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「ファーストラヴ」(2021)初恋で結ばれなかった背後に何があったか?社会派ミステリーです!

タイトルがなんとなく岩井俊二さんっぽい。これも本作を観る理由にあった!

第159回直木賞を受賞した島本理生さんの同名サスペンス小説北川景子さん主演で、監督:堤幸彦さん、脚本:浅野妙子さんで撮ったとなると、出来がよくない場合は原作のせいだ!と、期待してWOWOWで鑑賞しました。(笑)

島本さんの小説を読んだことがありません!(笑)

監督堤幸彦脚本:浅野妙子音楽:Antongiulio Frulio、主題歌:Uru、挿入歌:Uru。

出演者北川景子中村倫也芳根京子板尾創路石田法嗣清原翔高岡早紀木村佳乃窪塚洋介、他。


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あらすじ

大学の絵画教授である父親(板尾創路)を殺害した容疑で女子大生・聖山環菜(芳根京子)が逮捕された。聖山事件の執筆を依頼された公認心理師・真壁由紀(北川景子)は、担当弁護士が学生時代に関係があった今の夫・庵野我聞(窪塚洋介)の弟・迦葉(中村倫也)であると知って躊躇したが、彼を訪ね協力を持ちかけた。

環菜に接見すると「動機はそちらで見つけてください!庵野先生は変わっている!女ならだれでも好きになる」と挑発的な言葉が投げかけてきた。そのあと手紙で「自分のことを知りたくなった。どうか罪悪感のある私にしてください!」と伝えてきた。

由紀は迦葉に環菜の手紙を話し「この話の裏には何かが隠されている」と、ふたりで本当の動機を探るため、面会を重ねた。

二転三転する環菜の供述に翻弄されていたが、大学の先生(賀川洋一)、母親(木村佳乃)、環菜の初恋の人:小泉(石田法嗣)に面会し話を聞く中で、「環菜は小さいころから父親に強制されて、裸体男性と一緒に学生のデッサンモデルを務めていた。これがいやで自傷を繰り返していた!男から変な目つきで観られるのが嫌だった!男出入りが激しい!母親が絶対に父親のことを認めない、放任主義!」「小学生のころお兄ちゃん・のところに泊めてもらって、そこで何があったか?」などが分かってきた。

由紀は環菜の過去に自分と似た何かを感じ始め、心の奥底に隠したはずの「ある記憶」と向き合うことになっていった。

由紀は「幼いころ父親が外国で幼児買春し、沢山の幼児ポルノ写真を車のダッシュボードに隠し持っていたこと。母はそれを決して咎めなかった。これが原因で、大学時代に初恋の迦葉の求めに応じることができなかった。にも拘わらず、迦葉の兄で写真家の我聞の絵に魅せられ結ばれた。しかし、夫がとても穏やかな人であうが故、いまだに夫に大きな秘密を抱えて苦しく、これが大きなトラウマとなっていた。

由紀は環菜に寄り添うことで、「私は父の子ではない。母には迷惑を掛けたくない。私は父を殺していない!」を聞き、大きなショックを受けた。これを迦葉に話すと「殺していないなど認められない。君は自分のトラウマを投影し自分を救うとしているだけだ!」と言われ、事務所を飛び出して街を彷徨していて、交通事故に遭い、これが契機となって介護する夫に迦葉との過去を告白した。

夫・我聞から「結婚前にすべて弟が話してくれていた。弟は血が繋がっていないんだ」と聞かされ、由紀は「告白してよかった!」とトラウマから解放された。

環菜は「あの日、就職試験が不合格となり、父に報告するために大学を訪れ、包丁で手首を切って謝るためだった。これがデッサンモデルから逃げる手だった。父をトイレに呼び出し、目を見たときあの男たちの目だった。それが恐ろしかった。父ともみ合っているとき包丁が・・」。

法廷では迦葉が、収集した資料を基に大学の先生や小泉の証言を交えながら、環菜の無罪を主張したが、結審は「懲役8年」だった。しかし、環菜は「父が倒れたとき、父が亡くなってほっとすると思った」とこの判定を受け入れた。その顔は明るいものだった。環菜は刑務所から由紀に「口にしてはいけないと思っていたことを口にしてよかった!刑は甘んじて受けます!」と書き送ってきた。

感想

タイトルに騙されました!(笑)

裁判劇だったんですね!環菜が当初に吐いた「動機はそちらで見つけてください」にきっちり動機を見出した弁護士・迦葉と臨床心理士・由紀の物語だった。

弁護士が栄達や金のためでなく、真に弁護人に寄り添って真実を明らかにして、生きる希望を与えたという結末は、現状にあっては、すがすがしい結末です。

しかし、タイトルから、これが作品のテーマではない!

環菜の犯罪動機が自分の初恋トラウマに重なっているとみた由紀が、そのトラウマに向かい合うように真実を探し求め、環菜そしてかって自分と関係した弁護士・迦葉をも救うという物語になっていて、環菜と由紀のトラウマが父母の悪しき古い性意識にあるというのがテーマらしい。

このテーマは今なお存在する男性優位社会、多発する、性暴力・幼児虐待を取りあげ、この問題に弁護士や女性自身が勇気をもって取り組もうという作品だと思うのですが、複雑(エンタメ)すぎて、よくわからなかった。(笑)

冒頭、ドローンが空撮美大に接近し美術室にある教授の遺体を発見すると河の土手を包丁を持って駆ける女性シーンから始まって、いくつもの犯人と接見、関係者からの事情収集と、伏線をしっかり追いながら裁判シーンにいたるという、サスペンス作品としてミステリアスで、エンタメ性をしっかり備えた作品でしたが、回想シーンがよくなかった。トラウマの重さが伝わってこない。この点、小説の方が優れているのかなと思いました。(笑)

環菜役の芳根さん。問題シーンは由紀の説明になったが、振り幅の大きな感情をうまく演じました。由紀役の北川さん、美しすぎたかもしれませんね!(笑)

迦葉役の中村さん、自然な演技で、恰好いいラストでした!(笑)我聞役の窪塚さんは我聞のイメージ通りの演技で、女性に受け入れられたんじゃないでしょうか?(笑)

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