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「シン・ウルトラマン」(2022)庵野色いっぱいのウルトラマン、メッセージが生きている!

ウルトラマン」放送時代を知らず、ウルトラマンの生い立ちをウィキペディアで調べた程度で、その内容をほとんど知りません。企画・脚本が庵野秀明さん、監督を樋口真嗣さんが務めた「シン・ゴジラ」(2018)が面白かったので、同じ脚本・監督による本作、「きっと面白しいぞ!」と劇場に駆けつけました。満席という盛況でした!

世界感を現代社会に置き換えて再構築したウルトラマン物語。どのような物語で、いかなるメッセージが発せられるかと楽しみにしていました。

企画・脚本:庵野秀明監督:樋口真嗣撮影:市川修 鈴木啓造、照明:吉角荘介、録音:田中博信、美術:林田裕至 佐久嶋依里、編集:栗原洋平 庵野秀明音楽:宮内國郎 鷺巣詩郎主題歌:米津玄師。

出演者:斎藤工長澤まさみ、有岡大貴、早見あかり田中哲司西島秀俊山本耕史岩松了嶋田久作益岡徹長塚圭史山崎一和田聰宏、他。

本作のパンフレットには「ねたばれ注意という帯がついています。とても珍しいことです。(笑)厳禁ということではないので、注意しながら感想を述べたいと思います。


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あらすじ(ねたばれ:注意);

巨大不明生物、ゴメス、マンモスフラワー、ペギラ、ラルゲユウス、カイゲル、パゴスと6種の禍威獣の襲撃を受け、この間に政府は防災庁を設立。防災庁内に5名の専門家による禍威獣特設対策室を設置した。

そして現在、突然、首都圏郊外に電気を喰うというネロンガが出現

禍威獣特設対策班の構成は、班長:田村君男(西島秀俊)、作戦立案担当官:神永新二(斎藤工)、対粒子物理学者:滝明久(有岡大貴)、汎用生物学者;船縁由美(早見あかり)。分析官は現在欠員。

電気を喰って暴れまくる。自衛隊特科部隊?まだこんな名称で呼んでいるの?多連装ロケット部隊だった。効果なしで対策本部として打つ手がない。神永が「作戦地域に子供がいる!」と救出に出た。こんな時に作戦担当者がいなくなるとは、これはひどい!(笑)ねたばれです!まさにその時、空から正体不明の落下物が飛来し指揮所は激しい衝撃に見舞われた。落下物の正体は銀色の巨人で、巨人の放つ光線によってネガロンは葬りさられた。

この巨人の出現によって、分析官として浅見弘子(長澤まさみ)が公安調査庁から着任した。大柄な横柄な女性です。(笑)富永とバディを組んだ(組まされた)。彼女がこの事件で巨人をウルトラマン命名した。

監視網に地底を這う禍威獣が引っかかった。船縁がパゴスを言うが形態が違った。ガボラ命名原子力発電所を目標に地底を張っている。米軍に地中貫通型爆弾による攻撃を要請した。ステルス爆撃機で攻撃!神永がまたもや指揮所を抜け出し銀色の筒を取り出しスイッチを押す。すると地上から銀色の巨人・ウルトラマンが現れ、空に飛んでガボラの頭部・ドリル部を襲った。ガボラは頭部を開き、顔を出して放射線を放射した。ウルトラマンガボラが発する放射能をすべて胸で受けとめ、格闘の末ガボラを倒し、その体をホールドして空に飛び去り指揮所を守った。このとき浅見はウルトラマンとアイコンタクトでき「コミュニケーション可能!」と判断した。

ウルトラマンの存在は世界に知られることになった。が、神永の所在が分からない!(笑)

ここまでは従来のウルトラマンの活躍で描かれたものではないでしょうか。こここからオリジナルの脚本となります

対策室が突然停電!「バックアップとってない」と慌てる滝。大規模な電子機器システム障害が発生した。そこに外星人だという小さな男が現れた。名はザラブ。浅見が通訳に当たった。「友好のためにやってきた。総理に合わせろ!」と要求。ザラブは大熊総理(嶋田久作)に会い友好条約を締結した。

ザラブは神永を訪ね「地球人を戦わせて滅ぼす!君は身内だから・・」と神永をビルの一角に閉じ込め、神永がもつウルトラマン変身用点火装置を探す。

ウルトラマン横須賀市街地に現れ、基地を荒らす!対策班、自衛隊が出動したことでウルトラマンを抹殺すべきだ!」とザブラは政府に通告した。

船縁がSNSに神永がウルトラマンに変身する画像が載っているのを発見。メンバーがこれを見て驚いた。横須賀に現れたウルトラマンは本物が?と浅見。浅見は神永から渡されていたウルトラマン変身用点火器を持って、神永が床に残した足跡をたどり、神永のもとに走った。神永がウルトラマンに変身し、ザラブの偽ウルトラマンと戦った。偽ウルトラマンが巨大なザラブに変身した。ウルトラマンはこれを八つ裂き光輪で倒した。

神永と浅見が見つからない。対策班のメンバーが心配していると巨大な浅見が現れ、ビルを肘鉄砲で破壊する。(笑)自衛隊が出動し対戦車ミサイルを発射しようとする。そこに「これはデモです」と外星人のメフィラス(山本耕史)が現れた。「これで浅見を元に戻す!」とベーターボックスなる人体巨大化装置を見せる。「人類はこれで禍威獣に対処できる」と政府に貸与を勧めた。メフィラスは「この装置で人類をダメにする一緒にやろう」と神永を誘った。

神永はこれまでにない外星人からの地球破滅の誘いが入ってくる。神永はこれを拒否し、宇宙から狙われるようになっていく。ネタバレはここまでにして、感想に入ります。

感想

どこからとなくウルトラマンが現れ、恰好よく課威獣を退治して天に消えていく前段、特撮映像を楽しみました。まるでアニメを見るような感じでした。これをさっと切り上げて後段に。

ここからは前段と異なって、ウルトラマンははるかに自分の能力を超えた外星人と対決しなければならなくなるというオリジナル部分。神代は外星人として生きるか、人類として生きるかの決断を迫られ、地球人として戦う意義を見出していく。また禍威獣特設対策班は何をすれば人類を救えるかが問われます。

禍威獣を使徒とすればこれは「エバンゲリオン」の世界。庵野さんの哲学が色濃く出た作品だと思います。が、例によって、物語はテンポよく進み、セリフが難解で早口、その内容が理解し難い!(笑)

地球は宇宙の中ではまだまだ若い。人類はいろいろな禍威獣に出会うが、国際社会とつながって、滝明久のような“科学おたく”によって問題が解決していく。科学技術で未来を切り開いていくというメッセージが伝わり、すがすがしい気分で観終わることになりました。「シン・ゴジラ」よりさらに大きな世界感に立った物語でした。

時代背景を現代におき、ウルトラマンが今の時代に生きるというのも面白い。政府の煮え切らない他人頼みの政策(笑)、自衛隊の編成装備、現地合同対策本部は現行自衛隊の指揮所?とても貧弱!(笑)、自衛隊のみなさんすいません。電力や原発の問題等と現在の危機管理体制の問題が提示されている。

また禍威獣は人類に立ち向かう自然や病原菌のメタファーで、ウクライナの問題、コロナ禍の問題に直結しており、今という時期にこの作品が公開されたことに意味があるように思います。

出演者の皆さんのお芝居が楽しかった!斎藤工さんのふんわりした演技は宇宙人そのものでした。(笑)これにしっかり者の長澤まさみさんとのバディは面白い。常に明るくユーモアをとばす早見あかりさんの演技、うまくなりましたね!真面目一辺倒の西島秀俊さん。そして“科学おたく”の有岡大貴さん、楽しかったです!

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