清野菜名&松坂桃李「耳をすませば」公開に合わせての放送。今回が12回目だったとのこと。監督は宮崎駿さんと思っていましたので違うと知ってびっくりするほどの、予備知識なしでの「金ロー」鑑賞でした。(笑)
原作は1989年に柊あおいさんの少女マンガ雑誌「りぼん」に連載された同名漫画。製作プロデューサー・脚本・絵コンテ:宮崎駿、監督:近藤喜文、プロデューサー:鈴木敏夫、音楽:野見祐二、主題歌:「カントリー・ロード」(本名陽子)/オープニングは「Take Me Home, Country Roads」(オリビア・ニュートンジョン)
声優:本名陽子(月島雫)、高橋一生(天沢聖司)、立花隆(月島靖也)、室井滋(月島朝)、露口茂(フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵:バロン)、山下容莉枝(月島汐:雫の姉)、小林桂樹(西司朗:聖司の祖父)、佳山麻衣子(夕子)、中島義実(杉村)、他。
読書が大好きな中学生の女の子・月島雫が、夢に向かって生きる男の子・天沢聖司に想いを寄せていく青春アニメ。
あらすじ:
読書好きな中学生3年生の少女・月島雫は、自分が図書館で借りてくる本の貸し出しカードの多くに「天沢聖司」という名前があるのを見つけ、それ以来、顔も知らない天沢聖司の存在が気になっていた。夏休みのある日、図書館に向かう途中で遭遇した一匹のネコに導かれ、雫は「地球屋」という不思議な雑貨店に迷い込む。やがて店主の孫の少年が天沢聖司であることを知り、2人は徐々に距離を縮めていく。しかしバイオリン職人を目指す聖司は、中学を卒業したらイタリアへ渡ることを決めていた。その姿に刺激を受けた雫は、本を読むばかりではなく、自らも物語を生みだそうと決意するが……。
感想:
読者カードが縁で結ばれる恋の話。この話、宮崎駿さんと同年代だから分かる!なんとも直線的な青春恋物語で、これはもう宮崎さんの年代の人でなければ描けない!(笑)
柊あおいさんの少女マンガ雑誌「りぼん」に連載された同名漫画で、人気がなくて4回の連載で止めた作品とのこと。
「天空の城ラピュタ」(1986)は宮崎さんが小学生時代に考えていた作品を骨子に作った作品、おそらく図書館の本から生まれた物語だった。それだけに読書カードに絡む柊あおいさん作品を引き取り、自分が少年だったころの想いを描きたかった。
1989年はバブル絶頂期。のんびり過ごしていた雫が、同じ本好きの聖司がバイオリン職人になるという具体的は目標を持っていたことに触発され、さらに聖司の祖父西史郎のいう「原石は磨かねば光らない」の言葉に押され、地球屋にあった仕掛け時計の王女とバロン男爵像をネタに小説を書き始める。この物語はバブル世代の若者への大きなメッセージになっていますね。
“職人”と“原石”というキーワードは宮崎さんの人生経験から出てきたもの!
とても感動的にとらえることが出来ました。
雫と聖司の恋物語に、ちょっとしたエピソード程度の話ですが、雫が作った「耳をすませば」と西史郎の失恋物語がバロン男爵を介して重なるというこの発想が面白かった。そしてバロン男爵が「猫の恩返し」(2002)で登場してくる。
近藤喜文さん(当時43歳)にとって本作が初監督作品でしたが、3年後の1998年に亡くなり、この作品が唯一の監督作になっている。このことに涙しました!
この作品は宮崎駿さんの宮崎色一色。近藤さんはずいぶん苦労しながら仕事をしたでしょうね。(笑)ということで、「猫の恩返し」は宮崎さんから後藤さんへの恩返しだと思っています。(笑)
冒頭の街の風景、黒い雲から雨に変わる空模様、川面を走る風、雲海からあがる朝日など、風景の美しさに魅入りました。それは新海さん以上でしょう。それだけに近藤さんの早世が悔やまれます!
「耳をすませば」と言えば「カントリーロード」。オリビア・ニュートンジョンさんが亡くなった(2022年8月8日)直後の放送ということで、特別なものとなりました。
さて、10年後の「「耳をすませば」、これは見逃せない作品となりますね!
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