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「あの人が消えた」(2024)サスペンス・エンターテイメント?観る人を選ぶ作品!

 

TVドラマ「ブラッシュアップライフ」(2023)で名を上げた水野格監督の初映画作品ドラマを観ていない。若い、気鋭の監督作品、これで観たくなりました。キャストに菊地凛子染谷将太田中圭さんの名を見つけ、これが後押ししてくれました。

次々と人が消えてしまう謎めいたマンションを舞台に、伏線を張り巡らせた予測不能な展開で描くミステリー・エンターテイメント。

 水野監督はマンションに住んでみて顔を合わせる配達員がいつも同じ、一方で隣人のことは何も知らなかったと言う。このマンションのことを一番よく知っているのは配達員で、この配達員だけが気づく事件が起こったらどうなる。この視点で作られた作品とのこと。人の絆が希薄になっていく現在において自分を守るためとても大切な視点だと思った。

サスペンス・エンターテイメント?申し訳ないですが、何を訴えたかがよく分からなかった。しかし、奇抜な作風、挑戦してみてはいかがでしょう。

原作・監督・脚本:水野格、撮影:谷康生、編集:相良直一郎、音楽:カワイヒデヒロ、主題歌:NAQT VANE。

出演者高橋文哉、北香那、坂井真紀、袴田吉彦菊地凛子染谷将太田中圭

物語は

配達員の青年・丸子(高橋文哉)は、「次々と人が消える」と噂されるいわくつきのマンションに毎日のように出入りするうちに、怪しげな住人の秘密を知ってしまう。小説家を目指す職場の先輩・荒川(田中圭)にも相談し、荒川の意見を仰ぎながら住人の正体を探ろうとする丸子だったが、いつしか2人は思いがけない大事件に巻き込まれていく。(映画COMより)


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あらすじ&感想(ねたばれあり:最小限でいきます)

冒頭、女性が深夜3階建てのマンションに戻り、“203号室”のドアを開けようとして、照明が消え、明るくなると女性は消えていた。ここでタイトルが表示される。まさに「あの人が消えた」だった

4年前、

丸子は居酒屋でアルバイトをしていたが、コロナ禍で客が減少、店を解雇された。一方で巣ごもり生活で宅配業界の盛況が続く。この状況に丸子は「自分が求められている」と八谷運輸の宅配員として働くことにした。配達して感謝されやる気を感じていたが、仕事の忙しさに追われ不注意も増え、苦情を訴えられることが増え仕事への意欲を失って行った。

先輩の荒川(田中圭)はWEB小説にホラー作品を書いていた。荒川に感想を求められた丸子は、WEB小説で出会ったのが小宮千尋北香那)の「スパイ転生」で、これに嵌った。丸子は小宮に感想文を送り続け、これが生き甲斐になっていた。

物語は4つの章から成る1、2章をざっと纏めます。

うんざり気分になりますが、部屋番号と住人の名前、配達時のエピソードを憶えておくことが必要です

現在、

丸子は小宮千尋宛の荷物を持って彼女が住むマンションに車を走らせていた

このマンションのことを知っているのは自分だけかも知れないと思っていた。201号室の巻坂(中村倫也は几帳面な人のようだがゴミ分別しない人で最低の人だと言われていた。

厄介なのは203号室の流川。家に居た試しがない。電話すると「置いていってくれ」と言う。「置配をしない」と答えると受け取り日時を指定する。

205号室のベルを押すと女性が顔を出した。「小宮さんですね」と荷物を渡した。ドア越に部屋の奥が見え、ワープロが目に入ってきた。「引っ越してきたのですか、私は丸子です」と挨拶をした。「よろしくお願いします、小宮です」と挨拶が返ってきた。

203号室に再配達

「再配達です」と声をかけると「ポストに入れてくれ!」という。一階のポスト場に下りて203号のポストに荷物を入れた。205号室のポストには何もないことに気付いた。小宮を思い出し、205号室に向かうと激しくドアを叩く男を見た。丸子はそのままにして帰った。会社に戻ると301号室の長谷部博美(坂井真紀)のものを届けることになった。

301号室の長谷部

よく喋る、猫好きで、明るい感じの女性だった。丸子は「このアパートで髪が白い人はいないか」と聞くと、「302号室ですよ。よく知らないが男前の人」と教えてくれた。

丸子は会社に戻り荒川に205号室のドアを叩く男の話しをした。荒川は「ストーカーじゃない」と云った。「警察に届けるべきか?」と聞くと「社長が嫌がる、やめとけ」と言われた。

丸子はマンションに戻り302号室は誰なのか確認しようとベルを押した。すると男性の声がする。「八谷運輸のものです」というと「頼んでいない」と声が返ってきた。「お名前は?」と聞くと男がドアを開けた。そのとき部屋の奥に幾つかの電子部品が見えた。男は「島崎です」と名乗った。丸子は「失礼しました」と帰り始めた。

帰りに205号室のベルを押した

小宮が現れた。丸子は「出荷物はありませんか」と尋ね、「貴方の小説を読んでいます。フアンです。最近変わったことはありませんか?誰かに見張られていませんか?」と聞いた。小宮が「何で?」と問うので「不審者がいると聞いている」と答えた。小宮は「やっぱり、大丈夫です」とドアを閉めた。

こういう配達員がいたら怖くなりますね!丸子はやり過ぎていると思った

丸子は会社に戻り、荒川に「302号室に島崎という男がいて、盗聴器があった」と話し、「警察に通報すべきか?」と問うた。荒川は「絶対という情報でないからもっと調べてからだ」と答えた。

丸子は303号室の沼田(袴田吉彦)を訪ねた

沼田は強面の男性だった。沼田は出かけるところだった。「隣と何か関係があるのですか?」と聞くと「先日、隣がうるさいから見に入ったら血だらけの女性がいた」と話した。

丸子は交番の警察官に「マンションで事件があったのでは」と届けた

警察官は「あのマンションは事故物件だ。人が消えるマンションだ。前にも騒ぎがあった」という。「犠牲者は?」と聞くと「幽霊だ」という。

丸子は荒川にマンションの事件について話した

荒川は「世の中信じられないことがある」という。丸子は「侵入して調べてみたい。幽霊かも知れないが、成仏できずにいる。小宮さんがいなくなっている」と心配するが、荒川は「神隠しだろう」と聞き流す。

丸子は自分で調べることにした

201室の巻坂に「小宮が何時いなくなったか、最後に観たのは何時か?」と聞いた。巻坂は「一昨日の夜、ここで観た。男の人に介抱されていた。髪を一三に分けた男だった」という。

301号室の長谷部は「一昨日の夜、怖かった!煙がくるのでベランダを覗くと、煙草を喫っていた男、シャツが血だらけだった」という。丸子は「島崎だ」と思った。

丸子は荒川に「小宮さんは殺されたのでなないか。島崎が血だらけだった。もう1回調べに行きたいが、ダメだ」と話した。荒川が「諦めろ!」というが「何を頼りに生きていく。俺にはスパイ転生しかない」と反論した。荒川は「島崎の部屋には行くな!」と注意した。

丸子は301号室の長谷部を訪ねた。

長谷部が居なくなっていた。警官が「人が消えるマンションで有名」と云ったことを思い出した。荒川が「神隠しだ。この辺で止めとけ」というが、島崎が205室をノックしていた姿を思い出し、205号室を調べることにした

「誰もいない!」と思っていたら後ろに島崎が立っていた。「何故あなたがここに居るの?小宮さんは?」と聞くとそこに小宮が現れた。

荒川が加わって、4人がテーブルについて話が始まった

荒川が「小宮の小説は面白かった。行方不明者がいる。居ても立っても居られず来ました」と挨拶した。小宮が「そんな?」と言い淀み「今から信じられないことが起きます。私の本名は須藤で彼は別府です。私は警視庁の刑事です」と自己紹介した。

ここから第3章が始まる

須藤と別府の関係は須藤が警視庁の刑事で別府は彼女に協力する英国諜報機関M16のエーゼントだった。

ふたりは国際的な問題に進展しかねない総選挙を妨害するスパイを摘発するためにこのマンションに潜んでいるという。(笑)彼らは警視庁の寺田刑事(菊地凛子)の指揮のもとで活動していた。

コメディー展開となります。奇怪現象が次々と現れる。この話について行けるか!(笑)

須藤は小説家として、別府はパーソナル・トレイナーとしてアパートに潜入し監視していた

丸子が301号室で見た電子機器は盗聴器で、各室に隠しマイクが仕掛けられていた。沼田が見た「女子が男に抱かれていた」という話、長谷部が見た「島崎のシャツが血だらけだった」という噺、巻坂は301号室で観た「血だらけに女」の話、警官の話などがふたりの視点で説明される。

これまでの伏線が見事に繋がる説明だったふたりが辿りついた犯人は巻坂というものだった。ここまで刑事が喋るか?(笑)

「人は見かけによらない!」「物事を見た目で判断してはならない」と教えられるが、あまりにも伏線回収が見事で、あらかじめ答えを知っての回答の感じで、伏線が見事に回収される感じにはならなかった。コメディーを楽しんだという感じだった。

そして最終章、これは劇場で鑑賞してください。仰天の展開だった

まとめ

ねたばれを最小限にするため、分かり難いまとめになったかもしれません。(笑)

“先読み不可能”というのが売りのミステリー・エンターテイメント作品

4つの章からなり、章が変ると大逆転という展開では先読みはできません、(笑)非常に作為的な作品になっています。ミステリー作品でこの手法はどうかと思いました。この章立てにタイトルの意味が隠されている。これに気付くところに快感があるのかもしれません。(笑)

視覚情報は少ない、大部をセリフで展開(TV的)し、思索しながら観る作品だが、強引に観る人を振り回す

キャストには章ことに雰囲気が変わる演技が求められる

出演者はしっかり演じられていました。これが面白い。ひと粒で3の味が楽しめる飴玉のような作品です。(笑)好きな俳優さんがいる人には堪らない。染谷さんがお気に入りで、英語の発音がすばらしかった!「将軍」の真田さんを目指しているのかなと思った!(笑)

監督が力を入れているのが最終章

唖然とする最終章でした。丸子は熱烈な小宮千尋の小説「スパイ転生」の読者で、彼の探偵行動はこの小説に深く関わっている。これが明かされない、奇抜さだけが光るラストシーンにどのような意味があったのか。私の意には添わなかったが、笑って終わる作品だと思えばそれなりに楽しめる作品だと思います。

最終章を楽しむために観る作品だと思うので「ブラッシュアップライフ」の作風を押さえておくとよいと思います。

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