「行方不明になった娘を探す刑事が“絶対に捕まらない男”を追い、事態が二転三転していく様子を描いたサスペンス」と紹介がある。まあその通りですが、これ、作品の説明になっていない。(笑)が、原題:Hypnotic(催眠術)と、ベン・アフレックら俳優陣に期待して観ることにしました。
催眠術に嵌ったら面白い。情報を入れないで、当初分けわからないが、これを我慢して観る。(笑)
原案・監督・編集:ロバート・ロドリゲス、脚本:ロバート・ロドリゲス マックス・ボレンスタイン、撮影:パブロ・ベロン ロバート・ロドリゲス、美術:スティーブ・ジョイナー ケイラ・エドルブラット、衣装:ニナ・プロクター、音楽:レベル・ロドリゲス。
出演者:ベン・アフレック、ウィリアム・フィクトナー、アリシー・ブラガ、J・D・パルド、ハラ・フィンリー、ダイオ・オケニイ、ジェフ・フェイヒー、ジャッキー・アール・ヘイリー。
物語は、
公園で一瞬目を離した隙に娘が行方不明になってしまった刑事ローク(ベン・アフレック)は、そのことで強迫観念にかられ、カウンセリングを受けるようになるが、正気を保つために現場の職務に復帰する。
そんなある時、銀行強盗を予告するタレコミがあり、現場に向かったロークは、そこに現れた男・デルレーン(ウィリアム・フィクトナー)が娘の行方の鍵を握っていると確信する。しかし男はいとも簡単に周囲の人びとを操ることができ、ロークはデルレーンを捕まえることができない。
打つ手がないロークは、占いや催眠術を熟知し、世界の秘密を知る占い師のダイアナ(アリシー・ブラガ)に協力を求める。ダイアナによれば、ロークの追う男は相手の脳をハッキングしていると言う。彼女の話す“絶対に捕まらない男”の秘密に混乱するロークだったが……。(映画COMより)
あらすじ&感想:
カウンセリング中に刑事ロークに事件出動命令が下る。
カウンセラーから「公園で遊んでいて、娘・ミニーが誘拐された状況」をしっかり確認されるローク。そこに銀行襲撃予告のタレコミで出動命令が下る。相棒のニック刑事の車で現場に急行し指揮車のモニターで状況確認。
ベンチの女性にライターを借り、女性に「熱い日だ!」と催眠をかける男。男が怪しいと見たロークは指定の貸金庫を調べた。
そこにあったのはレブ・デルレーンと注記のある娘ミニーの写真。写真をポケットに納めた。そこに女性出納員が現れ、同じ貸金庫からボックスを取り出す。同時に怪しい男と警備員が拳銃を構えて侵入し、ロークと撃ち合いになった。女性出納員がボックスを渡した車は炎上、現場は大混乱。ロークが男を追う。屋上に追い詰めたが逃げられた。捕まえられない男を“デルレーン”と名付けた。
ニックから「タレコミ電話主は催眠術タロット占い師だ」と電話が入る。
ロークは占い師の店を訪ねた。店主はダイアナ・クルーズ。先に大男が訪ねていたが席を外した。ロークがデルレーンとの関係を責め立てると外で待機していた大男がオートバイで突っ込んできた。ロークが男を射殺し、ダイアナには署で事情を聴くことにした。
ダイアナがヒプノティック(催眠術)について説明をする。
「デルレーンは圧倒的なヒプノティックを持ち相手の脳を支配する。音や声、目を合わせることがスイッチとなり実在しない虚構の世界を見せる。あなたは知らずにその中で行動し見る物やすることが普通と感じられる」という。
ダイアナもこの能力があるとニックに掛けてみせる。
ダイアナはロークに「貴方は掛かからない」という。覚めたニックは外で休むと部屋を出た。ニックが煙草を喫っているところにデルレーンが忍び寄る。
デルレーンは米国秘密プロクラム“機関”の乗取りを考えている人物だった。
ダイアナは「学生時代に勧誘され加わったがデルレーンの考えに反対して機関から逃げた」という。「先週の銀行強盗は彼だが彼は捕まらない」という。
このとき異常音がする。ニックが拳銃を振り回しロークに近づいてくる。ロークは懸命に止めようとしたが、ダイアナが射殺した。
朝、ロークとダイアナは変装してダイナーに寄った。
TVニュース「ローク刑事は女性容疑者 と共に指名手配中」を見た。ロークがダイアナに「デルレーンが金庫に写真を取りにきた。娘の遺体は発見されてない。娘はどこにいる?」と話しかけていた。そこに私服刑事が入ってきた。ダイアナが「北に向かった、報告しなさい!お代は私が払う」と交渉し帰した。
ふたりがダイナーを出ると、そこにデルレーンと警官たちが待ち構えていた。
ロークがデルレーンを引き付け、ふたりは別々に方向に逃げた。ロークは操車場に逃げ込んだ。どこに逃げ込むか?何本もの列車の幻を見た。あわや発見され捕まるかと思ったら、そこにダイアナがトラックで駆けつけロークをピックアップした。
ふたりは国境を越え、メキシコに逃げ込んだ。
ダイアナがロークに「貴方はヒプノティックに対する抵抗力を持っている。精神的なトラウマが原因かもしれない。しかし、デルレーンは貴方のお抵抗力を破ることが出来る」と言い、破られないためにダイアナが世話になった訓練士の助けを借りることにした。
ふたりは訓練士を訪ねた。
ドークがドアを開けると訓練士が拳銃を向けるが、それより早くダイアナが訓練士の頭に拳銃を突きつけた。弟子と師の挨拶だった。ダイアナが「デルレーンが逃げた」と言うと、「ドミノのせいだ」と言う。「ドミノ計画のことで、機関の最強のヒプノティックたちを制御するために開発したものだ」と説明した。
「デルレーンはドミノを盗み自分の心をリセットした」という。
「彼を捕まえた時、ドミノの記憶はなかった。6週間前に、全てが甦り施設から逃亡した。自らの洗剤意識を呼び起こすため、きっかけとなる言葉やイメージ、ティールそれらのパズルのピースを再びハメることで記憶を取り戻す。貸金庫もピースのひとつだ。最初のピースで力を取り戻しピースごとに強くなり、最後のひとつでもう静止できなくなる」という。
ここで言うデルレーンとはローク!このシーンが一番怖かった!
ロークが「銀行の貸金庫にあった消えた娘の写真だ」とデルレーンに見せた。訓練士が「記憶の鍵だ!見せろ!」と立ち上がった。
訓練士はデルレーンだった。
ロークは恐怖で逃げ出した。デルレーンが拳銃で射撃し追ってくる。ふたりは街の中に逃げ込んだ。街の人達がこん棒で追っかけてくる。建物が変形、崩れてくる。ふたりの前に警官隊とデルレーンが現れた。
ところが警官隊がデルレーンに銃を向けた。ダイアナが「私じゃない」という。ロークは「俺だ!」と答えたが「そんなわけない」と否定した。ダイアナが「貴方はデルレーンと同類だ!思い出せないだけ、生まれつきだけのパワーではない」と言う。ロークは「なぜパワーがあるのか?デルレーンのこと、そしてドミノ。全てを知りたい!」とダイアナに助けを求めた。
ダイアナは自分の痕跡を消してくれたエンジニアの男・リバー(ダイオ・オケニイ)にロークの身元を調べてもらうことにした。
リバーはステルス性のある廃屋に住んでいた。
リバーは「全世界のニュースや出来事と組織を支配している」という。ダイアナから「ロークのパワーとデルレーンとロークの娘の関係」を調べるよう求めた。ロークの経歴は警察勤務12年で機関エーゼント。ロークはエーゼントを否定した。住所、家族状況は不明で、調査に時間がかかるという。
ダイアナが風呂に入っているとき、非通知で「私よりパワーがあると思うか?お前を追い詰める。ダイアナは私を裏切った。お前が殺せ!拳銃で撃て!」と送ってきた。ロークはきっぱりと断った。
ダイアナの部屋を訪ねると「電話、あいつでしょう」と言う。ダイアナがスマホを捜して内容を見た。ロークはナイフを手にしたが刺せなかった。
ダイアナがロークにキスを求めた。ロークに娘と妻の記憶が戻ってきた。
ロークはコンピューター室に入り、ダイアナを調べた。別名ビビアン・ローク、ヒプノティックレベル4とある。次にドミニック・ロークで検索すると「ミニー:両親ともヒプノティック。ヒプノティックレベル:超高度、別名ドミノ」と分かった。
ロークはダイアナに「ドミノは計画ではなく人の名だ。娘をどこに連れて行った?」と聞く。「私ではなくあなたよ!」と返事した。ロークに「“機関“がミニーを世界最強のヒプノティックに育てる意図を察し・・・」と記憶が戻“ってきた。ダイアナが「貴方が誘拐した!」と言う。ロークは「君から守った」と返事すると「お前たち全員からか?」という声が起こった。
ロークが「ここはどこだ、幻影か?」と叫ぶとダイアナの「まだ分からないの!」の声で幻影が消えた。
大広間に中、テーブルを前にロークと赤い服のダイアナが立っていた。
周りを赤いユニフォームの男たちが囲んでいた。その中にニックもいた。“機関”の施設の中だった。
ロークは現実の世界に戻されていた。
ニックは「お前は自分のリセットを繰り返すが何の記憶もない。娘を隠した場所も不明だ」と怒りを露わにする。デルレーンは「6カ月前本部に写真が落ちていた。誘拐された娘を捜す刑事の世界を構築したが、俺の脳を翻弄するだけだ。君の娘の能力を最大限に使う。レブ・デルレーンは誰だ?どこにいる?」と聞く。
ロークは室外に出て見た。警察署、銀行、タロット占い店、メキシコ市街地があるロケ地だった。
デルレーンが「君の心を突き崩すのは難しい、これで12回目だぞ」という。
ロークが13回目のリセットを要求した。
ダイアナが「いずれシナプスが破壊され貴方を取り戻せなくなる、過去も。愛していた?」と聞く。ロークは「全て覚えている」と答えた。ローは電算機に繋がれリセットされた。
カウンセラーから「公園で遊んでいて、娘・ミニーが誘拐された状況」をしっかり確認されるローク(冒頭シーン)。そこに銀行襲撃予告のタレコミで出動命令が下る。相棒のニック刑事の車で現場に急行し指揮車のモニターで状況確認。ニックの車はゴルフカーで、警察署と銀行、市街地がロケ現場だった。
デルレーンのヒプノティックがロークには全く作用していない!
ロークはダイアナが静止するのも聴かず、車で施設を跳び出した。
ダイアナがヘリを要請。ヘリでロークの追跡が始まった。レブ・デルレーンは地名だった。
ロークは牧場主のエルベット夫妻に迎えられ、館へと通された。そこにはドミノ倒しが組まれていて、これに導かれ、ミニー(ハラ・フィンリー)に会った。
ヘリでデルレーンら“機関“部隊が牧場に到着し、邸宅を囲んだ。
ダイアナが「娘を渡せ!」と要求する。ロークは「僕が知るダイアナ、愛するダイアナでなければ娘は渡せない」と断った。デルレーンが「娘を渡せ」と最後通牒を送ってきた。ロークはミニーを呼び寄せた。ダイアナがミニーを抱いた。ミニーが「これからは自由になる」と伝え、デルレーンを睨んだ。
ミニーが構築した世界になった。
デルレーンの部隊は相撃、自殺という惨状。ロークは妻のダイアナに「ミニーが機関の武器にされるのを避けるため、娘を隠し、娘が強くなるのを待って、彼らをここに引き寄せ丸ごと破壊する以外になかった。このためにお前が撮った写真にレブ・デルレーンと書いて記録に残し、お前の記憶を消した。愛があるから大丈夫だと思った」と語った。
まとめ:
前半といっても3分の2は虚構の世界。これが虚構と分かるまでがスリリングで面白かった。しかし、現実世界が明かされ、一気に事件が解決するくだりはもっとうまい終わり方はなかったのかと残念でした。
睡眠術で世界を支配するという話。着想は悪くはない!エンデイングで死んだデルレーンが立ち上がる映像があったが、続編を作るのかな?
ベン・アフレック、ウィリアム・フィクトナー、アリシー・ブラガの演技は楽しめました。
ウィリアム・フィクトナーの物言わぬ催眠術師、不気味で存在感があった。クリントイーストウッドを彷彿とさせ、これも利いた。(笑)アリシー・ブラは語り部的存在だったが、妻というキャラクターを隠した絶妙な演技がよかった。
派手なアクションがあるのかと思っていたが、意外でした。虚構の世界を見せるシーン、操車場の逃走劇で見せる幻の列車群、メキシコの市街地が歪み崩れるシーン。どこかの作品で観たことのある映像でしたが、「今睡眠術に嵌っているな」と楽しみました。
この種の作品には夢で相手の脳を乗っ取るクリストファー・ノーラン監督作「インセプション」(2010)と比較してしまい、辛い作品になってしまう。
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