昔のドラマに「君の名は」がありました。「。」は、前作ドラマとは全く別物であることを示しているのでしょうか。
監督・原作・脚本：新海誠、企画：川村元気、キャラクターデザイン；「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の田中将賀、作画監督：「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」などスタジオジブリ作品に数多く携わってきた安藤雅司、主題歌： RADWIMPS」。
声優：神木隆之介（立花滝）、上白石萌音（宮水三葉）、長澤まさみ（奥寺ミキ）、市原悦子（宮水一葉）、他。
物語は、
東京に住む男子高校生・瀧と飛騨地方の田舎町に住む女子高生・三葉が、時を超えて入れ替わって出会い、彗星の落下災害に遭遇し被害軽減に奔走するなかでお互いの名を忘れ、何度かのすれ違いを経て再会を果たすと言うファンタジーな青春恋愛ドラマ。
とにかく映像がうつくしい。美しい風景、キャラクターの感情とRADWIMPSの曲がマッチして物語に疾走感があり、災害国日本の知見やうつくしい日本の心（言葉）がちりばめられ時代を超えた人と人のつながりを感じます。
タイムスリップして体が入れ替わることで時系列での整理、理解に難しさがある。このことがリピーター増を促し観客動員を増やしているのではないかと。(笑)
ファンタジーで純な恋物語そして謎解き。中学・高校生にはたまらない作品でしょう。勿論、大人も楽しめます。(#^.^#)
あらすじ：
オープニング、星が降る黄昏のなかでのふたりのつぶやき。「朝、目が覚めるとなぜか泣いている、そういうときがときどきある」（三葉）。
「みていたはずの夢は、いつも思い出せない、ただずっと何かをだれかを探している」（瀧）。
あの日、“デイアマット”彗星の降った日、それはまるで夢の景色のように、ただただ美しい眺めだった」に続く、ふたりの住む東京と飛騨の風景。
○瀧と三葉の身体が入れ替る！
携帯の音「タキ君、覚えてない！」で目を覚まし胸にさわると「すげ～、本物だ！」と驚く瀧。一方「お姉ちゃんごはん！」と妹に起こされた女の子・三葉、が鏡で見ると顔は男の子だった！
〇彗星が落下する１か月前、
三葉は登校中に町長に立候補して演説中の父から「ちゃんと歩け」と叱られていやな気分で登校した。国語の時間に「たそがれ」の語源は「誰そ彼」（お前は誰だ）で“カタワレ時”（夕暮れ時）とも言われる」と教わった。今日は覚えられる、昨日のことは覚えてない、別の人生を夢見ていておかしかったと思う。
三葉（瀧）は、母が亡くなくなり父と別れ、今では宮水神社の神官であるお婆ちゃんと妹・四葉と一緒に住んでいる。週末にはお婆ちゃんのお手伝いに妹と一緒に巫女となり、奉納踊りやお供え米を噛んで吐きだし“口噛み酒”を造ります。でもこれを見た学友からは“いやだね”と蔑まれる。
奉納物として“組紐”を編み、お婆ちゃんの「糸の心を聞きなさい、糸は糸守（町名）千年の音が聞こえる」と神と人、人と人の結ばれ方の話を聞いた。でも、ここでの暮らし町には何もないことで「次に生まれるときは東京のイケメンの男子になりない」とすごく東京に憧れていた。
携帯の音で起きた滝（三葉）、胸をさわり、あそこも変。父と二人の父子家庭。みそ汁だけでも食べていけという父の言葉を無視して登校。トイレで見るとリアル。瀧（三葉）は美しい東京の街を見た。
登校すると友達の司に「お前寝ぼけているのか」と揶揄される。アルバイト先のイタリアン料理店でヘマやってお客さんからクレームつけられ、先輩の奥寺さんに助けてもらった。奥寺さんのスカートが切られていたので繕って刺繍をつけてあげると「滝君、女子力つよいな」と気に入られた。(笑) 次の日、司に会うと「今日は普通だ」と言う。
三葉が登校すると、皆の視線を浴びるし、内緒ばなしが耳に入る。滝君と自分が入れ替わっていたことに気付いた。これは大変なことになるとお互い守るべきことなどを記録に残すことにする。それでも心配だった！
〇“デイアマット彗星”接近のニュースの日、
三葉（瀧）は、お婆ちゃんと妹と一緒に美しい紅葉の中を“おむすび”と“口噛み酒”をもってご神体のある祠の“宮水神社”に出かけた。
ご神体に着いて、お婆ちゃんは「むすびは人をつなぐ、時間が流れるのもむすび、組紐は時間の流れ、とぎれてまたつながりむすび、それが時間」「水でも食べ物でも体に入るものは神様とのむすび」「ここから先はあの世、戻るには一番大切なものをお供えしなければならない。この“口噛み酒”、これは半分半分やで」と教えてくれた。
瀧は奥寺先輩とデート。奥寺先輩が「滝君、今日は別人みたい。むかしは私が好きだったでしょう。今は好きな人がいるの」と言われた。
その頃、三葉は「滝君うまくデートしてるかな！」と心配しながら髪を組紐で束ね友達のテシーらとお祭りを見に行った。そこで“美しい流れ星”を見ていた。
瀧はデートが終わって三葉に電話したが繋がらない。この日から体の入れ替わりが起こらなくなった。
○三年後、三葉に会う旅
瀧は三葉から聞いたことを絵に画いて眺める日が続いた。思い切って司と奥寺先輩と旅に出て、三葉に会うことにした。絵だけが頼りでなかなか見つからない。“高山うどん”を食べているときに女将さんが「それ、糸守や」と叫ぶ。３年前に彗星が落下し全滅した町。クレーターの底にある糸守に町に来てみると全てが破壊されていた。
町の図書館で調べると「その日、町は祭りで賑わっていて、ここに彗星の破片が落下し生存者はいない」とあった。死亡者名簿に三葉の名が載っていた。瀧はそれでも信じられず三葉が語ったことを思い出そうとする。奥寺先輩に「腕につけている紐はなんなの？」と聞かれたが思い出せない。
夜「組紐は時間そのもの、折れたり、曲がったり、ねじれたり」という三葉の言葉から宮水神社を思い出した。ラーメン屋の主人に車で旧糸守町の入り口に連れてきてもらった。
雨の中、川（三途の川）を渡ると、遂に祠のなかの “宮水神社”神社にたどり着いた。３年前三葉に入れ替わってお婆ちゃんやってきた場所だった。お供えの“口噛み酒”を飲むと三葉と繋がり、三葉が生まれてから「ちょっと東京にいってくる」という三葉の姿があった。
〇彗星落下の日、
「今夜彗星が落下する」とニュースが流れ、四葉は「やばい！」と家を出た。三葉（瀧）は「お前は三葉でない。夢はめざめれば消える。夢を大切に」とお婆ちゃん言われた。
三葉（瀧）は「彗星が落下するとみんな死んでしまう」と学校に走って放送部の友達と買い出しや学校無線で避難放送を流す準備をした。ダイナマイトで発電所を爆破し、その間に町内放送をジャックして避難放送するというもの。（昔、東北での大津波時地主さんが稲の束に火をつけ津波のくることを知らせた故事“稲村の火“によるもの）。
町長にこのことを話すが信じてくれない。「三葉（瀧）、お前はバカか！」と叱責された。
お祭りに集まっている子供たちに町から出るよう勧めるが信じてくれない。四葉が「お姉ちゃん、昨日は東京に行っているし、おかしいよ！」というのを聞いて、「三葉は祠の“宮水神社”にいる」と自転車で急いだ！
そこに三葉がいた。「わたし滝君になっている。瀧君覚えてない、わたしはあの日東京に行ったんだけど、滝君はデート中で急に尋ねたら嫌がると思って、電話をかけず、会えばわかると電車に乗るとそこにメモカードをめくる滝君（３年前）がいて声をかけても知らないと言うの。それで髪につけていた組紐を渡したの」と声はするが姿が見えない。
ふたりはクレーターの淵を彷徨しすれ違った。「お前は俺に会いに来たんだ！」と滝。
カタワレ時が訪れ、ふたりは生身のままでの初めての対面。瀧は「お前に会いに来たんだ」と持っていたミサンガ（組紐）を渡し、「三葉にはまだやらねばならない彗星落下時の対策がある。目が覚めても守れるように名前を書こう」と手のひらに名前を書いた。カタワレ時が終わり、お互いの姿が確認できなくなった。
「世界のどこにいようと会いに行く。君の名前はミツハ。」「お前は誰だ、俺は誰だ」「誰に会いたい。大事な人、忘れてはいけない人」と滝の記憶が薄れていった。
三葉は、途中で爆発音を聞き、町のすべての火が消えるのを見た。計画通り“避難せよ”の放送が始まると役場は“放送を止めろ”と言ってきた。役場は「（隕石が）地上に着くまでには消え尽きるから、その場で待機！」と放送した。
三葉は「避難」を放送してもらうよう父に伝えるために走る、走る、そして転んだ。あの人の名前を思い出せない。手のひらを見ると「すきだ」と書いてあった。役場にやっと着いてお父さんに真実を話した。避難が始まった！
○彗星落下から５年後、
就活で電車に乗っていた滝は赤い髪紐を身につけた女性を見て代々木駅で降りた。「なにやってんだ、みつからない。いつも何かを探している」と自戒しながら就活するが内定が決まらない。奥寺先輩はスーツが似合わないからだという。(笑)
滝は司や奥寺先輩と一緒に旅をしてどこかに泊まったことを思い出す。彗星の破片が糸守町を襲ったが、その日糸守町では偶然にも町を挙げての避難訓練で町民の大半が被害範囲の外にいて、被害がなかったことを知った。消えた糸守の本を読み、いまはなくなった糸守の風景を見ると心を締め付けられる。
ある日。電車に乗っていた瀧が窓を見ていると、別の電車と並走する電車の三葉と目が合った。
瀧は電車を降り、三葉の姿を探して奔走する瀧。ついに二人は階段で出会い、瀧が「俺、君をどこかで？」と声を掛けると、「私も」。 大きな青い空。
感想：
“デイアマット彗星”の破片で大混乱する中で出会った瀧と三葉。ふたりが5年後に再会するという物語。東京大空襲のとき数寄屋橋で出会ったふたりが再会する「君の名」（1952）と同じシチュエイションでしたね (笑)
過去と現在を行き来する難解な物語。カタワレ時、口噛み酒、組紐、そしてお婆ちゃんの語る言葉が物語の重要な伏線で、みごとに回収されていくのが面白かった。
精緻な描写と色彩による画像の美しさに圧倒され、セリフからふたりの想いが伝わるように物語に引き込まれた。
新海監督は「誰の人生にもそういう一瞬があるはず。その先の人生を長い間温めてくれる特別な一瞬、」として作品「秒速5センチメートル」（2007）がありますが、本作はこの作品の先を描いたもの。少年のころの淡い恋が実るというなんと心躍る物語でした。
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