映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ベルファスト」(2021)この故郷あってのケネス・ブラナー監督、故郷のありがたさが分かる! 

 

監督がケネス・ブラナーで、自身の幼少期の体験を投影して描いた自伝的作品ということでWOWOWで鑑賞です。

第94回アカデミー賞で作品賞、監督賞ほか計7部門にノミネートされ、脚本賞を受賞しています。

監督・脚本:ケネス・ブラナー撮影:ハリス・ザンバーラウコス、美術:ジム・クレイ、衣装:シャーロット・ウォルター、編集:ウナ・ニ・ドンガイル、音楽:バン・モリソン。

出演者:カトリーナ・バルフ、ジュディ・デンチジェイミー・ドーナンキアラン・ハインズ、コリン・モーガン、ジュード・ヒル、他。

物語は

ベルファストで生まれ育った9歳の少年バディ(ジュード・ヒルは、家族と友達に囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごしていた。笑顔と愛に包まれた日常はバディにとって完璧な世界だった。

しかし、1969年8月15日プロテスタント武装集団がカトリック住民への攻撃を始め、穏やかだったバディの世界は突如として悪夢へと変わってしまう。住民すべてが顔なじみで、ひとつの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断され、暴力と隣り合わせの日々の中で、バディと家族たちも故郷を離れるか否かの決断を迫られるというもの。(映画COMより引用)

ベルファスト」は北アイルランドの首都作品の冒頭にでてくるベルファストの俯瞰映像、そこにタイタニックホテルというネオン、巨大なクレーンが目に入ります。タイタニック号を造った町。そして30年に渡る北アイルランド紛争発端の地です。

ケネス・ブラナー監督はここで9歳まで過ごし、この紛争でロンドンに移住したそうです。本作は1969年8月15日の暴動が起こった日から8月後、ロンドンに発つまでの監督の薄れゆく記憶を綴ったものです。次第に状況が激化してゆく中で家族と友人たちとどのように生きたか、9歳の監督の目線で描かれます。


www.youtube.com

あらすじ&感想(ねたばれ:注意):

冒頭、シティーホールや博物館、タイタニック号記念館、音楽ホールなどを一望し、監督の故郷が紹介されます。ここまでがカラーで、以下、監督の想い出はモノクロで描かれます。

1969年8月15日バディはいつものように友達、中でもおませな女友達モイラ(ララ・マクドナル)と盾と剣を持ってキャプテン・アメリカごっこしていた。

夕方、「バディ!」という母・マ(カトリーナ・バルフ)の声で集合住宅に戻ると、住宅に石や火炎びんを投げる一団(プロテスタント)に出くわした。マが盾でこれを避け、やっと住宅に逃げ込んだ。

ここの集合住宅にはアイルランドでは少数派のカトリック系の住民が生活していた。カトリックを追い出すのが暴徒の狙い。

一夜明けて、ロンドンで大工として働いている父・パ(ジェイミー・ドーナン)が帰ってきた。住宅街ではバリケー作りが始まった。

近所に住む祖父母がやってきた。お婆ちゃんキアラン・ハインズ)がマに「家を襲うなんてとんでもない、私たちはイタリア人と仲良くやっている」という。(笑)お爺ちゃんジュディ・デンチ)は外にある便所(ここでは家の中には便所を作らないらしい)の便器に座りコーヒーを飲みながら父・パと雑談中。(笑)父がお爺ちゃんの病気を心配すると「お前の方が心配だ!」と言っていた。

バディが叔父から聞いたと父に「カトリックは懺悔すればどんな罪でも許されるの?」と聞くと「揶揄っているんだ」と言われた。父が「明日は教会に行って、それから映画を観る」というので、バディは「ここはカトリックサイドだ。教会には行かなくていい、あとで断れば救われる!」と言う(笑)と「サイドなど存在しない」と叱責され、家族で教会に礼拝した。

教会では牧師さんが「カトリックは脅しの宗教だ!」と一喝し、「地獄に落ちるか?天国に行くか?選べ!先ずは献金だ」と言われ、バディは「とても感動しました」と答えたが、どちらの教えが正しいのかと悩むことになります。(笑)

軍隊の出動が決まり、首相の「北アイルランドの人権問題を憂慮する」声明で、住宅街では住民たちの喜びのダンスが始まり、母と父も踊った!

バディは心配でマイラに相談すると「騙せばいいのよ、プロテスタントと答えればいいの!」と教てくれた。(笑)

バディは暴動のリーダー・リビー(コリン・モーガン)が父に「争議に出て来い、金を払うか暴力を受けるかだ」と脅されているのを目にした。

家族は映画館で「恐竜100万年」を観た。母が「こんなもの?」と怒ったが、父が「教育のためだ!」と観ることになった。(笑)

父がロンドンに戻ることになった。母が「競馬しないで、ちゃんとお金を渡して!」父と言い合っているのをバディは見た。父は「移住計画だ」とシドニーバンクーバーのパンフレットを置いて行った。

ベルファストの治安が悪化している」のニュースが流れる。

バディがバリケードを潜って登校すると、席替えがあった。成績の良い者順に前から座るというもの。バディは最後から2番目の席で、憧れのキャサリン(オリーブ・テナント)は出来る子で、会話ができない。これがバディの最大の悩みだった。(笑)

下校時に便器に座っているお爺ちゃんに聞くと「女性は謎が多いが、憐憫がある」と教えてくれた。(笑)早速バディはキャサリンの家を訪れ、窓に写る彼女の姿を見て帰宅した。(笑)

教室ではキャサリンのことが気になって仕方がない。下校時、おじいちゃんに算数の成績を上げる方法を教わった。お爺ちゃん曰く「わざと数字を悪く書け!6と2、1と7だ。そうすれば先生は良い方に解釈してくれる!」と。「お前の夢な何か?」と聞かれ「彼女と結婚することだ」と答えた。(笑)

夜、母が町役場からきた家賃請求書を見て泣いていた。父が払ってないらしい。(笑)

バディ、お爺ちゃんに教わった方法で成績が2番になったが、キャサリンの成績が悪く、また話ができない(笑)。またお爺ちゃんを訪ねて相談すると、お婆ちゃんと踊りながら「一番肝心なのは愛だ!」と教えてくれた。(笑)

バディは野花を摘んで帰校時キャサリンに渡すと「もう家の外で話さないでいいよ!」と言われ万歳!だったが、とんでもないことが起こった。(笑)

マイラに「どうしてもやる!」と誘われ、チョコバー泥棒をやることになって店に入ったが見つかって逃げた。マイラが絶対に云うなというので約束した。(笑)

父が帰宅していた家賃の滞納で母と父が激しく言い合っていた。(笑)

お爺ちゃんが病院で診断を受けることになった。父と見舞いにいったとき、父が「会社が家を準備して職人を移転させる計画がある」と話すのを聞いて、バディが「引っ越すの?」と聞いた。

その帰りにビリーに出会い、ビリーが「決めろ!」と父を脅した。父は「俺たちを上とみて、ひがみでやっている。お前は今もチンピラのままだ!」と争議参加を断るのをバディは聞いた。家に帰るとポリスが来ていて、チョコバー泥棒の一件が母にばれてしまった。(笑)

夜、バディはTVで「真昼の決闘」を観た。(笑)兄ウイルがビリーに誘われ断ったこと、彼らが火炎びんを作っていることを父に話していた。母が「北アイルランドの失業率が最悪」というニュースを観ていた。

父が家族を集めて地球儀を観ながら移住の話をした。母が「父母の電話代が大変で、会いに来れない」と反対した。

母は姉に相談した。姉は肝っ玉の大きな人で「皆いなくなると彼らは食べて行けず10分間で戦が終る」「アイルランド人は昔から旅人よ。だから世界中にパフ店が出来ている」と移住に賛成した

お爺ちゃんは「移転には高鳴りが必要だ!」と言うとお婆ちゃんが「いつ高鳴ったの?」と聞く。(笑)

あんたの黄色いストッキングだ」と言うと「あれは煙草の葉で染めて鉛筆で縫い目を書いた」とお婆ちゃん。(笑)

とんでもないお爺ちゃんとお婆ちゃんでした。(笑)

 父がロンドンに戻るバスの中で「移住のことをしっかり考えてくれ」と母に言うと「子供のこと、ここなら誰もが見守って生きていけるが、ロンドンでは言葉などで差別される」と母が心配した。バスの発車間際に父が「クリスマスに決める」と言ってロンドンに立った。

・・・・

父がロンドンから戻ってきてお爺ちゃんを見舞い会社は家を準備していることを伝えが。バディが「言葉が通じ難いんだ!」と話すと「うちの婆ちゃんなんか今でも通じないよ」と励ましてくれた。(笑)お爺ちゃんは「ここにいるものはみんなお前の味方だ!どこにいようと応援する」と言った。

その後、みんなで映画館で「チキチキ・バン・バン」を観て空を飛んだ。家の戻りクリスマス・プレゼントを一杯もらっていい気分のことろに、父から「みんなの意見だ!ロンドンに移住する」と聞かされた。バディは泣いて反対した。

 父はイースターまで様子を見ようとロンドンに戻って行った。

3カ月後、

モイラに誘われて、プロテスタントの一団と一緒にスーパーに入って洗濯石鹸をかっぱらって持ち帰り「環境によい!」というからもらってきたと話すと、母が怒って一緒にスーパーに戻しにいった。

しかし、スーパー内は大混乱で返せず、帰っていることろをビリーに捕まった。この絶体絶命の場面で父が現れた。ビリーが拳銃で撃とうとしたところを父が石をなげてこれを阻止。ビリーは警察に捕まった・

母は石鹸を持ち帰ったことを恥じ「もうここには居れない!」と父に打ち明けた

 病院のお爺ちゃんにロンドンに移住することを伝えると「ギャングが居る月に行くか!ベルファストは消えない。俺は行かない!」と言って、しばらくして亡くなった。

お爺ちゃんの埋葬が終って、クラブでお別れの会を開いた。父が唄い、母が踊った。

別れの日、お父さんと一緒にキャサリンに会い、「必ず戻る」とプレゼントを交換した。帰りに父に「キャサリンカトリックだけど結婚できる?」と聞くと「そんなことはどうでもいい、フェアーで愛していれば大丈夫!父さんも受け入れる」と話してくれた。

おばあちゃんは「行きなさい!振り向かないで!いつも想っている」と送り出してくれた。

まとめ

“イギリス人のユーモアをたっぷり味わえる作品”。すこしこれを紹介できればとあらすじ紹介が長くなりました。

このユーモアに椅子から落ちそうになるぐらい笑い、泣けるシーンもあり、やんわり宗教対立に対する所見もあって、最後に、石川啄木「ふるさとの山に向ひて言ふことなしふるさとの山はありがたきかな」を思い出すような作品でした。

バディ役のジュード・ヒルが凄い演技でした鉄道員」のサンドロ役・エドアルド・ネヴォラを彷彿とさせてくれました。

老夫婦役のジュディ・デンチキアラン・ハインズの味のある夫婦演技が絶妙で、バディがこういう祖父母に育てられたらすばらしい映画監督になります!

そして強くて子供思いのお母さん役・カトリーナ・バルフ、日本もそうでしたが、ミニスカートでとても魅力的でした。

さて、思い出をモノクロで撮った理由ですが、撮影監督のハリス・ザンバーラウコスに、「カラーは状況をきっちり見せて説明する上で効果的。だが、モノクロは、より感触を与える。見るべきものを取り除くことで、観客は、より登場人物に近づくことができる」と言われたからだそうです。さて、どれほどに監督の想いに近づけたかと、思案しています。(笑)

               ****