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「ラストマイル」(2024)流通業界の闇を炙り出す社会派ミステリー。

 

流通業界を背景に連続爆破事件の行方を描いたサスペンス映画

 テレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の世界に繋がるシェアード・ユニバース・ムービーだという。一体これはどういうことか?

 TVドラマを観ないが、韓国映画ニューノーマル」(2023)が素晴らしい作品でしたが、日本のドラマ「トリハダ」から作られた作品だと知り、この作品も韓国がリメイクする前に観ておきたいと劇場に駆けつけました。(笑)

買い物はネットで買って自宅に届けてもらうとても便利ですが爆弾が入っていたら、これは恐ろしい。こんな事態を想定したドラマ。現在の生活に直結するドラマでこれをミステリーで見せ、業界の闇を炙り出すという社会派ミステリーです。

出演者に著名俳優たちがべらぼうに多い。これも魅力でした。監督、脚本家、プロヂューサーが女性、主人公が女性、犯人が女性、最後に狙われるのがシングルマザーの女性家族。女性主導で作られたクライムミステリーです。観終わって劇場出口で耳に入った女性の感想は「よくわからなかった」でした。(笑)

監督:塚原あゆ子脚本:野木亜紀子撮影:関毅、編集:板部浩章、音楽:得田真裕主題歌:米津玄師。

出演者:満島ひかり岡田将生ディーン・フジオカ大倉孝二、酒向芳、宇野祥平安藤玉恵火野正平阿部サダヲ石原さとみ窪田正孝薬師丸ひろ子松重豊綾野剛星野源麻生久美子、他。

物語は

流通業界最大のイベントである11月のブラックフライデー前夜、世界規模のショッピングサイト“デイリーファスト”、通称デリファスの関東センターから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生し、やがて日本中を恐怖に陥れる連続爆破事件へと発展する。

関東センター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)とともに事態の収拾にあたる。一方事件の拡大に伴いUDIラボ(アンナチュラル)とMIU404(第4機動捜査隊)が投入され、誰が、何のために爆弾が仕掛け、その数は幾つで、何処にあるのかが明らかになっていく。


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あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

冒頭、関東センターのチームマネジャー梨本が出勤しロッカールームで着替えるところから物語が始まる。

隣のロッカーはチーム長のもの。そこにマジックペンで書かれた「2.7m/s→0」の落書きがある。が、梨本もこれには気付いていないように着替える。この落書きは誰によっていつ、なんのために書かれたが、これがテーマの物語です。

 爆破事件の発生

関東センターの輸送を一気に引き受けるのが羊郵便羊急便の委託ドライバー佐野昭(火野正平)と息子の亘(宇野祥平)が軽トラックで荷物を配達している。アパートの二階にダンボウル箱を届けて階段を下りたところで爆発が起こった。

関東センターにセンター長として米国からやってきたエレナが着任した

梨本がエレナをロッカールームに案内するが、エレナはこれを使わずセンター内のコントロール室で着替用ポンチョを使って着替えた。

そこに地元の刈谷刑事(酒向芳)と毛利刑事(大倉孝二)が訪ねてきて、爆破事件にデリファスが絡んでいることを明かす。エレナはベルトコンベア上の製品を見せ、「爆弾にすり替えは無理」と主張した。刑事たちは「また来る」と帰って行った。

エレナは上司であるデリファス・ジャパンの五十嵐部長(ディーン・フジオカ)に「ベルトコンベアーの一時停止」を具申したが「損失が出る、止めるな。自分が命令する」と返事をしてきた。エリカは「文章にして欲しい」と具申した。

エレナは羊急便の関東局局長・八木(阿部サダオ)に「製品に爆破物が仕掛けられている」と通報した。八木は荒川区・集配センター長犬岡(岩谷健司)に情報を伝えた。ここから各配達車に「当該物品の配達中止」が伝えられる。現場の佐野父子は「一個150円の稼ぎがどうなるんだ」と不平を漏らす。200件配達していくらになる?

メリカル社、ショピングモールが狙われ爆破事件が拡大していく。

 この段階でMIU404(第4機動捜査隊)が事件に投入された

伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)のコンビが動きだす。東央病院、UDIラボ(アンナチュラル)、松本里帆(安藤玉恵)家に宅配便が届かない弊害で出始めた。エリカはメディカルを最優先にした。

エリカが開催中のブラックフライデーのホームページを開けると「あなたの欲しい物は?1ダースの爆弾」という偽CMを見つけた。エリカは警察に報告した。

容疑者として山崎拓の名が浮上

警察は偽CMの分析から広告会社を通して容疑者宅を強制捜査。伊吹と志摩がそこで見つけたパソコンから容疑者として山崎拓が浮上、爆弾はニトロメタンと硝酸アンモニウムで箱の蓋を開けると爆発すること」が分かった。

このあたりのドラマの進め方が大雑把

 署長は「容疑者山崎拓を追え!」と指示した

 エリカのところに刈谷と毛利刑事が訪れ、「社に山崎はいないか」と問うた。梨本が調べ、社には記録がなかった。刑事たちはベルトコンベヤーを止め、全物品を捜査することを求めた。

エリカは五十嵐部長に「私の権限でやる」とデリファスの世界ネットでX線探知機10機を取り寄せ、ベルトコンベアを止めず、商品出荷場で検査することにした。エリカはとても強い人だった。

配達車のいる現場は危険物の上げ下ろしに気を使わねばならず、警察の聴取を受け大混乱。集積所に荷を持ち帰りX線探知機で捜索することにした。

刈谷と毛利刑事は山崎拓の身元を割り出し、植物状態で東央医大において療養中であることを知った。

刑事たちはUDIラボにアルバイトしていた経歴のある、現在東央医大の研修医・久部(窪田正孝)に事情聴取した。彼は「運び込まれたときは意識があり、バカなことをしたと話した」と証言した。

さらに刈谷と毛利刑事は山崎が会社を不当労働で訴えたときの弁護士・三澄夏代(薬師丸ひろ子)から事情長寿した

彼女は「3階からベルトコンベアめがけて飛び降りた。精神的に病んでいた。自殺です。彼には恋人がいた」と証言した。

ここまでUDIラボと関連づけられると興ざめがします

 刈谷刑事は山崎拓の情報そしてアパートの防犯カメラの解析結果、女性の出入りがあったことをエレナと梨本に伝えた。

爆破事件から3日目の夜。エリカは夜間監視につくと梨本もそうすると言い出す

梨本は「自分はパソコンが趣味」と明かして「あなたがパソコンから山崎拓の名を消した山崎拓はここのチームマネージャーだった。あなたには奇妙な行動が多い。貴方の権限を使えば箱に爆弾を仕掛けるのは可能だ。警察に自首してくだい」と迫った。

エレナはタコ焼き機の箱に手を突っ込み、「爆弾のタイマーが始動し始めた」と言い、「どうやって箱に爆弾を仕掛けたか」と一緒に考えることを提案した。

エレナがなぜタコ焼き機を買ったのか。エレナが壊れたロッカーを調べタコ焼き機を持ち出したと考えた方が自然だと思った。

エレナはデリファスに入社し悩み一時期休んで、今回任務をもらってここに来た」と明かし「山崎の恋人にはアメリカで会い、山崎の死は会社に責任があると抗議された」と明かした。

「恋人が犯人として倉庫に入り製品に爆弾を仕掛ける方法」を検討した。答えが見つかった。「イベントで製品を買い、返品システムでこの製品に爆弾を詰め、ラインに戻し、ラベルをすり変える。山崎の恋人が倉庫に入り行った」というものだった。「爆弾の11個が発見されている。あとひとつは永遠に探させる方便だ」と結論づけた。そして「2.7m/s→0」の文字を「ベルトコンベアを止めろ」と解読に成功した。

警察から「事件は解決した」と羊郵便関東局に通知されたが配送車に動く気配がない。エレナは八木を激しく叱責し宅配料の値上げを促した。

 エレナはフィットネスクラブに五十嵐部長を尋ね「山崎の死に何もしなかった罪」を話し、「ロッカーを見るよう」促した。

エレナはUDIラボの鑑定で最初にアパートで死んだのは山崎の恋人筧まりかで彼女はイベントの前に買った爆弾で自殺したと考え、「もう一つの爆弾を追うよう警察に求めた。

懸命な捜査の結果、それは松本の夫がプレセントして娘に贈ったものだった。亘が奔った。

まとめ

時間的にも経費的にもがんじがらめの流通システム。そこでどうにもならないと身を投げた山崎拓。山崎の死を無視した当時のセンター長・五十嵐の罪。拓の名誉回復にと奔走する筧まりかの暴挙。

このような事件が実際に起きても不思議ではない。目の付け所のよいサスペンスだった。

冒頭で示されたロッカーの扉に描かれt「2.7m/s→0」の文字に誰も「何故か?」と疑わない。この鈍感さがこの業界の問題点だと暴いたのは至言である。現状に慣れ切っていることのつけがこの事件を起こしたというテーマ、反省させせれることが多かった。

特に流通システムのラストマイル

流通システムの不都合がすべてしわ寄せる配送車運転手の処遇改善を求めたのが良い。現実に大きな問題になっている。これをラストシーンにもってきて亘が首切られた電気会社のドラム缶型洗濯機に爆弾を入れて爆発し、首切った家電会社に復讐を果すシーンはエンタメ結論として面白かった(笑)

ミステリーの視点で観ると

会話主体で展開されるので、ミステリーとしての面白さには欠ける。特にエレナと梨本が倉庫で商品が何故爆弾にすり替えられたかの検討するあたりから唐突にネタが出てくるので興味を失う。

エレナ満島さん、不思議ちゃんで頭脳明晰実行力がある、まさに満島さんを当て書きしたようなキャラクターだった。配送車が動かない羊郵便の八木局長の言分を聞いて、怒りの爆発させるシーンは訴求力のある行動だった。

岡田将生さんの梨本、よく走りまわるが今ひとでよく分からない人、満島さんとのコンビは軽快で面白かった。「犯人はあなた」というシーンにはびっくり。次のセンター長になっちゃったが・・・。(笑)

UDIラボとMIC404の出番について

物語に重層感を与えたなとは思ったが、ドラマを観ていないが、見た人はすこしがっかりしたかなと思ったが、どうでしょう。

倉庫のセットは見ごたえがあった。

気軽に見る社会派スリラーとしてよかったと思っています

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