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「エスター ファースト・キル」(2022)“家族愛”をテーマに描く、サイコパス”エスター“の結末にリアルさを感じた!

最近よくホラーを観ます。本作は前作「エスター」(2009)の前日譚ということで、「エスターはいかにして危険なサイコパスへと覚醒したのか」がテーマ。前作未見で無謀と知りながら、ブロ友さんの「恐怖より、愚かな人間たちへの皮肉」に誘われ、観ることにしました。(笑) ということで感想はちょっと気が抜けたようなものになっているかもしれません。(笑)

公開初日、朝一番0830からの鑑賞でしたが、なんと観る人がちゃんといたことに驚きました!

監督:ウィリアム・ブレント・ベル、原案:デビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック アレックス・メイス、脚本:デビッド・コッゲシャル、撮影:カリム・ハッセン、編集:ジョシュ・イーザー、音楽:ブレット・デター

出演者:イザベル・ファーマン、ジュリア・スタイルズ、ロッシフ・サザーランド、マシュー・アーロン・フィンラン、他。前作で当時12歳で同年代のエスターを演じたイザベル・ファーマンが、25歳で10歳の少女エスター役を再び演じることに注目が集まっています。

物語は

2007年、裕福な一家、オルブライト家の一人娘で6歳のエスターが行方不明になってから4年の月日が流れた。ある日、エスター(イザベル・ファーマン)が無事見つかったという朗報が警察から届けられる。父、母、兄は数年振りの再会という奇跡にこの上ない喜びを感じ、10歳に成長したエスターを迎え入れる。再び4人そろって幸せな生活を送ることができる。家族の誰もがそう思っていたが、4年ぶりに戻ってきたエスターは何かが変わってしまっていた。(映画COMより引用)

エスターがもつ狂気・暴力を前作で知ってみる恐怖、隠しているがいつどういう動機で出現するかと予測しながらみる恐怖。その恐怖は奇想天外なものでなく、何気ない日常の中に潜んでいるという恐怖ホラーではあるがミステリアスでヒューマンさがあるところが見どころでしょうか。


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あらすじ&感想(ねたなれ:注意

2007年、残雪のエストニアサルーン精神病療養所に女性療養士が患者のリーナ・クラマー(イザベル・ファーマン)を訪ねてくるところから物語が始まる。受付で「成長ホルモン傷害で低身長。10歳の子供に見えるが31歳、激しく抵抗した傷がある。自由への確執が強い」と注意事項が示された。ところがリーナはとても厳重に監視されている療養所を、訪ねてきた療養士に面会する機会を使って上手く抜け出し、療養士の車のトランクに隠れて彼女のアパートに侵入する。

リーナは見た目は可愛いく、頭脳が明晰で出会う守衛を上手くかわし、同じ入所者のイキティに飴で狂わせて守衛を襲わせるなど人を騙すことに長けていることをたっぷりと見せてくれます。血なまぐさい映像もあり、初心者にはぞっとさせてくれます。

リーナは療養士を殺害し、パソコンで行方不明者のデータベースにアクセスして自分に似た少女 “エスター”を発見し、愛らしいドレスに身を包み、可憐なエスターに成りすまして邪悪な笑みを浮かべる。この後、エスターはモスクワの米国大使館に収容された。

コネチカット州のオルプライト家。刑事のドナン(ヒロ・ナカガワ)から妻のトリシア(ジュリア・スタイルズ)に「エスターが見つかった!」と知らせが届いた。

トリシアはひとりでモスクワの米大使館に出向きエスターを引き取る。担当官から「ちょっと老化しているが覚悟して!」と言われ、美しく着飾ってピアノを弾くエスターに出会った。トリシアは大感激でエスターを硬く抱きしめた。しっかり恐怖を感じるシーンでした!

プライベートジェットで米国に戻る中で、トリシアが「お父さんでなくパパといいなさい!」と注意し、昔の話をするが、亡くなったお婆ちゃんの話が食い違っていた。エスターが「ごめん!」と手を握る力が強過ぎて、トリシアは不安になった。エスターは「ちょっとトイレに!」と席を外し、精神安定剤を飲んで「糞野郎!」と呟く。(笑)

トリシアとエスターのヒリヒリする微妙な感情がしっかり描かれている。これがこの作品のすばらしいところです。

空港には画家の父親アレン(ロッシフ・サザーランド)と高校生の兄ガナー(マシュー・アーロン・フィンラン)が出迎えに来ていた。アレンは凄く喜んだがガナーは「よかった!」と素気なかった。

オルブライト家は豪邸に住んでいて、エスターの部屋も豪華で人形が一杯だった。レコーダーがあり、「愛の物語」曲を聞いてみた。

トリシアは早速エスターに精神科のシーカー先生(サマンサ・ウォークス)の診断を受けさせた。エスターはトリシアと先生が「本当にエスターなのか?」と疑っていることを耳にし、腹いせに、控室の男の子の服を切り裂いて泣かせた。(笑)街を歩くとガナーの仲間から「ガナーの妹だ!」と好奇心で写真を撮られる。

エスターは父アレンに誘われ、アトリエを訪ねて絵を見せてもらった「絵具を重ねて描き、ライトを当てることで、描いた人物が変化して見える」というアレンの画法を見た。そしてエスターに光の色を当て、アレンは「過去を忘れたらいい」と優しく接し、「私を描いてみろ!」と勧めた。出来上がった絵を「最高だ!」と褒めた。この様子をトリシアが眺めていた!エスターも気づいていた

トリシアがエスターの部屋を訪ねた際、精神病院で使っていた聖書を見つけた!刑事のドナンが訪ねてきてアレンに「まだ信じられない!」と警告を発する。

家族4人での食事時、アレンはエスターの絵を褒めると、トリシアが不機嫌になる。

エスターはこのような家族の猜疑心に堪えられず、夜、家を去ると決心して玄関を後にしたが、アトリエで、ひとり光の色の中で絵を描くアレンの姿をみて「もうすこしいてみる」と決心を翻した。エスターにはアレンへの愛が芽生えていた。

エスターがアレンに会うとき、少女の姿から大人の姿になるところが色っぽい!

アレンはエスターが戻ってきたことで生気が溢れてきて、トリシアはこれを悦び、真昼間、アレンとセックスを楽しんでいた。ふたりは気づかなかったがエスターが見ていた。

ある日、アレンとトリシアが外出し、邸にガナーとエスターが残ったガナーは学友を誘ってキャンプファイアーを楽しみ、エスターには「映画を観ていろ!」と友人たちに合わそうとしなかった。友人たちの「ガナーの妹はロシアでレイプされた!」の声が聞こえた。

刑事ドナンが兄たちの騒ぎに「薬を使ってないか」と訪ねてきて、エスターの部屋に入りレコード盤から指紋を採取し、エスターが精神病院で使っていた聖書を見た。

アレン夫婦が外出から戻るとエスターが居ない。トリシアがエスターの部屋で聖書が放りだされているのを確認し、ドナンが来たことを知り走り出した。

ドナンは指紋から失踪したエスターではないことを掴んだ!

エスターはドナンの行動を知り、彼の調査室を尋ねドナンを殺害しようとしたところに、母のトリシアが現れドナンを射殺した。

トリシアは「貴方は大人、それでいい。私の彼には手を出さないで!アレンは二度も失踪し、ガナーがやり過ぎた!アレンはあなたを受け入れ、生き生きとしてきた。エスターとして生きて!」と話した。また、トリシアは「エスターはサイコだ!」と言うガナーを「現状維持で終らせる!名門オルブライト家を守るにはこれが必要」と説得した。

この後、エスターは精神病院のシーカー先生との面談にアレンが付き添い上手く質問に答えられ「精神的に安定している」という判定を受けた。さらに家族そろっての食事ではトリシアが「エスターはレディー」と持ち上げる。そしてエスターのための衣装を揃える。エスターもピアノを聞かせるという日々が続いた。

しかし、長くは続かなかった。兄のガナーが「化け物、出て行け!」と声をあげるようになった。彼にはひとりで両親に可愛がられた記憶があった。家族の食卓もエスターが避けるようになった。

これを察したアレンがエスターをアトリエに誘って、「芸術が最高だ!」と笑顔でお互いが絵を描き、アレンが「今夜はお終いだ!」と、光の色の中で、エスターの頭に触れる。これをトリシアが覗き見していた。

トリシアがアトリエに来てエスターに「貴方は絵が上手い、アレンがあなたを女として見ている。彼とファックして!」と言って出て行った。寝室に戻ったエスターが「変だ!」と部屋を調べると大切に飼っているハムスターが殺されていた。エスターが作った料理を吐き出すなど、トリシアのエスター虐めが続くようになった。

そんなある日、アレンが絵の商談で出張することになったエスターが駅に見送りに出ると、何も知らせてくれなかったトリシアとガナーがアレンが乗車する列車ホームにいる。エスターはふたりを追っかけ、ホームから突き落とそうとしたとき、アレンが現れ事となきを得た!

アレンが出発した後、トリシアが「殺してやろうと思ったの?契約はこれでお仕舞!」と宣言した。

帰宅したエスターが先に戻っていたトリシアとガナーを無視して二階の自室に戻ったところ、ふたりが部屋に現れ、エスターに襲い掛かった。ここから凄惨なエスターのファースト・キルが始まり、豪邸が燃え上がるところで終った。決してエスターが求めたものではなかった。エスターは聖書を抱えこの屋敷を脱出して孤児院に入り「人なら誰でも養子にしたがる!」と言われるようなった。

まとめ

エスターがサイコキラーだと知っていて、彼女による殺人劇だと思っていたら、とんでもない、義母のトリシアがサイコキラーになっていくストーリーだった。トリシアの養女となったエスターの第2の殺人劇が「前作」であったという結末に納得しました。

リーナ・クラマーが可愛くて、大人になっても美しいが、成長ホルモン傷害による低身長の醜さで、家族から受けた醜い仕打ち「家族の愛の欠如が彼女をして凶暴なサイコパスエスター“ならしめた結末にリアリティを感じ、これが本作の面白さでした。

イザベル・ファーマンがここで演じたエスター。12歳で演じた役を、10年後23歳の演じることになったが、全く違和感を感じなかった。むしろ、このことに恐怖を感じました。すばらしい演技でした。成長ホルモン傷害で子供と大人が共存するというキャラクターがこれをなさしめたわけで、よく考えた脚本だと感心しました。(笑)

ジュリア・スタイルズがサイコ化していく演技、そしてイザベルとジュリアの微妙な感情演技がすばらしかった。

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