のマット・スミス、タイリース・ギブソンアドリア・アルホナジャレッド・ハリス、アル・マドリガル、他。

多くの命を救ってきた天才医師モービウスが、禁断の治療の代償として自らの肉体が大きく変貌していく中、医師としての良心と血に飢えた怪物としての本能のはざまで揺れる葛藤の行方を、激しいバトル・アクションとともに描き出すというもの。

久しぶりにみるSPUMC。やはり面白い!ジャレッド・レトが演じるモービウス。善と悪の二面性で揺れる心理的な闇を抱えるヒロインの登場に、これからの作品展開を期待し得るものでした!

あらすじ(ねたばれ:注意):

冒頭、ヘリで進入しコスタリカの深い森の中にある洞窟に住む蝙蝠を採集するマイケル・モービウス(ジャレッド・レト)の行動から物語が始まる。この深度のある映像と爆音でSPUMCの世界に一気に連れていかれます。久しぶりの映像体験でした!

ここから25年前のギリシャで難病で病院医療する少年マイケルとマイロ。マイロは1日3回の輸血を必要とする重い血液の病でした。ここでふたりは兄弟のようにいたわり合いながら療養。マイロの輸血装置が停止したときマイケルがとっさの判断でボールペンのバネで修理したことでマイロは事なきを得た。このことでマイケルの能力が認められ、大学に入り血液の研究を続けて、ノーベル賞を受賞するまでの研究者になった。

しかしマイケルは多くのこの種病の患者を救えない、就中、マイロ(マッド・スミス)を救えないと、研究パートナーのマルティーヌ(アドリア・アルホナ)とニューヨークのホリゾン研究所で研究を続けていた。

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マイロは豪華なアパートで二コラ医師(ジャレッド・ハリス)の治療を受けながらマイケルの研究成果を楽しみにしていた。

モービウスは蝙蝠のDNAと自分のDNAを混合した血液を体内に取り入れてみたらという禁断の治療法を実験することにした。マウス実験で成功し、期待できりとマイロに報告。マイケルは、マイロの支援でコンテナ船をチャーターし、東海岸沖の中立海で、ルティーヌによって自分の体に混合DNAを注射するという人体実験を実施した。これまでびっこだった脚が治り健常体になり、拳銃弾をも避けるほどに敏捷に運動でき、蝙蝠のように天井に張り付き、空を飛べ、音響で回りの状況が把握できるバッドレーダー能力をもった。さらに鋭い歯と爪を持つ異形の怪人に変身し、人を襲うというとんでもない力を持つに至った。

モービウスはコンテナ船の乗組員6人を殺害した。モービウスは自分が犯した犯罪ビデオを見て自傷行為にはしり、慌ててSOSを発信して船を去っていった。マルティーヌはモービウスの異形に気を失って、船に残っていた。

FBIのロドリゲス(アル・マドリガル)とストラウド(タイリース・ギブソン)刑事がこの事件を追うことになり、マルティーヌに付きまとうようになった。

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モービウスは研究所に戻り人工血液(“レッド”)を呑んで落ち着いた。実験は成功したが血液が必要だとわかり、血液の接種間隔を調べた。6時間で効果が切れることが分かった。

実験に成功したと聞いたマイロが研究室に「恋愛はするな!」とやってきた。ちょうどそのときモービウスはレッドの効果が切れて苦しんでいた。それを見たマイロが“レッド”を飲ませるとモービウスは正常に戻ったのを見て、 “レッド”が飲みたいと訴えた!モービウスは激しく反対したがマイロは「俺に死ねということか!」とこれを持ち去ってしまった。

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モービウスが病院で子供の治療中に、レントゲン技師が何者かに襲われ血を抜かれるという事件が起きた。モービウスは「あいつだ!」と“レッド”をもって駆け出したが、FFIのロドリゲスとストラウド刑事に出会い、怪人になって逃げようとしたが捕まってしまった。“レッド”を逃げる途中で失ってしまった!

マンハッタン留置場で“コンテナ船事件”についてふたりの刑事の尋問を受けた。血液効果が切れる時間になって体が震えてきた。そこにマイロが弁護士に化けて面会にやってきて「必ずここから出してやる!」と“レッド”を置いて去って行った。

モービウスは“レッド”を呑み、異形に変身して留置所を破り、街に出てビルの狭間を飛び越えながらバッドレーダーでマイロを追った。留置場は日本のものより劣悪だったが、尋問から面会のシーンはよくできていた!(笑)

マイロはスタンドで新聞を買って、その店主を殺害しようとしていた。モービウスはマイロの前に立ち塞がるとマイロが襲ってきた。ふたりがそこで格闘。警官隊が駆けつけてきたのでモービウスは地下鉄構内に逃げ、走ってきた電車の前を走りトンネルの外に逃げた。マイロは地下鉄のホームで乗客を襲い、警察隊の追跡を振り切った。

翌朝、バスで通勤中のマルティーヌ。地下鉄事件を報じる新聞を見ていると後ろの席から「俺ではない!」とモービウスが声を掛けた。ふたりはカフェに立ち寄った。

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カフェで、偽札で支払いする男たちを見つけたモービウス。男たちをつけて偽札製造工場に入り込み、男たちの指を圧し折り、印刷機をぶっ壊した!モービウスはこういう不正義が許せないらしい。

一方のマイロはめかしてバーに入り女を誘うと男たちが寄ってくる。男たちを外に連れ出し殺害して血を吸う。マイロは病弱だったころに蒙った仕打ちを晴らすように“レッド“で得たパワーを使う。

ふたりのパワーの使い方の違いをこういうエピソードで描いているが、ここはちょっと安っぽい!

モービウスは研究を続けて「吸血鬼になっても人は殺さない!」とマルティーヌに語り、ふたりは屋上で街の灯を眺めていた。この姿をマイロが隣のビルから見ていた。

FBIのふたりはバーでの殺人事件はモービウスの仕業として捜索を始めた。

ニコラス医師がマイロを訪ね「何をやった?」と追い詰めた。マイロは「あなたは兄のことしか見てなかった」と言い、「マイケルに言え!いくらでも殺す!」とニコラスを襲った。ニコラスの叫び声を聞いたモービウスは駆けつけ、ニコラスから「君がマイロを止めろ!」と聞かされた。

マイロはマルティーヌを呼び出し襲った。マルティーヌの声を聴いて駆けつけたモービウスにマルティーヌは「私の血を呑んで!」と言って亡くなった・・・・。

モービウスはマルティーヌの血を呑み、異形の怪人に変身し、夜のニューヨークの街にマイロを追った。街中でのふたりの決闘、決着がつかない。ふたりは下水道に落ちて戦う。そこに大量の蝙蝠がマイロを襲った。身動きが取れなくなったマイロの胸にモービウスがナイフを突き刺した!

感想:

物語はシンプルでバイオロジーSFの面白さとアクション。蝙蝠のもつ力=音響で回りの状況を把握するというバッドレーダの映像化と威力、ダークな世界感の中で繰り広げられた善悪二面性で苦しむマイケルとマルティーヌの恋愛、マイケルとマイロの変化していく兄弟愛を楽しみました。

医者という崇高な使命を果たすことを志ながら血の渇きから突然襲ってくる殺意で、6人の男たちを殺し、恋人の血を吸って同じ病を持つ愛する弟を刺殺したモービウスがこれからどういう運命を辿っていくのか?

“レッド”を呑み続け精神的に狂っていく演技がすばらしい。ジャレッド・レトーの演技もそうですが、マット・スミスの演技は兄への嫉妬も加わり荒れていく演技に迫力がありました、特にラストの兄に敗れ死に行く異形の表情がすばらしかった。

アクションの見どころ、異形の怪人となり地下鉄、下水道、夜間のニューヨークの街中で繰り広げたシーンは、派手さはないが、それなりに楽しめ、ラストの蝙蝠の大群は迫力がありました。変身描写としての特殊メイクの使い方、特にラストでマイロが苦しみの中で亡くなるシーン、すばらしかったと思います。

予告で映し出されたモービウスとバルチャーの出会い。ヴィランアベンジャーズとも言える“シニスター・シックス”の誕生を予感させます。

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