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「モガディシュ 脱出までの14日間」(2021)メッセージ性のあるリアルなカーアクション・ドラマ。ここに至る背景がしっかり描かれている!

予告編を見て、ガリッシュ市街地でのカーアクション韓国映画の実力を観てやろうと劇場に駆けつけました。

監督・脚本:リュ・スンワン、撮影:チェ・ヨンファン、編集:イ・ガンヒ、音楽:バン・ジュンソク。

出演者:キム・ユンソク、チョ・インソン、チョン・マンシク、ホ・ジュノ、ク・ギョファン、キム・ソジン、キム・ジェファ、パク・ギョンヘ、他。

1990年代初めソマリアの首都モガディシュで、国連加盟のためアフリカ諸国の投票権を奪い合っていた韓国と北朝鮮の大使館員たちが、現地で発生した内戦の混乱で、生き残るためにいかにして国外へ脱出したかという、実話に基づく作品です。

2021年度の韓国映画No1ヒット作にして、第94回アカデミー賞“国際長編映画賞部門”の韓国代表作品とのこと。


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あらすじと感想(ねたばれ;注意):

ソマリア空港に降り立ったソマリア韓国大使館参事官のカン・テジン(チョ・インソン)。大使・ハン・シンソン(キム・ユンソク)が迎えに来た。運転手の現地人スワマが車にカンのトランクを積み込んでいると、ストリートギャングが現れ、トランクを持っていかれてしまった

バーレ大統領との面会予約があり、ギャングを追わず、そのまま大統領官邸へ急いだ。ところがそこに先客北朝鮮大使のリム・ヨンス(ホ・ジュノ)がいた。次の予約を待つことになった。

カンは援助している学校を訪ね、生徒にお土産を配り、トランクを回収した。トランクには大統領へのプレゼントが入っていた。北による子供を利用した妨害工作だった。

ハン大使が「すべてがバレている、内部にスパイがいる」という。参事官には韓国情報部の安全企画員が就くことになっているから、カンは「私の責任か?」と頭にきた。カンは町の新聞社に出向いて、北への反撃として、北のAK-47銃取引先情報(偽情報)を売った。誰がスパイか、仕掛けがしてあります!(笑)

国連加盟の賛成票を得るために、南北大使館は互いに妨害工作や情報操作を激化させていた。これをコミカルで美しい現地ロケ(モロッコ)で見せてくれます。

翌日、朝のロビー活動。ハン大使はソマリア外務大臣に北の武器売買を話題にするが米国留学の息子の育英資金を要求される。呆れたハン大使はカンに「どう思う!」と聞く。カンは「私の仕事でない」と言い返した。(笑)ソマリア政権は腐りきっていた!

ハン大使が北のリム大使を見つけ「フェアーにやろう」と申し入れると「嘘記事を書くな!こちらは20年前から交渉している」と言い返してきた。

そこに銃声!市民が「反乱軍だ!イスラムだ!」と雪崩込んできた!この映像もよく出来ています。

韓国大使館。銃声!とともに傷を負ってスワムが飛び込んできた。反乱軍の印があった。大使夫人のキム・ミヨンヒ(キム・ソジン)が訝る?

市街に反乱軍が声明文をまく。各大使館にそれが送られてきた。「バーレ政権を倒す。バーレ政権を支持する外国勢力は追放する」というものだった。ハンは妻キムを帰国させようとしたが、キムは「ここに留まる!」と断った。電話線は切られた。

街は破壊され炎上、盗難が横行した。デモ隊と警官隊が衝突。韓国大使館にデモ隊が押しかけて来た。秘密文書を焼き、消化活動を開始。「ソマリア発展のために、韓国は支援します」と録音していた放送テープを流した。カンは」「ドルで払う」とソマリア警察に大使館警備を約束させた。

反乱軍が市内に突入してきた。電気、水道が止まった。

 一方、北の大使館。現地人が「これまでの借りを返す」とばかりに銃を振り回し進入してきた。「大使館を捨てたら死刑になる」という意見もあったがリム大使の「生きるために」という決断で、夜間、中国大使館に向かうことにした。路上には遺体がゴロゴロと横たわり、銃を構えるストリートギャングと野犬が徘徊していた。これが怖かった!!

中国大使館はもぬけの空!リム大使は韓国大使館へ向かうことにした。発砲する警備兵。リム大使は「見ての通りだ!子供だけでも入れてくれ!」と叫んだ。ハンは「バカにしている」と疑った。カンは「宝の山だ!」と思った。当時、北の者を寝返させればエーゼントの手柄になったから。リム大使が「暴徒にやられた。人道的な配慮を頼む!俺たちの同胞が撃たれている!」と叫んだ。ハンは「受け入れてやれ!」と部下に指示した。

中に入れ、武器、身分証明書を取りあげた。子供が軍事訓練を受けているとトイレにも同行し警戒した。食事は同じテーブルで同じ物を食べた。最初、北は食物に手をつけなかったが、毒がないことを示すことで、食べ始めた。両大使夫人がエゴマを取り合って食べるようになり、食べ物を通して心が通うようになっていった。

ハンが「亡命の意思はあるか?」とリムに質すと「人には人格と品位がある」と断った。

カンが身分証明書を調べ“転向書”を偽造しているところをテ参事に見つかり、ふたりが激しく闘う。これをハンが止め、今後について話し合うことになった。

双方、もっとも大切なものは「ソマリアからの脱出」と決め、韓国はソマリア旧宗主国イタリア大使館(目のつけどころがいい)を通して航空機により韓国大使館があるケニアのナイロビに、北は500km先の港に出てエジプトへの脱出を主張した。エジプト案は無理だと、韓国案でイタリア大使館と交渉することになった。

イタリア大使館への道路、死体が放置されていてひどい状態だった。反乱軍の追跡を回避して大使館に急いだ。

イタリア大使館での交渉。当初「韓国だけにしてくれ、北はダメ」というものだった。リムが「これでいい」と言ったが、ハンは「北を捨てられん、道を探せ!」とカンに指示した。カンは「転向書」を使う案を提案した。その結果として北も受け入れられた。

問題は多人数で韓国大使館からイタリア大使館への移動、反乱軍の攻撃をかわしてイタリア大使館に辿りつけるか?だった。大使館にある書物、衣類、家具を活用して車両の防弾強度を上げ、イスラムの礼拝時間を利用し、猛烈なスピードで走り、30分間でイタリア大使館に着く必要があった。

6台の車で韓国大使館をスタート。猛烈なスピードで走る!イスラムの礼拝が終わり、反乱軍のバリケードに遭遇。白旗を出すが旗が外れて支柱が銃に見え、銃撃を喰らう。反転して別ルートで急ぐ。南北の車両がお互いに協力しながら反乱軍の追撃をかわし、イタリア大使館前に到着。イタリア大使館の警備部隊の掩護下、白旗を掲げて大使館の中に。残念なことに北の参事官テ・ジュンギが亡くなった。南北大使館員がともに、彼の死を悼んだ!

バスで空港に移動。途中で見る街の状況はすざましく荒廃したものだった。この光景もしっかり描かれています。

赤十字の救援機(C-130 )でモガリッシュ空港を発ち、ケニアのモンバサ空港に着陸した。機内で「転向者として連れ出されるのでは?」と心配する北に、ハン大使が「心配ない、すべて準備してある」と断言して彼らを落ち着かせた。リム大使は「心から感謝する」と感謝のことばを述べた。

空港に降り立った南北大使館員はそれぞれのバスに乗り込み、南北に消えていった。

まとめ

モガディシュの街で繰り広げるカーアクション(ちらし)が狙いの作品だと思っていたが、とんでもない、敵対する南北大使館員が一体となり命を懸けた、感動的なソマリア脱出物語だった!ストーリー的にも映像的にも、今の日本には作れない!

両大使館員たちはケニアのモンバサ空港で別れて、今だ会えてない。命を懸けて走ったあの脱走劇はなんだったのか。ただの逃走カー・クションではなかった!メッセージ性のあるリアルなカーアクション・ドラマでした。物見遊山な海外見物ドラマではない!(笑)

南北大使館の情報戦、対情報戦は前段の見どころでした。韓国大使館が北大使館員の退避を認め、そこでお互いが何に気付いたか?お互い相容れない原因が相手に対する疑心暗鬼であること。今につながる物語で、韓国で大ピットする理由が分かります!

海外ロケでこれだけのリアルなドラマ、アクション映画を作れる国はそうない!

反乱から革命に至る様を描いた映画の規範とされる「アルジェの戦い」(1966)。記録映像を一切使わず目撃者や当事者の証言、残された記録文書から戦闘の実態がドキュメンタリータッチで再現されていて、今観てもすばらしい作品だと思います。本作も、「アルゼェの戦い」を見る思いでした。よく出来ていました!

 ロケ地がモロッコであったとはいえ、市民のデモから政府軍との闘い、反乱軍の侵入と細かくシナリオが組み立てられ、クライマックスのカーアクションに至る背景がしっかり描かれていたことに驚きす。現地人のエキストラや専門家のスタントマンの運用など苦労も多かったと思いますが、素晴らしいできでした!

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