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「ミッドサマー」(2019)白夜の祭典に隠された惨劇!なぜ、この怖さ!

 

A24作品。長編デビュー作「ヘレディタリー 継承」で高評価を集めたアリ・アスター監督の第2作。劇場で鑑賞しましたが、終盤が掌握できなかった作品。パンフレットで掌握しようにも完売で、そのままにしておいた作品。WOWOWで鑑賞。

監督・脚本:アリ・アスター、撮影:パベウ・ポゴジェルスキ、編集:ルシアン・ジョンストン、音楽:ボビー・クルリック。

出演者フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、ウィル・ポールター、ウィルヘルム・ブロングレン、アーチー・マデクウィ、エローラ・トルキアビョルン・アンドレセン、他。

物語は

ある日突然、最愛の家族を失ってしまったアメリカ人学生ダニー(フローレンス・ピュー)。心配した恋人のクリスチャン(ジャック・レイナー)は、男たち3人だけで行くはずだったスウェーデン旅行に彼女を誘った。彼らが向かったのは、スウェーデンの奥地で90年に一度開かれるという特別な“夏至祭”のホルガ村。途中でイギリスからやってきた2達の男女が加わり、6人が謎のホルガ村に向かった。こうしてダニーたち一行は白い衣装に身を包んだ村人たちに笑顔で迎えられ、9日間にわたって行われる神秘の祝祭を彼らと一緒に体験ことになった。(映画COM)

夏至祭”とは近親結婚の多いホルガ村の“生命再生の祭り”生命再生の祭りとは、老人はその命を新たに生まれるものに託し、血の薄いもの同士が結ばれ子をなすということ。9年に一度開かれるのは村の外から新たな血を求めるための特別な祭典。この祭典は決して外部に漏れてはいけない。ダニーら6人の誰が選ばれ、彼らは無事に村から脱出できるか。


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感想

冒頭、ダニーとクリスチャンは恋人の関係。ダニーはクリスチャンへの依存性が強く、クリスチャンは別れたいと思っていた。ところがダニーが火災事故で父母と妹を亡くして情緒不安定となりそうもいかなくなった。そんなときにクリスチャンは学友で村出身のペレ(ヴィルヘルム・ブロングレン)に誘われ、他の学友ジョシュ(ウィリアム・ジャクソン・ハーパー)、マーク(ウィル・ポールター)と村の祭りに参加することにした。これを知ったダニーが加わることになった。ふたりの関係がとても大切で、結果としてふたりがどうなったか?

“恋人と一緒には観ないのがよい”と言われる作品になってしまった。(笑)

ジョシュは文化人類学で論文を書きたい、マークはスウェーデンの女の子とやれたらいい、クリスチャンは皆が行くからという感じでの参加だった。

ここでちょっと触れておきたいのは、クリスチャンの部屋にある絵。彼によればJohn Bauerの絵だというが、この絵が物語の伏線になっていた。この物語にはいたるところで絵が出て来て、観終わってそういうことかと分かる彼らのその後の行動を暗示していた。これも面白いところです!

ダニーらは9日間の予定で早速ストックホルムへ。ここからレンタカーで大平原の直線路を走る。カメラのズーム速度と画像の上下反転で気分が悪くなる。それほどに長い直線道だった。

ヘルシンキグランドでイギリスからやってきたサイモン(アーチー・マデクウィ)とその恋人コニー(エローラ・トルキア)が加わった。美しい草花のある野原で、ダニーは薬を喫ってトリップ状態になったが、クリスチャンの助けでホルガ村に向かって歩き出す!

 

ホルガ村に着いた。村人は白装束で、大きな十字架のある平和な村、まるでオカルトかと思える楽園のような村。古風な建物、祭り会場に中央奥に黄色い三角形の建物が目に入った

 

ペレが長老から「お前は人を見る目がある」と褒め称えられている。

 

「今日はお祝いで明日から儀式だ」と歓迎され、大人から子供まで大勢の人々に取り囲まれた。ダニーは眩暈がしました!

 

この村には白夜で夜がない。夜を使わないでホラーを味合わせるという稀有な作品です

 

丸い式台に上がった賢女が「ホルガにようこそ!90年に一度の祭り!多くの恩恵が与えられますように!」と挨拶して乾杯。

 

大部屋が宿舎として準備されていて、ダニーは村人の同じ白装束に着替え、村人の中に入って奇妙は声を出しながらダンスに興じた。ペレが「誕生日おめでとう」とダニーの自画絵をプレゼントしてくれた。クリスチャンには忘れられていたが後にケーキで祝ってくれたがライターでローソクになかなか火が点かない。(笑)

 

一方、クリスチャンら男性たちは長老の案内でルーン文字で書かれた石碑や、三角形の建物、熊のいる檻などを見学したあと、白い建物の中で聖典(性典)のような絵を見せられた。実はこの絵に描かれていたことがこの祭りで行われることだった。

 

儀式(アッテストゥパン)が厳粛に始まった

 

三角小屋の前にV字型にきれいにテーブルが並べられ、村人たちが席についたところの老いた男女が主賓席に着いた。ふたりがナイフを取り上げると一斉に食事が始まり、食べ終わると乾杯をして、二人は輿に乗せられ高い絶壁の上に運ばれた。

全員が見るなかで、最初に男性が飛び降り、石台に落ちて、顔面破壊し絶命。次いで女性が飛び降りるが、足から落ちて、死にきれずうめく。これを見た身内が斧を持って駆け寄り、皆に励まされながら、頭を叩き割る。これは正視できなかった。気分が悪かった!「やめろ!」とサイモンとコニーが激しく抗議した。

そして村民が見守るなかで荼毘に付せられた。マークが立小便で枯れ木を濡らせた。(笑)これに「村の先祖が宿る聖なる木!に」と激怒する村の老人。

 サイモンが「帰る!」と居なくなり、コニーがサイモンを追った

ダニーは動揺し「帰ろう!」とクリスチャンに促すと賢女が「村の掟、彼らにとっては大きな喜び。老いての死よりこの方が幸せだ」という。ダニーは悲鳴を上げて泣いた。

クリスチャンが「これを論文にする」と言い出し、ジョシュが「俺が先だ」とふたりが揉めた。

「帰りたい」というダニーをペレが「俺も両親を亡くしたが、こうして皆が抱き上げてくれて喪失感がなくなった」と慰めた。

ダニーは村の女性たちに「美しい」」と気に入られ、一緒に厨房で料理作りを手伝った。

夕食時、クリスチャンのパンに陰毛?が入っていた。ペレが「君を好きな女性がいれた」という。マークは村の女性を追って消えた

白夜での就寝。男たちがひとつの部屋に寝ていた。深夜、村の女性がクリスチャンのベッドの下に木片を置いて去っていった。この木片は「愛しているという印だ!」とペルが言う。「村の結婚(近親婚)はどうなっているの!」と村の青年に聴くと「老人たちが紹介する。部外から選ぶことがある」という。

ペルに連れられてこの村にやってきた意味が分かった。ここからは、近親相姦を避けるためにどう利用されたか、監督はここで何を観せるかと。(笑)

 ジョシュはこの儀式を論文にするため教会に新入しルーン文字聖典(ルビー・ダラー)をカメラで盗み撮りした。ところが何者かに発見され殺害された。

 次の朝。ダニーは村人が見る中、村の女性総出のダンス大会に参加させられた。ダニーは薬を飲まされ幻覚の中での参加だった。手を繋ぎ輪になって踊り、全員が倒れるまで行われる。最後に残ったものが女王となる。ダニーは踊っている内にスウェーデン語が出てくるようになっていった。

見学席に着いていたクリスチャンは長老に呼ばれ「マヤのことどう思うか?」と聞かれ「陰毛を食べた」と言うと、「彼女とのセックスを認める」とマヤの待つ部屋に放り込まれた。そこは全裸の12人の女性と花のベッドに寝そべるマヤがいた。12の女性に励まされる様にふたりのセックスが始まった。とんでもない映像を見せてくれました。(笑)アダルトビデオでもこれほど豪華なものはない!(笑

ダニーが女王に選ばれた。花の王冠を頭に乗せ、女性たちに守られ車に乗って祭り会場を行進、村人たちに応えていた。すると女たちの喘ぎ声が聞こえてくる。ダニーはその部屋を覗くとクリスチャンのあられもない姿を見た。ダニーは泣いた。するとお付きの女性たちも一緒に泣いた。

クリスチャンは素っ裸のまま部屋を出て小屋に逃げ込んだ。その入口にマークの脚が立てられ、頭が転がっていた。小屋に逃げ込むとそこは鳥小屋で、鳥が動く人間に肝臓をついばんでいた。サイモンの遺体で肋骨が開かれ鳥の羽のように広げていた。クリスチャンは気を失った。

ダニーが女王席に着くと、賢女が「式典の終わりに9つの命を神に捧げます」という。9番目だという男が連れてこられた。クリスチャンだった。ダニーは泣き面で認めた。

9人の男たちが黄色い三角の建物に運び込まれる。飛び降り自殺し老夫婦、サイモン、コニーもいた。首だけのマーク、・・・、内蔵を取り出した熊の中に入れられ生きたままのクリスチャン。建物に火が放たれ、女たちが声をあげる中で焼かれた。クリスチャンは「最悪の罪人」として焼かれ、苦しみながら逝った。

ダニーは泣きながら見ていたが笑顔が戻ったダニーの笑顔はなんなのか!

まとめ

白夜の中、美しく荘厳な儀式の中で、いやとんでもない儀式もあったが、9人が殺されるという惨劇!しっかり映像で見せてくれました。

惨劇の背景は近親婚を避けるという人間の血の問題。これが一部映像で映し出され、惨劇の映像より深い恐怖が胸に残った。血の問題は現実社会に生きている。それだけに後味が悪い!

サイモン、コニー、マークの殺され方は遺体を観るだけだが、殺され方を想像させるところが面白い。近親婚に絡む問題が原因で殺されただけではなく、人類の七つの大罪を戒めたものだと思っています。

精神不安定で泣くばかりのダニーが最後に笑顔を見せる。フローレンス・ピューの自然な演技が圧巻でした。

白昼でのホラーをオカルトで撮るというこれまでのホラーにはない恐怖を感じる作品だった。アリ・アスター監督に感服。いずれオスカーを手にする監督、次作が楽しみです。

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