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「2001年宇宙の旅」(1968)木星に向けて発せられる電波の向う世界は!

 

宇宙SF作品の金字塔と言われる作品楽天市場で350円で購入して鑑賞。350円では申し訳ない、すばらしい作品だった。(笑)

1968年に観た人は驚いたと想像します。なにせ当時の最先端科学知識に準拠して描かれているわけだから。しかし、今観てもラストシーンは理解できない!が、「コンタクト」(1997)「インターステラー」(2014)を見ているので、それなりに掴めたと思った。

監督:スタンリー・キューブリック原作:アーサー・C・クラーク脚本:スタンリー・キューブリック アーサー・C・クラーク撮影:ジェフリー・アンスワース ジョン・アルコット、編集:レイ・ラブジョイ、音楽:アラム・ハチャトゥリアン ジェルジ・リゲティ ヨハン・シュトラウス リヒャルト・シュトラウス特撮監修:ダグラス・トランブル

出演者:ケア・デュリアゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルベスター、、ダグラス・レイン、他。

物語は

月に人が住むようになった時代。月のクレーターの地中から謎の石碑が発掘され、宇宙評議会のフロイド博士が調査に向かう。それから18カ月後、最新型人工知能「HAL(ハル)9000型コンピュータ」を搭載した宇宙船ディスカバリー号は、デビッド・ボーマン船長、フランク・プールら5人のクルーを乗せて木星探査に向けて航行していた。しかし、その途上でHALが探査計画に対して疑問を抱いていることを打ち明ける。ボーマンとプールはHALの不調を疑い、いざというときはHALの回路を切断することを決めるが、それを知ったHALは反乱を起こす――。(映画COM)

宇宙開発の歩みについて触れておくと

1961年4月12日、ソ連宇宙飛行士はユーリ・ガガーリンによる地球の衛星軌道一周の有人宇宙飛行。これに追いつけと1969年7月20日米国のアポロ11号が月に着陸した。そして木星土星の探査はボイジャー2号により1977年8月20日であった。ちなみに日本初の人工衛星おおすみの打ち上げは1970年2月11日だった。

この作品がいかに先駆的な作品であるかが分かる。アーサー・C・クラークが公開に先立ち、「アポロ委員会は予定を変更しニューヨークのプレミアムに来て欲しい(凄いスペースシャトルを見せるぞ!)」と公言したことに頷ける。


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あらすじ&感想

冒頭、400万年前、地中から虫を取り出し食べ、ライオンに襲われ命を奪われていた猿が、“モリノス”(石碑)に出会い、洞窟に住み、水を飲み、動物の屍から道具を作り、これで闘うヒトになる描写があって、2001年の宇宙の話に跳ぶ。

ここでいう“モリノス”とは猿からヒトになる進化(進化の扉)を示している。これは「猿から人間が生まれた」という1962年の人類学者ルイス・リーキーの研究成果によるもの。

宇宙における人類の現在と未来を3つの“モリノス”を用いて描く作品になっている

 2001年、宇宙評議会の委員・フロイド博士(ウィリアム・シルベスター)は月で極秘物体は発見されたと調査に向かう

 シャトル国際宇宙ステーションに向い、ここで月行きのロケットバスに乗り換える。シャトルの中ではアテンダントによる宇宙食の提供などの様子が描かれる。アテンダントが磁石の靴を履いていることに笑った。音紋識別でゲートを通過。

ステーションではTV電話で娘と話し、ロビーで4人の知合いの博士たちに出会う。すると「月で奇怪なことが起こっているのか?」「危険な伝染病が発生したというが何か?」と質問を受けるが、「分からない」と答え、月行きのロケットバスに乗った。

美しい地球の映像が映える

ロケットバスの中では食事やトイレの使い方などの説明があって、クラビウウス基地に向かう。

グラビウス基地に到着。フロイド博士は関係職員と打ち合わせ。

 全員に「危険な伝染病が発生という嘘情報を流すのは辛いが、カルチャーショックが起こるほどの出来事だ」と説明し秘密保全に全力を尽くすよう要請した。そして自分の任務は「現地で情報収集し公表の方法について提案書を作成すること」と明かした。

小型ロケットカーで月面を走り極秘物体発見場所に移動

車内は大気呼吸が可能。宇宙服を着けている。掘削現場には“モリノス”が堀出されていた。レシーバーに雑音が入る状況であった。

18カ月後、モリノスの情報は明かされず、宇宙探索船ディスカバリー号木星探検隊が出発した

乗員は5名にアンドロイドのHAL9000型コンピュータ。飛行及び船内の管理はすべてHALの制御で行われる。搭乗員全員がHALの管理のもとハイパースリープで冷凍催眠中(1分間に1回の呼吸、温度3度で管理されている)だった。出発から3週間を経てボーマン船長(キア・デュリア)とプール副船長(ゲイリー・ロックウッド)が目覚め勤務についた。

円形ドーム室内でのウオーキング、円を回るようにウオーキング(天井を歩く)する。ハイパースリープ室で家族からのTVメッセージを見る。HALとのゲームを楽しむ。

HALがボーマンに「今回の任務には疑念がある。妙な噂があり月で何かが堀出されたた。私は信じない」と言う。ボーマンは命令のままだと疑念を持っていなかった。すると「AE-36ユニットが不調で72時間後に故障する」と言い出す。ボーマンは図面で船外アンテナの部品であることを確認して、小型ポットに乗り無重力下の物品回収作業を行う。このシーンはかなり長いシーン、本作の目玉映像のひとつ。「ゼロ・グラビティー」(2013)と全く同じだった。

持ち帰った部品をプールと一緒に点検。異状なしだった。プールが「ミスは人間に原因がある」という。管理センターに問い合わせすると「こちらのHAL9000型コンピュータで点検しても異常ない」と返事。ボーマンとプールは「HALにとっては初めてのことだから」と小型ポットの中に隠れて「船はすべてHALの統制下にある。思考回路を切って一般回路でやる。複雑な作業は地上コンピューターに依頼する」と決めた。しかし、ふたりの会話をHALが口の動きで読み取っていた。

プールが小型ポットで船外に出て作業中に行方不明になった。ボーマンが小型ポットで船外に出てプールの捜索を開始。この間にHALは冬眠中の3人のバイタルデーターを消した。

プールは亡くなっていた遺体をアームで掴み、船内に入ろうとするがHALがこれを拒否。ボーマンは遺体を放棄してアームでエアロックのボルトを外し内部に侵入した。ボーマンは躊躇なくHALのメモリーセンター室に入り、メモリーを消す作業に入った。HALが「あなたたちが謀ったからやった。私は過ちを犯した!」と謝罪したがボーマンは許さず、生まれたときの状態に戻した。

アンドロイドの暴走がこの作品のなかで大きなテーマになっている

 HALが停止すると同時にフロイド博士のメッセージが読み上げられた「これは出発前に録音したもの。極秘命令だ。HALにだけ知らせていた木星に到着したら全員が目覚めるので明らかにすることにしていた。18カ月前、地球外生命体が存在する証拠を発見した。月面40フィートに埋められていた。石碑のようなもので400万年たっているにも関わらず、木星に向けて強力な電波を発していた。その正体と目的は不明だ!」というものだった。

人類が月に到達したのは定められた進化だった。そして次なる進化は電波の先にある。

ディスカバリー号は強烈な光と振動を浴びながらワームホールを通過しその先を目指して飛んだ

ボーマンが気付いたとき広い寝室の中に居た。寝室に作業用ポットがあった。ポーマンは年老いていた。時間が瞬間に過る。ポットを出て食事をしてベットに入ると死期が迫り、そこに“モノリス“が現れた。触れるとポーマンは新しい生命体に代わっていた。ぱっちりと目を開けた生命体が地球を眺めていた。ポーマンは新人類へと進化していった。

まとめ

作品の目的は宇宙における人類の現在と未来を描き、宇宙の神秘、美しさ、宇宙の可能性を伝える壮大な物語。3つの“モノリス”を連ねる物語だった。

 月に立ったこともない時代に描かれた、宇宙の神秘・美しさに驚いた。船外活動がとてもリアル。ワームホールの描き方をどう説明すべきか思いつかなない。これを映像にすることに驚いた。クラシック音楽を聞きながら観ると一層壮大さを感じる作品だった。

ハード面についてはまるでNASAが本作を真似たかというほどのできだ(笑)そしてまだまだ達成されてないものが沢山ある。

アンドロイドの暴走について。

アンドロイドは宇宙活動には欠かせない存在だ。HALが暴走した原因は人間にある。まさに至言だ!極秘命令の存在、月での妙な噂、ポーマンとプールの密談を知るHALは正確に情報をどう伝えればよいか混乱したと思われ、この混乱を防止する機能の必要性を説いたものだと思う。当時としてはとても重要だった!当時わたしはTOSBAC-3400で乱流の数値解析をしていたがこんなことを考えもしなかった。(笑)

物語のラストは宇宙における未来人間の位置づけだった宇宙に生命があり知性が存在するとすれば人間はどうなるか。本作の見どころだった。

このために物語は冒頭、400万年前の人類の夜明けから始まる。人間はサルから進化してヒトとなった。宇宙に知性のある生命体が存在するとすれば、人類は必ず進化してヒトとして存在するという結末だった。

2023年の時点でもいまだ達成できてない夢、理解できないこともあるとてつもなく壮大な物語だった。

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